私たちの食卓の裏側で泣いている無添加食品メーカー。食品大量廃棄は、消費者の行動と選択によって生まれています。
突然ですが、あなたは賞味期限が三ヶ月後のものと、二ヶ月後のものがあったらどちらを選びますか?
多くの方は「三ヶ月」の方を選ぶのではないでしょうか。
「できる限り美味しくて長く使えて、安全なものを選びたい。」
そう願うのは消費者からすると当たり前の願いかと思います。
しかし、あなたが、常に自分のことだけを考え、このような選択を続けることで
無添加メーカや、オーガニック食品ブランドたちの負担がどんどん増えて、オーガニック商品が広まらない原因になっているかもしれないと考えたことはありますか?
消費期限と賞味期限の違い、はっきり答えられますか?
もしかすると、IN YOU読者の皆様は「消費期限と賞味期限の違い」についてお答えできる方は多いかもしれません。
しかしこれらの違いをはっきり答えることのできない人もいます。
そしてこの違いを明確に把握していないからこそ、平気で食品を捨てることができる、そんな人がいるのも事実です。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売されている加工食品には、その袋や容器に「消費期限」もしくは「賞味期限」が記載されています。
これらの違いを把握することで、食品を無駄なく消費することができるのですが、違いが伝わっていないために大量の食品が次々に捨てられていく現実。
今回は、食品廃棄問題の現状について食品を販売する側と消費する側の視点からお伝えしていきます。
復習。消費期限について
まず消費期限について復習しましょう。消費期限はいわば「この期間までは”安全に”食べられますよ」という印です。
もちろん開封前限定になりますが、痛みやすい商品に記載される期限となっています。
この期限を過ぎてから食べた場合には、健康上の安全を保証できなくなるため、消費期限が過ぎる前に食べる必要があります。
復習。賞味期限について
こちらも開封前に限定されますが、消費期限とは違い、健康上の安全ではなく、食品の”品質”を重視した期限となっています。保存方法を守り、期限内であれば「品質は変わりませんよ」ということを示しています。
そのため賞味期限の場合には、過ぎてしまっても食べることは可能です。
もちろん痛んでいるものはNGですが、色やにおい、味に違和感がなければ、食すことができます。
「期限を過ぎたら食べない方がいい」のは消費期限だけ
もちろん「消費期限」も「賞味期限」も、記載されている保存方法を守る必要がありますし、一度開けてしまった場合には、期限に関係なく早めに食べきる必要があります。
「期限を過ぎたから食べられない(食べるのは避けるべき)」に当てはまるのは「消費期限」だけ。しかし現代に生きる人は、これら期限以外の理由でも、ばんばん食品を捨てているのです。
参考文献:消費期限と賞味期限:農林水産省
日本が抱える食品廃棄の現状を知っていますか?
日本の食品廃棄物の量は、年間1900万トンと言われています。
この数値は、7000万人もの人が1年間に食べていくことのできる量だと言われています。
そのうち「まだ食べられるのに捨てている」ものは500~900万トンにも及びます。
この500〜900万トンという量、日本は食品の多くを輸入に頼っていますが、その輸入量の半分近くを廃棄していることになります。
小売店は、賞味期限が迫ったものは一切扱ってくれない!
販売者側の問題点と、彼らが抱えている悩み
ちなみに「賞味期限」はその食品を製造したメーカーが様々な検査をした上で決めます。
しかし実際には、食品の品質が変わってしまう期間の2/3を目安にしているという話もあります。
さらに大手小売店をはじめとした店舗の基準として、賞味期限が半分以上残っているものしか扱わないとか、
いろいろな厳しい基準によって商品を選定し、扱っています。
ですから賞味期限が1年のものであっても半年+αくらいで売りきらなければあとはメーカー側の負担になってしまうわけです。
添加物入りの食品は数年間も持つものも多いですが、完全オーガニック食品や、完全無添加食品であれば、さらに賞味期限が少なくなります。
余った在庫はどうなるの・・・?小売店から大量返却?
オーガニック業者が抱える負担
そしてその賞味期限が迫った商品は誰も食べずに破棄されてしまうことは想像に難くありません。
万が一売れなかった場合は大量にメーカー側へ大量に返却するケースもあるそうです。
消費者の体に何か問題が起きては一大事なので、できるだけ期限をギリギリにせず表記するのが当たり前の規則となっています。
消費者のことを第一に考えるのは当たり前のかもしれません。
しかし、消費者からすると多少賞味期限が迫っていても実際に食べることのできる、安全なオーガニック商品なら喜んで買う人もいるのではないでしょうか?
破棄するくらいなら賞味期限が切れそうでも多少値引きされていれば、「食べてみたいと」と思う人は多いはずです。
メーカーの中には、この食品廃棄問題を考慮し「賞味期限」を延ばしたところもあります。
しかし食品廃棄問題に関心のない一部の消費者から、「賞味期限を延ばしたことで安全面はどうなんだ?」と批判的な問い合わせを受けることもあるようです。
ためらいもなく捨てられるのは、食品に対する関心がないから
食べられるのに廃棄してしまったり「販売をしたがらない」小売店や販売者側(スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど)にも問題があります。
しかし、消費者である私達にも問題があります。
例えば食品を選ぶ時、一部の消費者の中には、「期限が過ぎたら食べられない」思い込みから、消費期限や賞味期限が先のものを選ぶ人も多くいるのではないでしょうか?
「販売者側の廃棄は、消費者の選択によって生まれている」という考え方もできてしまいます。
また食品の見た目や容器が汚れを理由に食べないことも、食品廃棄の原因と言えるでしょう。食品自体はまだ食べられるのに、「見た目」だけで判断されてしまう。容器が凹んでいるだけで返品になる世の中です。
売れ残れば販売者側は廃棄せざるを得ません。私達消費者側の知識不足もあいまって、食品廃棄の現状が続いているように思えます。
参考文献:日本は「食品廃棄量」が世界トップクラス!政府発表は1900万トン、民間調査は2700万トン!?
私が経験した、衝撃的な食品廃棄の現場
ちなみに、私は以前勤めていた食品会社で愕然とした出来事があります。
食品を開発するに辺り、ライバル社の商品を食べ比べ、味を比較し、どのような味や形、見た目が消費者にウケるのかを検討する機会がありました。また新商品を開発した時には、関係者の方に食べていただき意見を交換します。
関係者の方のために倉庫から商品を取り寄せ、当日調理し、並べる。
しかしその食品の数は膨大なため、皆一口しか口に運ぶことができません。
結果大量の食品が余ります。会議の度、45リットルのゴミ袋いっぱいの生ゴミが2袋以上もでました。
生ゴミの量もショックでしたが、「食品を開発する会社は大体こうなる」といった先輩社員、上司の言葉にも愕然としました。
食品を生み出す会社にも関わらず、「食品廃棄」という問題に全く目を向けていない現状に寒気がしました。
お金をゴミ箱に捨てる人はいないのに、なぜ食品なら捨てられるのですか?
極端な話、
お金をゴミ箱に捨てる人はいませんよね?
しかし、食品なら容赦無く捨てられるという人も多いです。
食品を無駄にする、ということはそれを購入するに伴ったお金も無駄にしていると言えます。
もしあなたの周りに食品の問題に関心がなく、簡単に食品を捨てる人がいたら、お金に置き換えて意見を伝えてみてください。
食に関心のない人も、お金というキーワードなら心を動かしてくれるかもしれません。
何だか皮肉ですが・・・。
しかし実際食品廃棄にはお金がかかります。
食べれば済む話なのに、処分するのにもお金がかかるというのは、食に無関心な人でもショックを受ける内容だと考えています。
レストラン・小売店・販売者側に提案したいことがあります
例えば廃棄せざるを得ない外食やスーパーマーケットに実践していただきたいことは、「食べ残しを持ち帰ること」の勧めです。頼んでみたら量が多かったなんてことはありませんか?
そんな時、持ち帰ることができれば次の日のお弁当や昼食に活用することができます。
デンマークでは50,000袋以上の持ち帰り用袋がレストランに無料配布されています。
アメリカでは大学生が過度な量の食べ物を取り、残すことがないように、食堂に置かれているトレーの使用を禁止しています。
オーガニックを身近にするためには賞味期限が近いものから買っていこう!
あなたは、オーガニック食品をもっと便利で身近になればいいな、そのためにはどうしたらいいのだろう、などと思っているのではないでしょうか。
オーガニック商品を買うことは確実に、オーガニック事業者の応援になります。
しかし、大量に破棄されている事実がある以上、彼らの負担は減ることはありません。
私たちが楽しくオーガニック料理を食卓で食べている裏側で一生懸命作ったのに大量に賞味期限の問題で捨てられてしまって泣いているオーガニック業者や生産者たちのことを考えたことはありますでしょうか?
オーガニックを広めるためには、オーガニック食品廃棄の現状について関心を持たなければなりません。
「消費期限」と「賞味期限」についての知識を得なければなりません。
しかしIN YOU読者の皆様はすでに知識をお持ちの方もいると思いますので、後は行動するのみです。
私達にできることは、
- 冷蔵庫の中身を把握し、食べきること
- 賞味期限が迫った商品で料理パーティーをしてみる
- 食品があまりそうになったら食べてくれる人にプレゼントすること
- 一度買った食べ物(腐りやすいもの)を自分の都合で返却したり、キャンセルしないこと
- 自己都合でレストランの予約をドタキャンしないこと
- 賞味期限が早いものから買っていくこと
- 安物買をするのではなく高くてもいいものを買う
- 残り物をうまく活用して、生ゴミを出さないこと
- 見た目にだまされず、本物の食品を選ぶこと
なのではないでしょうか。
ほんの少し意識を変えるだけで、食品廃棄問題と真剣に向き合うことができます。
まず私達は、私達にできることをやりましょう。
もし周りに意識を向けていない人がいたとしたら、知識と現状を教えることも必要になってくるかもしれません。
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参考文献:食料廃棄はもったいないが、なぜやめられない?やめる方法は?
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