種子法、農薬問題…それでもあなたは「安さ」で選びますか?|オーガニック食品は高価ではないその理由
社会システムに取り込まれて生きてきた私たちにとって、
農業というのはいつの間にか自分から遠い存在になってしまいがちです。
スーパーに行けばなんでも食べ物がならんでいます。
そのなかでもオーガニックの食品の値段は通常の食品の1.5倍以上の価格です。
その価格表を見て、何を感じますか?高いと感じますか?それとも安いと感じますか?
種子法、TPP、放射能汚染といった問題。
自分には関係ない、農業をしている人は大変だなと
まるで自分事ではないように考えている人もいるかもしれません。
若い人の農業離れも問題になっており、農業に関わる問題は尽きません。
今回はそれらの多くの問題の現状と私達ができることについて考えていこうと思います。
私の友人の中には農に携わっている人が多く、
その人達からの痛切な声は私の心をいつも揺れ動かしています。
「スーパーに行けば何でも買えてしまう今日、
自分たち生産者がいなくなったらどうするかなんて微塵も考えていない。」という彼ら。
「人々は「農薬」や「添加物」について注目して「健康志向」とは声高らかに話すけれども、
それがどうして使われているのか、
使わざるを得ない状況にあるという現状を知っているのか」とも話します。
日本の食料自給率はとても低いですが、北海道ということだけ考えればなんと200%。
もはや独立してもいいレベルです。
しかし、そうとはいっても問題がないわけではありません。
種子法の問題や、TPPの問題、汚染土の問題などは北海道でも無視することはできません。
そもそも種子法って何
種子法とは、主要農作物種子法と呼ばれています。
本来は品質を保つために固定種を育て守っていくということを
各都道府県で管理するということをしてきていました。
しかし、種子法が廃止されてしまったことによって今後考えられることとして、
種子会社がつくった固定種ではない種が販売されることになり、
場合によっては不当な金額とも思えるような種を買わなければならないということもあり得ます。
種子法がなくなったら、どうなる?
種子法が廃止されたことによって懸念される問題について言及する人が多いのはなぜかといえば、
過去、この種子法を無くしたことによって固定種がなくなってしまったという国もあるからです。
たとえばパラグアイなどでは種子法が廃止されたことによって固定種が存続できなくなりました。
種子会社と政府が手を組むことによって決まった種と農薬でなければ農業はしてはならない
という取り決めがされてしまった国に関しては、
国内で農家が自分で判断して作物を育てるということができなくなってしまったのです。
日本では種子法が廃止されましたが、自家採種が原則禁止とされました。
このことに危機感を感じないという人もいるでしょう。
種はもともと誰のものなのかということを考えれば、
この種子法廃止に伴う様々な出来事に違和感を感じる人もでてくるのではないでしょうか。
TPPでも、この種子法に関わる取り決めがされています。
それは簡単に説明すれば種子会社や農薬会社などといった
固定の会社が儲かるような仕組みが作られたということです。
ビジネスのために自然の種子を使ってもいいのか?
本来であれば種は私達とは切っても切れない存在です。種はもともと、人々が大切にその地域で守り、育て続けてきたものです。
種はどこかの会社が勝手に管理して利益のために使っても良いものなのでしょうか。
本来種をまき、それを自家採種して、
また翌年まいて年々続けていくということをしてきたのが農というものです。
それがいつの間にか交配ができない種が登場し、子どもを作れない作物を誕生させることで
種子会社が儲かるような仕組みづくりをしてきたというのが今までの農の流れです。
これがとうとう、自家採種ができなくなり、種子会社に完全に依存することしかできなくなるとなれば、
種子会社は高い種子を作ることで儲かる仕組みを作ることも容易になります。
固定種というものは正直言って美味しい作物ではないと言われています。
そのため、その種を守ることに何の意味があるのだという意見もあります。
しかし、私はこの意見にとても危機感を感じます。
というのも、美味しい、美味しくない、
という判断基準でその種という「命」をないがしろにしていいわけではない、と私は思うからです。
安い、美味しい、便利という「甘い蜜」
種子法の問題が難しいと感じている人も多いでしょう。
私もその一人です。
正直詳しい内容をしっかりと把握しているわけではありません。
ただ、種子というものをビジネスに利用したいという方針であることは理解できます。
安くて、美味しいものに私達はどうしても依存してしまいがちです。
それは自分の経済状況が安定しておらず安価で、
美味しいのであれば今はそれでいい、仕方ないという考えになってしまうからでしょう。
しかし、それが長い目で見た時、本当に良いことなのかと思うと、甚だ疑問です。
無農薬の食べ物と農薬・添加物が使われた食べ物
一つ100円のトマト。そのトマトに何人の人が関わったのでしょうか。高いと感じるか、それとも安いと感じるか。
元をたどっていった時に、私は甚だ恐ろしいとも思うのです。
私は食品関係の会社に勤務していたことがありますが、
問い合わせで無農薬の野菜が痛んでいて取り替えてほしいという声がありました。
どうして市販のように長持ちしないの?数日で悪くなる。など様々な意見も寄せられました。
無農薬の食品や無添加の食品。
確かに保存料や農薬、防腐剤などを使っていないのですぐに悪くなります。
私はそれは当たり前のことだと思っています。
農薬や添加物を使うことによって、生産者の負担が減ります。
もちろんそれはその場しのぎの負担減だとしても、
生産者が少なくなっている今日の日本の現場としては「仕方のないこと」だと話す農業者もいます。
そして、「多く生産し、食べ物を供給する。
求める人がいるから嫌でも作り続けなければならない」という現状も有るとも言います。
安全なオーガニックは高い?
安くて、美味しいものはたくさんあります。安全なものを探そうとした瞬間に、金額は倍以上になります。
それを高いと感じるのか、それとも、当然だと思うのか?
これは消費者が生産者から問われていることではないかと思うのです。
もし、その商品のできる過程をさかのぼって考えることができれば、
私達はその作物を高いと感じることはなくなるのかもしれません。
むしろ、安いと感じてしまうこともあるかもしれません。
そして、私たちは生産者がいなければ、食べ物を得ることができないのに、
「今年は青物が高い」「もっと安くならないのか」と安易に口にしてしまいます。
これは生産者からしたら、「だったら自分で育てたらどうなんだ」
という気持ちでしょう。
安くて、美味しい、便利、というものに依存したことによって引き起こされたことといえば、
農業者の減少や一部企業が儲かる偏った経済状況、原発事故、環境汚染などでしょう。
安易な気持ちでその場しのぎの生活を続けて、
そこになんの疑問を感じずに生きてしまったツケが今の社会です。
人は土を離れては生きてはいけない
とあるアニメの名セリフでもありますが、
この言葉は本当に確信を突いています。
私たちは経済システムに飲み込まれてしまって、土から離れて生きることが当たり前になっています。
作物がどのようにして育ち、どのようにともに生きていけばよいのかもわからなくなっています。
私達ができることは諦めないことです。
何だそんなことかと思うかもしれませんが、諦めないことは容易なことではありません。
常に問題意識を持ち続け、そして声を上げ続けるということでもあるのですから。
そして、少しでも土に触れる時間を作るということです。
ベランダでもキッチンでもよいので、何か作物を育ててみるということです。
自然から学ぶことはとても多く、自分が「生かされている」ことに気が付くことでしょう。
どうせ自分が声を挙げても変わるわけないだろうという人もいるでしょう。
しかし、実際はそうではありません。
ひとりひとりの行動や声が少しずつ集まって一つの大きなムーブメントに変わっていくのです。
これからの日本で大切なのは「地に足のついた」行動とマインドです。
次世代に「種」を残し「命」をつなぎ続けていくためにも人間である私たちがあきらめてはならないのです。
撒いた「種」は必ず収穫の時が来ます。
その収穫物を喜んで刈り取れるものとできるように
諦めずに行動していくことが大切なのです。
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