薬は頼りたくない。でも、ここだけは!という時に。「秋の不調に効く漢方薬」の使い方一覧まとめ
薬には極力頼りたくない・・・
そんな風に思っている方は、INYOUの読者の中にはとても多いのではないでしょうか。
でも、食事療法だけではムリがある、明日は大事な時なのに、どうしても症状を抑えたい。
不調を根本治癒するのに役立つのが漢方薬です。
漢方とは?
漢方は、もともと中国(漢)で発達し、日本に渡って独自の発展をしてきた伝統医学です。
患者さまの自覚症状を重視し、病気を身体全体の不調和ととらえ、正しくととのえるのが目的。
人が本来持っている病気と闘い、治す力(自然治癒力)を高めることに重点をおいています。
出典 ツムラHP
そう、漢方とは中国で発達した伝統的な東洋医学なのです。
秋の季節の変化で風邪をひきやすくなったり、秋花粉でアレルギーになったり、気温が下がり心の不安が出てくる方も少なくありませんよね。
一時的に症状を緩和させるための対症療法の薬と違って、漢方薬のほとんどが、人の持っている力を補佐するものが多いので、対症療法ではなく体質からかえることができます。
そんな漢方薬を取り入れる参考になる内容をご紹介いたします。
感冒に効く漢方薬一覧
感冒は、漢方薬をすぐに使うことによって、症状の悪化を防いで早期回復を促してくれます。
風邪での漢方薬の役割は、体温を早く上げて、熱に弱いウイルスを排除する生体反応を補佐するものです。
したがって、インフルエンザを含む感冒の時には、漢方薬を熱湯で溶かして人肌程度に冷まして飲ませることが大切になっていきます。そして、体が冷えてはいけません。
感冒の漢方薬選びのポイント
□症状が出てからどのくらい経ったか
□汗をかいているか
このポイントで選ばないと、間違った漢方薬を飲むことになり、効かなかったり効果が弱かったりと効果に大きく影響してきます。
葛根湯(かっこんとう)
使うポイント□感冒の初期(症状が出て半日以内)
□汗をかいていない、体力がある状態
□胃腸が丈夫なこと
□発熱、頭痛、さむけ、咽喉痛、肩から背中の筋肉のコリがある場合
葛根湯は、感冒の初期と肩こりに用いられるのが有名な使い方です。感冒の初期の場合は、通常2〜3日までが使いどきです。これで改善されない場合は、違う漢方処方へ変更しましょう。
麻黄湯(まおうとう)
使うポイント□感冒の初期(インフルエンザ初期)
□急に高熱が出て赤い顔をしているのに汗をかいていない、体力がある状態
□胃腸が丈夫なこと
□寒気、節々の痛み、倦怠感、頭痛、咳、腰痛がある場合
麻黄湯は、インフルエンザに効く漢方薬です。通常2日間で熱が治まります。長くても使うのは3日間までにとどめるようにしましょう。
桂枝湯(けいしとう)
使うポイント□感冒の初期
□汗をかいている、虚弱体質
□発熱(多くは微熱)、悪寒、頭痛、咽喉痛、のぼせなどがある場合
桂枝湯は、すでに弱っている、虚弱体質の感冒に有効な漢方薬です。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
使うポイント□感冒の初期
□汗をかいている、虚弱体質
□冷え症で低体温の人の風邪
□寒気が強く、青白い顔
□倦怠感、微熱、咽喉痛、水様鼻汁、頭痛、咳がある場合
□高齢者
□胃腸が丈夫であること
麻黄附子細辛湯は、高齢者または、寒気が強い人に使われます。ただ欠点として、胃腸が弱いと飲めないことがあります。その場合には、人参湯(にんじんとう)で胃腸を守るように併用すると良いでしょう。
香蘇散(こうそさん)
使うポイント□感冒の初期〜寛解期
□汗をかいている、虚弱体質
□精神的な抑うつ状態
□風邪をひきやすい
□妊婦・授乳婦
香蘇散は、精神症状が感冒前から強い傾向にある人に有効で、感冒の時期に関係なく使えて、妊婦・授乳婦の感冒にも使うことができます。
小柴胡湯(しょうさいことう)
使うポイント□風邪にかかって数日以上を経過
□食欲不振、口が苦い、吐きけ、全身倦怠感、胸や脇腹が重苦しい
□微熱、咳、痰が残る
感冒中に1週間使う処方です。咳の症状が強い場合には、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、また虚弱体質の場合には柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を使ってみると良いでしょう。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
使うポイント□感冒が治りかけている状態
□咳、倦怠感が残る
熱が治るとそれ以降は通常通りに過ごしてしまうのですが、まだ「病み上がり」で弱っている状態であることには変わりありません。最後の一押しに使ってみましょう。
アレルギー性鼻炎に効く漢方薬一覧
出典:スキンケア大学鼻炎は、鼻の粘膜の炎症で鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどが現れます。漢方薬を使うことで、体質を改善しながら治療することができますので、根本治癒をすることができます。
アレルギー性鼻炎の漢方薬選びのポイント
□胃腸の強さ
□鼻炎の中でもどの症状が強いのか
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
使うポイント□急性鼻炎には、まずはこれを
□水っぽい鼻水、くしゃみ、鼻づまりがある
□むくみやすく、足先が冷えやすい
□胃腸が強い
小青竜湯は、鼻炎の第一選択される有名な漢方薬です。まずはこれから始めてみると良いでしょう。ただ、麻黄(まおう)と呼ばれる生薬が含まれているため、胃腸が弱い人は動悸や食欲不振が起こることがあります。その場合には、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)を選ぶことで、麻黄の量を減らすことができ胃腸の負担が軽くなります。これでも調子が悪い場合には、麻黄を含まない漢方薬の苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)を選ぶと良いでしょう。
葛根湯(かっこんとう)
使うポイント□鼻づまりが強い
□肩こりもある
□胃腸が強い
感冒の初期で有名な葛根湯ですが、鼻づまりにも効果があります。肩こりも伴う場合は、使ってみると良いでしょう。また葛根湯に川芎(せんきゅう)と辛夷(しんい)と呼ばれる生薬を追加した、葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は鼻づまりの改善作用が強くなります。
不安、憂うつな症状に効く漢方一覧
精神に関わる不調の場合、心身両面に原因があること、環境によるストレスも見逃せないポイントとなります。漢方薬では、軽症のものを治癒するのに優れており、漢方薬選びも個々の体質や他の症状との関連を知ることが大切になっていきます。
不安、憂うつな症状の漢方薬選びのポイント
□体力があるのかないのか
□特にどんな症状が強く出ているのか
□女性ホルモンとの関係
抑肝散(よくかんさん)
使うポイント□体力がない
□不安やイライラ
□パニック障害
□認知症の怒り、徘徊
抑肝散の本当の使い方は、夜泣きなどの子供に使われる漢方薬です。
また、お母さんの育児ストレス緩和のために、母子同時服用をお願いすることもあります。
即効性もありますが、飲み続けて徐々に和らいでいきます。
1日2回にして、頓服でもう1回増やす使い方がオススメです。飲み過ぎに注意しましょう。
疲労困憊で熟眠できない、悪夢が多い、寝た気がしない場合には桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、高齢者で物忘れがある場合には、加味帰脾湯(かみきひとう)が効きます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
使うポイント□体力がある
□過重労働、神経過敏
□更年期によるイライラ
柴胡加竜骨牡蛎湯は、物音に敏感に反応したり、ちょっとした音で目が覚めてしまう、小さなことでイライラする、更年期の強いイライラに有効です。
これらの症状に便秘が加わることが多いですが、便秘の症状がない場合には、柴胡加竜骨牡蛎湯の大黄(ダイオウ)と呼ばれる生薬が入っていないものもありますので使うと良いでしょう。
また、PMSによる攻撃性の高いイライラが強い場合には、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、体力がなく女性ホルモンの影響で起きる不安で更年期、PMSの両方に使える加味逍遙散(かみしょうようさん)もオススメです。
漢方薬の注意点
産地は8割が中国産。完全無添加、無農薬のものを手にいれるのは厳しい。
ご存知の方もいるかもしれませんが、原材料の生薬については、中国産が8割を占めています。日本に出回っているものはブランドにもよりますが検査をしているケースが多いので
一時的な服用であればそれほど気にする必要はないかもしれません。
ただし、やはり薬であることには変わりなく長期的な服用は避けるに越したことはないと思います。
どうしても添加物や品質が気になる方については、少し値がはりますが無農薬漢方も一部扱いがあるようなのでご自身で調べてみてはいかがでしょうか。
しかし完全無農薬の漢方はまだまだ手に入りにくいのも現実です。
一般的な漢方薬の相場は1ヶ月で2万〜8万くらいと言われております。症状や品質の良いものによって異なりますが、一般的な漢方薬局でしたら、1か月3万円も出せば良いものが買えると言われています。
また、人の見立てによって診断が変わってしまうので、細かく観察することが大切になっていきます。
2週間に1回カウンセリングを受けるなど、念入りに経過を見てくださる漢方薬局を選びましょう。
基本的には薬に依存しない、自然治癒力を高める生活を
またここまで漢方についてお伝えしてきましたが、漢方であればどれだけ飲んでも安全、ということではもちろんありません。
通常の西洋医学で用いられる薬よりは副作用が少なかったり、根治治療を目的としたものであるということが利点ではあるものの、毎日中長期的に依存して飲むものではないことを知ってください。
どうしても市販の薬は飲みたくないが、という方が自力で直すのは難しい時の一時的なサポート役としてとらえていただければと思います。
まとめ
体質に合わせて飲む東洋医学の漢方
出典:薬日本堂漢方薬の多くは「湯」という文字が最後についておりますので、ついているものは白湯で飲むようにすることで本来の効果が得られやすくなります。
また、今回は参考で書かせていただきましたが、全く別の漢方薬が効く場合も少なくありません。
漢方薬は、状態、体質によって効くものが大きく変わります。
これが西洋医学の薬と異なるところです。
この症状に効くとは一概には言えないのです。
本格的に取り入れたいと考えてらっしゃる方は、漢方薬局へ言って薬剤師にご相談いただければと思います。
漢方薬局もすごく綺麗で、入りやすいところも増えてきましたし、天然成分の石けんやお茶、化粧水も置いているところもあります。
何かの役に立てば幸いです。
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