世界初のビーガン・サッカークラブとなったフォレスト・グリーン・ローバズとは?会長Dale Vince氏がサッカー業界を通して世界に伝えたいこと。
フォレスト・グリーン・ローヴァーズ(FGR)とは?
フォレストグリーン・ローヴァーズ・フットボール・クラブ(Forest Green Rovers Football Club)は英国グロスターシャー州ネイルワースを本拠地とするプロサッカークラブ。FGRはその略称です。参考:Wikipedia
なぜFGRはビーガンサッカークラブとなったのか?
過去10年間で、英国の完全菜食主義者は360%増加したと言われています。今やかつての60〜80年代のように麻の洋服を着てドレッドヘアーでヒッピーを主張するような風潮は薄れ、イギリスではもはや菜食は少数派ではなく主流となってきました。その中でもビーガンライフスタイルを広めることに特に積極的に取り組んでいるのが代替エネルギー会社Ecotrucityの創設者でもあるFGRの会長、Dale Vince氏。
出典:BBC
ヴィンス氏の取り組みで、クラブは2014年6月以降完全無農薬栽培を開始。クラブ内では完全ヴィーガン、つまり肉や魚、乳製品などの動物製品は一切提供されません。
彼がFGRの会長に就任してからわずか数日後の2010年10月、彼はチームの食事メニューから赤身肉を除外しました。
ヴィンス氏がFGRに関わる前、選手達は試合前には赤身肉を使ったラザニアをよく食べていました。それを見たヴィンス氏は”赤身肉は消化に悪い。試合前に彼らのパフォーマンスを下げるであろうものを提供するのは間違いだ”と考えました。
その後、彼はクラブ内で白身肉、魚、牛乳、チーズの順で動物性の食品を次々と除外し、2014年6月以降、FGRは完全菜食のサッカークラブとして存続し続けています。
「私は個人的に完全菜食主義であり、環境、動物の福祉、健康について非常に強い見解を持っています。だからといって一方的な見解で変えてしまうのではなく、まずはファン達と一緒に旅をすることで菜食を知ってもらう事にしました。」
メニューから赤身肉を除外するという決定には一部から批判がありましたが、多くの人々に大きな衝撃を与えました。そして意外なことにファンの多くはクラブが完全菜食に移行することについて好感を示してくれたと彼は言っています。
「サッカー試合で提供される食べ物は健康を害するものばかり。特にバーガーは原料が安く済む為、様々な場所で提供されていますが消化にも悪くやはり健康的ではありません。我々はそれを本当に高品質な植物ベースの食品に置き換えました。」
とはいえ、ホームゲーム(自チームの本拠とする競技場での試合)は2週間に1度、それも2時間だけなので普段からよく肉を食べる人にとってもそれほど負担ではないと言います。
「たとえ短時間でも完全菜食が耐えられない、という選手にはハムサンドイッチの持参を許可しています。」
Vince氏のお気に入りのメニューは、ビーガンペストリーで包まれたビーガンクォーンパイ。マッシュポテトに乗せられ、えんどう豆、千切りにしたネギ、クレービーソースをトッピングしたもの。
出典:Forestgreenroversfc.com
クラブメニューから肉が消えた際に、一部のFGRファンの中にはベジタリアンに転向した人もいたとのこと。
スポーツ選手にとってビーガンは良い選択なのか?
Vince氏によると、試合前に完全菜食の食事をとることで得られるパフォーマンス上の利点を伝えると、選手達はすぐに菜食を受け入れてくれたと言います。「赤身肉はパフォーマンスが悪く、トップアスリートは赤身肉を避けることは珍しいことではないが、驚くことにサッカーでは一般的ではなかった。」と彼は言います。
Vince氏がFGRに関わる前までは、誰も選手の食事について言及しませんでした。しかし今では試合の始まる2〜3時間前に、パスタ料理やジャガイモに焼きたての豆など、シンプルな炭水化物の食事が提供されているとのこと。
メニューの変更によって、クラブのファン達が悪いイメージを抱かなかったことにVince氏は驚きを感じたと言います。
「人々は我々がクラブに菜食という新しいものを取り入れることで、今まで既存のファンが減り誰もイベントに来なくなるのではないかという不安がありました。そうなってしまえばスポンサーを失い、更にファンが減ってしまいます。しかし、それのどれも起こりませんでした。」
彼は、変化に対して最も声を上げた人が今、新しい食糧の最大の主張者だと言います。グリーンエネルギーに取り組むVince氏にとって、サッカーはまだまだ未開拓の領域と言えそうです。
参考:Independent
世界でも例を見ない完全木製のエコスタジアム。
2016年11月、FGRが世界初の完全木製のエコスタジアムを建築予定ということで話題になりました。世界50カ国以上のエントリーの中から、世界的にも有名な今は亡き建築家Zaha Hadid氏のデザインが起用。
出典:Architectmagazine.com
完全木製のスタジアムの利点は、自然材料だけで出来ているという点だけでなく、炭素含有量が非常に少なく環境に影響を与えにくいという点があります。
ピッチ上の芝生は完全無農薬で育てられており殺虫剤や除草剤も一切使用しません。
また、スタジアムの屋根は透明な膜で覆われており、芝生の成長を妨げずプレーヤーやファンの為に影を最小限に抑えた構造になっています。
出典:Architectsjournal.co.uk
FGR内で販売されている食品や飲料もほぼビーガン。
グロスターシャークラブは128年史上初めてサッカーリーグへの昇進を果たした後、ビーガン商標を受けました。FGRは2015年よりマッチデーメニューからも動物性食品を除外。販売されている食品は肉料理ではなく、野菜のハンバーガー、ビーガンパイ、ファヒータ(小麦のトルティーヤに具材をのせたもの)など。FGR内で販売されているビールやサイダーもビーガンです。英国ではビーガン人口が急速に増えている
Vegan Society(英国で創立された世界で最も古い菜食主義社会)が英国の15歳以上の方を対象に調査を行ったところ、英国の542,000人が完全菜食主義者だということが判明しました。Vegan Societyは、ビーガンは今や英国で最も急速に成長しているものの一つであると述べています。
Vegan societyのジャスミン・ド・ブー最高経営責任者(CEO)は、「英国に50万人以上のビーガンが増えたのはとても素晴らしい」と述べており、英国に完全菜食主義者が増えたのは、これまで以上に多くの人々が完全菜食の健康と環境の利益に取り組んでおり、畜産業界で実際に何が起こっているのかを見つけ出した結果だとしています。
また、世界的に有名なハリウッドスターやセレブ達の間で完全菜食主義者が増えてきていることもビーガン人口増加に影響していると言えます。
ビーガンはかつて極端で制限的な食生活と見られてきましたが、状況は変わりつつあります。英国の多くのスーパーマーケットでは自社ブランドのビーガン製品が販売されており、高級レストランやカフェではビーガンオプションが用意されています。
英国では消費者が農業の現実と肉や乳製品の健康への影響に精通するにつれて、このブームは続くと考えられています。
参考:Telegraph
日本でも少しずつ浸透しつつあるビーガン。
英国ほど急速的なブームはまだ起きていませんが、日本各地でもビーガン食品を扱うスーパーや飲食店が少しずつ増えてきています。最近では米国の、肉を一切使用しない動物性フェイクミートバーガーショップ「Impossible Burger」がまもなく日本に上陸予定です。
2010年、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された世界食肉会議(World Meat Congress)では食肉消費量の増加に伴い2050年までに食肉生産量を倍増させる必要があると専門家が指摘。
世界人口の増加に加え食肉の消費習慣も広まりつつあり、中国では食肉消費量が30年前から4倍に膨らんだという統計も。
ただ食肉生産を増やせば良いという話ではなく、気候変動や干ばつ、温暖化問題や畜産農家が直面するさまざまな脅威への対策が必要不可欠となります。
このような問題から考えると、今後日本を含めた世界各地でベジタリアン・ビーガン食品を扱う店舗が増えてくるのではないかと個人的には予想しています。
参考:Afpbb.com
「ミートフリーマンデー」って知ってる?
ミートフリーマンデーとは「環境と健康の為に週に1度はベジタリアンになろう」という運動です。この運動はサンフランシスコやワシントンDCなど世界中の数百もの都市や公的機関が採用しています。
著名人ではポール・マッカートニーやオノ・ヨーコなどが運動を世界中に広めています。お肉を減らしたほうが良い理由は動物と地球環境を守る為、そして人々を守るためです。
出典:Paulmccartney.com
毎年700億頭の動物達が人間の食べ物として殺されています。
日本でも約10億頭の畜産動物達が苦しんでいます。
256万頭の牛が殺され、139万頭のミルク用の牛が子供と引き離され、機械のようにミルクを搾り取られています。
953万頭の豚が殺され、約88万頭の母豚が拘束飼育されています。
7億4千万羽の鶏が殺され、1億羽のひよこが生まれた瞬間に窒息死またはすり潰されて殺され、1億7千万羽の卵用の鶏が狭いゲージにぎゅうぎゅうに押し込まれながら卵を産ませられ続けています。
これらの動物達は、その動物らしく生きていく権利を全て奪われています。その飼育現場はあまりにも悲惨すぎて、多くの人にとって見たくない真実です。
ポール・マッカートニーはベジタリアンですが、その第一の理由は動物への思いやりだと述べています。
もう一つ、お肉をやめたほうが良い理由は地球環境の未来の為です。
2006年、国連食糧農業機関は畜産業による環境破壊がとても大きいことを明らかにする論文を発表しました。その後も多くの専門家によっって交通機関から排出される地球温暖化ガスよりも畜産業から排出される温暖化ガスのほうがはるかに大きいことが証明されてきました。
さらに畜産業は水資源を使いすぎることや森林破壊、飢餓問題など多くの問題を抱えています。
ハンバーグ1つを作る為に使われる水の量は日本人1人が約2ヶ月お風呂に使う水の量と同じです。
アマゾン流域の真因破壊の原因の91%が畜産によるものです。
100gの牛肉を作る為に必要な穀物は1000g以上、豚肉100gを作る為には700g、鶏肉100gのためには400gの穀物が必要です。
食糧自給率が低い日本ですが動物の餌の自給率はさらに低く、世界中の穀物をかき集めほんの少しの肉を生産しています。
もし世界中の人々がミートフリーマンデーを実施すれば100万頭の動物が助かると言われています。そして地球の未来も1/7明るくなるのです。動物達や地球のため、何より皆さん自身の健康のため、週に一度のミートフリーマンデーを試してみませんか?
ビーガンサッカークラブという存在は意外だった。
海外の菜食主義事情を調べていた時にパッと目に入ったのがビーガン志向のサッカークラブ、FGRのニュースでした。世界中で菜食主義者が少しずつ増えていて、ヴィーガン志向のスーパーや飲食店が増えているというのはよく耳にしますが、
ヴィーガンスタイルのスポーツクラブがあるというのは今までになく新しい話題だと思います。
完全菜食主義までいかなくても、ミートフリーマンデーのように少しでも環境の負担を減らすような活動が増えれば動物たちはもちろん、私たちの生活も変わってくるのではないでしょうか。
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