99%農薬に頼る日本のスーパーは今。「スーパーで普通にオーガニックを買える日」が来るために私たちができること。
「野菜や調味料はオーガニックを選んでいます。」
そんな方が少しずつ増えてきています。
オーガニック市場規模としてはまだまだ欧米と比べて劣る日本ですが、
できるだけオーガニックなものを選ぼうとする姿勢の方がかつてよりも多くなったのは気のせいではありません。
「スーパーにはオーガニックなものが、売っていない」
そして、同時にこんな声も耳にするようになりました。
「スーパーにはオーガニックなものが、売っていない」
日本の主婦をはじめとした多くの方は、毎日忙しく、ほとんど地元や近所のスーパーで買い物をされているのではないでしょうか。
多くの人がスーパーで買い物をしているにもかかわらず、現実には農薬や化学肥料を使った慣行農法が99パーセントを占めている、という目を背けてはならない事実があることが分かっています。
下記の記事も参照ください。
日本のオーガニック農地面積はたった0.1%。海外と比べ100倍の差があるのはなぜなのか。グリーンピースに理由を聞いてみた。
現に、グリーンピースの調査によると、品ぞろえ豊富な大手スーパーにおいても、
扱われているオーガニック食材は全体のたった5パーセント以下だったということが明らかになっています。
規模の小さな近所のスーパーであれば、オーガニック食材がほぼゼロに近いケースもあるのではないでしょうか?
ヨーロッパにある「マルシェ」や「オーガニックスーパー」のような文化も、
都内のごく一部では見かけられるようになったものの、まだまだ地方では浸透するには程遠いレベル。
そうなると、必然的にほとんどの人は食料をネットやスーパーで買うしかありません。
では、
果たして、オーガニックなものがスーパーで当たり前に購入できる時代は来るのでしょうか?
「今、日本のスーパーはどうなっているのか。」
皆さんも気になる素朴疑問について探るべく、今回国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの方にお話を伺ってきました。
グリーンピースは日本を含む世界55以上の国と地域に活動を展開し「脱原発」「自然エネルギーの確実な導入」「持続可能な漁業と農業の実現」を実現するため、企業や政府に働きかける活動を行う団体です。過去にはユニクロなどの大手企業ともコラボレーションし、クリーンな環境を目指して日々邁進しています。
お話を聞かせてくれたのは食と農業担当の石原さん。
オーガニック野菜を買おうとしても見つけることが難しいイメージのスーパーですが、
日本のスーパーは今、どうなっているんですか?
売り上げが伸び悩む小売店。今後は消費者を求めるものを売ることが必要不可欠。
全体の傾向として、総合スーパーではなかなか利益が出ない時代になっているといえます。
総合スーパーというのは、アパレルや生活用品なども買うことができる大型スーパーのことですね。
それに対して、食品専門スーパーの売り上げは上がっている傾向にあります。
時代も、今後は食品専門のスーパーに移行しつつあると言われていますね。
小売店も利益が出なくて苦しんでいるということは、今後は当然利益が出るための施策をしなければならないわけです。
そのためには大前提で消費者が求めるものを売らねばなりません。
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スーパーで野菜を購入する人の約7割が「オーガニック野菜の扱いが不十分と回答」
さて、グリーンピースが調査したデータによると、「近所のスーパーに有機野菜が足りない」と回答した人は全体の7割も占めたそうです。また、そのうちの7割は、もし品ぞろえがあれば、購入をしたいとも回答をしています。
農薬の使われた食材が大多数を占めるスーパーが多いですが、
スーパーはこれに対してどのような考えを持っているのでしょうか?
国の規定や指針に従う、という姿勢のスーパーが多い。
中には、農薬の問題について気づいてもいないところも多数ある。
国の規定や指針に従う、という姿勢のスーパーが多いですね。
第一に、農薬については国によって、ある一定の基準に基づいて決められています。
そのため、スーパーが独自で農家に基準を課す、ということは難しい現状。
農薬の基準は「厚労省の指針に従う」というスーパーが多いのです。
欧米ではすでに環境破壊や人間への健康被害への影響が危惧されて規制をかけ始めているネオニコチノイド系農薬に関しても、スーパーサイドは知識がない傾向にあります。
ほうれん草については特に残留性が高く、危険性があるということでスーパーにも方針を確認しましたが、そもそもその問題について、誰も気づいていないということもわかりました。
下記は同団体が行ったスーパーの方針を各社に確認した調査です。
お米やホウレンソウへのネオニコチノイド系農薬に関する指針や、農薬規制への指針、オーガニック農家の支援に対する考え方、ミツバチ保護の考え方、
など独自の採点基準を通じて点数化をしたランキング表です。
ランキングでは、上位企業と下位企業の間で⼤きく差がひらく結果となった。
現在、有機農産物が占める取扱品⽬の割合(年間平均)が 1%にとどまる企業もあり、
7 割の消費者が抱える有機野菜の品揃えが⾜りないというニーズを反映しているとはいえ
ない。世界がネオニコチノイド系農薬の規制に⾜並みをそろえつつあるなか、⽇本国内ではネオニコチノイド系農薬の残留基準の緩和、ミツバチへの被害は続いている3。政府機関の指⽰を待っているのでは⼿遅れである
出典 グリーンピースHP
小売店全体の傾向として、オーガニック食材に対する、販売方針はどうですか?
方針を持っていない、という小売店も・・・
一部、方針を持っていない、というところもありました。
スーパーサイドがオーガニック食材を扱うのが難しいという理由に挙げる内容としては、
「オーガニックだと調達が難しいし、欠品が出てしまうので」というのが多い印象です。
農家さんはそれに対してどう考えていると思いますか?
作っても、売り手やニーズがあるかどうか心配し、踏み込めない現実。
農家さんが心配しているのは、ダメだったとき(売り先が確保できなかった時)の保証です。
現状では日本で 有機JAS認定をとるのに、約3年以上かかりますし、お金もかかりますから、経済的にもハードルが高いといえます。
農薬を使用しない自然農法などでやっていたとしても、有機JAS認定をとっていないと多くのスーパーは扱ってすらくれないので、必然的に自分たちで売る必要があります。
規模が小さいと流通コストが高いので、消費者に出す値段も高くなってしまいがち。
3年もかけて有機野菜を作った挙句、「消費者からのニーズがあるのか」と心配する農家さんも多いんです。
「オーガニックを積極的に扱う」という表明を掲げる小売店が増えるだけでも状況は変わっていくと考えています。
条件が整えば有機農業に切り替えたいという農家が50パーセント
しかし一方で、農林水産省が2007年に発表したアンケート調査(注1)によると
半数の農家が、流通経路や支援など「条件が整えば有機農業に切り替えたい」と考えているといいます。
そのためには一定以上の数をコンスタントに受け入れてくれる小売店の存在や消費者の選択が不可欠になるわけです。
「オーガニック食材がほしい」という消費者がいる一方、「オーガニックは高い」「オーガニックがおいしい、健康にいいというのは気のせい」とオーガニックに価値を感じない人がいることも問題だと思いますが、これについてどう思いますか?
消費者サイドでオーガニックの価値がまだ十分に知られていないというのは、確かにあると思います。
またオーガニックが健康のみならず環境にやさしい、ということも知る人はごく少数。
スーパーでオーガニックが増えるためには、オーガニックの価値を確実に知る人が増える必要がありますね。
農林水産省が2007年に発表したアンケート調査(注1)
農林水産情報交流ネットワーク事業 全国アンケート調査有機農業をはじめとする環境保全型農業に関する意識・意向調査結果 H19年
海外ではどんどんオーガニック市場が拡大してきているように思いますが、日本と比較してどうでしょう?
海外の動き
海外から日本に仕事で来た方が「日本でオーガニック食材を購入できる場所がない」と言っているのをききます。
対して欧米ではいたるところにオーガニック商品が並んでいます。
以前アメリカカリフォルニアに住んでいたのですが「ホールフーズ」などは、セレブのお店という認識がその当時はあったような気がします。
しかし、比較的安い価格でオーガニックが売られているところもあり、これくらいの値段ならオーガニックを選ぼうかな、という気持ちになりましたし、
現在はさらにオーガニックを選択する人は増えてきていると思いますよ。
また、ドイツのアルディというスーパーにおいては、「8つのタイプの蜂に影響がある農薬を使用する製品の取り扱い禁止」の方針を表明するなど、
グリーンピースとの活動などを通じて、オーガニックに向けた目標を掲げるところも増えてきています。
海外では市民が声を積極的にあげており、メディアも活動を取り上げる風習にある。
さらに、海外では市民活動が活発であり、市民が声を挙げる、という文化が割と普通にあります。
日本ではそうした活動があまり普及していないこと、
また仮にそのような活動があったとしてもメディアでなかなか取り上げられにくいことも少なからず影響しているのではないと感じます。
日本において、
今後の小売店のオーガニック化の動きはあるのでしょうか?
大手スーパーのライフは大阪にオーガニックを取り入れたビオラルというお店を開設しました。
また最近ニュースになりましたが、今年中にイオンがフランスのオーガニックスーパーの会社とビオセボン・ジャポンという合弁会社を設立し年内にオーガニック専門店を都内にオープンします。
少しずつではありますが業界内でもこのような「オーガニック専門店」の出現がみられるようにはなってきています。
それでも、なぜコスパ重視で選ぶ人が絶えないのか?
食品にかけるコストが先進国で10パーセント未満になってきている。
以前下記のインタビューに協力してくださったレイエスさんのインタビューの中でも出てきましたが、
日本のオーガニック農地面積はたった0.1%。海外と比べ100倍の差があるのはなぜなのか。グリーンピースに理由を聞いてみた。
現代人が食品にかけるコストが年々低下してきているというデータがあります。
服や嗜好品に費やして、食品にはお金をかけない、そんな人が全体的に増えてしまっているのです。
現状の問題点を踏まえて、私たちにできることはなんでしょうか。
消費者とスーパーの理解が遅れていることが重大。
いろいろな調査を行ってわかったことは国の認識が遅れていることに加え、「消費者と小売店の認識が遅れていること」でした。
その上で、私たち消費者が今すぐに変えられることについて考えてみました。
消費者から見たスーパーの立ち位置は非常に大きい。
スーパーに行ったらオーガニック食材を購入できる、という環境を作ることが重要。
今、消費者ができること
現状で、スーパーでものを買う人たちがほとんどを占めていることを考えると、まだまだスーパーの立ち位置は消費者にとっては非常に大きいといえます。
オーガニックを普及させるためにはスーパーで当たり前にオーガニック食材を見つけられる、という環境を作ることが重要です。
そのためには、小売店もそうですが、消費者が変わっていく必要があると感じます。
まず、毎日自分たちが食べているものが誰によってどう作られているのかを今日から意識していただきたいと思います。
単に安いものを選ぶのではなく、体にいいものを選ぶ、環境にやさしく作られているものを選ぶ、そういう視点で食べ物を選んでもらえたら。
スーパーの方針にもよりますが、意見をきいて消費者がほしいと思っているものを調達しようとするスーパーもあります。
皆さんが思っている以上にスーパーに声を届けることは重要です。
私たちが行う署名に参加するとか、カスタマーサポートへ問い合わせてみるとか、ご意見ボックスに意見を書いて定期的に入れてみるとか、そういった些細な行動も効果的です。
いきなり、100%オーガニックにするのは難しい。
でも、お米から、ホウレンソウから、などだんだんステップアップしていくことが大事ですね。
消費者の健康にとってプラスになることはもちろん、農家の体に負担が少なく、環境にも優しい。
それがオーガニックなのですから。
食べることで環境保護にも貢献しているのだ、とか、そういう知識が深まると、
より「オーガニックを選ぼうかな」という気持ちになれるのではないでしょうか。
筆者からひと言
食べて農家を支援するばかりでなく、小売店やスーパーや企業にあなたの声を届けよう
以前から日本でオーガニックがなかなか広まらない理由について追及してきました。
今回もまた、グリーンピースの協力を得て、日本のスーパーにフォーカスをあて、日本の小売店事情に迫りました。
私がここまできて、個人的に感じていること。
それは、農薬の問題のみならず、「国や大きな機関を個人の力で今すぐ変える」ことは、大きな壁がありとても厳しい、ということです。
グリーンピースも以前から、国の公的機関に署名を届けるなどの取り組みを行っていたそうで、今現在もそのような取り組みを続けていますが、
過去の経験を経て、消費者サイドから小売店に対して働きかけを行うほうが早いのではないか?と仮説をたて、現在は小売店に対しても働きかけを行っています。
因みに私は普段、都会では行きつけのオーガニックスーパーやマルシェで食料を買うことがほとんどですが、
地元北海道に帰ると、途端にオーガニックを扱うお店が激減してほとんど買う場所がない、という実態に、毎回愕然としています。
ほかの地域も例外ではないはずです。
でも、私たちは現状に不満を抱えながら我慢する必要はありません。
「何も買うものがない」と、落胆する前にできることがある、私はそう思います。
あなたの声が100パーセントすぐに反映されるかどうかはわかりません。
しかし、あなた一人の声でも取り入れようとする小売店だってあると思うのです。
さらに、その声が1人、2人、10人、100人、、、、と広がっていけば
何かが変わり始める可能性は十分にありますよね。
「食べることでオーガニック農家を支援する」だけでなく、可能性を信じ、あなたですぐにできること、さらに始めてみませんか?
取材協力:グリーンピース・ジャパン
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