東洋医学から見る現代人に増える逆流性食道炎の原因と対策方法。今から改善したい具体的な食事と生活習慣とは?
「私、逆流性食道炎なんです」 そんな現代人が増えています。
近年、逆流性食道炎の人が増えています。
逆流性食道炎は本当に辛いものです。
今回は、一度なると治りにくい逆流性食道炎の原因と対処法について東洋医学の観点から書いています。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎の症状としては、
- 吐き気
- 喉の不快感
- 呑酸(酸っぱいものが込み上げる)
- 胸焼け
これらの症状は食後や腹部を圧迫した際に強くなるのも特徴です。
わりと個人差の大きい疾患ですが、高齢者には少なく若年性であることがほとんどてす。
これは主な原因が内臓の過活動にあるからです。
また、女性よりも男性の方が逆流性食道炎になりやすく、女性は内臓が弱る胃下垂になりやすいのも特徴です。
胃下垂と逆流性食道炎を併発している人は基本的に内臓が弱っています。
西洋医学から見た逆流性食道炎
逆流性食道炎の原因となる胃液や胃の内容物の逆流は、
- 食事の内容
- 肥満
- 加齢
- 姿勢
などによって食道を逆流から守る仕組みが弱まることで起こると西洋的には考えられています。
ですから、多くの医師は胃酸が増えすぎることを問題視するので制酸剤の処方を行います。
逆流性食道炎は高齢者に多い病気でしたが、最近では肉類を中心とした食生活の欧米化や肥満症の人の増加もあり、若い人にも増えています。
初期症状としては、げっぷや胃の不快感、酸っぱいものがこみ上げる感じなどですが、症状が進んでくると胸の痛み、飲み込むときの痛みなどが現れます。
逆流性食道炎の治療は胃酸の分泌をおさえる薬や粘膜を保護する薬を用いますが、改善が見られない人も多く、長期間の服用で副作用が出て食事が満足にできなくなることもあります。
東洋医学から見る現代人に最も増えている逆流性食道炎の対策方法と改善したい具体的な食事と生活習慣とは
東洋医学から見ると逆流性食道炎は「虚実」。
東洋医学では逆流性食道炎の原因を虚実に分類します。
過剰な水分を吐き出そうとするのが実の症状で、処理しきれない水分が戻りそうになるのが虚です。
ですから、実の場合は実際に吐いてしまいますが、虚の場合は吐き気はあっても吐けません。
このような体内の過剰な水分を東洋医学では水毒と呼びます。
水毒は内臓を冷やすので、体力があるときは身体から排出できますが、体力が無いときは身体に留まり余計に身体を冷やします。
実のタイプの逆流性食道炎は心因性のストレス等から来る肝鬱気滞であることが多いです。
精神的なストレスは気(エネルギー)の流れを悪くさせ、イライラや不安感が強くなる気滞という症状を引き起こします。
ストレスで食べてしまう人は気(エネルギー)が流れていない状態を、気の元になる飲食物をとることで無理やりに流そうとします。
その結果、食べ過ぎたり飲みすぎたりして胃酸が必要以上に分泌され、胃の働きが悪くなり、げっぷや胃液の逆流が起きやすくなります。
気が消化器官に溜まっている場合は、ゲップやおならが増えるのが特徴で、ゲップやおならをすることで過剰な気を放出して症状を改善します。
溜まった気を腸に送ることができなければ、お腹が張る膨満感が生じるのも特徴です。
軽いうちは胸やけやゲップなどの症状ですが、症状が悪化したときには嘔吐を伴います。
一度、吐き出すと頻繁に吐く癖がついて酸っぱいものもこみ上げやすくなります。
逆流性食道炎はくせになりやすい症状なので、根治するには長期的に食事を改善する必要があります。
逆流性食道炎に効果の立証された漢方
最近では、病院などでも漢方は大いに注目されています。
特に胃の切除などによる機能の低下に処方されています。
通常であれば制酸剤などの薬を処方されるところを漢方で様子を見たときの報告です。
逆流性食道炎が認められた男性に対し、膵酵素阻害薬や蠕動促進薬も効果不良であったが六君子湯追加により摂食可能となり退院し得た。
逆流性食道炎と診断され、六君子湯の効果として消化管運動改善や食欲増進の他,胆汁吸着作用が報告されており,胃切除術後逆流性食道炎の症状改善に寄与すると考えられる。
六君子湯(りっくんしとう)は主に虚の人に用いられる漢方で普段から冷えて体力がなく胃腸の弱い人に効果を発揮します。
六君子湯は逆流性食道炎でかなり頻繁に処方される漢方の一つですが、効かない人は虚実を間違えている可能性があります。
最近では、漢方の世界でも症状に対して処方する薬剤師さんも増えていますが、逆流性食道炎を患う人の多くは実の症状です。
先ほど書いた通り、ストレスが原因となる人は実の症状に分類されるので半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が正しい処方となります。
体力はあるけど食欲がなく胸がつかえた感じがするという人は実の症状と考えて問題ありません。
半夏瀉心湯は気を発散させる効果があるので、体力はあるし働くことはできるけど食欲がないという人は半夏瀉心湯を選びましょう。
仮に、薬剤師さんが処方してくれた漢方であっても、逆流性食道炎の症状に改善が見られないようであれば体質に合わない可能性があるので、他の所に行ってみたりすることが大切です。
また漢方であっても副作用があるものもありますので、知識のない素人の場合は自己判断で闇雲に漢方を飲まないようにすることをオススメします。
より信頼できる漢方専門医に相談すると、適切なアドバイスがもらえるでしょう。
逆流性食道炎の原因となっている食生活と、改善するための、オススメの食生活
逆流性食道炎は胃から逆流することが問題となりますが、そもそも逆流する条件は胃で飲食物が停滞していることです。
胃の機能は消化だけでなく小腸での消化が進んでいないときに、一時的に通行止めをすることも機能の一つです。
そのため重要となるのは胃よりも小腸の渋滞です。
では小腸で渋滞が起きるのはなぜかというと、
- 脂質の摂り過ぎ
- 炭水化物の早食い
- 冷え
が主な原因となります。
脂質の分解は胃より前では行われませんので、大量の脂質は小腸の負担が大きいのです。
炭水化物の分解は胃ではなく唾液に含まれるアミラーゼで行われるので早食いの人は消化不良のままで小腸に届き、小腸での渋滞の原因となります。
脂質も糖質も膵臓からの消化酵素を受け取って小腸での分解を行います。
基本的な対策としては、野菜を増やしてゆっくりと食べるという事です。
生野菜サラダの食べ過ぎも、禁物
体に良さそうなサラダですが、逆流性食道炎の方にとってはあまりオススメできません。
生野菜のサラダは生の栄養素を摂取できるというメリットがあるという一方、内臓を冷やす性質があるので夏はともかく、他の季節まで大量に食べている人は気を付けましょう。
特に夜ご飯に大量のサラダを食べることは知らず知らずのうちに消化系に大きな負担をかけている可能性があるので、胃の調子を考えるとほどほどにしたい所です。
野菜は暖かい時期はサラダを多少食べても構いませんが、
スープや煮物、温野菜などの形で皮ごと食べられる食べ方が大切です。
炭水化物を適度に摂取する
また、東洋医学においては胃の弱りを改善するためには炭水化物を勧めています。
ただし白米の状態ではなく、精製されていないものをお粥やおじやなどにした状態のものを摂り、消化を助けながら温めて胃のエネルギー源として炭水化物をとることを勧めています。
また、逆流性食道炎は夏に悪化しやすい傾向にあるので、
小腸の機能を高める苦みのある野菜や、胃の機能を高めるしゃぶしゃぶサラダなどのたんぱく質をプラスした野菜の摂りかたがベストです。
体を冷やす食べ物は避ける
逆流性食道炎の方はアイスクリームやアイスコーヒーの常食、常飲はくれぐれもお控えください。
なるべく体を温めるための食べ物と飲み物をメインにいただき、ゆっくりと食事する習慣を心がけましょう。
まとめ
逆流性食道炎は一種類ではありません。虚(機能低下)と実(機能亢進)が存在します。
漢方薬でも虚には六君子湯、実には半夏瀉心湯がおすすめです。
症状が同じでも原因が違えば対処法は変わってきます。
大切なのは根本的な食生活の改善であり胃腸の機能を正常に戻すことです。
機能の低下でも亢進でもなく中庸(平均の状態)を目指すのが東洋医学の逆流性食道炎を改善する理想です。
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