それって本当に鬱!?|ココロの不調はまず、食生活の見直しで改善!
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ここ最近よく眠れない、疲れが取れない、食欲がない…。
ストレス社会に生きる私たちにとって、いずれも思い当たることではないでしょうか。
「もしかして、うつ病?」
体の不調を感じた時に、そう考えてしまったことはありませんか?
「うつ病」という病気の存在が広く知られるようになった今、そのように判断しがちな人は多いはずです。
そこで今回は、「うつ病」の定義とその診断方法、治療方法をご紹介するとともに、
「うつ病」だとしばしば勘違いされやすい、栄養上の問題についても書いてみようと思います。
「うつ病」とは、どのような病気なのか?
「うつ病」は睡眠障害や気分の落ち込み、意欲の減退などの症状が一定期間持続する症状を指し、
その患者数はここ10年で急激に増加しています。
知ることからはじめようメンタルヘルス総合サイトhttps://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html
最近では有名人がうつ病を理由に休業するなど、一般的な認知も広がっきいるうつ病。
だからこそ、心身の不調を感じた時にもしかして自分も?と不安になりがちですよね。
うつ病だと診断される基準とは?
うつ病をはじめとする精神疾患を診断する際に用いられるものが、アメリカ精神医学会が発表する「DSM−5」というマニュアル。日本の精神科でも同じものが使用されています。
DSM-5による、うつ病の症状
①ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。(子どもや青年では易怒的な(いどてきな、怒り易い)気分もありうる)②ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退
③有意の体重減少または体重増加(食事療法をしていないのに)又はほとんど毎日の食欲減退、または増加
④ほとんど毎日の不眠または過眠
⑤ほとんど毎日の精神運動焦燥、または静止
⑥ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
⑦ほとんど毎日の無価値観または過剰であるか不適切な罪責感
⑧思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる
⑨死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりした計画
これらの症状のうち5つ(またはそれ以上)が2週間のあいだに存在し、病前の機能からの変化を起こしている。またこれらの症状のうち少なくとも一つは、抑うつ気分か、興味または喜びの喪失である。
とされています。
医学書院『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』より一部抜粋
※他の疾患から引き起こされるものではない事や
親しい人との死別、経済的破綻、大災害にあった事など
特別な場合は一概に「うつ病」と断定できるものではなく、
個別の背景を踏まえて判断する事が望ましいとされています。
ただし、医師や専門家ではない人が「DSM−5」を元にうつ病かどうかの判断をすることは不可能です。
病院に行かずに自己判断をすることは絶対に避けてくださいね。
うつ病の原因として定説化されていた「モノアミン仮説」
うつ病の原因としてこれまで指摘されていたのは、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きが悪くなることでした。
セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質を「モノアミン」と呼び、
それらが不足またはバランスを崩すことでうつ症状が生じるとされていました。
これを「モノアミン仮説」と呼びますが、厚生労働省はホームページで「十分に実証されているとは言えない」としています。厚生労働省HP
うつ病の原因には、この「モノアミン仮説」をはじめ、ストレス、ストレスに対する脆弱性をもった遺伝的問題、脳の炎症など様々なものが指摘されていますが、まだまだ研究途中にあると言えるでしょう。
うつ病の薬物治療が抱える問題点
うつ病で心療内科や精神科を受診すると、多くの場合は薬が処方されます。そうした薬は一般的に、先述の「モノアミン仮説」を前提として、神経伝達物質の働き(バランス)をよくする効果が期待されています。
そしてこれらの薬は、脳の関門を通り抜けて直接的に作用するという特徴があります。
実は脳の毛細血管には、「血液脳関門」といって脳の中に入ってくる物質を制限する働きが備わっています。
脳は人体にとってとても重要な器官であるため、余分な物質が簡単には入ってこない様に設計されているとのです。
ところが、うつ病用に処方される薬はその関門を超えることが出来、その結果、神経伝達物質のバランスを整えます。
その結果、神経伝達物質のバランスが整ったとしても、それは「根本治療」ではなく「対症療法」だと言えるでしょう。
そんなうつ病の治療で有名な薬は、「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」です。
副作用が少ないとはされていますが、断薬する際に焦燥感や身体のこわばりなどが生じ、薬をやめることが難しくなるケースがあると言われています。
このようにうつ病の薬には様々な問題点が指摘されてはいますが、何がなんでも薬が悪いとは言い切れません。
筆者自身、一時的に薬の力を借りる事で、うつ病が回復する方を多数見てきました。
しかし、「うつ病」と診断されるケースの中には、薬以外のアプローチで症状が改善する場合もあるようなのです。
うつ病と誤診されやすい3つの栄養上の問題
近年「うつ病」をはじめとする精神疾患を「食」で改善しようという趣旨の書籍が多数出版され、うつ病とよく似た症状を引き起こす栄養的な問題が存在することが知られるようになりました。
ここからは、その問題について具体的に説明していくことにしましょう。
うつ病とよく似た症状を引き起こす栄養上の問題①「脳の栄養不足」
●タンパク質の不足
嬉しさ、悲しさ、不安、興奮、落ち込み…。誰もが日常的に経験しているこうした気持ちには、脳の神経伝達物質のバランスが大きく関わっています。
その神経伝達物質の材料となるのがタンパク質です。
単純化して言うならば、セロトニンやメラトニンといった心の安定に欠かせない物質はタンパク質から作られており、
そのタンパク質を消化し、分解する酵素もタンパク質でできています。
つまり、タンパク質不足の人はタンパク質を消化する力も弱っているのです。。
そして結果的に、消化しやすい糖質に摂取する栄養素が偏りがちになってしまいます。
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●ビタミンB群の不足
別名を「代謝ビタミン」とも呼ばれるビタミンB群。神経伝達物質の材料はタンパク質でしたが、ビタミンはそのタンパク質を適切な神経伝達物質に変えていくために必要不可欠なのです。
不足すると不眠や集中力の低下がみられるビタミンB群。
ストレスがかかったり、糖質が多い食生活、飲酒や喫煙でもビタミンBは多量に消費され、不足してしまいます。
●鉄分の不足
脳と少し離れてしまいますが、月経のある女性は、血液検査の結果などで貧血と診断されていなくても潜在的な鉄不足である場合が多いです。鉄分は神経伝達物質の合成の初期段階で必要とされる事が多く、不足する事で様々な精神症状が出てきます。
例えば、あなたの爪を見てみてください。
本来ならアーチ型になっているはずの爪がぺったんこになっていませんか?
他にも、アザができやすかったり、髪の毛が抜けやすい、眠りが浅い、冷え性、歯茎から出血しやすいなどがサインです。
又、鉄分は血液中にあるヘモグロビン(細胞に酸素を運搬する働きを持つ)を作る成分であり、不足すると疲労感が出てきます。運ばれてきた栄養素をエネルギーに上手く変換できなくなることから、疲れがぬけない、めまい、頭痛などが生じます。
さらに体内に慢性炎症(※)がある場合は、鉄剤などを摂取しても上手く吸収できないことがあります。
(※慢性炎症=肥満、ストレス、アトピー性皮膚炎など、腸内環境の悪化や糖尿病など)
鉄分の摂取は十分にも関わらず上手く使えなかったり吸収できないこのタイプは、むやみに鉄分を摂取するとかえって体調を崩してしまいます。
そんな時は、まず腸内環境を整えましょう。
うつ病と似た症状を引き起こす栄養上の問題②「腸内環境の悪化」
先に挙げたようなタンパク質やビタミンB群、鉄分などを十分に摂取していたとしても、それらがきちんと吸収されないと意味がありません。その意味で、腸内環境はメンタルと深く関わっています。
うつ病との強い関連性が指摘されているセロトニンという神経伝達物質があります。
実は、セロトニンの90%以上は腸内で作られているのです。
また、先ほど紹介したビタミンB群は腸内細菌によっても合成されています。
さらに腸内細菌には善玉菌と悪玉菌のほかに、そのどちらでもない日和見菌といものが存在し、互いに絶妙なバランスを保って存在しています。
ストレスがかかると、日和見菌が悪玉菌化して腸内環境が乱れます。
イライラしたり緊張したりするとお腹が痛くなったり、便秘気味になったりした経験はあるのではないでしょうか。
腸内環境が整っているとストレスに強くなるという研究結果も出ています。
『免疫力をアップする科学』藤田紘一郎著より
これほどまでに、腸とメンタルの関係性は深いのです。
「グルテン」や「カゼイン」が腸内環境を乱す
IN YOUの読者のみなさんであれば、グルテンやカゼインの害はすでにご存じでしょうか。グルテン(小麦由来のタンパク)やカゼイン(乳製品に含まれるタンパク)は基本的に分解されにくい構造のため、消化されないまま小腸に残ってその粘膜を荒らします。
その結果として腸内環境が悪化すると、次に述べる「リーキーガット症候群」に発展する可能性があるのです。
また、グルテンやカゼインの代謝産物は中枢神経において、麻薬のような効果をもたらし、中毒症状を引き起こします。
脳内に作用し、セロトニンやメラトニンといった神経伝達物質の合成にも影響を与えます。
グルテンやカゼインによる「リーキーガット症候群」
グルテンやガゼインなどによって腸の粘膜が炎症を起こして荒れるリーキーガット症候群(腸漏れ症候群)をご存じでしょうか。腸の表面には細かなザルの目の様な構造があり、栄養素の小さな分子を通して吸収しています。
そのザルの目が大きくなってしまうのが「リーキーガット症候群」。
大きな分子も通してしまうようになるため、未消化のタンパク質や農薬などの有害物質も吸収するようになって様々な身体の不調をもたらします。
特によく知られた不調は「食物アレルギー」。
栄養素が大きな分子のまま吸収されてしまうことがアレルギー反応を引き起こします。
さらにこの「リーキーガット症候群」により、血糖の吸収が早くなり血糖値が上がりやすくなる事もメンタル的な不調に繋がります。そして、「リーキーガット症候群」の改善には、腸の粘膜を強くしてくれるビタミンDがおススメです。
うつ病と似た症状を引き起こす栄養上の問題③「糖質の摂り過ぎ」
砂糖に依存することの害は、IN YOUでもたびたび紹介されてきました。なぜ、砂糖がメンタルの安定にとって害になるのでしょうか?
甘いものを食べると、脳内では神経伝達物質の「セロトニン」が急激に分泌されます。
セロトニンは別名、「幸せホルモン」と呼ばれます。
セロトニンが分泌されるとイライラや不安が解消されるため、人は甘味を再度、欲するようになります。
そして急激にセロトニンが分泌されるということは、その後の急激なセロトニンの低下にも繋がるため、
甘味をさらに欲してしまうことに繋がるのです。
また甘いものの摂取によって血糖値が一気に上がります。
すると、上がってしまった血糖値を下げるためのホルモン「インスリン」が多量に分泌される
インスリンスパイクを引き起こされます。その結果、自律神経系が乱れ、イライラやうつ症状を引き起こされてしまいます。
さらに、身体の自然な反応として、今度は下がった血糖値を上げようとホルモンが分泌されます。
この、血糖値を調節するホルモンは「副腎」という臓器から出されるのですが、
副腎が常にフル稼働する事で「副腎疲労」を起こすのです。
副腎疲労は、うつ病とよく似た慢性的な疲労感や抑うつ症状を起こします。
うつ病の背後にはこうした「血糖調節障害」があることが近年、明らかになってきました。
それなら、「糖質制限を行ったらよいのでは?」と思われるかもしれませんが
糖質以外からエネルギーを上手く作ることが出来ない人は、いきなり糖質制限を行うと危険です。
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いかがでしたでしょうか?「もしかしたら、うつ病かもしれない」
そう思ったらまずは、今回ご紹介した「脳の栄養不足」、「腸内環境の悪化」、「糖質の摂り過ぎ」ではないか
を振り返ってみてほしいと思います。
ここに書いたことは、何も特別なことではないはずです。
バランスのよい食事を美味しくいただき、
腸内環境を荒らす小麦や乳製品を控えてみたり、
糖質過多にならないように工夫してみたり。
発酵食品を摂るのもよいでしょう。
何より、食事を出来る限りゆっくりと取るようにしてみてください。
自分のうつ病を疑ったら、まずは日光を浴びながら散歩し、これからどんな生活を送りたいか考えてみてください。
まずは食生活を見直すことで、精神の不調が克服出来るだけでなく、今まで以上に健康でhappyな生活を送ることに繋がるかもしれません。
それでも、不調が続くのであれば、安易に放置せず適切な医療機関に赴きしっかりと治療してくださいね。
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(参考)
『最新版うつは食べ物が原因だった!』溝口徹著
『血液栄養分析を活用!うつぬけ食事術』奥平智之著
https://www.amed.go.jp/news/release_20180720.html
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