自分の意見を伝えるのが苦手なあなたに~人見知りで内気なわたしが学び考えたコミュニケーション力とその育て方
自分の意見を伝えるのが苦手なあなたに~人見知りのわたしが学び考えたコミュニケーション力とその育て方
朝起きたときのおはようから夜寝るときのおやすみまで、私たちの1日は伝えるということであふれています。言わないと分からないこともあれば、阿吽の呼吸で言葉にしなくても伝わることも。
中には、伝えるのが得意な人もいれば、苦手な人もまた存在します。
私たちは、伝えるということで、自分とその外の世界とコミュニケーションをとり、いま生きている場所をより居心地よくしているのではないのでしょうか。
幼いころから、内気で人見知りだった私は、大勢の前で自分の意見を伝えるのが苦手でした。
1対1でも時と場合によっては、全くなにも言えなかったことも。
海外に出てさらにその違いに悩み、苦しみました。
そんな中で先週参加した国際学生会議は、私のコミュニケーション能力を伸ばす大きな踏み台となります。
行きついた私なりの伝えるコツ。
いま、コミュニケーションに悩む方の気づきになれたら幸いです。
海外は意見を言わなきゃ始まらず、日本人はただひたすらに空気を読む
日本と海外、意見の伝えかたの違いって?
コミュニケーションの取りかたは、お国柄、人柄がいちばん出やすいものです。
海外、特に欧米諸国に行かれたことのある方は、ボディランゲージ・スキンシップも含め、その違いに驚かれたことがあるかも知れません。
私の経験上、海外では自分の意見を言うことがごく当たり前で、聞かれなくてもこちらから言うという風潮が強いように感じます。
逆に言えば、発言しなければ、相手はこちらがそのことに対して、意見を持たないと捉える可能性が高いということです。
学校でも何かの機会に意見を求められることが多く、その度に言うことがない自分とあっても言えないその弱気に幻滅し、いつでも発言するクラスメイト達を横目で見ていました。
スキンシップに関して言えば、ポルトガルでは、基本的に挨拶の際に相手をだきしめ、ほっぺたにキスをするのが習慣。
さよならの際には投げキス、ありがとうの言葉と共に投げキス、なにかあれば投げキスと非常にキスの多い文化です。
性別に関係なく、相手をだきしめる光景はどこでも見受けられます(コロナの影響で近しい人に限られていますが)。
最初のうちは少し時間とまどいましたが、今では私もすっかり慣れて、まるで昔からしていたようにほっぺたにキスをし、アイドルのようにキスを投げています。
ここはラテンの血が濃く、人と人との距離が近いような気がします。
私が授業中に難しいアクロバティックの技ができず泣いていると、必ずだれかがやってきてだきしめ、キスをくれる、温かい人たち。
しかしながら、私は長い間「あること」に悩んでいました。
私、無視されている?
現在ポルトガルに住んでいるので、当然もっとも耳にする言語はポルトガル語。
これが学校になると、スペイン語そして英語が加わってきます。
学校では、私のように外国人も多いので、普段の会話は「基・本・的・に」英語です。
なぜ、太文字にしたかというと、周りの友人・クラスメイトのほとんどはスペイン語圏からきているので、彼らは基本的にスペイン語もしくはポルトガル語で話しているからです。
今でこそ、ポルトガル語も少し話せるようになり、先生の言っていることはスペイン語でも大体分かるようになってきましたが、来葡当時はそれはそれは悲惨なものでした。
「周りが何を言っているか全く分からない。」
「そもそも誰が英語を話せるのかも分からない。」
英語さえ話せればなんとかなるだろうと思っていた私の甘さは、ことごとく打ち砕かれました。
光速で進むポルトガル語もしくはスペイン語での会話。
勇気をもって英語で何を話しているか尋ねてみたり、英語で話せるかをお願いしてみても、数分後にはもとの言語に戻ってしまうブーメラン状態。
2回もお願いする勇気もなく、その後は貝のように黙ってただそこに存在し、周りの人が話す様子を眺めているだけでした。
ですが、そんな彼らも授業中は、進んで通訳をしてくれたりと私が遅れをとらないように助けてくれます。
その後、会話に加われないのに慣れたのと、ただ単に内気で頼めなかったという理由からただの一度も英語に切り替えられるかを尋ねることもなく、彼らの会話には興味ないさと嘯きながら月日は流れました。
いま振り返ってみると、ただ待っていたんだと思います。
彼らが私に、そして私が会話についていけていないということに気づくのを。
デンマークに留学していた時も同じようなことがありました。
複数のデンマーク人生徒が、外国人の私たちがいようといるまいと彼らの言葉で話し続けたため、何人かの生徒からは反感を買っていました。
私自身は、なにを話しているのか分からないけれど聞く勇気もなく、幸いなことに他の外国人の生徒と仲良くなったので、途中からはその事に触れずに生活していました。
ですが、その自分がそこにいるのに理解できない言語で話され続ける、いわば無視されている経験は、私の胸に深く残り、自分が同じ状況に立った時、必ずその場にいる人全員が会話についてこれているかを気にする人であろうと誓ったものです。
さて、話をポルトガルに戻し、あれはおよそ1か月ほど前の話。
その頃、別のプロジェクトで非常に忙しくしていた私は、何かのきっかけで自分の心の糸がぷっつんと切れるのを聞きました。
慣れたなれたと思っていた自分の真横で起きているにも関わらず、その1部には加われていない会話について、私は慣れたのではなく、心を止めていたんだということに。
気付かないふりをしていたけれど、参加できなかったことで私はぼろぼろに傷ついていたのです。
待っていても無駄なんだ!
誰かに聞いて欲しくて思い浮かんだのが、デンマークで言葉が分からないために感じた気持ちを知っているノルウェイ出身の友人。
私のことを無視し続けるクラスメイトへの恨みつらみをここぞとばかりに語りました。
やけっぱちな私に、友人がくれたとても的確なアドバイス、それは、
その気持ちをクラスメイトにぶつけるのではなく、伝えてみるということ。
長いことためてきた私の鬱憤は、彼らにとってはおそらく藪蛇で、ともすれば強い言葉で傷つける可能性もある。
感情をぶつけたところで、お互い何も手に入らないから、手始めに誰か信頼できるクラスメイトの1人にどのように感じてきたかを伝え、一緒に考えたらいいのではないかと。
正直に白状すると、そのメッセージを読んだ時には、それが出来たら今悩んでない!!!と思いました。
ですが、愚痴を言い続けたところで、現状が変わるわけでもなければ、私のポルトガル語が雨後の筍のごとく成長するわけではない。
そう思い、クラスメイトの1人に相談してみることにしました。
特によく話すという間柄ではないのですが、みんなより少しだけ大人で、どことなく自分の考えをきちんと持っているというたたずまいのジョバンニ。
なにかあればいつでも悩みを打ち明けられるというような人です。
ぽつぽつと語りだした私の話にときどき質問を織り交ぜながら、彼はこう言いました。
彼らが英語に切り替えないのは、言葉を選ばずに言うと怠惰。だからといって、待っていても仕方がない。
会話に興味があるように身を乗り出してみたり、もし少しでも理解したなら、これはこういうこと?と逆に質問してみる。
当たればラッキーだし、そうでなければ笑いを生み、いずれにせよそこから学べる。
彼はこうも言いました。
はじめは、いつでも居心地が悪い、だけどその後は楽になるばかり。
自分の気楽なゾーンから少しずつ出てみるのはとても大事なことだし、愉しい気分転換になる。
みんなが英語を喋ると勝手に思っていた私ですが、よく考えてみたら、ここが日本であったとしたらおそらく人々は日本語で話し続けると思います。
言葉が理解できない人のことを気にしないのがいい・悪いではなく、自分から参加していこうという意思が何よりも大切。
彼と話したあと、毎日少しずつ挑戦をつづけ、今では英語に変えない彼らに失望することはなくなり、その代わりに前より臆せず会話に参加したり、翻訳をお願いできるようになりました。
相手に期待するのではなく、自分から変わっていく。
見えない決意は、どうやら風にながれ伝わるようで、今では以前より彼ら自身が気付いて英語に切り替えたり、何が起こったかをすすんで翻訳してくれるようになりました。
そして私自身も以前より積極的に話せるようになったと感じます。
私と国際学生会議“The Change the World Virtual Model UN”の出会い|自分の意見を伝える重要性を知る
さて、先週私はオンラインでの国際学生会議、the Change the World Virtual Model UNというプロジェクトに参加しておりました。
2012年に始まったこの会議(通称CWMUN)は、1年に1度世界中から5000人以上の学生が集まり、いま現在起きている国際的な政治問題について議論するというもので、ニューヨークやアブダビ、シンガポールなどで開催されます。
コロナの影響で昨年からはオンライン版も始まり、今年はニューヨークでの開催も予定されています。
このプロジェクトでは、事前に複数回レクチャーを受け、実際の国連で本物のアンバサダーの方がされていることの疑似体験を通して、コミュニケーション力、リーダーシップなどについて学びます。
割り振られた委員会ごとに、別々の議題について議論し、参加者1人1人が、出身国ではない国の代表として喋ります。
(自国の代表にならない理由としては、参加者が被る可能性があるのと、公平性を欠くためではないかと個人的に考えています。)
私はエクアドルの代表に割り当てられ、人権理事会にて、「デジタル時代にいかにプライバシーの権利を保護し、さらなる発展に努めるか」について話し合いました。
5日間におよぶ会議では、最初に自分の国の立ち位置についてのスピーチをし、同じような意見を持つ、或いはポジションにいる他の国(他の参加者)と共同で話し合い、最終的には解決策を書き投票によって案を可決するという流れです。
すでに述べてきたように、私は元来ものすごく人見知りで大勢の前で意見を言う機会はできることなら避けたい派、でした。
それなのに、なぜ参加することにしたのか。
それは、何となく面白そうだなと思ったのと、矛盾するようですが、以前からひそかに国際的な会議に興味があったからです。
簡単な面接を経て、始まったレクチャー。
わくわくしていたのとは裏腹に、出鼻をくじかれることになります。
講師の方が使われる言葉1つ1つがどれをとっても外交・政治に関することばかりで、理解できない。
同じ英語なのについていくのがやっとで、質問できるほど理解できている他の生徒を見ておののいたものです。
また、デジタルプライバシーに関して膨大な量の資料を読み、私が代表している国エクアドルの政治形態から、GDPはてはこの国の議題に対する政策について網羅しなければならず、山積みの課題に冗談抜きで泣きそうになりました。
出典:CHANGE THE WORLD
自分の意見を伝えること・間違えることを恐れない
極限までたどり着いたストレスは、1周回って私には今できることしかできないという開き直りの覚悟となって戻ってきます。
追い詰められていた私に、近所に住む学友はこう言いました。
完璧であろうと必要以上に頑張りすぎることはない、滑ったところで、失敗したという貴重な経験が増えるだけ。
確かにそうだなと納得した私は、初めてなんだからダメでもともと、失敗するということを学びにいこうという気持ちで挑むことにしました。
そうすると、馬の耳に念仏だったレクチャーも慣れたのか、リサーチが功を奏したのか、回を追うごとに分かるようになりました。
アイルランド出身の友人に手伝って貰い、スピーチも前日に書き上げ、当日に挑むことに。
大勢の前で自分の意見を話すのは、演じるようなもの
レクチャーの際には、国連の成り立ちから、どのように会議を進めていくか、リサーチ方法、そして聴衆を前にしてのスピーチの仕方等について習いました。
講師の方がおっしゃったのが、スピーチは演じるようなものであるということ。
また、全てはなにを言うかではなく、手振り・身振り・口調などもふくめて、どのように言うかということに尽きる旨。
余談ですが、意外なことに、本番では自分でも驚くほどきちんとスピーチをすることが出来ました。
まだまだこの会議について語りたい気持ちは山々ですが、この辺で私が学んだことについてお伝えしたいと思います。
自分の意見を伝えるのが苦手だった私が考える、コミュニケーションの秘訣とは
コミュニケーション力を伸ばす極意、それはずばり自分の人生の主役になること。
当初、恥ずかしながら、誰かが代わりに何かを言ってくれるだろうし、解決策も書いてくれるだろうから、私はそんなに前に出なくてもいいやと考えていました。
すぐにそれは間違いだと気付かされるのですが。
私は私の国(この場合エクアドルです)の代表として参加していて、私が発言しなければ、積極的に参加しなければ、エクアドルの意見はなかったことにされてしまいます。
それに気づいてからは、お経のごとく流れる難しい他の参加者のスピーチにさらに耳を澄まし、前のめりで意見を言うようにしました。
誰かに何かをして貰おうという姿勢ではなく、私が自分の人生の舵を切ってやるんだという覚悟。
その決意は、ひいては人から何か言われても・思われてもあまり気にせずにすむという心境をもたらしました。
なぜか。それは自負と自尊心につながるものだからです。
英語で話すときにいつも文法上のミスを犯すのが怖くて、人に話しかけることを避けてきた私。
失敗してもいい、間違ったっていい、私たちは昔から言う通り、本当に失敗から学ぶのです。
大事なのは、ここぞという時には必ず自分の意見をいうこと。
最初は口を実際に開けるまで、どきどきして逃げ出したくなるかもしれません。
ですが、清水の舞台から飛びおりる気持ちで、思い切って挑戦して欲しいのです。
1度自分の意見を伝えることに成功すると、楽しくなってきて、機会があれば発言したくなります。
あなたの意見は聞かれる価値があるし、あなたにはそれを伝える権利があるのです。
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