良い香りの裏側で起きる森林破壊、乱獲、盗伐。恐ろしい環境破壊へのカウントダウンに加担するアロマオイルの実態。セラピストが知らないアロマオイルの作られ方とは?
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アロマセラピー(アロマテラピー)が日本に定着して久しいですね。
今はディフューザーなども普及して、
いろんな場面でさわやかなアロマの香りを感じる機会があります。
また、アロマトリートメントなどの施術が受けられるリラクゼーションサロンも増え、
心身のケアに利用されている方も多いでしょう。
アロマセラピーとは、直訳すると「芳香療法」という意味です。
植物から抽出される100%純粋な香りのエッセンスである精油(エッセンシャルオイル)を用いて、
その香りを嗅いだり、皮膚に塗布したりすることにより、
心や体を健やかにしたり、生活をより豊かなものにすることです。
アロマセラピーの可能性は素晴らしいもので、
免疫力向上・感染予防などの健康管理に活かせるほか、
香りが脳へ働きかける仕組みによって仕事の執務率を向上させたり、
最近では認知症の予防や進行を食い止めることでも注目されています。
ディフューザーなどによる芳香はインテリアの一部にもなって、
アロマセラピーの知識がない消費者にとっても
身近で手軽に試せるものとなりました。
私自身、アロマセラピーを取り入れたボディケアサロンを運営していますが、
体のメンテナンスへの意識が高い女性を中心に、ボディケア・スキンケアも人気があります。
アロマセラピーの資格取得も根強い人気があり、
アロマセラピー講師やアロマセラピストという仕事など、
精油の需要の高まりはまだまだ続いていくことでしょう。
そんな人気のアロマセラピーですが、
その影で環境破壊もあったことをご存知でしょうか。
華やかで体に優しいイメージからは想像しにくいかもしれませんね。
アロマセラピーに関わる芳香原料植物についての実態
精油の作られかたについて
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まず、精油の製造方法についてご説明します。
アロマセラピーの核である精油は、植物の「香り」だけを集めたものです。
まず、原料となる植物を用意します。
植物によって抽出方法が変わることがありますが、一番メジャーな抽出方法が、
「水蒸気蒸留法」というものです。
まず、植物を蒸留にかけることによって、その熱で植物の細胞壁が壊れ、
香りを取り出しやすくします。
香りを含む蒸気を冷却すると、水分と油分を抽出することができます。
この油分が精油です。
(「アロマオイル」など、100%純粋な精油ではないものも売られています。
人工香料と合成してあったり、濃度を調整しているものは精油ではありません。
精油と認められるものは、「エッセンシャルオイル」という表記があるほか、
抽出部位や抽出方法、原産地、ロット番号、成分分析表などが添付されています。)
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想像以上に必要な原料植物
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この精油を抽出するために、どのくらいの植物が必要になると思いますか?
例えばアロマセラピーでも人気のある「ラベンダー」は、
1 kgの精油を抽出するのに約200kgのラベンダーが必要といわれます。
最も原料を多く必要とする「ローズ」の精油などは、
1kgの精油を抽出するのに約5000kgのローズの花が必要と言われています。
一滴のローズの精油に必要な花が50〜100個ということです。
すごい量ですよね。
これだけのコストをかけているものなので、精油は決して安価ではありません。
(日本では雑貨に分類されています。)
精油原料はどこでどのように育てられているかご存知ですか?
精油がかなり多くの植物を必要としていることはご理解いただけたでしょうか。
これらの植物は、それ専用の畑で育てられている農作物ということになります。
植物の原料は世界各地にありますが、
香料の需要やアロマセラピーの普及に伴って、原料植物を育てる畑もどんどん拡大してきました。
しかし、実際にどのように原料植物が栽培されているか、
それを知るための現地の情報は多くありません。
アロマセラピストは信用ある大手精油メーカーの精油であれば、
安心して使えると考えている方が多いようで、
生産地のことにまで踏み込んで調べることは少ないようです。
本来、精油原料の生育は安全で環境に配慮したものであるべき
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アロマセラピーとして精油を活用する際には、2つのルートがあります。
芳香によって呼吸器から取り込んで肺胞から毛細血管へ吸収する方法、
オイルトリートメントなど、肌から経皮吸収して毛細血管へ吸収する方法です。
また、メディカルアロマといって、医療レベルで活用されるものもあります。
このように精油は分子が小さく、私たちの血液にダイレクトに入ってくるものなので、
原料植物の栽培はオーガニックにこだわる、品質の管理がよりしっかりされる、
環境に配慮した原料調達をしている、自然への敬意がある、そんな生産者が尊重されるべきです。
大量生産のためのプランテーションによる森林破壊、乱獲、盗伐
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しかし、残念ながらそういった事業者ばかりではない現実があります。
オーストラリアを主な産地とする「ティーツリー」は、
その殺菌作用や抗菌作用で注目を集め、
大勢の人が栽培に乗り出したことで、大量生産を可能にするプランテーションが多く作られて、
そのために森が切り拓かれて環境が破壊されていった地域もあります。
中でも、「ローズウッド」や「サンダルウッド」、「フランキンセンス」などは、
原料が木部や樹脂なので、生育に時間がかかり、みるみるうちに数が減ってしまいました。
「ローズウッド」はアマゾンの熱帯雨林で育つ木ですが、
香料のほか、家具などにも人気がある木だった為に乱獲が進みました。
ブラジル政府はその保護のために動いていますが、
それでも絶滅の危機に瀕していて、
ワシントン条約のレッドリストに名を連ねることになってしまいました。
インドを主な原産国とする「サンダルウッド」も
過去に同じように乱獲や盗伐があったため、一時は危機的状況に陥りました。
今はインド政府が保護の対象にしていますが、まだ安心とはいえない状況です。
自然派スキンケア商品に多く使われる「フランキンセンス」は、
古代エジプトの時代から樹脂に香料としての歴史がありますが、
その生育環境も問題になっています。
木を切りつけて樹脂を得るので、木のダメージ回復に時間がかかることに加え、
原産地のソマリア地域では難民が多く、
フランキンセンスを金銭に変えようとする人たちによる乱獲が絶えないといいます。
精油を生産するために、どのくらいの環境破壊があるのかといったデータは、
あまり表に出てきませんが、
私たちがアロマセラピーを楽しんでいる背景に、
こういう環境破壊の可能性があるということをまず知るべきだと思うのです。
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環境を壊してまで手に入れる美や健康は、持続可能?
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私がこういった背景を知ったのは10年ほど前ですが、
本来、私たちの心と体を健やかにするために発展してきたアロマセラピーが、
このように環境破壊の一端を担っているかもしれないという事実にショックを受けました。
自然環境と小さい自然である私たちの健康は、一体であるはずです。
目先だけ見ていれば問題ないように見えても、
長い時間のなかで見ていけば、
その環境に与えた負荷はきっと私たちにはね返ってくるはずです。
そんなアロマセラピーは持続可能ではないと思います。
日本の森林資源を有効活用する精油作り
そんなときに、日本で精油を作っているところがあることを知りました。
アロマセラピーはヨーロッパ発祥なので、
精油植物は海外のものがほとんどなのですが、
アロマセラピーの人気を受けて、日本でも精油作りに取り組む人たちが増えてきていたのです。
私が最初に出会ったのは、地元岐阜県、高山市に拠点を置く、正プラス株式会社でした。
もともとは国産の木製家具を生産する企業だったのですが、
アロマセラピーに着目し、精油が抽出できる樹木を研究することを始められました。
聞くと、アマゾンで絶滅の危機に瀕する「ローズウッド」に香りや成分がよく似た精油もあるとのこと。
それが「クロモジ」でした。
クロモジは、日本の多くの山林に生育する天然の樹木です。
正プラス株式会社では、クロモジのほか、
スギ、ヒノキ(育成林)、マツ、モミなど、日本の豊かな森林資源を活かして精油を生産されており、
まさしく日本産精油のパイオニア的存在として活動されています。
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持続可能なアロマセラピーを実現する日本産の精油
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日本は国土の7割ほどが山林なのですが、
その森林資源を活かさずに安価な輸入の材木を使用するようになってから久しいです。
戦後、資源とする予定で人工的に植樹した木々も放置され、
人の手が入らなくなった山林は荒れ果てていきました。
荒れた山は十分な光が森の奥へ届かず、
地盤が脆弱になり、地すべり、土砂崩れなどを起こしやすくなっています。
正プラス株式会社さんは、こうした山の間伐材を使って精油作りをされているため、
原料採取のために木々を伐採することが、
環境破壊になるどころか、山の健康状態をよくすることに繋がっているのです。
山の木々はもちろん、オーガニック。
天然の樹木なので、オーガニック以上の自然の姿と言えるでしょう。
今、日本の各地で地元の資源を活用した精油作りをするところが増えています。
こんなアロマセラピーなら、環境に負荷を与えず、地域の活性化にも繋がる、
まさに持続可能なものといえるのではないでしょうか。
日本産精油の課題
このように日本産精油を作る取り組みを始めているところは増えています。
しかし現在は中小企業や個人企業、町おこしとしての地方自治体の取り組みなどの中で
精油を生産しているところが日本のあちこちの地域に点在しているという印象です。
それぞれが、それぞれの開発・販売をしているために、全体としてまとまりにくいという状況ではあります。
今後、日本産精油の魅力を日本だけでなく世界にも発信していこうとなると、
これらをとりまとめていける組織づくりなどが必要となるかもしれません。
そして気になる日本産精油の心身への働きかけですが、
歴史が長い海外の精油と比べると圧倒的に不足しているのが臨床データです。
しかし日本産精油に注目しているセラピストは多いので、
今後研究が進み、実践に基づいた臨床データが多く出てくるといいですね。
精油生産の副産物の活用に取り組む企業も
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精油を生産するということは、原料植物を大量に必要とすることは前述したとおりです。
精油抽出後の植物(残渣)や、蒸留釜に残った煮汁、
水溶性の芳香成分を含んだ水(芳香蒸留水)もたくさん残ります。
そういった副産物については、活用できずに持て余し、破棄せざるをえないところが多いようです。
(残渣は畑などで堆肥にされるほか、自然分解に時間がかかるものは堆肥センターなどで処理されます。)
日本産精油によるアロマセラピーをより持続可能なものにするために、
また貴重な資源をできるだけ捨てることなく活かすことを大切にしたいとの想いで
こういった副産物の活用に取り組んでいるところもあります。
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たとえば鹿児島県屋久島に拠点を置く株式会社やわら香さんでは、
屋久島の地杉や、ポンカン・タンカンなどの土地のものを活かした精油作りをされていますが、
精油抽出後の副産物を活かせないかと試行錯誤し、いろんな製品作りに取り組んでいます。
抽出後の残渣を使ったお茶やお香の粉作り、
釜に残った煮汁を染料として活用した染め物など。
芳香蒸留水は、精油よりも刺激が穏やかなので、
スプレーやローションの基材、洗濯水、入浴剤、加湿器などに活用できますが、
保存が効きにくく品質が不安定なために破棄されるものも多いようです。
副産物に着目した地元産業が発展すると、こうした取り組みがより持続可能なものとなるでしょう。
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日本産精油を取り入れるメリット
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私たちの心と体を癒し、健やかにしてくれるアロマセラピーは素晴らしいものです。
精油を購入する際には、ぜひその製造方法に目を向けてみましょう。
品質はもちろん、自然への敬意を持って環境への配慮を大切にしてこそ、
本物の自然療法、アロマセラピーを実践していると言えるのではないでしょうか。
前述のように、海外での精油生産の現場については不透明なものも多いです。
身近な日本で作られる精油なら、
実際に生産地に足を運び、目で確認することもできます。
「身土不二」といって、私たちの体と環境は一体のものです。
ならば、同じ日本で育った植物の香りは、私たちにより馴染むと思いませんか。
実際、海外産の精油に比べて日本産精油は馴染みのある植物が多く、
香りも優しいものが多いからか、
強い香りは苦手だという方や高齢者などにも受け入れられやすいと感じます。
今は香害という言葉も生まれるほど、
強烈な化学合成された香料の香りが日用品にまであふれるようになり、
その香りによる健康被害もでています。
匂いの感覚が麻痺したり自然の香りを知らずに育っていく子どもたちもいるでしょう。
貴重な日本発祥の植物のこと、自然環境のことを子どもたちに伝えていくきっかけとしても、
日本産精油の可能性は大きいものです。
まずは身近な日本産精油を探すところから始めてみてはいかがでしょうか。
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