トランス脂肪酸がアメリカで来月から全面的に使用禁止に!日本はいまだ規制なし・表示義務もなし。一体どうなってるの?
こんにちは。ハーモニックニュートリションセミナー代表講師の滝野です。
ご存知の方も多いと思いますが、トランス脂肪酸はアメリカでは2018年6月に9月にはカナダで全面禁止になります。
すでに世界の国々では規制、または表示義務があります。ところが、
日本では表示義務も規制もまったくありません。
本当に日本でトランス脂肪酸の表示義務・規制がなくても、私たちは、大丈夫なのでしょうか?
トランス脂肪酸が危険であるという情報はいろいろと流れていますが、
今回は体の中でどのようになるので、危険なのかからお話ししたいと思います。
トランス脂肪酸を語るには脂質の事からお話ししましょう!
まずは私たちの体の脂質の構成は平均すると下記のようなバランスです。
体の栄養素の比率として、脂質(脂肪)が一番多いことがわかります。
人にもよりますが、筋肉よりも多いのです。
ですから脂質はとても大切な栄養素です。
主な脂質の働き
①効率の良いエネルギー源となる。
②ホルモンの原料となる。
③体温を調節する。
④脳の働きを正常に保つ
⑤細胞膜の原料となる。
⑥エイコサノイド(生理活性物質)の原料となる。
必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)のみ
脳の60%は脂質、そして体を構成する60兆個とも100兆個ともいわれる細胞の外側にある細胞膜の70〜80%は脂質です。
そして、体で作れないオメガ6とオメガ3の摂取バランスもとても大事なことがわかってきました。
このことから脂質の摂取方法がとても大事なのです。
それでは脂質(脂肪)はどのような形をしているのかを説明します。この脂質を分子構成で見るとこうなります。(下の画像)
C=炭素、O=酸素、H=水素で出来ています。
下記に図のように、グリセリンを頭に、ムカデのようなもの(脂肪酸)が3つ付いています。
一般的な脂質はこんな感じになっていますが、これを食べると、消化管でグリセリンと脂肪酸の結合部分が消化酵素で切られ、
このムカデのような脂肪酸が腸から吸収されて全身の細胞に供給されます。
この図のムカデをよく見ると、一番上はまっすぐでC(炭素)とH(水素)が綺麗にならんでいます。
真ん中は後ろから3番目と4番目のC(炭素)にH(水素)がありません。
これは、3番目のC(炭素)と4番目のC(炭素)が二重結合をしているので、H(水素)が繋がりません。
また一番下は前の3番、4番のC(炭素)と後ろの3番、4番のC(炭素)にH(水素)が付いていません。
2箇所に二重結合があります。
脂肪酸の分類はこの二重結合の数と場所で決まるのです。
まっすぐなのは
①飽和脂肪酸、一つ二重結合があるのは
②一価不飽和脂肪酸(オメガ9)2つ以上あるのが多価不飽和脂肪酸(③オメガ6と④オメガ3)に分類されます。
オメガ6とオメガ3は体内で作られないので食事から摂る必要があります(必須脂肪酸)。
そして、人工的に合成された油がトランス脂肪酸⑤です。
下記の分類図をみてください。
油の分類・種類
そしてこれら脂肪酸の多く含まれた油の種類が下記です。
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は酸化しにくいのですが、オメガ3、オメガ6、オメガ9の順で酸化しやすくなります。(オメガ3が一番酸化しやすい)
そして脂肪酸の形ですが、二重結合が多いほど曲がっていきます。
飽和脂肪酸はまっすぐですが、オメガ9は少し曲がり、オメガ6はさらに曲がり、オメガ3は丸い感じになります。
このような形で腸壁から吸収されて、血管やリンパ管に入り、全身に運ばれます。
そして冒頭の脂質の働きをするわけです。
この中で、細胞膜に使われるところを詳しく説明いたします。
私たちの体は60兆個とも100兆個ともいわれる細胞で出来ていますが、その細胞の外側には細胞膜で覆われています。
この細胞膜に脂肪酸が多く使われているのです。
下の図は細胞膜の断面図です。
丸いリン脂質の下に2本脂肪酸がくっついています。
まっすぐなのが飽和脂肪酸、曲がっているのが不飽和脂肪酸(オメガ9、オメガ6、オメガ3)です。
このように細胞膜にはたくさんの脂肪酸が使われています。
この細胞膜はとても大事な働きがあり、必要な栄養素を細胞内に取り込む、不必要な細胞内の毒素を外に出す、
細胞の圧力を調整するなど、細胞膜の機能が下がると細胞自体の機能低下となります。
ここで大事なのが、オメガ6とオメガ3の摂取量とバランスです。
この2つは体内で合成出来ないので、外から摂る必要があるからです。この事は次の記事で書きます。
今回はトランス脂肪酸に絞りましょう!
トランス脂肪酸とは下記のように大豆油やコーン油に含まれるリノール酸に水素添加してシス型結合からトランス結合に変えて作ります。
このトランス結合に変わった時に、下の図のように曲がっていたものが、まっすぐに近くなります。
この反応で液体のものが個体化します。
マーガリンやショートニングのような感じですね。
このようにマーガリンやショートニングのトランス脂肪酸は人工的に作られた油脂です。
トランス脂肪は自然界にもありますが、ほんのわずかです。
問題はこの油の、体における影響。なぜトランス脂肪酸は体に悪いの?
トランス脂肪酸が消化器官から吸収され、血管またはリンパ管に入り、全身にめぐる中、先程の細胞膜の構成成分として入ってしまうことが想定されます。
その場合、今まで使われて来なかった脂肪酸が入って来るわけですから、細胞膜は本来の機能が発揮出来なくなります。
そこで、アメリカでは下記の①の疾患に関係があることが明らかになり、トランス脂肪酸の禁止を発表しました。
トランス脂肪酸のデメリットとリスク
以下もリスクの可能性があると発表しています。
①冠動脈性心疾患にかかるリスクを高める。
冠動脈性心疾患につながるLDL(悪玉)コレステロールを増やすだけでなくHDL(善玉)コレステロールを減らす。
②糖尿病にかかるリスク
③内臓脂肪の蓄積(腹囲)
④脂質異常(コレステロール、中性脂肪)
⑤高血圧
⑥高血糖(空腹時血糖)
⑦アトピー、アレルギー
⑧不妊症
それでは、日本の食品のどこにトランス脂肪酸は、含まれているのでしょうか?
まず、マーガリンです。
最近の製品はこのトランス脂肪酸問題で各社、トランス脂肪酸の含有量を減らしています。
以前10〜15%くらいあったものが、3〜5%に減らしていますが、入っています。
そしてショートニング
これは食品添加物なので、表示義務があるので、製品の一括表示を見ればわかります。
入っているものは避けるべきです。
大手メーカー、チェーン店のパンのほとんど。
ケーキ類、スナック菓子、パン粉、クラッカー、ドーナッツなど焼き物に入っています。
ショートニングを入れると、サクッとした食感が簡単に作れます。本当に美味しく感じられます。
食品加工メーカーは簡単に食味改良が出来るので、多くのメーカーが使っています。
加工されて、包装されている製品には、表示義務があるので一括表示を見て下さい。これで判断出来ます。
しかし、これまた日本の法律には驚かせられますが、入っていても表記しなくても良いという売り場や業態があります。
それは
セルフ販売
対面販売
外食産業
です。セルフ販売というのは、よくウインドベーカリーなどで、自分でトレーに入れてレジに進むタイプの事です。
プライスカードには価格と使用材料、アレルギーの表示はありますが、食品添加物の表示はありませんね。
これは使っていないのでは無く、表示しなくても良いから書いていないのです。
対面販売はお惣菜やケーキ屋さんなど、店員さんが取り分けて販売しているタイプの事です。
このプライスカードにも同じく、価格とアレルギーは明記していますが、食品添加物の表記はありません。
これも法律で表記しなくても良いからです。
そして外食産業。
ファミリーレストラン、居酒屋など全ての外食産業ではそのメニューに食品添加物を表記しなくても良いという法律があります。
ですから、使っていても表記が無いのです。
このことはあまり知られていません。
売る側、作る側は、悪く言えば表記しなくても良いなら、どんどん使おうということになります。
トランス脂肪酸から少し離れてしまいましたが、日本で食品添加物がどんどん増えている大きな理由です。
今までのことからトランス脂肪酸対策として、下記をお勧めいたします。
マーガリンは使わない、バターに変える。
パン、ケーキ、クラッカー、パン粉などの製品を買う時は一括表示をよく見て判断する。
パンを食べたい時はトランス脂肪酸を使っていないパン屋さんを探す、または自分で作る。
ウインドベーカリーなどセルフ販売、対面販売のパン、ケーキ類は避ける。
外食産業のメニューには書いていないので、入っているものと判断し、パンやケーキ類、パン粉のメニューは避ける。
アメリカでは使用禁止、そしてその他の国で規制や表示義務があるということは、しっかりとした理由があるからです。
日本のあまりにもずさんな表示方法や、現実を知らされないことに私はとても腹が立ちます。
今の日本では、残念ながら自分で学ぶ事しかないのです。
トランス脂肪酸の事もまだまだ業界の裏側があります。そして食品添加物の実態も現実を知ればびっくりします。
私は、このような正確な情報を知っていただき、そして自分にとってベストな食事法を伝えています。
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