「国産小麦粉」と書かれていれば本当に安心?100%国産小麦でなくても最も重量割合が多ければ国産と表示できる驚きの事実!
「国産小麦粉」と書かれていれば本当に安心?100%国産小麦でなくても最も重量割合が多ければ国産と表示できる驚きの事実!
最近、スーパーやホームセンター、ディスカウントストアなどで、食品表示に変化が起こっているのをご存知ですか?
特に、原材料名の欄に「~産」と書かれていることが
多くなったのに気づいている方も少なくないと思います。
その中でも、「国産」という表示には気をつける必要がありそうです。
私も「国産」という言葉には敏感で、
特に肉類などは国産のものを選んで購入することがあります。
「国産ということは、日本で生産された食品だから安心安全だ」と。
ところが、その「国産」表示にも
注意しなければならない時代がやってきました。
農林水産省は、平成29年(2017年)9月から食品表示基準を改正し、
国内で作られたすべての加工食品に対して、
原料原産地表示を行うことを義務づけました。
経過措置期間は令和4年(2022年)3月までで、
それまでの間に、食品事業者は新たな原料原産地表示に対応しなければなりません。
今回は、日常的に食べている”国内加工食品”の代表格である小麦粉について、
食品表示のトリックとその裏側について調べてみました。
国産小麦と外国産小麦の使用量の違い
現在日本では、年間合計約600万トンの小麦が使用されています。
そのうち、国内産小麦の使用は約80万トン、
残りの約520万トンは輸入された外国産の小麦を使用しています。
外国産の輸入小麦の内訳は、
・アメリカ約290万トン
・カナダ約140万トン
・オーストラリア約90万トン
・フランス約1万トン
となっています。
下の図をご覧下さい。
画像引用:小麦粉への原料原産地表示適用の「実行不可能性」について 製粉協会 平成28年4月
全体の約13%である約80万トンの国内産小麦は、
民間流通として直接製粉企業に販売され、小麦粉に加工されます。
ところが、残りの約87%の外国産の小麦は国によって輸入され、
農水省の管理の下製粉企業に販売され、加工または備蓄されます。
製粉企業によって生産された小麦粉は、
製パン企業、製めん企業、製菓企業、スーパーなどに卸され、
そこで加工されて製品となったものを私たち消費者は購入しています。
この製粉から流通の過程で行われていることを知ると、
驚くべきことがわかります。
ですがその前にまず、
なぜ国内産の小麦がこんなに少なくて、
外国産の小麦がこんなに大量に使用されているのか、
その理由から見ていきましょう。
なぜ小麦を輸入しなければならないのか
なぜ国内で流通する小麦粉の原料となる小麦は、87%もの高い割合で輸入されなければならないのでしょうか?
消費者庁のホームページに掲載されている、
製粉協会のまとめた資料によると、以下のことが説明されています。
国産小麦に外国産小麦を配合する必要性
・外国産小麦は、同じ年産、同じ銘柄でも本船ごとに品質が異なる・国内産小麦は、生産量が安定せず、品質は年産、品種、産地ごとに、
また、同じ産地でも地域ごとに異なる
・外国産小麦の方が品質・供給量が安定しており、
一般的に食感、味、外観もすぐれている
・品質安定化のため、複数の小麦を配合して製粉する
原料小麦の配合比率調整のほか、
複数の小麦粉を配合する場合もある
また、小麦粉の品質はタンパク質の量や質によって決まり、
配合を行わない場合、その加工適性にも大きな差が出ると指摘されています。
原料小麦は”農産物”、小麦粉は”工業品”
上記の製粉協会の資料によると、精粉されていない原料小麦は農産物扱いで、
製粉された小麦粉は工業品の扱いになるとのことです。
その意味するところは、
工業品である小麦粉は、常に安定した品質を維持していなければならない
ということです。
ですので、年産、産地ごとに品質や生産量の変動の大きい国内産麦と、
品質・供給量の安定した、食感、味、外観にもすぐれた外国産麦を配合することによって、
生産される小麦粉の安定した品質を保っているというのです。
参考:小麦粉への原料原産地表示適用の「実行不可能性」について 製粉協会 平成28年4月
“小麦粉”はあくまでも工業品で、
そのため小麦のその年の収穫量や質に左右されず、
常に安定した品質を要求されているため、
外国産の小麦の配合はやむを得ないということが説明されています。
そして、消費社会のニーズに応える量と質の小麦粉を生産するためには、
外国からの大量の輸入が必要だというわけです。
これは、製粉企業において、
定常的に国内産の小麦と外国産の小麦の配合が行われている
ということを意味しています。
では、なぜ外国産の小麦が配合されることが心配なのでしょうか?
小麦栽培・輸入に関わる問題。プレハーベストとポストハーベスト
プレハーベスト(preharvest)とは、農作物の収穫直前に、除草剤であるグリホサートを散布する処理のことです。
広大な土地で大規模農業を行うアメリカやカナダなど海外では、
収穫作業の効率化のためにこの処理が認められています。
グリホサートは、日本でも販売されている除草剤、
ラウンドアップ(モンサント社開発)の主成分です。
日本では、小麦栽培においては
このプレハーベスト処理は認められていませんが、
2013年に大豆栽培において認可されています。
さらに、外国産小麦は船に積載され、
長い時間をかけて日本に入ってきます。
そのため、長時間の船旅の間にカビや害虫の被害に遭わないように、
収穫後農薬というものが使われます。
これをポストハーベスト(postharvest)と言います。
外国産小麦には、グリホサートだけに留まらず、
防カビや防虫が目的の別の農薬も使われているということです。
グリホサートとは?
国際がん研究機関によると、
グリホサートには発がん性が指摘されています。
アメリカでは昨年、学校の校庭の除草作業でグリホサートを散布して
悪性リンパ腫を発病したとして損害賠償請求が行われ、
サンフランシスコ地裁で約3億ドルの賠償命令判決が出る事例が発生し、
グリホサートの使用に関心が高まっています。
そして農水省が2013~2017年にかけて行った調査では、
アメリカ、カナダ産小麦の90%以上から
グリホサートが検出されたという報告があります。
農民連食品分析センターが2019年に行った、
一般的な小麦製品のグリホサート残留検査の結果表も
以下のサイトにて公開されています。
※小麦製品のグリホサート残留調査1st
この結果の中で注目したいのは、
国産のものからは検出はなく、輸入品、
特に全粒粉で高い残留値となっていることです。
全粒粉の方が食物繊維やミネラルが豊富で
健康にいいと考えていた私にとっては、
考えさせられる結果でした。
これらの数値は、
海外でいかに小麦生産におけるグリホサートの使用が
常態化しているかを如実に物語っています。
ですが、小麦加工品各メーカーではこの結果について、
食品衛生法の基準値より低濃度のため、
健康に影響はないという判断をしているようです。
確かに、今回の検査で確認された検出濃度は0.03~1.1ppmと、
食品衛生法の定める残留基準値である30ppmより遙かに低いものです。
ところが、小麦のグリホサート残留基準は
2017年12月になぜか6倍も引き上げられていて、
改定前は5ppmであったという事実があります。
参考:農民運動全国連合会
残留農薬による健康被害への懸念は、
人によって様々かもしれません。
国が定める基準値内であれば安心と思う人、
その基準値がどのように定められているのか判然としない限り
鵜呑みに出来ないと思う人、
いきなり6倍も引き上げるとはどういうことか?
将来的にまた新たな変更があるのではないか?
と不信感を抱いてしまう人、
色々な考えがあると思います。
しかし、いずれにせよ、
外国産小麦を使用した小麦粉に集中してグリホサートが検出された
という結果が、外国産小麦と国産小麦の違いを浮き彫りにしたことは事実です。
小麦粉の食品表示のトリック
スーパーやホームセンター、
ディスカウントストアなどで販売されている
小麦粉の包装を見てみると、
細かな食品表示が掲載されています。
その中でも原材料名の欄に注目してみると、
製品によって微妙に表示が違うことがあります。
例を挙げてみましょう。
例A:小麦粉(国内製造)
→国内で製粉された小麦粉(原産国は不明)
例B:小麦粉(小麦(国産))
→国産小麦を100%使用した小麦粉
もしくは国産小麦を最も高い重量割合で使用した小麦粉
例C:小麦粉(カナダ、アメリカ)
→重量割合でカナダ産小麦を最も多く、
アメリカ産小麦を2番目に多く使用した小麦粉
例D:小麦粉(熊本産)
→熊本産小麦を100%使用した小麦粉
もしくは熊本産小麦を最も高い重量割合で使用した小麦粉
という風に、私たち消費者は
上記で「→」以降に記した部分を頭の中で考えなければならず、
忙しい買い物の間に素早く判別するためには
少々ややこしい表記となっている印象があります。
「原料原産地表示制度」の改定後、小麦の表示基準はどうなった?
平成29(2017)年9月1日に、食品表示基準が改正・施行されました。原料原産地表示制度についてはその後段階的に何度も改正が行われ、
小麦粉の食品表示基準も変わり、令和2年7月の修正版によると、
使用した原材料に占める
重量割合が最も高い原材料(重量割合上位 1 位の原材料)が
原料原産地表示の対象です。
重量割合上位 2 位以降の原材料についても、
事業者が自主的に原料原産地表示を行うことができます。
引用:新しい原料原産地表示制度- 事業者向け活用マニュアル –
とされています。
つまり、先ほど挙げた例Cの、カナダ、アメリカという表示は、
重量割合1位のカナダと2位のアメリカを表示しているということになります。
重量割合1位の輸入国の表記が必須ですが、
事業者の判断で第2位以降の国を記載することも可能、というわけですね。
100%国産小麦と書いていれば安心?「原料原産地表示制度」のからくり
ところで、そういったルールを踏まえてよく考えてみると、小麦粉の原料原産地表示の落とし穴が見えてきます。
つまり、国産小麦が100%でなくても、
重量割合で最も多く使用されていれば、
例Bのように「小麦(国産)」と表記することが出来るわけです。
他にどの国の小麦が何種類配合されていても、表記をする必要はありません。
このことを知らずにこの表記を見ると、
「国産小麦を100%使っているんだ」と勘違いしてしまうかもしれません。
衝撃的な事実ですが、
ここに改訂後の原料原産地表示制度のからくりがあります。
より安全・安心な小麦粉を選ぶには
原料原産地表示制度のからくりに振り回されず、
安全な小麦粉を購入するためにはどうすればい良いのでしょうか?
製粉産業が推奨する銘柄の小麦を選ぶ
国内の製粉産業は、国内産小麦の使用を推進するための取り組みとして、
「国内産小麦」であることをわかりやすく強調表示した小麦粉を製造、販売し、
「国内産小麦100%使用の小麦粉」の購入を広く推奨しています。
これらの銘柄を選んで買うというのも、
安全な小麦粉を手に入れる上で選択肢のひとつと言えるでしょう。
小麦の産地と生産者がはっきりわかる入手先を選ぶ
単に銘柄を選んだというだけでは、まだ完全に安心とは言えません。なぜなら、国産の小麦であっても「無農薬」と書かれていない限り
農薬を使って栽培されている可能性が高くなるからです。
そこで、信頼のおける自然食品店や通販サイト、
あるいは直接小麦農家から購入するなどの方法もあります。
食品店などでは、産地や製造方法など
詳しい情報を直接尋ねることも出来ますし、
通販サイトなどは、産地や生産者、製造方法など
詳しい情報を公開しているサイトを選ぶことが出来ます。
価格の目安としては、500gで600円前後で販売されていることが多いようです。
(通販では加えて送料がかかります)
「国産小麦」と表示されていても安価なものには要注意!
小麦粉の価格を引き下げることの出来る最も大きなファクターとは何でしょう?
それは、使用される小麦の絶対量になります。
現行日本では、
アメリカやカナダから輸入される小麦が圧倒的な量を占めています。
その物量を駆使して、
加工品である小麦粉の価格を下げることは容易です。
逆に、国産の小麦だけで製品にしようとすると、
その希少性と製造コストからどうしても高額なものになりがちです。
こういった理由から、
スーパーやホームセンター、ディスカウントストアなどで目にする、
国産と表示されているけれど妙に安価な小麦粉には、
必ず外国産の小麦が使用されていると思っていいでしょう。
私たち消費者が、
しっかり自分達の目で見て選ばなければならない時代が来ています。
小麦粉は、自分と家族が頻繁に口にするもの。選び方は慎重に!
「国産小麦」と表示されているのに、
その実態は、外国産小麦を配合して生産された小麦粉であるかもしれない。
その理由には、
国内産小麦の供給と品質の不安定さ、
外国からの輸入量の多さと小麦粉の工業品としての安定性の希求
といった複雑な事情がありました。
手頃な価格帯で販売されているこれらの小麦粉は、
近所のスーパーなどで大量に販売されているため、
手に入れやすいなどのメリットがあるのも事実です。
ですが、もう一度考えてみたいところです。
日本では、小麦栽培にグリホサートの使用は認められていません。
海外では大量生産の収穫作業の効率化のために、
収穫の直前にグリホサートを散布するプレハーベスト処理が
公に認められている国があります。
このため、収穫された小麦に高いグリホサート検出率が認められ、
問題になっている国もあります。
色々な考え方があると思いますが、
この二点だけは事実です。
残留農薬の問題にどれだけ敏感になるか。
神経質になり過ぎるのも問題かもしれません。
ですが、表示のトリックによって、
販売されている小麦粉の中に
実際はどれだけの外国産小麦が使用されているのか、
消費者側からは判別が難しい以上、
一度立ち止まって考えてみる必要はありそうです。
そして、これは私たち自身と私たちの家族の健康に繋がる問題です。
ぜひ皆さんも小麦粉を購入される際には
最新の情報を活用し、慎重に検討してくださいね。
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