あなたの着ているコットン服は大量の農薬を使って作られている。生産者の健康被害・環境破壊も懸念されるコットン問題。農薬を使わないオーガニックコットンを選ぶメリットと一般のコットンとの違い。
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みなさんがお持ちの洋服にコットン素材のものはありますか?
この質問をすると、ほとんどの方がYESと答えるのではないでしょうか。
それもそのはず。
コットンは世界的にもっとも消費されている天然繊維のひとつです。
ですがコットン=天然=安全。と考えるのは安直すぎます。
その背景には大量の農薬使用や人権侵害などの問題があり、地球環境に悪影響を与えていると言われています。
そこでいま注目されているのが〝オーガニックコットン〟です。
オーガニックコットンとは厳格な基準を遵守し生産される有機綿花のこと。
今回はそんなオーガニックコットンの基本知識や普通の綿花との違い、認証機関についてなど、オーガニックコットンにまつわる魅力をお伝えします!
一般的なコットン栽培、実は人間と地球に悪影響だった?綿花栽培のデメリット
天然繊維のなかでも高い実用性と人気を誇るコットン。
ですがオーガニックコットンではない従来の綿花栽培は、生産者にも地球にも大きな負担を与えるといわれています。
農薬を使用した一般コットン栽培の問題点1:生産農家の健康被害
実をいうと綿花は農薬が欠かせないと言われるほど、畑に農薬を大量に使用して栽培される植物です。
1990年代では農薬世界使用量のうちおよそ20%を綿花にかかる農薬が占めていて、
その後減らされたものの2000年代に入ってからも世界中で使用されている殺虫剤の約15%が綿花栽培に用いられています。
落葉剤や除草剤を含めた農薬全体で見ても、7%近くが散布されているのです。
世界では多様な農産物が栽培されているわけですから、この量はかなり多いと言えますよね。
コットン栽培農家の深刻な健康被害の具体例
生産農家への健康被害も深刻な状況となっています。
・めまい
・倦怠感
・吐き気
・口内のマヒ
長期的な疾患との関連性については明らかとなっていませんが、先天奇形や発がん性の疑いも拭えないのだとか。
農家のほとんどは発展途上国で暮らす人たちで、農薬についての知識が乏しいがために、防護服やマスクを使わず散布したり、必要のない時期でも撒いたりするなど、被害の拡大が心配されています。
農薬を使用した一般コットン栽培の問題点2:児童労働
児童労働も深刻な問題です。インドでは国内用と輸出用に多くのコットン種子が栽培されており、
そこでは家計を助けるために約40万人の子どもたちが学校へ通うことなく働いていています。
しかしながら賃金は大人よりもずっと低い賃金しかもらえません。
加えて農薬散布の仕事を担うこともありますから、先ほどご紹介したような悪影響を受ける恐れがあります。
農薬を使用した一般コットン栽培の問題点3:環境破壊問題
ジーンズ1本の綿花栽培で、飲み水10年分を失う
これは2018年3月1日スイス・ジュネーブで開催された国際会議「ファッションと持続可能な開発目標:国連の役割とは」において、国際連合がファッション業界に促した警鐘の一説です。綿花の栽培には農薬だけではなく大量の水が必要で、その量はひとつの湖を失ってしまうほど。
代表的な事例に1940年代に起きたアラル海での環境破壊があります。
カザフスタンとウズベキスタンにまたがる塩湖アラル海は、かつて世界第4位の面積を誇る広大な湖でした。
当時この辺りを領土としていたソ連は乾燥地帯であるアラル海周辺地域を農地に変え綿花栽培を試みることとしたのです。
そのためには膨大な量の水を確保しなければならず、灌漑(かんがい)計画が持ち上がりました。
全長数千キロにも及ぶ運河のような水路を建設、アラル海に注いでるアムダリヤ川とシルダリヤ川から水を引き込み、新たな農地ができあがりました。その結果、綿花の生産量を増やすことに成功!…したかのように見えました。
ところが。
アラル海の唯一の水源であった2本の河川が灌漑によってせき止められたために、アラル海に流れ込む水量は激減。
1970年代には年平均60cmものペースで水面が低下していきました。
さらに干上がった大地からは大量の塩分と有害物質を含んだ砂嵐が起きるようになり、周辺住民のおよそ8割が腎臓や呼吸器に異常をきたすように。
アラル海で起きたこの悲劇は〝20世紀最大の環境破壊〟だといわれています。
(灌漑*…農地に外部から人工的に水を供給すること)
またこのほかにも普通綿花の栽培には、農薬や化学肥料による土壌汚染、生産工場の排水による水質汚濁といった懸念があります。
農薬を使用した一般的なコットン栽培におけるデメリット・問題点まとめ
▪︎生産者への健康被害
▪︎搾取的な労働環境
▪︎広大な農地と多量の水を要する
▪︎農薬・化学肥料による土壌や近隣水質の汚染
地球環境にやさしい!オーガニックコットン栽培のメリット
オーガニックコットンの畑ではどうでしょうか?
実は、有機栽培の畑では先ほど挙げた問題点がほとんど解決されるのです。
生産農家の健康を守る/土壌の保全/水質の保全
従来の綿花は生育に大量の除草剤と殺虫剤、化学肥料を用いるだけでなく、収穫には落葉剤までもを散布します。一方、オーガニックコットンの栽培では、そのほとんどが人の手によって行われており、毒性が高い物質を必要としません。
そのため畑や排水を汚染する心配がなく、生産農家の健康にダメージを与えることもありません。
エネルギー負荷の軽減/CO2の削減
農薬や化学肥料はたくさんのエネルギー資源を使って生産され、CO2を排出します。オーガニック農法ではその点、エネルギー削減効果とCO2の減少効果があるといえますよね。
さらに有機栽培によって保全された良好な土壌では微生物が増え、CO2を吸収してくれます。
その結果、さらにCO2を減らしてくれる可能性があるんですよ。
雨水の有効利用
オーガニックコットンにおいては、農業用水のうち約95%を〝Green Water〟と呼ばれる雨水や土壌中の水分で補うことができ、一般の綿花と比較すると必要な水の量は91%も減らすことができるのだそう!【参考:Sourcing Journal 2014年11月16日記事/日本オーガニックコットン流通機構要約】
つまりオーガニックコットンの栽培方法は生産者にも地球にも優しい方法!というわけですね。
オーガニックコットンはどんな製品に使われている?肌触りの良さの秘密とは?
オーガニックコットンはいったいどのような製品に使われているのでしょうか?
・衣類
・タオル
・ベビー用品
・寝具
など
栽培環境に違いはあれど、綿花は綿花、つくられる品目は従来のコットンとそう大きく変わりません。
もっと言えば、生地の品質にも違いはないというのです。
一般綿の製品に残留農薬の心配はないとするのが専門家の立場のよう。
残留農薬を気にする必要がないのに、どうしてオーガニックコットンを選ぶ人たちがいるのでしょう?
その理由は大きく2つ考えられます
1.環境に、未来に、配慮したいという思いから
2.オーガニックコットンの肌触りに惹かれて
とりわけオーガニックコットンにおいては、着心地や肌触りの良さが追求される傾向にあります。
そのために織り方や編み方、糸の太さ、紡ぎ方などが工夫され、お好みやシーンに応じたあらゆる質感が実現しています。皆さんが虜になるのも当然ですよね。
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でも、こうしたことを抜きにしても、オーガニックコットンの生地は柔らかい!ってご存知でしたか?
オーガニックコットンでは、漂白や染色といった工程を経ないため、〝ペクチン〟という成分が一定量、繊維に留まっています。
このペクチンは繊維の表皮にあり、柔軟性に富む成分なのですが、たとえば苛性ソーダに浸すなどの化学処理を施すと失われてしまうのです。
繊維本来がもつ柔らかさを保持していることこそが、肌触りの良さの秘密!なのですね。
すべてのオーガニックコットン製品がこうとはいきませんが、肌触りや風合いを損なわないように精錬工程を大切に考えている製造者は少なくありません。
そのこだわりを肌で感じることができたのなら、消費者としてはうれしい限りですね。
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オーガニックコットン製品に使われる認証マークの紹介
オーガニックコットンと農薬使用の普通コットンは、残留農薬の数値を検査したところで判別できません。消費者が購入するにあたって見分ける方法はあるのでしょうか?
当然、オーガニックと明記されているものを選ぶしかありませんよね?でもそれだけでは不十分!
原料こそオーガニックでも、その製造過程で化学薬品を使用している製品はたくさんあるのです。
オーガニックという言葉から抱くイメージと実際とにギャップがあると、たとえ製品に農薬が残留することはないと言われても、気分が違ってきますよね。
それでは真にオーガニックである製品を見つけ出すにはどうすればいいのでしょうか?
重要なポイントとなってくるのが、〝認証マーク〟です。
一般的にまだあまり認知されていないかもしれませんね。ご紹介していきましょう!
オーガニックコットン製品か普通のコットン製品なのか、消費者がそれを見分ける有効な手段に有機認証マークがあります。
有機認証マークとは認証団体や認証機関により製品が審査され、基準を満たしていれば付与されるマーク。
わたしたち消費者が商品を選ぶときの指標となります。
日本では食品などに使われる有機JASマークが有名ですよね。
世界にはさまざまな有機認証マークがありますが、ここではオーガニックコットン製品に使われる代表的な4つのマークをご紹介しましょう。
認証名 | 特徴 | 認証基準の一部 |
GOTS認証 | 国際的に信頼度の高いオーガニック繊維基準のひとつ |
オーガニック認定原料の使用量は70%~100%とする。 有機製造に関するEUの規則に沿った有機農法の認証、またはアメリカ農務省のUSDA/NOP認証を受けた原料を使用する。 GOTS認定関連企業・工場は差別・児童労働搾取を行わず、安全で健全な労働環境を提供する。 GOTS認定オーガニック工場は使用電力の削減、水質環境に考慮した排水など、環境への影響を最大限に配慮し、製造する。 |
OCS認証OCS100・OCSblended | アメリカに本部があるNPOテキスタイル・エクスチェンジが管理し運営しているのがOCS認証。認証種類はOCS認証とOCSblendedがあり、両者の違いはオーガニック原料が含まれている割合の差です。 |
OCS100には95~100%のオーガニック原料を使用。OCS Blendedには5%以上95%未満のオーガニック原料を用いる。 有機製造に関するEUの規則に沿った有機農法の認証またはアメリカ農務省のUSDA/NOP認証を受けた原料を使用する。 原料は有機製造に関するEUの規則に沿った有機農法の認証またはアメリカ農務省のUSDA/NOP認証を受けたものを用いる。 原料生産から最終製品まで、すべての工程におけるトレーサビリティー(生産履歴の追跡)が保証されている。 |
NOC認証 | 日本オーガニックコットン流通機構が審査し付与するのがNOC認証です。またNOC認証は「NOCコットン規準」と「NOCコットングリーン規準」があります。 |
正統な認証機関が証明した有機栽培綿・オーガニックコットンを常に100%使用する。 一般綿とは混合しない。 化学合成繊維と混合はしない。ただし製品機能上伸縮性が必要な靴下、肌着などの場合はスパン糸の混用規準を15%程度とし、混用内容はすべて表示する。 異種天然繊維と混合は有機認証のあるものに限り混用限度は40%とする。 化学的な漂白、化学的染色、抜染又は防染、防縮、柔軟などは行わない。 洗浄は化学合成洗剤を使わない。 栽培、製造における売買取り引きは、社会的公正の上で行われなければならない。 |
demeter(デメター) | 世界でもっとも基準が厳しいとされる有機認証で、審査基準にバイオダイナミック有機栽培農法を取り入れている。 |
バイオダイナミック有機農法によるデメター認証原料を水を含む全量のうち90%以上に使用する。 バイオダイナミック有機栽培農法を規定通りに実施している。 現場だけでなく加工や包装、流通まで生命の循環に悪影響を与えない方法が取られている。 化学原料の使用は不可。 天然香料のみ使用可。 |
ただし注意していただきたいのは、OCS認証はオーガニック繊維含有の認証なのでGOTSやNOC認証のように生産過程での化学物質使用に関しては保証していませんし、デメターにおいては人権問題審査があるのか現時点では確認が取れませんでした。
個人的におすすめしたい認証は「GOTS認証」または「NOC認証」の製品です。
これらが付与されたものは安全性が一層高く、労働環境に配慮している商品だと言えるでしょう。
高い?オーガニックコットンのデメリット
一般的なオーガニックコットン製品は通常より価格が高め。
それは農薬や化学肥料を使わず手間暇をかけ、認証マークを取得するのにも費用が必要だから。
環境保全や公平な社会性を実現するためには、品質にふさわしい正当な価格が必要というわけです。
そうは言っても日用品にお金をかけるのは難しいと考える方も多いはず。
次の項目はそんな方たちにとって朗報かも?さいごに最新のオーガニックコットン製品事情をご紹介します。
日本で販売間近!最新のオーガニックコットン製品事情
オーガニックコットンとひとくちに言っても、原産国や品種、グレードの違いによって個性があります。
そうした中、日本アパレルブランドがいま関心を寄せている綿花が。
それはかつてインカ帝国の頃より使われていた、綿花が大量生産される前から生息している品種。
いわば原種に近いコットンです。
本来綿花はジャングルで育つ植物で、厳しい環境でも生き抜く強さがあり、本品種は一般綿と比べて必要な水量は1/10〜1/20だと言われています。
また生産者とメーカー側が中間業者を通さず、ダイレクトにやりとりできるため、価格は一般綿のおよそ1.4倍。従来のオーガニックコットンに比べて安価に提供できるのだとか。
この品種から作られる衣料品の販売は2019年春夏からだとされていて、オーガニックコットンがより広まるきっかけになると期待されています。
詳細な情報が待ち遠しいですね!
オーガニックコットンまとめ
普通コットンの栽培は化学物質による土壌汚染や水質汚染、作り手への健康被害がありましたね。
対してオーガニックコットン栽培では、エネルギーやCO2が削減ができ、適正な労働環境が提供され、健全な未来を作る可能性を秘めていました。
肌触りや着心地の良さが特徴で、オーガニックコットンはまさしく、地球環境・生産者・消費者にとって「三方よし」のアイテム!
まだまだ繊維業界ではメジャーな存在ではないオーガニックコットンですが、こうした製品を選ぶことは、あなたも持続可能な社会を目指す一員になれるということ。
購入される際にはぜひとも今回お伝えした認証マークをご参考になさってみてくださいね。
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