2020/08/06

イタリア人女性のポジティブな更年期の乗り越え方とは？私たちも見習いたい、歳を重ねても女を追求する姿勢

くどうりつこ

イタリア在住。イタリア人の夫、小学生の息子、愛犬と気張らない暮らしをしています。体と心が楽になる記事を提供することが目標。イタリアの謎やあれこれについてブログ「陸と海のあいだ＠イタリア」にボチボチ書いています。

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私の義祖母は、96歳になる今も、
サンダルをはく季節になればペディキュアをし、
教会に向かう時にはアクセサリーを身に着け、
口紅を塗ります。

80歳を迎えた親戚の女性も同様に、
レストランで食事をする日には、
この時期であれば色鮮やかなサマードレスに着替えます。

高齢になったからと言って、
女性であることを否定したりはしません。

生涯「女」として、
自分らしく生きることを追求するイタリア女性。

その思考のヒントを、
人生のターニングポイントともいえる
更年期の乗り越え方から見ていきましょう。

更年期や閉経に不安を感じるのはイタリアでも一緒

ポジティブでバイタリティ溢れるイタリア女性でも、
「女性ホルモンの分泌減少」という
誰もが避けることのできない身体的な変化、
つまり更年期や閉経に直面する50代を迎える際には
不安を感じるようです。

「多くの女性にとっての悪夢」といったコメントもあるほどです。

更年期障害があってもすぐに専門医に診てもらえないイタリアの事情

閉経前後の心と体は、
100人いれば100通りの反応や変化が見られます。

それゆえイタリアでは、
まず婦人科医や心療内科医などのプロに、
生活をどのように改善したいのかなど
具体的な要望を打ち明け、
アドバイスを求めることが大事と言われています。

しかし、ホームドクター制を採用するイタリアでは、
まず無料のかかりつけ医に相談してから
婦人科など専門医を紹介してもらうのが一般的。

そこから予約がとれるまでに数週間、
ひどい場合は数か月間かかることもあります。

緊急時以外ですぐに診てもらいたい場合は、
全額自己負担で私立の病院に行かなくてはなりません。

更年期障害の治療法として知られるホルモン補充療法には及び腰

こうした理由も相まってか、
ホルモン補充療法を受ける人はごくわずか。

リスクが大きいと見られていた同療法について、
近年では肯定的な意見も多く見られ、
イタリア保健省も、注意深く検査した上で
正しく行われるのであれば、
骨粗しょう症などに有用であるとしています。

以前と比較すると、現在は効果を最大限にしつつ
投与量が低く抑えられているとのこと。

しかし、イギリスの国営医療サービスであるNHSは、
国営放送BBCの

「ホルモン補充療法は考えられているよりもリスクが大きい」

という報道を引用して、
乳がんのリスクを指摘する調査を公開しています。

イタリアでも、こうした副作用の懸念から、
二の足を踏む女性が少なくありません。

ホルモン補充療法を推奨する婦人科医
アレッサンドラ・グラッツィオッティン氏によると、
イタリアで同治療を受けている女性は
わずか3％程度とのことです。

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「エルボリステリア」を味方に、更年期特有の体と心の変化をオーガニックに乗りきる！

閉経を挟んで10年間にもおよぶ長い間、
女性は更年期と付き合っていきます。

「願わくは、自然な方法で乗り切りたい」
と思うのは当然のことでしょう。

ホルモン補充療法を必要としない、
または同療法に頼ることができない人々にとって、
家族や友人からのアドバイスと並んで大きな支えとなるのが、
町の薬草・ハーブ専門薬局「エルボリステリア」。

日本でいうところの漢方薬局です。

更年期に有用とされるハーブ

イタリアで更年期の女性に有用とされる
ポピュラーな薬草と言えばこちら。

◆大豆：
　イソフラボンがエストロゲンに似た働きをすることでお馴染み
◆ムラサキツメクサ（レッドクローバー）の花、セージ、アンゼリカ（アンジェリカ）：
　エストロゲン含有量が多い
◆ブラックコホシュの根：
　アメリカ先住民がホルモンのバランスを整えるために用いてきた

中でもセージは、閉経前後だけではなく、
月経前症候群（PMS）にも効果があると言われています。

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薬草やハーブのエキスパートである
ヴァレリア・ヴィタリィアノ医師によると、
下記の植物も症状緩和に有用です。

◆スイートクローバー：ホットフラッシュ
◆スギナ：骨粗しょう症
◆白樺（バーチ）：浮腫み
◆セント・ジョーンズ・ワート：うつ症状
◆トケイソウとセイヨウカノコソウ：不安
◆ハナビシソウ：不眠
◆セイヨウサンザシ：不整脈

※ヴィタリィアノ医師は、上記を錠剤や水薬で摂取する場合、専門家のアドバイスを得るよう勧めています。

ハーブ専門家のイタリア人医師お勧め！
家庭で作る更年期対策ハーブティー

以下は、ヴィタリィアノ医師お勧めの
家庭でできるハーブティーのレシピです。

いずれも、小さじ1杯をカップに入れて15分待ち、
1日につき2～3杯を飲むようにとのこと。

◆レシピ1
セイヨウサンザシ（40％）
トケイソウ（30％）
セージ（15％）
ペパーミント（15％）

◆レシピ2
トケイソウ（30％）
マザーウォート（20％）
レモンバーム（20％）
ノコギリソウ（15％）
アニス（15％）

◆レシピ3
セイヨウサンザシ（30％）
トケイソウ（30％）
レモンバーム（20％）
オレンジの花（20％）

レモンバームにはイライラを抑える鎮静作用、
マザーウォートはレモンバームとの併用で
神経を落ち着かせ、無月経や月経困難症にも有用、
オレンジにはリラクゼーションと睡眠を促進する働きがあるとされています。

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更年期特有の症状、ネガティブ思考を打ち破るのに有効なのはセックス！

50歳前後は親の介護や死、子どもの巣立ちといった
社会的役割や環境の変化が起こる時期でもあり、
否定的な心理状態に傾きがち。

当初はホルモンの変化に起因していたこうした症状が、
社会心理学の領域に関連していくことも大いにあり得ます。

こうした時、閉塞感を打ち破る上で
効果的だと考えられているのが性的な満足感です。

性交渉の回数で最下位の日本。更年期女性の本心は？

Dulex社の調査によると、
1年間の性交渉の回数がもっとも多いのがギリシャの138回。

ランキング下位にはアジア圏が並んでいるものの、
その中でも45回とひと際少ないのが最下位の日本でした。

しかし、相模ゴム工業社の調査では、
セックスレスだと思うと答えた40～50代の男性の70～80％が
「もっとセックスをしたい」と打ち明けています。
60代男性でも65.5％と高い数字がみられました。

一方、女性で同回答を選んだのは、
40代で37.5％、50代で24.9％、60代では14.1％と消極的な結果。

こうした男女間の差異を埋めるためには、
イタリア人医師のアドバイスが役に立つかもしれません。

性の問題を過小評価しない！更年期を経て「生殖」から自由になった性を楽しもう

著名な精神科医であるラファエロ・モレッリ氏は、
50代以降の性の問題を過小評価しないよう
こう呼びかけています。

「真のセクシャリティは50代から。

生殖の目的から完全に切り離され、
性がより自由になる。

ただし、それには他人と比べたり、
他人からの批判に時間を費やしたりしないことが条件。

そうすれば、エロティックな女性が完成する」

なんともイタリアらしいコメントですね。

しかし、そうはいっても、
女性はエストロゲンが減少することで、
膣の委縮や乾燥が始まり、
性行為に苦痛が生じるのも事実。

イタリアでは69％のカップルが
こうした症状の影響を受けているというデータもあります。

そこで同医師が指摘する3つのポイントをご紹介。

更年期でもよりよいセックスをするためにすべき3つのこと

1. パートナーとよく話しあう

自身に何が起こっているのか、
どう変化しているのかを伝えることが大事です。

そして、パートナーの言葉に
耳を傾ける時間もとってください。

パートナーもまた、加齢による
心身の変化に悩んでいるかもしれません。

お互いにどうしたいのか、
どうしてほしいのかをよく話し合うことで、
性生活の充実はもちろん、
日常生活でも小さなハッピーが積み重なり
思考がポジティブに寄りになっていきます。

日本人の美点「話さなくても分かる」マインドは
一旦捨てましょう。

2. 性的欲求を取り戻す

更年期には性的欲求の低下がみられることも。

「欲望とファンタジーは一生維持できる」

とは、イタリア性科学センターの婦人科医で心理学者の
カルロ・ノニスマルツァーノ氏の言葉ですが。
ここではまた薬草の効果も見てみましょう。

先に述べた相模ゴム工業社の調査では、
セックスをしたくない理由に、

「面倒くさい」
「性欲がない」
「疲れている」

との回答が女性から多く寄せられていました。

高麗人参、マカ、ダミアナは、体と心の両方における強壮剤。

疲労回復に役立つとともに、
パートナーとの親密さを促進するのにも役立ちます。

インターネットで買い物ができる良い時代。
どんどん活用しましょう。

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3. 膣環境を改善する

ホルモン補充療法の中では、
外陰部に塗ってエストロゲンを補充する膣クリームが
唯一乳がんのリスクが確認されていないと
イギリスの国民保健サービスが述べています。

また、膣粘膜を活性化させるレーザー治療も注目の的。

よりナチュラルな方法としては、

◆刺激の少ないデリケートゾーン専用ソープを使用する
◆骨盤底の筋肉を鍛える（ケーゲル体操）
◆脂質と酒量を抑えた健康的な食生活を送る

があります。

その他、バッチフラワーでは、
レメディ「ロックウォーター」を含めて調合したものが、
膣の乾燥やかゆみに有用との情報も
いくつかのサイトで紹介されています。

年を重ね、更年期を迎えたからといって心の平穏を求める必要はない！

イタリア語で更年期を表す医学用語「climaterio」という言葉は、
ギリシャ語の「ステップ」を意味する言葉から来ています。

更年期は新たな一歩を踏み出す時期。

精神科医のモレッリ氏は、50代以降の生き方について、
心の平穏を求める必要はなく、
創造力豊かに生きようとこう述べました。

「50歳の女性は自分を信じ、他人を信じないこと」

和を大事にするあまり、
自分自身をおざなりにしがちな日本人女性にこそ
届いてほしい言葉です。