ついに始まる!国内レストランや飲食店へのオーガニック認証制度。実際どうなの?果たしてオーガニック率が0.24%しかない日本のオーガニック市場拡大に繋がるのか!?
鏡開きも終わり、お餅の季節もそろそろ終わりですね。小正月を迎える信州は、この時期、氷点下まで冷え込みます。
12月は平年より暖かっただけに、年明けの寒さが堪えます。
お正月は、実家に帰省したり、遠くに住む親戚が訪ねてきたりと外食の機会も多かったのではないでしょうか?
IN YOU読者の皆さんは風邪など引いてませんか?
日本のレストランにもついに! 2019年、今年より飲食店での有機JAS認証制度がスタート。その中身は?
私たちが野菜やお米などの農産物を買う際に安全性を確かめる基準の一つである有機JAS認証制度(正式名称:日本農林規格)。
昨年、こちらの記事では有機JAS認証制度がレストランなどの飲食店に適用されることをお伝えしましたね。
やっと国が動き出した!?カフェやレストランでの有機食材使用が一目で分かるようになるかも?飲食店の有機JAS認証誕生なるか!?
意識の高いIN YOU読者の皆さんは、この制度により安全に拘った飲食店を選ぶ基準ができることを心待ちにされているのではないでしょうか?
これまで、有機無農薬などオーガニックな食材を利用した一部の飲食店のみが、民間団体を通じて得ていた認証が、いよいよ今年国の制度としてスタートします。
この認証制度は、2020年に開催される予定の東京オリンピックを前に、都内の飲食店や企業は、食の安全への意識が高い海外からの観光客向けに「オーガニックビジネス」に参入する一つのきっかけとなるでしょう。
最近は、楽天やタニタといった大的企業がこの有機JAS制度を利用して、農業や飲食産業に参入しています。
◆2018年3月8日楽天株式会社プレスリリース https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2018/0308_03.html「Rakuten Ragri」、タニタの新業態「タニタカフェ」と食分野で提携
残念!パブコメ募集に意見が寄せられたのはなんとたったの「5件」。日本の消費者の意識の低さが伺える。
飲食店向け有機JAS認証制度は、これまで日本で飲食店のオーガニック認証に取り組んできた民間認証機関2団体が独自に定めた規格を元に制定されました。
昨年9月にはこの認証制度案に関するパブコメ募集が、農水省により実施されましたが、意見が寄せられたのはわずか5件。
消費者の関心は必ずしも高いとは言えませんが、民間認証機関や一部の飲食店関係者の間では、新たなビジネスチャンスと捉える動きもあります。
昨年10月にはパブコメの結果を踏まえて、調査会が開催され、年末には明確に認証制度の規格が正式に示されました。
そして、間もなくこの有機JAS制度の第3者認定機関の募集が始まり、年内には正式に認証制度が開始されます。
この制度開始を目前に、民間認証機関リーファースは、飲食店向けの説明会開催を予定しています。
◆2019年1月9日 第1回「オーガニックレストランJAS 事業者向け講習会」開催!
http://www.leafearth.jp/news/190109/
今回は、この飲食店を対象とした有機JAS認定制度について、実際に有機無農薬を扱う農家さんや飲食店さんにお話を伺い、メリットや課題について、より詳しくお伝えします。
有機JAS認証を得られる飲食店の基準は?オーガニックレストランの方にお話を伺いました。
新たな制度について、飲食店の経営者さんは、どう感じているのでしょうか?
長野県伊那市郊外で自家製有機野菜を使用した本格ヨーロッパ料理を提供するレストランle prit marche(プチマルシェ)の大竹明都さんに、お話を伺いました。
「有機JAS制度が飲食店に適用されることは良いことだと思います。
ただ、いまのところ有機JASの取得は考えていません。安全性の高い食材が提供される飲食店が特別ではなく、当たり前の存在になって欲しいと思います。」
飲食店の有機JAS認証は、こうしたオーガニックの普及に貢献する内容でしょうか?
以下が、有機JAS認証を受ける飲食店が満たすべき条件の一部です。
・有機JAS認証を取得した食材を8割以上使用した料理を5品目以上提供する。
・一時的に有機食材を料理提示できない場合は、その旨を顧客に情報提供しなければならない。
・有機料理は,顧客がそれ以外の料理と判別できるように表示する。
・有機食材の割合は、制度で定められた基準に基づき、記号で表示する。
出典:農林水産省ホームページ 日本農林規格 有機料理を提供する飲食店等の管理方法
この認証制度により、料理に使用される食材の全てが有機である場合を除き、
飲食店で「有機」や「オーガニック」といった、消費者に誤認される表示の使用は認められなくなります。
では、飲食店に有機JAS制度が適用されれば、私たち消費者は安全性の高い食材を使ったカフェやレストランを選ぶことができるようになるでしょうか?
実際どうなの?農産物の有機JAS認証制度
スーパーに並んでいる有機JASマークがついたお米や野菜は、安全性がきちとん認められているという安心感がありますよね。
このマークが付与された農産物を高い比率で使用することが飲食店の有機JAS認証の条件です。
では、実際に有機JASマークを取得している農産物はどのくらいあるのでしょうか?
以下を見てください。
出典:2018年10月19日 日本農業新聞 有機食材使用・提供一目で 飲食店JAS認証
思ったより、ずっと少なくありませんか?
「有機JAS認証を取得しようと試みたこともありました。
でも費用が高額で、慣行栽培の畑と隣接していないことが条件となるなど、ハードルが高くて諦めました。」
そう語るのは、長野県中川村で有機無農薬に取り組む大島農園の大島歩さん。
では、そうした高いハードルをクリアして有機JAS認証を得た農産物は安全なのでしょうか?
油かすなど食料廃棄物を利用した土壌改良材は、非遺伝子組換えの物が入手困難な場合に限り、例外的に遺伝子組換え混入の可能性がある物の使用が認められています。また農薬に関しても、一部の農薬は例外的に使用が認められています。
以下が有機JAS認証で使用が認められている農薬です。
ボルドー剤:銅を原料とする殺菌剤で、天然由来の為、人体への影響がないとされ、厚労省の残留農薬ポジティブリストの適用を逃れている農薬。1981年に東京都衛生研究所の調査では、りんごやみかんなど複数の果物で0.08~18ppmの残留農薬が検出された。
ボルドー剤には、嘔吐 下痢 腹部灼熱感 黄疸 赤血球溶血低血圧などの中毒症状がある。
ボルドー剤の原料となる銅は足尾鉱毒事件など公害の原因ともなりました。
有機JAS認証を得た飲食店で使用される食材は、比較的安全性が高いものですが、こうした農薬や遺伝子組換え食品廃棄物が混入した肥料の影響を受ける可能性もあります。
出典:三省堂 農薬毒性の事典 【著者】植村振作 河村宏 辻万千子 富田重行 前田静夫
有機JAS認定制度を、日本でのオーガニック普及のきっかけにするには?
農産物の有機JAS認証制度は、小規模農家では取得しにくいため、大手企業が無農薬野菜の栽培に参入する際に有利となっています。
しかし、さきほどもお伝えしたとおり、認証を取得した飲食店で使用され食材が、必ずしも農薬不使用の安全な野菜とは限りません。
また自然栽培などの手法で安全な農産物を生産する農家が、認証制度から漏れてしまっている実態もあります。
こうした現状を解決する為に私たちができることは何でしょうか。
口コミで信頼できるお店を探そう!
有機JASといえども必ずしも農薬不使用や遺伝子組み換えの混入がないとはいえない不安な現状で、
私たちが安全な食事を提供する飲食店を選ぶ方法はなんでしょうか?
小規模のレストランやカフェの中には、地方の郊外でle prit marchさんのように自家栽培の野菜を提供する飲食店もあります。
こうした郊外にある慣行栽培の畑と隣接していない畑を持つ飲食店を利用すれば、農薬の被害を最小限にとどめることができます。
オーガニックな食材の生産から調理まで一貫して行うレストランの情報は、地域の口コミで広がっています。
食の安全への関心が高い地元の知人・友人口コミの情報を元に、飲食店を探しましょう。
農薬の飛散を最小限にしよう!
有機JAS認証を取得した飲食店が、安全な食材を確実に仕入れる為に、同じく有機JAS認証を取得した農家さんを増やす必要があります。
しかし、実態は一箇所にまとまった農地や、近隣から農薬の飛散がない畑の確保などの条件が課題となり、認証を取得できる農家さんは限られています。
こうした実状を変え、有機JAS認証を取得しやすい環境を整えるためには、まず私たちが農薬の使用を控えて、飛散を防いでいくことが大切です。
畑や家庭菜園などをお持ちの方は勿論、庭の手入れや管理もできるだけ農薬や除草剤を使用しないようにすること。
それが、安全な農法に取り組む農家さんの有機JAS認証へのハードルを下げることに繋がります。
さらに自然農や、有機無農薬など安全性の高い農業を目指す農家さんへの経済的な支援や、
農薬の規制を農水省などに求めていくことも、必要です。
レストランの有機JAS制度をオーガニックの普及に繋げるには?
消費者の理解とサポートが今までよりもさらに重要になる
今回は、私たち消費者が安全な食材を購入するための基準となる有機JAS認証制度の飲食店対象拡大についてお伝えしました。
今のところは、オリンピックで観光客誘致を狙う一部の大企業に有利な制度になりそうな飲食店の有機JAS制度。
その一番のメリットは、私たち消費者にこれまで不透明だった食材の情報提供がされることにあります。
しかし、一方で農薬や遺伝子組み換えの規制緩和を農水省や国が進めており、今後は農家さんや飲食店が有機JAS認証を得る条件を満たすことは一層難しくなるでしょう。
ヨーロッパのように農薬の規制を厳しくし、オーガニックに取り組む小規模の飲食店や農家の支援に取り組んでいかない限り、有機JAS認証制度による安全性の高い飲食店を私たちの身近な存在にするのは難しいのが実状です。
そんな厳しい現状を変えるには、私たち消費者が、オーガニックや安全安心な農産物や食品の提供に取り組む農家さんや飲食店を一緒になってサポートしていくことが今必要とされているのです。
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