糖尿病・メタボ予防に嬉しい菊芋の驚くべき効能|今大注目の健康成分イヌリンとは
皆さんは『菊芋』という野菜をご存知ですか?
菊芋は、近年主成分のイヌリンという物質が、
糖尿病やメタボの防止に効果的ということで
注目が集まっている野菜です。
見た目は生姜にそっくりで、生の味は淡泊、
食感はカリカリしていて少しゴボウのような土臭さがありますが、
味にクセがなく、ヌメリのない山芋といった感じです。
今回は、健康野菜として大注目の『菊芋』をご紹介します。
菊芋って何?
『菊芋』は、北米原産のキク科の植物です。
ヤーコンやアピオス(ほど芋)と並んで、
世界三大野菜の1つに数えられています。
草丈は2~3mと高くなり、菊に似た黄色い花をつけることから
菊芋と名付けられました。
日本では、菊芋の他にアメリカイモ、ブタイモなどとも呼ばれ、
他に海外ではサンチョーク、エルサレムアーティチョーク、
トピナンブール、ジラソーレ・アルティチョッコなどという呼び名があります。
北米では昔から食用として用いられており、
アメリカインディアンの元気の源でした。
16世紀の初頭にアメリカ軍が北上した際、
寒さのせいで兵士達がバタバタと倒れていくなか、
その地域に住むインディアンのトピナンブ族は、
何の問題もなく元気に生活していたといいます。
後の調査で、互いの食生活の違いは菊芋であったことが
わかったという史実が残されています。
主にフランスで呼ばれているトピナンブールという名前は、
このトピナンブ族から取られたものなのでしょうね。
菊芋は、南アメリカ、ヨーロッパ、日本を含むアジア、オセアニアに
外来種として広く分布しています。
その旺盛な繁殖力から、日本では在来種に対し
競合・駆逐のおそれがあるとされ、
環境省が「要注意外来生物」に指定しているほどです。
日本には、江戸末期から明治の初め頃(1850~1860年)に、
アメリカから家畜の飼料用作物として導入され、
戦後の食糧難の時代には作付統制野菜として
代用食にもなったという歴史があります。
その後、国内では普及することなく忘れられた存在となっていましたが、
近年ヨーロッパにおいて成分の研究が進み、
非常に栄養価が高いということが判明して注目が集まりました。
現在、特にドイツを中心に「機能性食品」への活用が盛んに試みられています。
そういったことから、日本においても最近見直されるようになり、
普及が進みつつあります。
菊芋の注目成分、イヌリン
イヌリンとは
菊芋に含まれるイヌリンという成分は、「天然のインシュリン」と呼ばれ注目されています。
イヌリンとは、自然界において様々な植物によって作られる
多糖類の一群のことを言います。
栄養学的には、水溶性食物繊維の一種とされ、
難消化性デキストリンと並んで便秘への効果も期待できると言われています。
菊芋は一般的なイモ類とは違い、
ヤーコンと同じようにデンプンの含有量が低いので、
ジャガイモやサツマイモのような甘みはありません。
生の菊芋には13~20%前後のイヌリンが含まれているとされ、
なんとその含有量は、
世界中の野菜の中で最も多いのです!
菊芋は、多糖類であるイヌリンを含む食物繊維を主成分とし、
他の成分に、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどがあります。
食用とされるのは「塊茎(かいけい)」と呼ばれる、
地下茎が養分を蓄え肥大した部分で、
それが生姜とよく似た形をしています。
食物製品に使用されるイヌリンの有用性
イヌリンは、栄養上の有用性から、近年では「食物製品」に使われることが増えてきています。
ほんのりと甘いため、そのカロリーの低さを活用して、
砂糖や脂肪、小麦粉の代わりに用いられることもあり、
例えば水に溶かして飲んだり、
ヨーグルトの甘味料として振りかけたり、
調理に使うなどの利用方法が考えられます。
特に、ラーメンやケーキなど、
炭水化物や糖分の多いものを食べる際に、
同時にイヌリンを摂取することで、
糖分が体内に吸収されるのを抑制する効果が期待できます。
普段の食事に取り入れやすいよう、
その多くが粉末タイプで生産されているようですが、
「菊芋チップス」や「菊芋の漬け物」などの商品も
人気となっています。
イヌリンに含まれるエネルギ-は、砂糖や他の炭水化物と比べて
1/3~1/4程度と言われます。
脂肪と比較すると1/6~1/9程度ですので、
砂糖や脂肪と置き換えれば、
大幅にカロリーの摂取を制限できることになります。
イヌリンの効能
食後血糖値上昇の抑制
多糖類としてのイヌリンの構造は、このようになっています。引用:フーズ・サイエンスセンター
砂糖はブドウ糖1個と果糖1個がつながったものですが、
ブドウ糖に果糖が2~4個つながったもののことをフラクトオリゴ糖といいます。
このフラクトオリゴ糖に、さらに果糖がつながったものを、
フラクトオリゴ糖も含めて”イヌリン“と呼びます。
イヌリンは食物として摂取されたあと、
胃や十二指腸で消化されることなく腸に到達してから分解されますが、
このとき、砂糖のようにブドウ糖と果糖に分解されることはありません。
ブドウ糖のレベルまで分解されることがない、
つまり腸から吸収されないので、血糖値を上げることがありません。
また、イヌリンは水溶性食物繊維であるため、
腸内で水分を吸収してゲル状になり、
一緒に摂った糖質の吸収を抑制する働きもあります。
さらに、イヌリンは「天然のインシュリン」という異名を持つ通り、
近年では血糖値を下げる効果があるとして研究が進められてきました。
イヌリンが直接血糖値に作用することはありませんが、
一部の腸内細菌によって「短鎖脂肪酸」へ代謝されることにより、
間接的に血糖調整ホルモンのひとつである
『GLP-1』に作用することで
インスリンの分泌を活性化すると考えられています。
これらのことから、イヌリンの摂取は
食事と一緒に摂ることで食後の血糖値の上昇を抑制し、
間接的にインシュリンの分泌を活性化する
ということで、
糖尿病に対する有効な食事療法の手段としても期待されています。
菊芋に含まれるイヌリンは、中性脂肪を低下させる?
ヒトを対象とした臨床試験で、「イヌリンの摂取が血中中性脂肪を有意に低下させた」
という例が報告されています。
引用:イヌリンと脂質異常症(高脂血症)
上のグラフは、35歳~65歳(平均52歳)の
空腹時の血中トリグリセライド(=中性脂肪)と総コレステロール濃度が高い
未治療の被験者54人が、
1日あたり10gのイヌリンまたはプラセボ(偽薬)を摂取した後の
血中トリグリセライド濃度の変化を示しています。
プラセボ群では、血中トリグリセライドの濃度が上がっているのに対し、
イヌリン摂取群では、有意に下がっているのがわかります。
また、イヌリンの有効性と安全性に関する行政報告でも、
イヌリンの高トリグリセライド(=中性脂肪)血症への有効性が示唆されています。
●有効性
俗に「血糖値の急激な上昇を防ぐ」
「コレステロールを下げる」などと言われており、
高トリグリセリド血症に有効性が示唆されている。(2019/03/20)
引用:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
菊芋に含まれるイヌリンは、腸内で善玉菌を増やす?
水溶性食物繊維であるイヌリンは、腸内で水分を吸収してゲル状になると、
その状態のまま腸内をゆっくりと移動することで、
腸のぜん動運動を促進する働きを持ちます。
また、腸内で分解されるイヌリンの分解レベルは
「フラクトオリゴ糖」までです。
フラクトオリゴ糖は腸内で善玉菌の栄養源となり、
特に腸内細菌叢における優性種の1つである
『ビフィズス菌』の生育を亢進させることが
多くの研究において報告されています。
菊芋の効果的な食べ方は?
自分と家族の健康のために、毎日の食事に菊芋を取り入れましょう。
菊芋は味にクセがなく、強い匂いもないので食べやすい食材です。
色々な料理にアレンジできますよ。
ただ、菊芋を加熱すると、イヌリンの含有量は減少してしまいます。
そのため、シャキシャキの食感を生かして、生で食べることをオススメします。
生の菊芋には皮の部分に多少アクがありますので、
皮はむいた方が食べやすくなります。
アクを除く為には、10分間ほど水にさらしておきます。
サラダ
菊芋とお好みの野菜を食べやすい大きさに切り、ごま油・塩・こしょうで和えます。
こちらはお酒によく合うおつまみ風サラダですが、
箸休めにもオススメです。
ごま油が苦手という方は、
味付けをお酢や醤油などに替えても美味しいです。
野菜はきゅうりやごぼう、にんじんなど、
菊芋と食感の似た野菜がよく合います。
炒め物
短時間の加熱なら、イヌリンの減少を最低限に抑えられます。イヌリンは高温で長時間加熱すればするほど減少していきますので、
煮ることより短い時間でサッと炒める調理法の方がオススメです。
食感が似ているにんじんやパプリカなど、
他の野菜と一緒に炒めると彩りよく美味しく食べられます。
ニンジン、パプリカに含まれるβ-カロテンは、
油と一緒に加熱すると吸収率が高くなるのでオススメです。
菊芋チップス
高温でカラッと揚げる、菊芋チップスもオススメです。コツは、出来るだけ薄くスライスして、サッと挙げること。
薄くスライスすることで揚げる時間を短縮出来ます。
菊芋は洗ってから皮を剥かずに薄くスライスし、
水気をできるだけ拭いておきます。
中温の油でカリッとするまで揚げ、
揚がったら油を切り、塩をふって仕上げます。
子どもさんも食べやすい、おやつにピッタリの一品です。
1日に摂取するイヌリンの適量は、4~5gと言われています。
1日に適量な分のイヌリンを摂取するには、
菊芋をおよそ25~33gを食べると良いでしょう。
★ダイエット中の健康おやつに!農薬不使用の菊芋チップス
菊芋のサプリメントで効果的にイヌリンを摂取
菊芋は、野生化したものが全国で見られる他、
主に各地の個々の農家が栽培しています。
ただ、生鮮食材としてはメジャーではありませんので、
生の菊芋は生鮮品としてスーパーなどで見かけることはあまりないかと思います。
菊芋は、生鮮物としては各地の農産物直売所などでよく売られています。
菊芋のほとんどは、健康食品や健康飲料向けの乾燥物や粉末に加工されています。
そういったものを原料に、菊芋をお茶や粉状にしたものや、
粒状にしたサプリメントなども多く販売されています。
毎日の生活に菊芋のイヌリンを取り入れるには、
サプリメントを購入するのもオススメです。
菊芋で生活習慣病も予防できる?
世界三大野菜の1つと言われる菊芋の効能と、
簡単な摂取の方法について、
今回はご紹介させていただきました。
なかなか普通のスーパーなどで見かけることは少ないと思いますので、
最初は菊芋茶や水に溶けやすい粉末タイプのもの、
毎日手軽に摂取しやすい錠剤タイプのサプリメントなどから始めてみるのもいいですよね。
もしも生の菊芋を手にする機会がありましたら、
ぜひ食べてみていただきたいと思います。
ゴツゴツしていて、見た目にあまり美しいとは言えない野菜ですが、
『大地のエネルギー』をいただける!という感じがしますよ。
以前に私は道の駅で購入したことがありましたが、
食べきれなかった分をジップロックに入れて、
冷蔵庫の野菜室に入れていたのですが、
かなり長期間にわたって保存することができました。
2~3週間以内には食べ切ったと思うのですが、
最後まで鮮度が保たれていていて、菊芋のタフさを感じました。
実際、プランターなど土の中で保存するとかなり長くもつようです。
現在、糖尿病や高脂血症、腸内環境の悪化などで
苦しむ方は大勢います。
そういった不調や疾患を改善できる、
素晴らしいポテンシャルを秘めた菊芋。
血糖値や中性脂肪、便秘などが気になる方は、
自分の体調をチェックしながら
ぜひ『菊芋』を食生活に取り入れてみてください!
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