管理栄養士が教える糖尿病とペットボトル飲料の関係性|清涼飲料水の常飲で起きる「ペットボトル症候群」が糖尿病に大きく関係か
最近では、広く知られるようになった「糖尿病」ですが、
皆さんはどれだけ「糖尿病」についての知識をお持ちでしょうか?
「糖尿病」についての情報は溢れているため、中には誤った情報も多いのが現実です。
今回は、糖尿病の正しい情報、糖尿病の原因にもなる「ペットボトル症候群」について解説します。
そもそも「糖尿病」とは?
「糖尿病」の定義
膵臓から分泌されたインスリンというホルモンは、
肝臓、筋肉、脂肪細胞などに働き、ブドウ糖を血液から細胞内にとりこみ、血糖値を低下させます。
糖尿病とは、血糖値を下げるインスリンが上手く働かなくなり、
慢性的に血糖値が高くなる病気です。Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病があります。
Ⅰ型糖尿病
インスリンを合成・分泌する膵臓のβ細胞が破壊され、インスリン分泌が消失することが主な原因です。
Ⅰ型糖尿病ではインスリン注射が必要となり、
インスリン注射と食事がうまくかみ合うようにすることに治療の重点がおかれます。
Ⅱ型糖尿病
膵臓のβ細胞からのインスリン分泌が低下したり、過食、運動不足、肥満、ストレスや加齢などによって臓器でのインスリンの働きが妨げられたりすることにより発症します。
Ⅱ型糖尿病では過食をしないこと、過度な運動をすること、適正体重を維持することなどが、
治療の重要なポイントになります。
したがって、食事療法では、適切なエネルギー量の食事を守ることが大切です。
参考:糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版
「糖尿病」は合併症が怖い
糖尿病は重症にならない限り自覚症状が現れません。しかし、血糖値が高い状態が続くと、合併症を引き起こします。
代表的な三大合併症
糖尿病網膜症
網膜には多くの細い血管があり、高血糖状態が続くと血管がもろくなったり、出血したりして、視力の低下につながります。
糖尿病腎症
腎臓にある糸球体は細い血管の塊で、血液をろ過し、老廃物を尿として排泄します。高血糖状態が続くと血管が障害され、濾過機能を果たせなくなり、
全身のむくみなどをきたします。
進行すると人工透析導入となり、糖尿病腎症が透析導入の一番の原因となっています。
糖尿病神経障害
全身に分布する神経は、高血糖状態が続くと障害され、手足のしびれや痛みが生じたり、たちくらみや、発汗異常などを生じたりします。重症になると、無自覚性低血糖の原因にもなります。
その他の合併症
その他、感染症、皮膚疾患、歯周病、癌、認知症、白内障、骨粗鬆症とも関連があると言われています。参考:糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版
「糖尿病」を治療するためにどうしたらいいのか?
糖尿病の治療の方法は、主に「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の三つです。食事療法
糖尿病の食事療法については、
「糖尿病食事療法のための食事交換表」に基づいて行われるのが一般的です。
・指示エネルギーを守る。
・主食と主菜と副菜を毎食揃え、バランス良く摂取する。
・血糖値を上昇させやすい炭水化物は全体のエネルギーの50~60%とする
(例:一日の摂取エネルギーが1600kcalの場合、800~960kcalを炭水化物から摂取する)。
・毎食野菜を摂取し、野菜から先に摂取する。
これからの暑い季節には、オーガニック夏野菜を取り入れましょう!
これから暑くなると、水分やミネラルが不足しがちになり、熱中症の危険性も上昇しますが、夏野菜は体の調子を整えることにも役立ちます。
特に、オーガニックのトマトでは通常のトマトに比べて栄養価がアップしたという情報もあります。
有機栽培したトマトにはポリフェノールが多く含まれるという研究が、バルセロナ大学から発表された。
ポリフェノールは、がんや動脈硬化などさまざまな病気の原因となる活性酸素を消去する働きをする。
トマトの酸味の利いたさっぱりスープは、水分補給と同時に体の調子を整えるのに役立つ。
運動療法
運動療法は、有酸素運動(ジョギング、水泳など)と
レジスタンス運動(腹筋、ダンベル、スクワットなど)に分類されます。
有酸素運動では、継続して行うことでインスリン感受性が増大し、
レジスタンス運動では、筋肉量を増加し、筋力を増強する効果が期待できます。
「継続して」行うことが何よりも重要です。
・運動療法の実施は食後1時間頃が望ましい。
・週3日以上の頻度が望ましい。
・1回あたり30分以上行うことが望ましい。
・低血糖を起こす可能性があるので、空腹時の運動は避ける。
薬物療法
必要に応じて、経口血糖降下薬やインスリンを使用することで適正な血糖値を維持します。
食事量とのバランスがとれていないと低血糖を起こす可能性もあります。
主治医の指示どおりに使用することが重要です。
「糖尿病」は治る病気なの?
『糖尿病は治る』といった情報は本当でしょうか?肥満のある2型糖尿病の人は、カロリーを適切に調整した食事と運動を続ければ、
糖尿病が「治った」状態を維持できるという研究が発表された。
引用:2型糖尿病は「治せる」病気?体重コントロールで発症前に戻す
⇒つまり、『「糖尿病」は治らない病気』ということです。
『バランスの良い適正エネルギーの食事や運動習慣によって余分な脂肪の蓄積を減らせば、
糖尿病を完全に治すことはできないまでも、必要な薬の種類や量を減らし、
健康状態を悪化を防ぐことが可能になる』というのが、正しい考え方です。
「糖尿病」の原因としてあまり知られていない「ペットボトル症候群」とは?
「ペットボトル症候群」の定義
「ペットボトル症候群」は、正式には「ソフトドリンクケトーシス」と呼ばれます。糖を多く含む清涼飲料水を大量に飲むことで高血糖になり、
そのために喉が渇いてまた清涼飲料水を飲むという行為を繰り返し、著しい高血糖となってしまいます。
気温の高い日に野外に出ると汗をかく。
冷えた清涼飲料水は口当たりがよく、つい飲みすぎてしまいがちだ。
しかし、多量の糖質を含む清涼飲料水を飲む過ぎると
「ペットボトル症候群」を引き起こす場合があるので注意が必要だ。
清涼飲料水に含まれる糖質量
清涼飲料水に含まれている炭水化物は多くは糖類です。
市販されている清涼飲料水の多くに、500mlペットボトルあたり15~30gの糖分を含んでいます。
1.5Lペットボトルだと60~130gの糖分を含み、砂糖(6g)スティックの約10本以上に相当します。
これだけの量を砂糖単体で摂取することはないと思いますが、
清涼飲料水だと容易に摂取出来てしまうので、非常に怖いですね。
「ペットボトル症候群」の予防法
水分補給は、「水」か「お茶」が原則です。スポーツドリンクも多量の糖分を含みますので、大量に発汗した時以外は摂取を避けましょう。
私がお会いした「ペットボトル症候群」の患者さん
暑くなってきて、喉が渇く季節になってくると、高血糖の患者さんが救急車で運ばれてくることが多くなります。
状態の安定した患者さんに食事指導を行うと、
「急に意識がなくなって…。糖尿病と言われたことはないんだけど…。」と。
今まで何名かの「ペットボトル症候群」の患者さんにお会いしましたが、
全ての方が「今まで糖尿病と診断を受けたことがない」とおっしゃっていました。
清涼飲料水の常飲が引き金となって容易に糖尿病を発症するということを知っておいて頂きたいと思います。
間食には「グルテンフリー」の食材を選ぼう
「グルテン」は、肥満、糖尿病、心臓病、がん、認知症、うつ病などの主な原因と言われており、
今「グルテンフリー」食材が着目されています。
糖尿病の方から「間食がやめられないんだけど、食べて良いものはありますか?」
というご質問を良くお受けします。
そんな時には、ゼロキロカロリーや低エネルギーの食品を取り入れるのも良いですが、
「グルテンフリー」の食材を取り入れてみるのも一つではないでしょうか?
罪悪感ゼロの低糖質グルテンフリードーナッツ
低糖質で「グルテンフリー」のドーナッツです。小麦粉だけでなく米粉も使用せず、大豆粉とアーモンド粉で成形しています。
低GI値の甘味料を使っているので、食後の血糖値上昇も緩やかです。
使用されている甘味料は、非遺伝子組換え(NONGMO)のオーガニックエリスリトール、
オーガニックステビア、オーガニックココナッツシュガー、オーガニックアガベシロップで、
オーガニックにもこだわっているドーナッツです。
糖尿病はなる前から予防しよう
糖尿病について正しくご理解いただけましたか?糖尿病は一度発症すると治らない疾患ですので、予防が重要です。
もし糖尿病と診断された場合には、食事療法や運動療法で血糖値のコントロールを行い、
合併症を予防することが重要になります。
どうしても甘いものが欲しくなった際には、「グルテンフリー」の食材を取り入れてみてはいかがでしょうか?
これから暑くなって喉の渇く季節になりますが、清涼飲料水の常飲は避け、お茶か水での水分補給を心掛けましょう。
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