チェルノブイリ原発事故と並ぶ世界史上最悪規模の化学工場事故「ボパールの悲劇」を知っていますか?
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世界的大規模な事故といえば、
1986年に起こったチェルノブイリ原子力発電所事故、
また2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波によって発生した、福島第一原子力発電所事故を思い浮かべる人が殆どではないでしょうか。
日本人にはあまり知られていませんが、
発生から現在までの死者数が2万人を超えるといわれる世界史上最悪規模の大きな化学工場事故がかつてインドで発生したことをご存知ですか?
化学工場事故の背景
化学工場事故は、1984年12月2日から3日未明にかけてインド中央部マディヤ・プラデシュ州の州都ボパールで発生しました。その工場はアメリカの化学企業ユニオン・カーバイド(Union Carbide Corporation)の子会社で、農薬(殺虫剤)の製造工場でした。
ユニオン・カーバイドは1898年に創業したアメリカの総合化学工業会社です。
アメリカで最も古い化学企業の1つであり、 現在はダウ・ケミカル社の子会社となりました。
そのユニオン・カーバイドが農薬(殺虫剤)製造工場の子会社として「ユニオン・カーバイド・インディア」をインド・ボパールに置きました。
化学工場事故の原因
毒ガス「イソシアン酸メチル(MIC)ガス」の発生
タンクに貯蔵していた毒性の強い農薬の中間原料であるイソシアン酸メチル(MIC:methyl isocyanate)は、水と発熱反応を起こす性質があります。
そのMICの貯蔵タンクに水が混入し、その反応で熱が発生。タンク内の温度は200℃にまで上昇して一気に圧力も上昇しました。
赤字経営によるコスト削減・安全管理不備
根本的な原因として、経営が赤字であったことから安全投資、安全教育や訓練がなされておらず、企業側の安全意識が非常に乏しかったと指摘されています。安全装置は管理不十分によって停止中で稼働せず、
結果40トン近いMICがガス状となって近隣の村落に放出されてしまったのです。
情報の伝達不足(隠蔽!?)
MICという有毒な化学物質の貯蔵と利用について、地元住民には知らされていなかったそうです。そのため、地元の医師もMICの中毒性や治療法に関する知見がなかったと考えらます。
発生時間
発生時間が深夜で多くの住民が避難できずに被害を受けました。漏洩した毒性の強いMICは、風に乗って市街地に拡がり、事故直後の死者数は約3,000人、現在までの死者は2万人を超え、約60万人が後遺症に苦しんでいるといわれています。
後世に引き継がれる悲劇
土壌や地下水の汚染
工場の跡地には、現在でも約4千トンに及ぶ未処理の化学物質が放置されたままで、有害廃棄物による周辺の土壌や地下水の汚染が深刻だといわれています。MICの毒性による被害
急性毒性の他、生殖器、呼吸器系(呼吸困難等)、脳を含め人体各部に影響を与え、子孫にまで影響する(胎児死亡、新生児死亡率・奇形児誕生の増加)が指摘されています。最高経営責任者の刑事責任拒絶
ユニオン・カーバイドの元最高経営責任者(CEO)米国人男性ウォーレン・アンダーソン氏(享年92歳)は、刑事責任を拒絶しつづけました。NGOなどの活動
グリーンピース
被害者及びインド市民とともに、ユニオン・カーバイド(現ダウ・ケミカル社)への責任を追及をしています。アムネスティー
インド政府が死者や被害者の人数を著しく低く見積もっていると批判。「これまでインド政府は、この事故による死者数を5295名、回復不能な身体障がい者数を4902名、重症者数を42名としてきたが、支援団体はそれぞれ、2万2917名、50万8432名、3万3781名だとし、彼ら全員が補償請求の対象とするべきだと主張してきた。」
引用:アムネスティ・インターナショナル 2014年11月27日
インド:化学工場事故被害者に政府が追加補償へ
http://www.amnesty.or.jp/news/2014/1127_4998.html
International Campaign for Justice in Bhopal
http://www.bhopal.net/実は日本も関係してくる!?
インドの「原子力損害賠償法」と「原子力損害補完的補償条約」(CSC)の批准、福島原発の今
原子力損害賠償法
2010年にインドで可決された法案。
原発事故に際して、設備に欠陥があった場合、設備の供給業者にも巨額の補償の責任を問われるものです。
原子力損害補完的補償条約
原子力損害補完的補償条約とは、締約国に一定額以上の賠償措置を義務付けるものです。インドは2016年2月4日、原発事故の賠償に関する国際的なルールとなる「原子力損害補完的補償条約」(CSC)を批准しました。
そのため、「原子力損害賠償法」はほぼ力を失うとされています。
外務省:原子力損害の補完的な補償に関する条約 概要
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000057321.pdf
日本からインドへの原発輸出が可能に
日本では原発再稼働や原発輸出へ不安や不満を抱く人々がいます。
同じくインドでも原発への不安から反対デモなどが起こりました。
そんな中で、日本とインド両政府は2016年11月11日に、インドの核実験停止継続を前提とした原子力協定を結びました。
原発安全神話は何処へ!?
終わりの見えない福島原発の問題
東京電力は2017年2月2日、福島第1原発2号機で行われている調査で、
撮影された画像の解析から格納容器の一部の放射線量が
最大で1時間当たり530シーベルトと推定されると発表しました。
これは、福島第1原発事故での最大値で、短時間で人が死に至るレベルの極めて高い線量であり、
更なる詳しい調査が必要とされています。
原発だけに頼らない時代へ
再生可能エネルギーへの期待!
世界初!インドの国際空港が
太陽光発電のみで電力の自給自足を実現!
2015年8月、インド南部にあるコーチン国際空港は、
世界で初めて太陽光発電のみによる電力の自給自足を実現しました。
発電量は、同空港が1日に消費する量をわずかに上回り、余った分は電力網に供給しているそうです。
さらに、太陽光発電により今後25年で30万トンを超すC02排出の削減につながると推計されています。
私たちにもできる選択が!
日本、電力の小売全面自由化をスタート!
日本では、2016年4月1日から電力の小売全面自由化が始まりました。
それまでは、東京電力や関西電力などの各地域の電力会社だけが電力販売し、
消費者は電力の購入先を選ぶことができませんでした。
今回の自由化によって、これからは家庭や商店でも全ての消費者が、
電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。
例えば、再生可能エネルギーを大切にしたい!と願うなら、
そういった自分の価値観から太陽光などの再生可能エネルギーを中心に発電を行う会社から、
電気を購入することも可能になったのです
(※ただし、マンション全体で一括して電気の購入契約をしている場合など、マンション内の規約などで制限される場合があります)。
さらに、家庭の省エネ診断サービスなども登場し始めています!
詳しくは、「経済産業省 資源エネルギー庁 電力小売全面自由化」をご覧ください
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/electricity_liberalization/
世界第2位の人口を占めるインドは、電力消費量の増加が著しい国の1つです。
そのインドが、化学工場事故・ボパールの悲劇を忘れることなく教訓として、不安が残る原発輸入のみではなく、希望に溢れる太陽光発電の分野で益々成果を出してくれたら、私たち日本人は、いつの日かインドからエコエネルギーを学ばせてもらう時代が来るかもしれませんね。
私たちがこの事件から学び取れることは何でしょうか?
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参考文献
日本経済新聞 2014/12/11付 朝刊
「ボパールの悲劇」から30年 大事故の後遺症、今もなお
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO80764820Q4A211C1FFE000/
Process Safety Incident Database
ボパールの悲劇 – 25年前 2009年12月
http://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2016/03/2009-12-Beacon-Japanese.pdf
《シリーズ・アジア環境情報ガイド》
インドのボパール事件を調べる 山下英俊
http://www.einap.org/guides/3016263.pdf
東京新聞 社説2014年12月24日 ボパールの悲劇
インド・ボパール事故から 20 年あまり経て 古積博
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/46/4/46_232/_pdf
毎日新聞2016年2月5日
インド 賠償責任は電力会社に…原発条約を批准
http://mainichi.jp/articles/20160206/k00/00m/030/098000c
Newsweek 2016年11月12日
日本からインドへ原発輸出へ、原子力協定に署名 核実験の停止継続が前提http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/post-6296.php
CNN 2016.03.15
インドの国際空港、太陽光で電力の自給自足を実現 世界初
http://www.cnn.co.jp/tech/35079548.html
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