頻繁なトイレ・腹痛を伴う下痢・便秘と下痢を繰り返す、10人に1人が該当する過敏性腸症候群とは?東洋医学から考える原因とオススメの食事と改善対策
もともとお腹が強い方ではない。
冷房でお腹を冷やすとくだしてしまう。
お腹を壊すことが多くなった。
通勤の短い電車でも我慢できない。
ストレス社会と言われる現代では異常は見つからないのに日常生活に支障をきたす不調・疾患が増えています。
こちらでは、過敏性腸症候群と呼ばれる日常生活に支障をきたす症状の原因と改善法についてお伝えします。
過敏性腸症候群とは
大腸の気質的には問題はないが、排便の機能には問題をきたしている状態を指します。
下痢のイメージが強いですが、
- 頻繁に排便があるタイプ
- 下痢に腹痛をもたらすタイプ
- 便秘と下痢を繰り返すタイプ
ストレスも過敏性腸症候群の悪化に拍車をかけます。
さらに下痢型過敏性腸症候群の症状は、すぐトイレに行けないような状況で「トイレに行きたくなってしまったらどうしよう」という不安感から悪化しやすいタイプです。
わずか10分くらいの通勤時間でもトイレの我慢が難しいという状態です。
便の状態が水っぽいというだけでなく、我慢しづらいのも特徴なので、お腹に違和感を感じ出した時点でトイレを探し始めないといけないくらいひっ迫した毎日になります。
過敏性腸症候群と普通の下痢の違いとは
過敏性腸症候群とはお腹の痛みや調子が悪く、便秘や下痢などの排便の異常(回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態を指します。
もちろん、大腸に腫瘍や炎症などの病気がないことが前提になります。
日本では、人口のおよそ10%程度の人がこの病気であると言われます。
全体としては女性のほうが多く、年齢とともに減ってくることがわかっています。
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の病態に腸内細菌が大きく関与している可能性が高くなっている.ストレスは腸内細菌組成を変容させ,粘膜透過性亢進と内臓知覚過敏を招き,IBSの病態に沿った病理変化を起こす.IBS患者の腸内細菌を変容させ,症状が改善する場合には,同時に抑うつを中心とする中枢機能が改善する.
過敏性腸症候群と腸内細菌叢 福土 審
東洋医学から見た過敏性腸症候群。泄瀉の原因
東洋医学では、下痢を泄瀉(せっしゃ)と呼び、便秘は便秘です。
東洋医学における下痢(泄瀉)の原因
- 外邪によるもの
- 飲食不節によるもの
- 情志失調によるもの(ストレスによる症状で過敏性腸症候群が分類される)
- 脾胃虚弱によるもの
- 腎陽虚によるもの
外邪とは、季節による気候の変化です。
東洋医学では気候の特徴を風・暑(火)・湿・燥・寒に分けています。
梅雨、夏に下痢をしやすい脾胃虚弱体質
その中でも消化器系が弱い人は、梅雨や残暑に下痢をしやすくなります。
このタイプを脾胃虚弱と呼び、湿に弱いので身体に熱がこもりやすくむくみやすい体質に分類します。
そういった時期には、身体が重だるく、手足の関節がむくんだり疲れやすくなるのが特徴です。
もう一つのタイプとしては、寒に弱く冬の時期に下痢になりやすいタイプを腎陽虚と呼びます。
このタイプは身体のリンパの量が多いので、運動量が減ると体調を崩しやすく、夜にトイレに起きる回数が増えると身体が寒さに負けている証拠です。
飲食不節とは
飲食不節とは飲食の状態が乱れた総称を言います。
1つ目は「飲食不調」です。
これは極端に食べ過ぎたり、食べなすぎたりすることや、飲食の時間が不規則である状態が該当します。
食事は量が過ぎれば湿が発生するので消化器系に負担をかけます。
量が足りなければ気血の不足を起こし身体が弱ります。
食事の時間が不規則なのも消化器系を弱らせます。
2つ目は「寒温不適」です。
飲食物の温度が熱すぎたり、冷たすぎるものばかり摂取していると消化器系に負担をかけ機能の低下を招きます。
冷たいものは機能の低下を招き、熱いものは機能を亢進させどちらも下痢の原因となります。
下痢とは冷えたときには水分を減らし身体の熱を保ちやすくし、熱がこもったときには熱を排泄する行為なのです。
冷えたときには水っぽい便となり、熱いときはねちゃねちゃの便になります。
3つ目は「偏食」です。
東洋医学における飲食の偏りは五味を重視します。
五味とは酸、苦、甘、辛、鹹(しおからい)が基本となります。
東洋医学では食品添加物も鹹(しおからい)に分類され、渋みは苦みに分類されます。
これらの味を偏って食べている人は下痢になりやすいのです。
他にも腐った食物や、食中毒の類いも飲食不節に含まれます。
脾胃虚弱と腎陽虚
湿は下痢の重要な原因であり、長期的に消化器に悪影響を与え脾胃虚弱を生じます。
そうなると疲労や倦怠感が強くなり、少し動くだけで息切れや動悸などがみられます。
腎陽虚とは代謝の低下から身体に熱量が不足した状態で、慢性的なエネルギー不足がみられます。
腎陽虚は、足腰のだるさや下半身の冷えが強くなり、夜中にトイレに起きたり、おしっこの出やキレが悪くなったりといった症状が現れやすくなります。
東洋医学では、身体を温めて内臓の機能を向上させる漢方薬を選びます。
真武湯(しんぶとう)
こんな時には内臓の機能を向上させる漢方薬が処方されます。
下痢や軟便があり、全身が冷えて疲れがある場合に有効です。
身体を温め機能を高めます。
内臓の機能が衰えた状態は虚秘(きょひ)とも呼ばれ、一番の原因はエネルギー不足と冷えになります。
寒気がする風邪や消化不良の時にも使われます。
つまり腎陽虚や脾胃虚弱のときには風邪をひいたときと同じ食事が求められます。
1、消化に良いもの
2、身体を温めるもの
を意識して摂るのが重要です。
例えば、卵がゆは栄養面と身体を温めるという点で身体が冷えた下痢には極めて有効です。
情志失調とは
人間の身体はストレスにより、下痢にも便秘にもなります。心にかかる負担は内臓にも負担をかけるので機能の低下を招きます。
東洋医学では、感情を五志と呼び怒・喜・思(悩む)・憂悲・恐驚に分類します。
怒り過ぎることもストレスなら、怒りを我慢するのもストレスです。
喜びは多いほうが良いですが、喜びばかり追求するのは自然とは言えません。
考える時間は必要ですが、思い悩む時間が長ければ身体に湿が溜まり過敏性腸症候群の原因ともなります。
そのため、漢方薬では慢性的な下痢が続くときには精神面の改善にも効果のあるものが処方されます。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
過敏性腸症候群の下痢型に処方されることが多いです。
神経症や心身症など、ストレスに弱い人にも有効とされています。
腹痛や下痢、吐き気といった自律神経の乱れの症状を整えてくれるのでストレスが多く過敏性腸症候群になっている人には極めて有効です。
半夏瀉心湯は体力がある人向きなので、心身共に衰弱している人には向きません。
体力はあるけど通勤や通学時のみ過敏性腸症候群がひどくなるという実の症状の場合に有効です。
食事としては、腸内環境を整える食事が有効です。
基本的には食物繊維を含んだ炭水化物が有効なので、麦飯や雑穀米などがおすすめです。
まとめ
対策をまとめると、状況に応じては東洋医学専門クリニックなどに行って、体質診断の上、漢方を活用するのもいいですが、
下記の点に気をつけて日々の生活を送りましょう。
ストレスを溜めない生活を心がける
毎日規則正しい時間帯に食事をする
体を冷やすものは控え、体を温めるものを食べる
適度に運動をする
未精製の炭水化物(雑穀類など)やタマゴ粥などを食べる
消化にいいものを食べる
過敏性腸症候群は大腸だけの異常ではありません。
気候に左右される人もいますし、普段の食事が原因の場合もあります。
現代人に最も多いのはストレスと言われます。
人によって感じるストレスは違いますが、身体が弱っているときほどストレスに弱くなります。
過敏性腸症候群を治そうと思えば身体から整えてストレスにも負けない身体づくりをするのが理想です。
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