発がん性物質も含まれる合成香料で作られた市販香水の実態と、安全な香水の選び方。
世の中は、あらゆる香りで溢れています。
柔軟剤や食器用洗剤、アロマオイルやお香・・。
香りを発するものの種類は豊富ですが、その中でも「香水」は人に印象を与える重要な役割を担う要素ではないでしょうか?
ほのかに漂う香水の香りで、その人のイメージを印象づけてしまうほど、インパクトのある香り。
しかし、ひとつ不安があります。
それは普段肌に使うものとして、本当に安全かどうか?という点です。
知ればぞっとする、市販香水の実態について
香水の歴史は古く、はじまりは10世紀前後だと言われています。
香料そのものはもっと前から存在していました。
市販の香水には、化学的に香料を生産する「合成香料」が使われているものもあります。
「国の基準のもと使用されているというが・・・?」
合成香料に潜む、危険性
合成香料は簡単に量産することのできる香料とも言えます。また私からすれば奇妙に思える話ですが、自然界に存在しない香り成分を作り出すこともできます。
しかし、それら合成香料には健康被害をもたらす物質が含まれていることがあります。
代表的なものにはアルデヒド類が挙げられます。
アルデヒド類
ベンズアルデヒド、アニスアルデヒドなどアルデヒド類の毒性は、私達のみならず多くの生き物にとって有害な物質とされています。
アルデヒド類は一般式ではR-CHOと表される化学物質(C=炭素原子、H=水素原子、O=酸素原子、R=任意の基)ですが、Rを除いた部分である“アルデヒド基”は、タンパク質のアミノ期と反応を起こすことで、タンパク質を凝固させる作用があります。
合成香料として利用されているベンズアルデヒドやアニスアルデヒドは、「国の安全基準の下」利用されているとのことです。
しかしベンズアルデヒドによる人体への影響を調べてみると、吸入や摂取による喉や咽喉痛、皮膚への接触による炎症(肌が赤くなる)、目に入った場合には痛みが生じる、ということが知られています。
またアルデヒド類の他に、香水に含まれる代表的な化学物質には以下のような症状が恐れられています。
香水に含まれる代表的な有害化学物質
アセトン
-
- 眠気またはめまいの恐れ
-
- 呼吸器への刺激の恐れ
-
- 頭痛、気管支炎の恐れ
- 生殖機能や胎児への悪影響の恐れの疑いあり
塩化ベンジル
-
- 目の粘膜、皮膚への刺激
- 強い催涙性
ベンゼン
- 発がん性物質
人体への影響がしっかり明記されている成分が含まれていると考えるとぞっとしませんか?
参考文献:ベンズアルデヒド – 国際化学物質安全性カード(WHO/IPCS/ILO)
化学物質過敏症になるケースも
いい香りをまとうためにつけていた香水が台無しにするかも・・
合成香料は香りを強くすることが簡単にできます。
人工甘味料でも同じことが言えますが、天然の100倍もの香り(甘味料で言えば甘さ)を1滴たらずで発揮するものもあります。ただ合成香料の強すぎる香りで、化学物質過敏症になるケースもあります。
化学物質過敏症は、様々な化学物質に対して、体が過敏に反応してしまい、
微量であっても頭痛や吐き気、めまいなど様々な症状に苦しめられる”環境病”です。
体が反応してしまう化学物質の量は、人によって様々なため同じ状況下において、全く反応が起きない人と、ひどい症状に襲われる人がいます。
ただこのご時世、毎年300物質程度の新たな化学物質が市場に流通していると言われています。
その状況から考えると、いつ、どこで、発症してもおかしくない病気と言えるでしょう。
化学物質過敏症の難しいところは、専門的に診療を行ってくれる医師が限られているという点です。
化学物質があまりにも身近すぎる世の中だからでしょうか。
「更年期障害」や「精神疾患」としての症状として診断されることも少なくないと言われています。
微かな香りでも吐き気を催すようになる可能性も
明らかな体調不良に気づいたら
だからといって、我慢し続けていては、そのうち市販の香水以外の香料でも症状が悪化する可能性はあるでしょう。
私の場合、元々嗅覚が敏感なのかもしれませんが、強すぎる市販の香水だけでなく、車や自宅用芳香剤でも吐き気を催すようになってしまいました。
もし自分がその状況におかれたとき、医師の診察で問題ないと言われたから我慢する、という人はいないですよね。
香水を利用していて、以下の症状が気になる場合には、ただちに香水の使用をやめ、
見つけられるのであれば「化学物質過敏症」を専門とする医師にかかることをおすすめします。
目
視力低下物がかすんで見える
まぶしい
目が乾きやすいなど
鼻
鼻水・鼻づまり鼻血など
耳
耳鳴りがする音が聞こえにくい
中耳炎
めまいなど
口
口が乾くよだれが過剰に出る
のどの痛み
のどの詰まった感じなど
おなか
下痢や便秘むかつきなど
呼吸器
せきやくしゃみ呼吸がしづらい
ぜんそくなど
皮膚
かゆみ湿疹やじんましんが出る
精神
気分が不安定になる思考力低下
いらだちやすくなるなど
参考文献:化学物質過敏症支援センター
安心できる香水の選び方
市販香水における実態を知ったからといって、香水をつけるのを我慢するのはもったいないことです。
安心できる香水の選び方を知っておけば、不安を解消しつつ香水を楽しむことができます。
天然香料を見分けるための方法や、自作してしまう方法についてご紹介していきます。
安全なオーガニック天然香料の見分け方
市販されている化粧品の中には、記載する成分名が多いがゆえに、「香料」とまとめて表記することが一般的とされています。しかしこれでは「合成香料」なのか「天然香料」なのかを確かめることができません。
2001年4月に化粧品の全成分表示が義務づけられたのですが、香料に関してはまだまだ消費者が把握できる状況にありません。
ただ多くのオーガニックコスメメーカーは、天然香料を使用していることを私達に伝えるため、エッセンシャルオイル(精油)を明記しています。
信頼できるオーガニックコスメメーカーであれば、そのオイルの抽出法も釜と水と火だけで抽出可能な水蒸気蒸留法で採取されているはずです。
水蒸気蒸留法であれば、そのシンプルな製法のおかげで、栽培地のそばに蒸留所を設置することができるため、材料となる植物の鮮度も期待できます。
<天然の香料の例>
ラベンダー油、ティートリー油、スィートオレンジ油、レモン油、ゼラニウム油、グレープフルーツ油など参考文献:天然の香料 日本オーガニックコスメ協会
有機溶剤抽出を避ける
ただし注意しなければならないのが、有機溶剤によって抽出された植物性オイルです。
有機溶剤抽出にも理由はあります。
デリケートな香りをもつジャスミンやローズといった香りは、含まれる精油の量が少ないこと、
また水蒸気蒸留法によって香りが変質してしまう欠点から、有機溶剤を用いた抽出法が好まれています。
方法ですが、石油エーテルやヘキサンと呼ばれる有機溶剤に原料を入れ、芳香成分とワックス成分を含む半固形状のコンクリートと呼ばれるものが出来上がります。これをエチルアルコールを用いて芳香成分とワックスを分け、エチルアルコールを揮発させて抽出します。
デリケートな香りを維持でき、収量も多い抽出法ですが、抽出成分に溶剤が残ってしまうと言われています。化学物質による身体の影響を危惧する人であれば、香水に含まれるジャスミンやローズの香りは、精製法を確認した上で使用することをおすすめします。
参考文献:長島司(2012)『ビジュアルガイド 精油の化学』,フレグランスジャーナル社
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¥ 35,811(税込)シンプルな内容量のものを選ぶ
上記をふまえて安心できる香水とは何かを考えたところ、
結局成分内容がとことんシンプルなものに限られるという結論に達しました。
IN YOUでオススメされているオーストラリアのオーガニックの香水。こちらは、世界でも最強レベルの厳しさを持って作られたオーガニックパフュームです。
感動するほどシンプル。
嫌な香りもしません。
例えばオレンジが優しく香るタイプのものであれば、
精製水とオレンジ果皮油、トウヒ油、イランイラン花油ベチベル根油などといった、天然の精油しか含まれていません。
しかもオーガニック。
ここまでこだわった香水はなかなか見かけませんが、本物は、香りが薄れるのも早いですよ。
人工的な香りほど長続きするのです。
成分表示が不安だったら・・
成分表示は基本、配合量が1%以下のものは順不同でOKとされています。もし市販されている香水に天然の精油が含まれていても、表記の順番に注目してみてください。
前半に列記されているものが人体への影響が疑われる化学物質ばかりで、後半にやっと天然精油が表記されているものは、使うのをためらってください。
主成分である水の次に、すぐ精油が表記されるシンプルな香水なら、
天然精油の配合量が多かれ少なかれ、ムダなものは一切入っていないのだと安心できるかと思います。
参考文献:久光一誠(2017)『美肌のために、知っておきたい 化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』,永岡書店
手作り香水もおすすめ
また、もし時間があれば手作りするのもおすすめです。
植物油を使った抽出法は本来マッサージオイルとして利用するものですが、
日の当たらない耳の裏や手首に少量馴染ませると、肌への負担も少なくほんわりと香るのでおすすめです。
お好みのハーブ・・・10g
オーガニックの植物油・・・100ml
耐熱性ボウル、鍋、こし器、棒(かき混ぜる用)、保存用の遮光瓶
1.耐熱性のボウルにハーブと植物油を入れる2.鍋に水を入れ、沸騰させたら弱火にし、湯煎にかける
3.30分以上湯煎する。この際、時々かき混ぜる
4.濾した抽出液を保存容器に入れて完成
精油の抽出を簡易的にでも経験しておくと、どのような香りがシンプルな抽出法でも定着しやすいのかを学ぶことができるので、成分表記されている香料から、使用されている抽出方法を予測することができるかもしれません。香りを生産する側について、身をもって学べる良い機会だと思います。
参考文献:ニールズヤードスクールオブナチュラルメディスンズ監修(2009)『ニールズヤード式メディシナルハーブレッスン』,河合出書房出版
市販香水を見比べてみよう
大切なのは、市販香水の実態を情報で知るだけでなく、実際に香水を手に取って、香りを構成している成分表記や製造方法について知ろうとすることが大切です。
同時に精油を使ったシンプルな香水と比較してみましょう。
驚くほどシンプルな香水と、耳に馴染みのない成分がたっぷりの香水、どちらを使用したいと思いますか?
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