これからは洗濯洗剤の品質を私たち消費者がリードする時代です|オーガニック洗剤HAPPI愛用者は世の中を変えうる賢明な消費者群~仕事をしながら子育ても頑張る人気ライターがHAPPI洗剤を試してみたvol.08〜
いまやIN YOU Marketの大人気商品となった、
完全オーガニック洗剤・HAPPI。
私にとって、
原材料は天然・完全オーガニック・サステイナブルで、
不安な要素が1つもなく、
汚れ落ちの面で何の問題もなく、
あらゆる洗剤のコストを詳細に計算してもナンバー1で、
置き場所にも困らず、こまめに買う必要もなく、
もはや手放せない存在になっています。
日々何を着ているかにも左右されるかもしれませんが、
少なくとも可能な限り安心なものを身に着けることを意識しておられる方には
この上なく素晴らしい洗剤です。
このように、
「存在を知っていれば1も2もなく使うであろう商品」であっても、
多額の宣伝広告費をかけて売り出されるメジャーな洗剤や柔軟剤に比べれば、
まだまだ認知度は低いと言わざるを得ません。
その上、店へ行けば合成洗剤と柔軟剤ばかりがズラリと並んでいるので、
多くの人はそれを使って洗濯するのが当たり前だと刷り込まれています。
この状態は「メーカー主導」以外の何物でもありません。
さまざまな地球問題群が叫ばれるなかで、
つまりはその解決も企業任せなのです。
私たちが商品の選択を企業任せにしていると、
今後どうなっていくでしょうか?
最終回である今回は、
大手洗剤メーカーの打ち出しているサステナビリティ方針や商品開発の方向性から、
私たちの進む方向性について考察してみたいと思います。
大手洗濯洗剤メーカー2社の
サステナビリティ方針と商品の方向性。
今後どうなっていくの?
従来日本では、企業が社会的に果たすべき責任というと、
「利益を追求するだけでなく、社会へ与える影響にも責任を持ち、
消費者・投資家・社会全体などのあらゆる利害関係者からの要求に対し、
適切に意思決定をすること」
という、一見曖昧な定義がありました。
極端に言えば、
お客様に役立つ製品やサービスを提供して利益を出し納税する。
また、利益の一部を社会的貢献という形で社会に還元する。
出来る限り環境にも配慮する。
そんなイメージでした。
しかし、これまでINYOUでもお伝えしたきたように、
2015年9月に行われた国連サミットでは、
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)が採択されました。
日本にエコやサステイナビリティが全く根付かない理由。世界中の企業がこぞって取り組むSDGsへの遅れ。それは日本人・日本企業と政府の意識の低さにあった!
画像引用:国連広報センター
これは持続可能な世界を実現するための、
2016年から2030年までの国際目標が示されており、
17のゴール・169のターゲットから構成されています。
発展途上国だけではなく、先進国自身が率先して取り組む普遍的なものとされ、
日本の大企業もこぞってSDGsに基づいた「サスティナビリティ方針」を打ち出しています。
※サスティナビリティ:「環境・社会・経済」の観点から持続可能な社会にしていく考え方
以下、ざっくりではありますが、
皆さんご存じの国内大手洗剤メーカー2社のサステナビリティ方針の概要と、
商品の今後の方向性をお伝えします。
(タイトルと写真の関係性については特に気にしないでください)
大手洗剤メーカーA社
SDGsやパリ協定に基づき、長期的な視点で2050年に向けた新環境目標を制定。
1:事業を通じて気候変動と資源循環(プラスチックや水資源)の問題に取り組み、
「人と地球の健やかな未来」の実現を目指す。
2:環境に配慮した商品・サービスを提供することで、
商品のライフサイクル(製品の企画・設計製造・販売・使用・再生)において、
家庭で発生する環境負荷を減らしていく。
3:「生活する中で無理や我慢をしなくても、自然に環境保全につながる商品」を提供し、
生活者と双方向のコミュニケーションの機会を持ち、「エコの習慣化」を推進。
「心地よくくらすことがいつのまにかエコにつながる生活」の実現を目指す。
二酸化炭素排出が少ない社会の実現に向けては、
1、2050年までに、事業所内での活動に関してCO2排出量ゼロを目指す
(2030年までの目標は、2017年を基準に絶対量として30%の削減)
2、2050年までに、商品ライフサイクルに関してCO2排出量半減を目指す
(2030年までの目標は、2017年を基準に絶対量として30%の削減)
これらをどのように実現するか、その1つとして、
独自に開発した、2種類の植物性界面活性剤があり、
これらは再生可能な原料であり、CO2の排出抑制にも貢献できる。
(日本化学工業協会のシステムに沿い、人の健康や環境に悪影響を与えないという結果を
自主的に公表し、後に表彰される)
使用後、環境中に存在する微生物によって分解されてCO2と水になり、
植物は大気中のCO2を吸収するため、大気中のCO2は増えない。
この植物性界面活性剤を原料とした製品を海外で販売することで、
これまでの石油由来の界面活性剤が置き換えられ、さらなるCO2削減が期待できる。
大手洗剤メーカーB社
創業以来、消費者ファーストを基本に企業活動を行ってきた。
「持続可能なライフスタイルを送りたい」という、
生活者の思い・行動に応えていくことを目指す。
自分自身だけでなく、周囲も世界もすべてに思いやりに満ち、
暮らしが清潔で満ち足りているということを大切にする。
心豊かな暮らしが、今もこれからも続くと安心でき、
世界中の人が、日々暮らしていく中で小さなことであっても正しい選択をし、
自分らしく生きられるように、革新と創造にチャレンジし続ける。
2030年までの3つの約束として、
1:世界中の10億人を目指し、より清潔で健康に、
安心して歳を重ね、自分らしく生きられるよう、
より心豊かな暮らしに貢献する。
2:活力と思いやりに溢れる社会実現のため、
すべての自社ブランドが、
生活者にとって意味のある選択ができるよう提案する。
3:すべての自社製品が、商品ライフサイクルにおいて
地球が許容可能な範囲の環境負荷にまで抑えるようにする。
事業の多くがパーム油などの自然資本に大きく依存しているので、
地球温暖化防止や生物多様性保全といった環境側面や、
安全・衛生、人権などの社会的な側面に十分配慮して、
持続可能な調達を実現する。
森林破壊ゼロに向け、パーム油や紙・パルプの調達を2020年までに
持続可能な原材料に切り替えることを目指している。
パーム油・パーム核油の調達では、
RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、
2020年までに原産地の森林破壊ゼロを確認できること、
原料として使うすべてのパーム油とパーム核油が、
原産地まで追跡できるようにすることを目指す。
また、今後世界の人口増加に伴って需要が高まると思われるパーム核油の代わりに、
天然であり人間が食用にしない植物性の油脂材料を活用する計画がある。
(より多くの油脂を得られる微細藻類を活用して油脂を生産する技術を保有している)
大手洗濯洗剤メーカー2社の方針から見えてくることは?
2社とも、方針はとてもまっとうな内容だと感じました。
しかし、洗剤といったような各論的な内容になっていくと、
疑問を感じるところは多々あります。
(柔軟剤に関する言及が見られなかったのが個人的に納得いきませんでしたが)
大手メーカーであり、大量かつ安価に生産する必要があるため、
やはりパーム油は欠かせないようです。
IN YOU読者の皆様であれば、
HAPPIをはじめ、ウォッシュナッツ、セスキ、マグネシウム粒、精油、
あるいはお湯を利用するなど、
合成界面活性剤を使用しないさまざまな洗濯方法をご存じのことと思います。
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このように「合成界面活性剤がなくても洗濯はできる」という立ち位置から見ますと、
「大手はまだまだパーム油にこだわってるなぁ…」
という印象を強く受けます。
また、洗濯洗剤に限らず、食器用洗剤、化粧品、日焼け止めなど、
石油由来の成分はご法度という立場から見れば、
「石油由来を植物由来に切り替えるというのは今更すぎる」
という見方ができます。
それを、あと10年でCO2を30%削減、30年でようやく半分削減というA社、
読者の皆様はこれを「迅速な取り組み」と感じられるでしょうか。
また、持続可能なパーム油にはどの程度のスピード感で切り替わっていくのでしょうか。
そして、B社については、
持続可能なパーム油調達についても具体的なアクションを起こしており、
さらには世界的に需要が爆発して調達が困難になった事態を想定して、
将来的には藻類から取れる油脂を原料にすることができる技術を保有しているといいます。
藻類から取れる油脂が、未来の洗剤の原材料に?
このことが良いか悪いのかという即座な判断はできませんが、
(おそらく現状では誰にもわかりません)
皆さんに知っておいていただきたいことがあります。
『将来的に、藻類由来の油脂を洗濯洗剤の原料として利用する目途が立っている』
というのは国内初かもしれませんが、
光合成をする微細藻類(光と水と二酸化炭素によって成長し、脂質を産生する)
が作り出した油脂からバイオ燃料を作って石油を補完にするという発想は、
かなり以前からありました。
2004年から数年間、石油資源が枯渇するという理由で石油価格が高騰した時期があり、
石油以外の代替資源を確保する必要性が世界的に叫ばれました。
しかし、陸上の植物から油脂を採ると食糧問題とぶつかるので、
農場を確保する必要がなく食糧問題に影響しない『藻類』に着目しようという、
世界的な動きが起こりました。
小さな生物から油脂を大量に取り出すのは難しく思われましたが、
遺伝子組み換え・編集技術を駆使することで、
元の株よりも大量に油脂を蓄えることが可能になったのです。
この洗剤メーカーが遺伝子操作を行った藻類を使用するのかどうかについては、
公表されていません。
おそらく今後も大々的に公表することはないでしょう。
しかし、少し調べてみれば、遺伝子操作を施した藻類から油脂を採りだす研究は、
世界中、もちろん国内でも盛んに行われていることがわかります。
このメーカーの関係した研究も存在します。
もはや、この流れは止められそうにありません。
(参考)
・日本の藻類燃料研究の変遷Part2(植物栄養細胞をモデルとした藻類脂質生産系の戦略的構築):Modia[藻ディア]
・藻類で、トラブルなく油が倍増:nature asia
・その遺伝子操作された藻は、「未来の燃料」になるかもしれない:WIRED
IN YOUでも遺伝子組み換え食品に関する記事が多くありますが、
食品に限らず、エネルギーや日用品などさまざまな分野で、
特定の生物の遺伝子を人間のニーズに合わせて改変することが、
当たり前の世界になりつつあります。
ここで、『遺伝子組み換えアレルギー』のごとく、
ヒステリックに批判をしたいわけではありませんが、
『オーガニックが当たり前の世界』に、安全性が不確実な遺伝子操作はなじみません。
他者の生命に対する不自然な行為は、
因果応報としてどのような形で私たちに戻ってくるのでしょうか。
また、企業の打ち出すサステナビリティ方針の、
この『サスティナビリティ(持続可能性)』というものに、
『遺伝子組み換え・編集・操作』は適合するものなのでしょうか。
適合するとすれば、どのような根拠があってのことなのでしょうか。
企業のその選択に自信があるならば、
製品に堂々と「遺伝子組み換え(由来)原材料使用」と表示できるはずです。
少し長期的な視点で考えてみてください。
終戦後、シラミがわいた大勢の日本の子どもたちはDDTを噴霧され、
小麦粉を振りかけられたように真っ白になっていました。
DDTの効果を発見した科学者は1948年にノーベル生理学・医学賞を受賞、
しかしそのDDTは1971年以降、全面的に禁止されました。
また、世界で初めて工業化されたプラスチックは1870年のセルロイドと言われ、
今のようなプラスチックの生産が本格化・普及したのは戦後のことでした。
ところが今では『脱プラ』の動きが加速しつつあります。
革新的な技術というのは、諸刃の剣であるとともに、
後になって有害性が明らかになる可能性もあるということを、
私たちは常に心に留めておく必要があります。
前回の記事で、
洗剤の酵素が遺伝子組み換え微生物によって生み出されているという内容をお伝えしましたが、
酵素だけでなく、界面活性剤までもが遺伝子操作によって生産される可能性のある世の中、
まるで世の中のお困りごとは遺伝子操作でスッキリ解決!と言わんばかりの勢いです。
技術そのものや技術者が危険、というよりも、
消費者が何も知らず(知ろうとせず)に、
性能や効能、そして価格だけを判断基準に安易に購入するという現状こそ、
もっとも危険なのです。
「賢明な消費者群」は洗濯洗剤メーカーをも変えられる!
そもそもの話として、
企業は消費者のニーズがない製品・サービスを提供したいとは思わないでしょう。
たとえどんな革新的な技術が登場しようとも、
それを使った商品について消費者が見向きもしなければ、
まったく価値がありません。
逆に、
非の打ち所がない原材料で環境負荷を与えず、
他者を傷つけず、将来世代にも悪影響を与えず、性能もよい、
コスパもナンバーワン。
そんな商品が広まっていけば、
それをどうやって製造しているのか、
例えば「ウォッシュナッツって何だ?」「精油って何だ?」と、
世界のあちこちで研究が繰り広げられるかもしれません。
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「賢明な消費者群」になっていただきたいと思います。
「私たちの望む洗剤はこれ!」
というはっきりした意思表示が、
将来的に、メーカーや社会をリードする可能性を秘めているのです。
企業に未来を先導されるのではなく、
自ら選択し、逆に世の中をリードしていく存在を目指していきましょう!
最後に、色々難しい話もありましたが、
8回にわたる連載を読んでくださった読者の方々にお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。
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