小麦アレルギーとグルテンアレルギーは別物? 流行のためのグルテンフリーではなく本当に必要な人のために改めて考えるグルテンフリーについて
現代の私たちの食生活のどこにでも存在する小麦粉。
小麦粉に含まれる「グルテン」という言葉をよく耳にするようになりましたが、
グルテンアレルギーや小麦アレルギーなど、グルテン関連障害について正しく認識できていますか?
食べ物のアレルギーにもいろいろな種類とさまざまな程度がありますが、
間違った知識を持っていると危険なこともたくさん。
誤解と思い込みが多いと言われる
小麦・グルテンへのアレルギーなどについて、今一度考えてみましょう。
子供への過剰なグルテンフリー食は、食物アレルギーが治るのを阻害している可能性も
幼児期の小麦・鶏卵・乳製品などへの食物アレルギーは、
成長と同時に緩和され治る可能性が高いことをご存知でしたか?
世界的に、小麦の場合では、3歳では約50%、
6歳では約80%の子供が問題なく食べることができるようになるとも言われています。
中には、甲殻類やナッツ類などの治りにくいアレルギーの種類もありますが、
こどもと一緒に、本当の意味での食育に取り組むためにも、医師と相談しながら、
上手に小麦アレルギーなどに向き合ってあげることも大切ではないでしょうか。
気がついていないだけで、実はグルテン関連障害を持っているかもしれない
もし、あなたがグルテンフリー・ダイエットを実践したことで、肌の調子がよくなった、
体調がよくなったと感じたならば、セリアック病、小麦アレルギー、
非セリアック・グルテン過敏症のいずれかである可能性を疑った方がよいかもしれません。
今や欧米では、自己免疫疾患のセリアック病、
食物アレルギーの小麦アレルギーではないのにも関わらず、
5人に1人程度がグルテンフリーダイエットを試みており、
実際に体調がよくなった人も多いと言われています。
さまざまな種類のあるグルテン関連障害について、少しみていってみましょう。
小麦アレルギーとグルテンアレルギーの違い
小麦のアレルゲンは、コムギタンパク質グルテンの主要成分であるグリアジンだけではありません。
水溶性タンパク質であるアルブミン・グロブリン・不溶性タンパク質であるグルテニン、
グリアジンなどのタンパク質のアレルゲンがありますし、
最近では、炭水化物系統のアレルゲンの存在も疑われています。
ぜひ今後の研究成果に期待したいですね。
アレルギーとは異なる自己免疫機能の疾患であるセリアック病
グルテンを含有する食べ物がきっかけとなった過剰な免疫反応が、小腸の上皮組織の炎症・損傷などを引き起こしてしまうセリアック病。
2歳頃までの幼少期に発見されることが多い疾患ですが、
大人になってから発症するケースも少なくありません。
下痢、腹部膨満などの症状のほか、小腸がうまく機能しなくなってしまうことによる栄養失調の報告も多く、
成長過程による成長障害を引き起こすこともあります。
また、一部では、膠原病などの自己免疫疾患とも関わりがあると言われていますし、
鬱病やパニックの要因ともなり得るのではないかと考えられ、研究も進められています。
非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)またはグルテン過敏症
セリアック病とも小麦アレルギーとも異なるくくりにあるのが、
グルテン過敏症とも呼ばれることのある、非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)。
非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)は総合的な名称で、定義も議論段階にあります。
病因などもまだ研究過程にあり、コムギやある種の穀物に含まれるタンパク質であり
グルテンを形成するグリアジンだけではなく、アミラーゼトリプシン阻害物質(ATIs)との関連も疑われています。
最近の研究では、グルテンを含む穀物に見られる糖質・フルクタンなど、
小腸内で消化・吸収されにくい糖類であるフォドマップが、
一部の非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)の症状に関わると考えられています。
あなたも該当するかも?非セリアック・グルテン過敏症の症状とは、
まだ調査段階ということもあり、はっきりとした統計がないものの、
世界人口の0.5–13%ほどが程度は違えど、非セリアック・グルテン過敏症であると言われています。
グルテン含有食品を食べて、お腹のハリや不調、下痢や便秘、吐き気やむかつき、
頭痛、関節痛、手足のしびれやだるさなどを感じる場合は、一度医師へ相談してみるとよいかもしれません。
大人になってから発症する小麦アレルギーと花粉症の交差反応には要注意
子供が持つアレルギーとは違い治りにくいとされるのが、大人になってから発症する食物アレルギー
食べてすぐに症状を自覚する即時型、さまざまな症状があり時にはアレルギーと認識しにくい遅延型があり、
遅延型の場合は、自分ではアレルギーを自覚できていないケースもあります。
意外と知られていないのは、特定のアレルゲンとなる物質と構造が似ている、
交差抗原性のある別の食べ物のタンパク質にアレルギー反応を示すこと。
即時型小麦アレルギーの場合、大麦・ライ麦・オート麦にも交差反応を起こしてしまうことが多く、
穀物間で共通のアレルゲンや類似タンパク質を持つ食物にも注意が必要になります。
また、個人差はあるものの、イネ科の花粉症を患っているイネ科アレルギーやカモガヤアレルギーの方の場合にも、
季節や摂取量によって小麦にも反応を示す可能性がありますので、要注意です。
私自身も、ブタクサアレルギーを持っており、メロンやスイカなどのウリ系の果物を食べると
口腔アレルギー症状が出てしまいますので、心当たりのある方は一度調べてみると安心かもしれません。
バラエティが広がるノングルテンの穀物、穀物粉・豆粉など
実際、欧米ではオーガニックスーパーマーケットなどにいくと、
アフリカ原産の穀物などを含むいろいろな粉が揃うため、
グルテンフリー・ダイエットがもっとカジュアルにおこなわれています。
テフ・アマランス・きび・あわ・ひえなど、いろいろな穀物や雑穀も注目されています。
日本でも、グルテンアレルギーなどが知られてきて、
いろいろなお料理に使える小麦粉の代用となる粉も増えてきましたよね。
すでにパンなどでもお馴染みの米粉や玄米粉、
手軽にとろみを出すことのできる片栗粉、クズ粉、タピオカ粉もあります。
また、少し異なる食感や風味が楽しめるコーングリッツやコーンフラワー、アーモンドプードル、
そば粉、きび粉、アマランス粉、ココナッツフラワー、大豆粉なども手に入れやすくなってきました。
本当にその粉が料理に必要なのかを一度考えてみるのも
よくグルテンフリーにしてからカレーが食べられなくなったという話も聞きますが、
玉ねぎを飴色になるまでよく炒めて、トマトを入れて煮込み時間をしっかり取ってから、
カレーのスパイスを加えるなどの方法で、小麦粉なしでも十分にとろみを楽しむことができます。
また、ひよこ豆粉でフムスなどをつくる場合、
加工過程のない乾燥豆や生豆の方が栄養価も高く、お料理に向いていることもあります。
もちろん、レシピや粉の用途にもよりますし、ひと手間増えるかもしれませんが、
圧力鍋などを上手に活用しながら粉に頼らない方法も試してみてはいかがでしょうか?
食の矛盾に疑問を持ちつつも、本当に小麦・グルテンフリーが必要な人へのサポートを考える
流行のトピックを利用してビジネスの的となりやすい食の世界。
マスメディアや国内外のセレブリティの言葉に惑わされるのではなく、
自分の信念を持ち、きちんと判断するのも食の矛盾を考える上では、とても大切なことです。
複数の大手食品会社でアレルギー物質を使っていない調味料が発売されたり、
航空会社のANAでも米粉パンの機内提供が始まるなどの動きも本格化しています。
グルテンフリーに対する人々の意識を、ただの流行で終わらせてしまわないように、
真実を見極めながらも、
グルテン関連障害を持つ方が豊かな食生活を送ることのできる社会をつくっていきたいですね。
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