大きな声で笑おう。笑いで副交感神経を優位にさせ、免疫力を高める
最近、笑っていますか?
「笑いは交感神経を緩める。」ということで笑いが健康にもたらす効果が注目されています。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の二つに分けられます。二つの異なる神経系によって形成されており、交感神経と副交感神経は「それぞれ反対の働きをする」と考えておけばわかりやすいです。交感神経は例えば、運動をしている時。この時、私たちは興奮している状態ですので、心臓の拍動数は早くなり、汗が分泌されます。体を活発に活動させる時に働く神経のことを指します。
対して、副交感神経は体がゆったりとしている時に強く働きます。食事中や睡眠時など「修復・休息・リラックスの神経」のことです。現代生活であくせくと働いているのは「がんばっている状態」ですから交感神経が優位になりがちです。ストレスなどもここに含まれます。交感神経がピーンと張った状態が続けばカラダへのダメージも増えていきます。意識して副交感神経を活性化させてあげなければいけません。マクロビオティック的に解釈すればそれぞれ陰陽の働きをする神経ですね。広がっていくチカラと収縮していくチカラです。
笑いは、とにかく緊張がほぐれます。ピンと張りつめた空気が誰かのふとした笑いでぐっと和むあの瞬間は何ともたまりません。これは副交感神経の反射によるものです。ストレスにより交感神経が優位になっているときこそ、笑うことで血行の促進や筋肉の緊張を緩める副交感神経を優位にすることができます。そうはいっても「笑えていないヒト」って少なくないんじゃないかと思うんですね。
ムスビの会を主宰する岡部賢二氏は著書『月のリズムでダイエット』の中でこう述べています。
「楽観と笑いが健康によい」。こんなテーマに医学会が取り組むきっかけをつくったのは、ノーマン・カズンズというアメリカを代表する編集者でした。カズンズは1964年に膠原(こうげん)病を発症し、全快の可能性は500分の1だと医師に宣告されました。ところが、病気の原因がハードな仕事に由来するストレスなら、「愛や、希望や、信仰や、 笑いや、信頼や、生への意欲が治療的価値をもつこともありえる」のではないかと考えました(『笑いと治癒力』〈岩波書店〉より)。そこで、喜劇映画やユーモア本に接して徹底的に笑うことを自分に課した結果、なんと数か月後には膠原病が全快。カズンズの体験は、医学界の注目を集めることになったのです。 その後、アメリカでは「笑い健康法学会」が結成され、その研究発表を受けて、気持ちのもち方で病気を改善する「精神神経免疫学」が、いま医療の最先端となっています。
岡部氏によれば、特に注目されるのは、がん細胞を退治するナチュラルキラー細胞(いわゆるNK細胞)の活性化です。笑うことで、免疫細胞であるNK細胞の働きが通常免疫力の5〜6倍にも高まり、がん細胞はもちろん、ウィルスや病原菌などから体を守ってくれます。 逆に慢性のストレス状態はNK細胞の働きを悪くし、免疫力を低下させてしまうのです。ウィスコンシン大学の研究でも、「前向きで明るい人ほど風邪にかかりにくい」ということが発表されています。
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私たちの日常でもまわりを見渡すと「後ろ向きで暗い人」「まじめ過ぎる人」は言われてみれば健康というよりは体調がすぐれていない感じがします。日本で免疫学と言えば安保 徹先生ですが、『「まじめ」をやめれば病気にならない』という本を出しています。免疫というものを知るには非常にわかりやすい一冊です。
笑っているときは横隔膜が振動し、胃腸が活発に動きます。そうすると、腸で作られた血液や免疫物質が全身に行き渡るといいます。作り笑いでも効果があると言われているほどです。
笑ったときには横隔膜が上下に振動するため、ポンプのようになります。すると血液が全身に循環を始めます。血液の流れがよくなると、細胞に酸素や栄養分が提供されるので、内臓も皮膚も頭もクリアになってきます。滞った汚れも吐き出されるため、デトックス効果もあるとされています。
現代人の光をなくした心の状態をたとえた日本神話に「アマテラスの岩戸隠れ」があります。スサノオの乱行を悲しみ、心を閉ざして天の岩戸に隠れてしまったアマテラスが、岩戸から顔をのぞかせたきっかけは、アメノウズメの踊りを見た神々の笑い声だった、というこの神話は、恐怖や不安、怒りなどのマイナスの感情で閉じてしまった心の光を、笑いによってふたたび取り戻そうと暗示したもの、と言われています。
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微笑んでいる人の脳からは、人間の心の状態を安定させるα波やθ(シータ)波が出ていると言われます。α波が脳に出てくると、先にもお伝えしましたが、副交感神経が優位になり、筋肉がゆるんで、血流がよくなります。 そうすると、内臓に血液が供給されるので消化吸収能力が高まり、体温や血圧が安定してきます。ここでリラックス状態になるのです。θ波は瞑想によって生まれるので瞑想波とも呼ばれ、人間に癒しのエネルギーをもたらす覚醒波です。ヨガでは瞑想を必ず行いますが、まさに心身の状態を落ち着かせ、リラックス効果を得るためです。
これを受けると、脳内では「β(ベータ)ドルフィン」という、通称「幸せホルモン」 が分泌され、ストレスや痛みがやわらぎます。幸福感はもちろん、老化を遅らせ、思考力、創造力、記憶力、集中力など、脳の機能を向上させるβエンドルフィンは脳内麻薬ともいわれ、モルヒネの50倍以上の鎮痛効果があることがわかっています。美味しいものを食べることもβエンドルフィン活性には欠かせません。これらが脳内に増えることで、気分が爽快になったりするのです。
笑顔は、世界共通の言葉です。「笑う門には福来る」とか「笑いは人の薬」などといわれるように、太古から「笑い」は人間にとってとても重要な機能のひとつです。昔から健康と言われる家族は「お母さんが笑顔の家」でした。
私は割と大きな声で笑うほうです。笑いたいときはよほどのことがない限り、あまり周囲を気にしません。たしかに大きな声で笑ったときは爽快感があるんですよね。笑いがある人にはまた会いたくなりますし、良いことだらけですよね。
今、自然治癒力や免疫力について取り上げられる機会がとても増えていると感じます。具合が悪くなったら病院へ行き、薬をもらうスタイルはもはや20世紀型であり、常に自分自身の免疫力を上げるスタイルを持つことが大事になってきています。
しかもそれらは全て「無料」でできることなのです。
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