「牛乳=健康」の時代は終わった|牛乳神話がもたらした弊害とは? 人工的に搾乳量を増やした結果、完全食からNG食品へと変わった牛乳。
子どものころから学校給食などでなじみの深い牛乳。
日本の食卓にも根付いていて、毎朝欠かさず飲んでいる人も多いでしょう。
「完全栄養食」ともいわれている牛乳には、
様々な栄養素がバランスよく含まれています。
特にカルシウムの含有率が高く、
お子さんに「背が伸びるから」という理由で牛乳を飲ませている話をよく聞きます。
ところが、この「牛乳完全食」説に疑問の声上がりつつあります。
牛乳を飲むとかえって骨が弱くなったり、
健康被害が起こったりするというものです。
もともと、人間には「乳糖不耐性」という、
牛乳の成分を消化しにくい性質があります。
これは子どもに比べて、大人になってからの方が反応が顕著になるようです。
そもそも草食である牛からとれる牛乳は、
植物由来のビタミンやミネラルが豊富に含まれていました。
ですが現在一般的に出回っている牛乳や加工乳を生産する牛は、
牧草ではなく安価や小麦やトウモロコシを与えられています。
そのため搾乳量が増えて牛乳の安定供給につながったのですが、
反面栄養素のバランスが大きく崩れることになりました。
さらに効率的に搾乳させることによって、
母牛の体に大きなストレスを与えてしまいます。
それだけでなく、効率を優先した結果、
牛乳の中に牛のホルモンが混入してしまっているのです。
これらの事から、
牛乳は「完全食」ではないのではという研究が進みつつあるののです。
なぜ牛乳を飲むと体に悪いという認識がひろまっていったのでしょうか。
そして、本当に牛乳が健康に悪影響を与えるのなら、
今後牛乳との付き合いからをどうかえていったらいいのでしょうか?
実際の健康被害の例などから見ていきましょう。
牛乳による健康被害の事例。腹痛、アレルギーや癌のリスクまで
腹痛や下痢の原因にもなる「乳糖不耐症」
乳糖とは、牛乳の中に含まれている炭水化物のことで、「ラクトース」という糖質から作られています。
ラクトースは小腸で「ラクターゼ」という酵素により、
ガラクトースとグルコースという2つの単糖類に分解されます。
ところが、このラクターゼが上手く働かず、
乳糖を分解できない人が多いのです。これを乳糖不耐症といいます。
乳糖不耐症とは、ミルクに含まれる糖質である乳糖を
グルコースとガラクトースに分解する乳糖分解酵素(ラクターゼ)の活性が低下しているために、
乳糖を消化吸収できず、著しい下痢や体重増加不良をきたす疾患である。
引用:小児慢性特定疾患情報センター
そもそも哺乳類の体は授乳期以外に乳汁を必要としません。
人間もラクターゼが活発なのは授乳中で、それ以降は不活性化していきます。
ラクトースが消化されないままに大腸に送られると、
お腹にガスがたまったり下痢を起こしやすくなるのです。
牛乳を飲むことによる発癌の可能性
穀類や小麦を飼料として与えられた牛乳には、脂質が多く含まれています。これは飽和脂肪酸からできていて、
長く摂取している人には前立せん癌などの発症率が高くなるという研究結果があります。
がんとの関係も大いに注目されています。
ある研究では乳製品に含まれるカルシウムの摂取が大腸がんを防ぐとしていますが、
別の研究では乳製品の摂取量と前立腺がんや卵巣がんの発症リスクに関係がある可能性を示唆しています。
参考:プレジデントオンライン
その他、牛乳に混入している牛の女性ホルモンによって
大腸がんや乳がんの発症も高くなると言われています。
牛乳は戦後急速に普及した
歴史的に、日本人には食事に牛乳を取り入れる習慣がなく、
1930年代まではほとんど普及していませんでした。
ですが、戦後の混乱期にアメリカからの食糧支援を受けたことから
食の欧米化が一気に進み、その過程で日本の食卓に牛乳が並ぶようになったのです。
人間の食べ物は、歴史的にその地域で長く食べられていたものが
最も体質に合うとされています。
日本人は牛乳を飲んできた歴史が浅く、
体がまた適応しきっていないと言えるのです。
農業効率が上がったから余剰小麦が牛の餌に
牛乳が普及したもう1つの背景に、肥料の改良によって小麦の収穫量が増えたことが上げられます。
牛乳を多量に飲むようになった背景には、化学肥料を使うことによって、
一時的にではありますが、小麦が大量に収穫できるようになったことがあります。
豊作になったため、
余剰の小麦が牛の餌として使われたという事情があるのです。
参考:ビジネスジャーナル
それによって余った小麦が牛の餌に転用されるようになり、
搾乳量が増えて、今度は牛乳が余るようになりました。
そこで安価な牛乳が出回るようになり、
手に入りやすい身近な飲料として定着していくのです。
消費拡大によって効率優先の畜産が拡大
牛乳を生産しているのは、子牛を生んだ後の母牛です。
安定した搾乳を確保するために、子どもとはすぐに引き離されます。
牛の妊娠期間は280日程度で、
1年で2~3か月の乾乳の時期以外は毎日搾乳をしています。
ですが、子牛を生んでくれないことにはお乳が出ません。
そのため牛乳の量を確保するために、妊娠の時期を早めているのです。
これによって、母牛は本来妊娠できない授乳期間にも
無理に種付けを行われてしまいます。
妊娠中の母牛は女性ホルモンの分泌が盛んになるので、
搾乳される牛乳の中にもこの成分が混ざってしまうのです。
牛乳を飲んでも体に悪影響を起こさせないためには
現在一般的に出回っている牛乳の問題点は、
過剰に与えられる飼料や運動不足によって肥大した牛から作られていることにあります。
そのため脂肪分が多くなり、牛のストレスも大きくなることから、
栄養バランスが悪くなってしまいます。
自然農法で育てられた牛の牛乳を飲む
草食動物である牛に見合った生育をさせるために、山間地など野草の茂った地域に牛を放牧している畜産家も複数あります。
そうした牛乳には、植物由来のビタミンやミネラルが多く、
しかも運動もしているため脂質が少なく、本来の完全食に近いものになっています。
その分、搾乳量が少なく出荷量も少ないので手に入りにくいのですが、
もし牛乳を飲むのならこうした自然な環境で作られたものがおすすめです。
通販などでも購入できるので、一度試してみるといいですね。
日常的に飲むには量が少ないかもしれませんが、
もともと日本人の体には大量の牛乳は必要ないので、ちょうどいいとも言えます。
牧草で育てられた牛は健康だというだけでなく、その肉やミルクは、
コーンなどの穀物を与えられて育った牛よりも栄養価が高くなります。
グラスフェッドの肉や乳製品はずっと多くのベータカロチンやオメガ3脂肪酸を含んでいて、
それが心臓病と同時に認知症も予防すると言われています。
オメガ3は、アレルギーや喘息のような炎症系の症状を軽減します。
また、グラスフェッド食品はCLA(共役リノール酸)の割合が高く、
それは痩身に貢献したり、抗がん作用もあるものです。
参考:養老牛放牧牛乳
牛乳を飲みすぎないこと
危険性が指摘される一方で、牛乳が栄養的に優れているという見解も根強くあります。
現状では牛乳に実害があるかどうかは研究者の間でも意見が分かれていて、
議論が交わされています。
そこで、栄養は取りたい、しかし健康に気を使いたいという場合には、
飲みすぎないことを意識しましょう。
成人の1日の適量はコップ2杯です。
朝ご飯の時に1敗、コーヒーなどに入れるもので1杯が目安でしょう。
一般的には、1日あたりコップ1杯から2杯が適量だと思います。
参考:プレジデントオンライン
最後に
かつては牛乳が子どもの成長や老人の骨粗鬆症にいいとされて、
消費が奨励されていました。
ですがその陰には無理やり搾乳量を増やしたり、
牛を過栄養状態にしているなどの不安要素があったのです。
牛乳が即NG食品になるわけではない、という意見、
また、本当に安全な環境で育った牛の低温殺菌牛乳(ノンパスチャライズド)であれば少量なら飲んでも大丈夫ではないかという意見もあります。
オーガニックな生活に気をつける人なら、一度は飲んでみたい牧草飼育の牛乳を選んでみましょう。
味の違いに驚くかもしれません。
常飲するには、人の体質に合わない飲み物であるという側面もある牛乳。
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