成長ホルモンを使用した危険な牛肉を、続々大量輸入中の日本。危機感が薄い消費者の意識が、日本の食を危うくしている。メリットばかり報道されるTPP11の実態
2月に入り、いよいよ日本とEUとの経済貿易協定(通称 EPA)が発効されましたね。
このEPAでは、昨年末に発効されたTPP11(環太平洋パートナーシップ協定)
以上の市場開放を行った品目もあります。
EPA発効をうけたスーパーやコンビニなどの値下げ競争に関する報道を
ご覧になった方も多いのではないでしょうか?
あるニュース番組では、大型ショッピングセンターで安価な食料品を
手嬉しそうに買い物をしている女性と、
「安くて品質の良い商品を提供したい」とコメントする店舗担当者の姿が報じられていました。
歓迎ムード一色で、まるで日本の食料事情は明るいかのように演出された報道・・・。
この報道を観て、以前勤務していた農業法人で一緒に働いていた同僚が、
「TPPに加盟により日本の農業は海外に進出し、成功できる。」
と言っていたことを思い出しました。
専門の学校で農業を学んだはずの彼が、TPP11に期待をしている現状・・。
同僚は、私より何倍も農業の技術が上だっただけに、ちょっとショックを受けました。
最近のTPP11やEPAに関するニュースを見る限り、
日本のTPP加盟に対する危機感の無さは、現在も余り変わっていないように見えます。
一度、協定が発効されてしまえば、なし崩し的に受け入れてしまい、
食品や農産物の安全性への疑問が薄れていく。
そんな日本の風潮が「怖いな。」と思いました。
以前もこちらの記事でTPP11やEPAについてお伝えしましたよね。
懸命なIN YOU読者の皆さんは、この2つの貿易協定発効後は、
これまで以上に慎重に食品を選んでいらっしゃるのではないでしょうか。
日本の伝統料理おせちまでも汚染している添加物。TPP11が年内に発効された日本で、日本の大型食料品店の取り組みはどうなるのか??
年内発効が決まったTPP11最新情報。とうとう日本食の市場や主権が海外へ全て明け渡される日が近づいています。アメリカと日米物品協定の交渉が進む中、EUとの経済連携協定まで国会で承認か!?
昨年12月30日に発効されたTPP11は現在、以下の11カ国が加盟しています。
政府が決めた緊急輸入制限措置は機能せず!?成長ホルモンを使用した牛肉が、大量に私たちの食卓へ
勉強熱心な高いIN YOU読者の皆さんは、牛肉に使用される成長ホルモンが人体に与える影響を、既にご存知かと思います。
以下が、アメリカやメキシコ、オーストラリアなどの牛肉に使用されている
成長ホルモン・ラクトパミンが人体に及ぼす影響の一例です。
こうした人体に悪影響を及ぼす成長ホルモンは、国産牛肉では認可されていません。
TPP11発効後わずか半月で、こうした安全性が不確かな牛肉が市場に大量に出回るようになったこと。
あなたはどう思いますか?
TPP11では、交渉中に参加国からの輸入が急増した場合に備えて、
緊急輸入制限措置(セーフガード)の基準が設けられましたが、
現在も輸入制限は行われていません。それは何故でしょうか?
それは、セーフガードはアメリカがTPPを脱退する前の高い基準が、
離脱後もそのまま維持されてきたからに他なりません。
そして、このセーフガードの基準は、日米物品協定(通称 TAG)の交渉に向けて、
今後も高い水準のまま維持されていく可能性があります。
出典:日本農業新聞 2019年1月20日 「TPP4カ国産 牛肉輸入が加速 昨年1月比 上中旬で14%増」
「悪夢の食卓 TPP批准・農協解体がもたらす未来」鈴木宣弘著 角川書店
先月18日、財務省はTPP11発効後の半月以内以内にTPP参加国から輸入された牛肉の輸入量を公開しました。
2018年1月1日~20日 TPP参加国からの牛肉輸入量
2万4,207トン 内訳:1月上旬 1万7トン 中旬:1万4200トン輸入相手国:メキシコ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアなど。
2015年~2017年1月のTPP参加4カ国からの牛肉輸入量は、およそ2万トン。
TPP11発効後の今年1月は、既に例年一月分の輸入量をお大幅に上回っています。
出典:日本農業新聞 2019年1月20日 「TPP4カ国産 牛肉輸入が加速 昨年1月比 上中旬で14%増」
TPP11発効後一ヶ月にも満たない期間で、輸入量が急増した牛肉。
私たちの身近には、これまで以上に安い外国産の牛肉で溢れています。
先月19日、東京で開催されたTPP11委員会の初会合では、今後加盟国を増やしていく方針が打ち出され、
新たにイギリスやタイ、コロンビアなどが参加する可能性があります。
昨年の時点で、既に食肉輸入量が最多の209万トンを超えていた日本。
今後のTPP11参加国からの輸入が増加することは、私たちの食卓にどのような影響をもたらすのでしょうか?
食の安全が懸念される中、加速する安売り競争。私たちの食卓はどうなる?
TPP11により、健康への影響が懸念される外国産牛肉が大量に流通し、歯止めが掛からない日本の食肉市場。それでも大手コンビニやスーパーは一斉に値下げを行い、価格競争を激化させています。
現在、日本の実質賃金は労働者全体で18万円。
これ以上、景気の落ち込みが深刻化していけば、
否応なしに安全性が不確かな安い海外産牛肉を買わざる得なくなっていきます。
またTPP発効により、これまで参加国に課せられていた関税が制限されたことによる税収への影響は、
日本の税収40兆円の1割にも及ぶと試算されています。
今年の10月からは消費税10%への増税も予定されていますよね。
海外産の安い牛肉を購入することで、
私たちはこれまで海外の生産者に課せられていた税金の補填まで負わされることになるのではないでしょうか。
現在も二人に一人が癌を患っている日本。
外国の安い牛肉を購入し、その利益に貢献し、これまでの関税負担分まで補填する。
その結果が、これ以上私たちの健康を害する結果に繋がるとしたら、どうでしょうか?
それでも、あなたは安い外国産の牛肉を買い続けますか?
子ども食堂を開こう
日本は今、耕作放棄地の増加や、畜産業の廃業が相次ぎ、経済も落ち込んでいます。こうした状況を受け、全国では「子ども食堂」など、貧困家庭の子どもたちが、
安心して食事が出来る取り組みが盛んに行われていますよね。
最近は、この子ども食堂の取り組みに、ファミリーマートなどのコンビニも乗り出しています。
■2019年02月01日ファミリーマート ニュースリリース「ファミマこども食堂」を全国で展開
http://www.family.co.jp/company/news_releases/2019/20190201_99.html
大手の食料品店やコンビニでも食の安全を考え、添加物や遺伝子組み換え不使用、
無農薬野菜の販売などへの取り組みを始めていますが、それはまだほんの一部。
TPPによる値下げ競争に乗り出し、安全性よりも安さが売りの食品を販売するお店が、
圧倒的多数を占めています。
子ども達の身体は、食品添加物やホルモン剤の影響にも敏感です。
それならば、自分たちで地元の農家さんから仕入れた安全な食材や、
家庭菜園で育てた野菜、放牧や飼料米などで安全性の高い方法で生産されたお肉を使って、
こども食堂を開いてみませんか?
子どもと一緒に野菜を育てたり、一緒に料理を作ることは食育にも繋がります。
お肉の代わりに植物性食品を取り入れよう。
和食から離れ、ハンバーグやスパゲティ、グラタンなどなど欧米の食生活が当たり前になった私たち。シンプルな和食も美味しいですが、たまにはお肉を使ったボリュームのある食事も食べたいですよね。
でも放牧や安全な飼料でそだてられた肉類は、外国産のお肉よりも高価です。
また最近、話題のジビエなども手軽に手に入れることは難しい食材で、豚肉や牛肉の代用には向きません。
そんな時は、野菜や植物性食品のちょ調理法を工夫してみませんか?
例えば、週5日は肉以外の素材を使って、残り2日は、国産の安全なお肉を食べる。
TPPやEPAの発効を機にそんな食生活に変えてみては、どうでしょう。
野菜や豆腐、雑穀なども工夫次第で、お肉に負けない美味しい一品になります。
以下がおすすめの食材と調理法です。
NON GMOや添加物不使用の信頼できる生産者、メーカーの食品を選んで使いましょう。
精進ハムは、高野豆腐などを原料に手作りすることもできますよ。
食を通じて、自由貿易協定のリスクを伝えよう。
TPP11やEPAなど値段の安さや、本場ヨーロッパ産チーズやワインの品質などメリットを全面に押し出した報道により、私たち国民には、そのリスクが十分に伝えられていません。
消費者への十分な情報提供が行われないまま、今後は日米物品協定(通称TAG)の交渉も加速していくでしょう。
経済が落ち込むなかで、安くて品質が高い食品が輸入されると伝えられれば、
多くの人は自由貿易協定に疑問や危機感を持つことなく、受け入れてしまうでしょう。
まずは危機感をもつあなたが、そのリスクを家族や知人、友人に伝えていきましょう。
身近な人たちと外出するときは、国産の安全な食材を使ったお弁当やおやつを持って行くと、
ちょっとした話題づくりにもなりますよ。
かつてない市場開放を迎えた今こそ、日本の食を見直すべき時!?
今回は、牛肉などの食料品を中心したTPP 11の影響についてお伝え致しました。最近は、メリットばかりが報じられがちな自由貿易協定ですが、
実際は、日本の農業や畜産業、食の安全を奪うものであること。
今後は更にその動きが加速していく可能性があること。
これまでにない市場開放が行われた日本の食や農業は、これからどうなってしまうか。
国の存亡に関わるほど、大きな課題を抱えていることは間違いありません。
経済的合理性や効率を追い求めるあまり、蔑ろにされてきた日本における食の安全。
TPP11などの自由貿易協定参加を機に、見直すべき時が来ているのかもしれません。
本当に家族を大切にしたいのなら。安全な食品を選んでみませんか?
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