活性酸素を除去する抗酸化物質は摂取方法を間違えると逆効果になる理由

抗酸化作用のある食品、成分は何となく
「体に良さそう」というイメージがありますね。

一昔前から盛んに言われる酸化ストレスが良くない、
活性酸素は生物の寿命にとって悪であるという意見もよく見られます。

ただ抗酸化作用のあるビタミンに関しては、肺がんの罹患率をあげるのではないか、など
がんとの関連、他の病気のリスクについていろいろな情報があります。

体にとって何が良いのか、というのは、
1つの事象についてのみ注目して考えずに全体を見て長期にわたり調査する必要があります。

「食事が偏ってしまうからサプリメントをとりたい」と安易に考えるのは危険であり、
何が自分にとって良いのか、何を選択すべきか生活全体を通して考えていく必要があります。

今回は、ビタミンCの酸化ストレスを軽減させる作用についてとがんとの関連性、
サプリメントを活用するときのポイント、選び方などをご紹介させていただきます。

抗酸化作用が高いと言われるビタミンCは、酸化ストレスを軽減する

生体内でエネルギー利用される際には必ず酸化反応が起こり
活性酸素種と呼ばれる物質が産生されます。

活性酸素種が体にとって良い働きをすることもありますが、
活性酸素種は細胞を傷つけ、さまざまな病気や老化と関係があると言われており、「諸刃の剣」なのです。

ビタミンCによる強い抗酸化作用による活性酸素の除去

体内には活性酸素から自分の細胞を守ろうとする防御系が存在します。
防御系で有名なのがSOD（スーパーオキシドジスムターゼ）という酵素で産生された活性酸素を捕獲し分解します。

酸化ストレスとは、活性酸素が作られる機構と防御する機構のバランスが崩れ、
活性酸素が作られる機構の方が防御する機構を上回った状態を言います。

酸化反応を抑制する抗酸化作用を有する防御系は、
SODだけではなくてビタミンCなどの複数のビタミン類も抗酸化作用を発揮し
細胞を守る働きがあることが知られています。

ビタミンCと他のビタミンで相乗効果を狙うことができる

ビタミンEにも高い抗酸化力がありますが、
同時にビタミンE自体が酸化されやすい物質だということです。

酸化されたビタミンEは活性を失いますが、ビタミンCにより復活することがわかっています。

またビタミンP（ヘスペリジン）はビタミンCと一緒になって働き、
活性酸素を除去した後の酸化型ビタミンCを活性のある元の還元型ビタミンCに戻してくれる働きがあると言われています。

他にも、ビタミンB群やビタミンA、ビタミンDなど
複数のビタミンを一緒にとることで相乗効果が期待でき、単独での作用よりもより大きなメリットが得られるでしょう。

☆動画コンテンツIN YOU Tube『【ドクターが徹底解説！】ビタミンCと免疫力の関連性・正しい飲み方』

食品と病気や健康の関連性はまだまだわかっていないことが多い

サプリメントがしばしば「この病気のリスクを高める可能性がある」と言われることがあります。

これは、含まれる主成分などの特徴から可能性を示唆するものが多いのですが、
実際に調査してみると相関性のない結果が得られることもあるのです。

これは、体内で起こっている反応で解明されているのはほんの一部で、
まだまだわかっていないことが多く、1つの要因で1つの反応が起こるわけではなく、
複数の要因が複雑にからみあって反応が起こるからです。

実際に「コホート研究」といって長期間に渡り大勢の人を疫学調査をすることにより
どういう人たちがその病気に罹患したのかを調査して
関連性を調べてみて、初めてわかることも多いのです。

肺がんリスクをあげると言われた抗酸化ビタミンについて

ビタミンには抗がん作用があるのではないかと言われる一方で、
抗酸化ビタミンが肺がんにかかるリスクを上昇させるという意見もありました。
さらに研究は進んでこのような見解もあります。

抗酸化ビタミン摂取と肺がん罹患リスクの関連について

この中ではこう記されています。

日本人において、レチノールを除く抗酸化ビタミン摂取と
肺がんの罹患リスクとの間には統計学的に
有意な関連がないことが示唆されました。
一方、レチノールの摂取量が多い男性グループにおいて、
全肺がんと小細胞肺がんのリスクの上昇がみられましたが、
この肺がんリスク上昇は、喫煙習慣のある男性に限られることが確認されました。

このように、レチノールのみ「喫煙習慣のある男性」と限定された条件で
肺がんリスクが上昇していることがわかります。

喫煙による影響がわかっている小細胞肺がんについては、喫煙とレチノール摂取の影響を完全にわけて調査することができていない可能性もあるので、今後もさらなる調査が必要と思われます。

抗酸化物質や野菜や果物から摂取すべき理由

抗酸化ビタミン（ビタミンC）は脳卒中を予防するのか？

抗酸化ビタミンをとることで、脳卒中の発症を抑えられるのではないかという研究もありました。

抗酸化ビタミン摂取と脳卒中発症リスクとの関連

この研究では、

日本人においては、喫煙習慣がなく、
食事でビタミンCを多く摂取している人は、
脳卒中の発症を抑えられる可能性が確認されました。
しかし、ビタミンCを多く摂取している人は、
野菜や果物を多く食べている傾向があり、野菜や果物に含まれるカリウムや食物繊維など、
脳卒中発症に予防的な栄養素も同時に摂取しています。

とあります。

さらに

脳卒中の発症予防効果が
ビタミンC単独の作用であるかどうかについては、
今後、さらなる研究が必要です。

と記されているので、
ビタミンC単独かどうかはわかりませんが
野菜や果物から摂取すること自体は良いようです。

ビタミン類には単一でとることで期待できる効果はあります。

ですが実際体内で働くときは他のビタミンや酵素などと
相互作用、相乗効果で良い働きをしているからであり、
単一の成分のみでは期待したような効果が上がらないことがあるようです。

体に良い成分を単体でとることの効果は長期間調査しないとわかりませんし、その背景にある生活習慣を考えないと本当に有用性があるのか
はっきりしたことは言えないようです。

ビタミンのとり方で気をつけておくべき点とは

ビタミンは壊れやすい加熱すると壊れてしまう熱に弱いビタミン類

ビタミンの欠点は、加熱に弱く壊れやすい点です。

加熱して壊れてしまうと、ビタミンとしての活性を失ってしまいます。
野菜や果物は、調理の過程で失われてしまうビタミンも多いのです。

生のままサラダとして食べるという方法ももちろんありますが、
十分な量を食べたり食事を楽しむという点ではビタミンを残すためだけにサラダだけしか食べないなど偏った食生活を望まない人も多いと思います。

そういった意味では下記のようなサプリメントを日常の中で取り入れるのもいいでしょう。

食材から作られた抗酸化サプリ

煮る、焼く、蒸す、揚げるなど高温での調理は全てではないですがビタミンが失われてしまうということを考慮して、量とバランスに注意しましょう。

48度以下の低温で処理されたRAW（ロー）フードを
利用するというのも良いでしょう。

水に溶ける水溶性ビタミンと脂に溶ける脂溶性ビタミンでは
とるタイミングやとり方で吸収率が変わってくる

ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンは、
野菜や果物を洗ったり、茹でたりするとビタミンが水に溶けて流れ落ち、減ってしまいます。

またビタミンA、ビタミンDなどの脂溶性ビタミンは
脂質と一緒にとることで吸収率が上がるので、
サプリメントとしてとるならば空腹時よりも食事と一緒、または食後にとることをおすすめします。

ビタミンをとるときのポイントは、いかに減らさずにとるかということと、とるタイミングで効率よくとるということが重要です。

抗酸化サプリメントを活用するときのポイントとは

普段から食生活や運動などに注意している人と、
運動をする時間がなく食生活もかたよりがちな人では
サプリメントを継続的にとったときの体への影響は変わってくるでしょう。

良い影響よりも不摂生による悪い影響が勝ってしまうと
せっかくとっても有用性がないどころか悪影響となることも考えられますね。

ですので、サプリメントをとるのであれば
普段の生活を見直すこともとても重要です。
その上で何を選択するのかを考える必要があるのです。

☆動画コンテンツIN YOU Tube『ドクターが教える！人間の健康に重要なミトコンドリアを増やす方法とは？』

抗酸化サプリメントを選ぶときは何を基準にする？サプリメントの選び方とは

前述のように、有用性が高いとされている成分でも
単一で摂取したときの効果は実際に長期間続けてみた結果どうだったか
たくさんの人で検証しないとわからないことが多いです。

単一の成分の影響よりビタミンやミネラルだけでなく酵素なども含まれて
天然に存在する形に近いものの方が食事からとるという形態に近くて
複雑にからみあった反応から有用性を発揮する事もあるでしょう。

添加物や残留農薬などの心配がなく体に負担が少なくて、
より高い有用性が期待できるものを。

かつ化学由来のものではなく、植物や果物、野菜などから作られたオーガニックのものを選ぶことが望ましいと言えるでしょう。
安心して続けていける安全なオーガニック商品を選びたいですね。

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