ヨガ未経験でもすぐに出来る
「マタニティヨガ」のポーズ3選
妊産婦のメンタル不調を強力サポート！

「周産期うつ病」という言葉を聞いたことはありますか？

2018年に厚生労働省の研究班は、
妊娠が分かってから産後1年までの女性の死亡原因を調査し、
その第1位は、残念なことに「自殺」であることが分かりました。

そして、この結果をきっかけとして、
周産期の女性のメンタルヘルスケアの重要性が
見直されることになりました。

参考：妊産婦の死因、自殺がトップ　産後うつでメンタル悪化か（朝日新聞デジタル）

本来喜ばしい出来事であるはずの妊娠や出産によって
心を病んでしまう妊産婦さんがいるのはとても悲しいことです。

あなたの身近の妊産婦さんも
心の問題を抱えている可能性が十分にあるのです。

この記事では、出産前後の周産期のメンタルヘルスケアの大切さを解説し、
解決策としてのヨガを提案しようと思います。

ご初回するヨガのポーズはどなたでも簡単に実践できる内容です。

ご自身が妊娠中という方や大切な人が妊娠しているという方は
ぜひご一読いただき、何かに役立てていただければ幸いです。

決して遠い存在ではない「周産期うつ病」とは？

繰り返しにはなりますが、厚生労働省が
2015年から2016年の1年間で周産期の女性357人の死因を調べたところ、
自殺がトップで、102人（28.6%）に上りました。
心疾患28人（7.8%）、出血23人（6.4%）と比べると
「自殺」という精神的な原因で命を落とした妊産婦さんの多さが分かります。

日本は世界的の見ても、安全に出産できる環境が群を抜いて整っています。
そのため本来であれば、妊産婦さんの死亡率はもっと下げられるはずなのです。

またこれまでに、周産期には「うつ病」や「統合失調症」といった精神疾患が
悪化・再発しやすいことが分かっています。
妊産婦さん全体で見ると、その15%が周産期うつ病を経験するといわれており、
これは決して他人事とはいえない数字でしょう。

参考：『周産期メンタルケア』 ～母子保健と精神保健の協働～（渡邉博幸）

つまり「周産期うつ病」は、妊産婦なら誰もが経験し得る精神的な症状で、
同時に、そのケア体制がまだ十分には整っていないのが現状なのです。

「周産期うつ病」の原因

なぜ、妊産婦さんは心を病んでしまうのでしょうか。

「周産期うつ病」の主な原因は以下の通りです。

・産まれてくる子どもに対する不安
・母親としての責任感
・周囲からの心ない言葉

産まれてくる子どもに対する不安

妊産婦さんには不安がつきものです。
子どもが健康に産まれてくるのか、そもそも生きて産まれてきてくれるのか、
毎晩、毎晩考える日々が続きます。

食べるものに気を配り、薬、飲酒や喫煙などからの
様々な影響を心配し、できる限り避けたいと自然に考えるようになります。
そのため、無意識のうちに常に緊張した状態におかれるのです。

さらに、もし、過去の流産などでトラウマを抱えているさんであれば、
出産に対する恐怖は一層強くあります。

私自身に出産の経験はありませんが、
母から「全身に発疹がある状態で産まれてきて、どうしようかと思った」
と20年近く経った今でもくり返し聞かされます。

お母さんは子どもの健康を心から願っており、
その反動で気がつかないうちに自分の心に負担をかけていることに気づかされました。

母親としての責任感

出産の予定日が近づくにつれて、母親としての責任感はますます強まります。

子どもが産まれた後のあれこれを必要以上に気にかけてしまうようになるのです。

周囲の人も、病院から退院した後の環境や自宅で子どもを育てる環境が整っているかなどを確認し、
必要に応じて適切なサポートをするようにしたいものです。

周囲からの心ない言葉

周術期は精神的に不安定な日々が続きます。
そこへ周囲から心ない言葉を言われて必要以上に重く受け止めてしまうケースがあります。

もしあなたの大切な人が妊娠しているなら、まずは言葉を大切にすることを意識してください。

参考：妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル（公益社団法人　日本産婦人科医会）

運動療法よりも「周産期うつ病」に効く？！
妊産婦さんのためのヨガ＝「マタニティヨガ」のメリット

では、周産期うつ病を回避するために何ができるのでしょうか？

私がオススメしたいのは「ヨガ」。

周産期の女性向けの「ヨガ」＝「マタニティヨガ」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、
近年の学術研究により、その健康効果に裏付けが得られつつあります。

ここからはヨガの具体的な効果と、そのメカニズムについて見ていきましょう。

ヨガのメリット：うつ状態を改善

ヨガが他のストレス解消療法よりも優れているものの1つに「呼吸法の実践」があります。

周産期の女性にヨガをしもらう研究は世界各地で行われていますが、10を超える研究の結果から、
周産期のヨガはうつ病の発生リスクを下げることが分かりました。

さらに運動療法よりもヨガがストレスを下げる効果が高いことが明らかになっています。

この理由はヨガが「ストレスホルモン」を下げることができるからです。

通常の運動療法とは異なって、ヨガの動きは呼吸とセットで組まれます。
そのため、体を動かしながら自分の内側にも目を向ける時間を取ることができ、
このことがストレス軽減に繋がると考えられています。

参考：Yoga research review（Tiffany Field, Complementary Therapies in Clinical Practice, 2016）

ヨガのメリット：睡眠の質を向上

妊娠中はホルモンバランスの乱れや免疫力の低下によって睡眠障害が出やすい時期です。

過剰な眠気がおそったり寝つきが悪くなったり、
眠っても途中で起きてしまうなどの問題が起こります。

ある研究で妊産婦さんに週に20分、12週間続けてヨガを実践してもらったところ、
「眠れない」「寝苦しい」といった症状が改善されることが分かりました。

ヨガは睡眠改善にも効果があるのです。

参考：Tai chi/yoga reduces prenatal depression, anxiety and sleep disturbances
（Tiffany Field,Complementary Therapies in Clinical Practice, 2013）

ヨガのメリット：未熟児の減少

ヨガは妊産婦さんの精神状態を改善するだけではありません。

妊娠中にヨガを行うことで、未熟児の出生率が減少します。
その理由は、ヨガを行うことで母体の血行がよくなり、
胎児に新鮮な血液が送られるためだと考えられます。

つまり、ヨガを行うことで、
お母さんの栄養が効率よく赤ちゃんに届くようになったということです。

参考：Yoga research review（Tiffany Field, Complementary Therapies in Clinical Practice, 2016）

すぐに出来る！
妊産婦さんのメンタルケアに役立つ！
簡単なヨガ・ポーズ3選

とはいえ、「ヨガなんてすぐできるの？」と思う方もいると思います。
また妊産婦さんはヨガのポーズに制限があるのも事実です。

今回は、すぐに実践できるマタニティヨガのポーズを集めました。
未経験の方でも簡単にできるポーズばかりなので
まずは無理のない範囲からスタートしてみてください。

①分娩時のイメトレにオススメ「花輪のポーズ」

「臨月に入った妊産婦さんは毎日やってほしいポーズ」と人気の高いポーズです。
骨盤の調整や関節の柔軟性向上、出産と関係が深い、骨盤の動きと関わる内腿の筋肉
「内転筋」の強化に効果があります。

一見シンプルなポーズですが、これだけで様々な筋肉や関節に働きかけることができます。
股関節のあたりがじわじわと温かくなるのを感じましょう。

☆YouTube動画『股関節をほぐすYOGAポーズ マラーサナ／花輪のポーズ』

②体のすみずみまで酸素を運ぶ「蓮華座」

呼吸を深めるポーズです。

姿勢を正して座り、呼吸に神経を集中させることで集中力アップが期待できます。
胎児の動きを感じとるようなつもりでポーズをとりましょう。

出産時には呼吸を意識することで陣痛の痛みを乗り越えた妊産婦さんもいるようです。

☆YouTube動画『花田美恵子さんが教える！疲れた心を癒す「蓮華座のポーズ」』

③腰痛を改善「キャット アンド カウ」

やり方は
１）四つん這いになり、息を吸いながら腰を反らして胸をはる
２）息を吐きながら腰から背骨全体を丸める
この2つの動作をくり返します。

ポイントは背骨をおしり側から1本1本動かすような意識をもつことです。
肩がおちたり、腰を反りすぎたりしないように注意しましょう。

背骨の動きをなめらかにして、しなやかな体作りを期待できます。
背骨はヨガのポーズの基本となる部分で、動かすことで
腰痛改善や肩こり解消の効果を得ることができます。

☆YouTube動画『下腹＆お尻の引き締めヨガ【キャット&カウ】上半身の血行を促進！【YMC】』


参考：腰痛、むくみetc.妊娠中の不調を癒す！産前におすすめヨガポーズ（ヨガジャーナル日本版）

今回紹介したポーズはどれもお腹を圧迫しないでできるポーズです。
出産直前までできるので、自分の体調と相談しながら取り入れてみましょう。

まずは出来ることから、妊娠中の心のケアを始めよう！

「周産期うつ病」は妊産婦さんを苦しめており、
具体的な解決策も少ないのが現状です。

その中で「ヨガ」は妊産婦さんが自発的に取り組める対処法の1つです。
最初はなんとなく不安を感じたらとりあえずやってみる、くらいの感覚でかまいません。

できることから周産期うつ病を予防していきましょう。

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