東洋医学から見た女性が抱える下半身のお悩み「ブルヴォディニア」の原因とは。

専門家に聞きたいけど相談しづらい股間部の痛み。

婦人科系(膣内)の痛みだけど原因は不明と言われてしまう。

最終的には心療内科を紹介された。

マシになっても治る気がしない。

酷い痛みで仕事にも支障がでる。

こんな症状を最近ではブルヴォディニアと呼んでいます。

最近、発見された症状と思われがちですが、東洋医学にも記載がある症状の一つです。

こちらでは原因不明と言われやすいブルヴォディニアの原因と対処法について書いています。

ブルヴォディニアとは

ヴルヴォディニアは、女性の陰部の慢性の痛みを指します。

ジンジン感があるが、感染症などの原因がはっきりしない状態です。

心理的要因が影響していることも考慮され、心療内科を紹介されることもあり、
精神疾患の薬で症状がマシになることもあります。

女性患者が日常生活に支障をきたしていても羞恥心のために医療機関を受診しづらい症状の一つに外陰部痛がある. 外陰部痛の中でも特に器質的疾患が認められないブルヴォディニアは治療に難渋することが多い. 本症例は, 漢方医学的には腎虚と瘀血の所見がみられ, 八味地黄丸と桂枝茯苓丸が有効であった. Vulvodyniaは西洋医学的には外陰部の血流障害や筋肉の攣縮としてとらえられ, 治療薬として抗うつ薬や抗けいれん薬などが用いられる。
塚本 路子、他4名

漢方薬と心身医学的アプローチが有効であったvulvodyniaの1例

ブルヴォディニアは外陰部の血流障害と筋肉の攣縮が原因と定義づけられました。

東洋医学でみた、ブルヴォディニアとは？

「腎虚」と「瘀血」に分類されます。

腎虚（じんきょ）と瘀血（おけつ）は、老化の三大要因のうちの二つ。
(三つめは、消化器の弱りである脾虚（ひきょ）が分類されます。

女性の体は７の倍数の年で変化します。
特に、35歳を過ぎた頃から老化の症状は出だします。
出典：日経ウーマンオンライン

東洋医学の古典である黄帝内経では、腎の働きの低下により、精気が減少することを老化と定義しています。

しかし、年齢に関係なく腎虚や瘀血となる人もいます。
まだ若くても、ブルヴォディニアが起こる場合には腎虚や瘀血が生じていると考えられます。

腎虚の症状と特徴

• 腰や膝がだるい
• 生理痛がひどい
• むくみがある
• 便秘がち

といった症状のあるひとは要注意です。

これは、一般に若年性更年期障害やPMS（月経前症候群）の場合に発症する症状で、
いずれにしても、血流が悪化しており、婦人科疾患の原因となっています。

同じ腎虚でも、体が冷える人とほてる人に分かれます。

腎虚ー冷えのタイプ

冷えるタイプは、身体に老廃物が溜まっており、水分の流れが悪くなっています。
PMSの可能性が高く、食生活の偏りにより代謝が低下した、瘀血の可能性も高くなります。

腎虚ーほてりタイプ

ほてる人は、身体の保水力の低下か水分補給が不足しているために、水分不足の結果として、ほてっています。
若年性更年期障害として、腎虚の可能性が高く、自律神経の乱れが原因となります。
この場合は、空調の使い過ぎで暑さと寒さの差が激しいときに起こります。


腎が虚している人の多くは,身体や精神へのストレスで慢性的に疲労しています。

それは、東洋医学では、慢性疲労症候群も腎虚が原因だから。
そして、腎虚は血虚(栄養不足)を引き起こします。
この場合の血虚とは、必要なホルモンが低下している状態です。

それが身体を興奮させるカテコールアミンであり糖質コルチコイドであるのです。

これらの興奮ホルモンが不足することで、

• やる気がでない
• 集中力が続かない
• 疲れやすい

などの症状が顕著になります。

基本的に腎虚の人は、寒さに弱く、クーラーの冷えなどで余計に体調を崩します。

瘀血の症状と原因

瘀血とは、血流がドロドロになっている状態。
血液検査に引っかかる人も多いのが特徴です。

舌や唇が紫色
シミ(肝斑)
肩こり
冷え症
腰痛
五十肩
頭痛
胃痛

と言った症状が慢性化します。

瘀血の原因としては、水分不足であることも多く、
普段からコーヒーは飲むけど、お茶や水は飲まない人が多いです。

また、瘀血を起こしやすい身体は、目の使い過ぎも多いので、
普段から、目が充血しやすい人は瘀血の状態になっています。

瘀血による血液循環の低下は、毛細血管の血流を滞らせるので、
皮膚の栄養や潤いが不足し、タルミにつながります。

シミやクスミなども瘀血の特徴なので、普段よりも肌の調子が悪いと思ったら注意が必要です。

腎虚と瘀血を改善しよう〜食養生〜

ブルヴォディニアの改善には腎虚と瘀血の改善が必要なので、ポイントとなるのは補腎と活血の食材です。

補腎

• 胡桃（くるみ）
• 黒ゴマ
• 黒大豆
• 昆布
• 海苔

といった黒い食材が必要です。

他にも、大豆食品には腎を補う効果があるので、豆腐や納豆などもお勧めです。

黒い食材には、黒い色素成分であるアントシアニンが含まれています。

アントシアニンは、第七の栄養素であるフィトケミカルのなかでも、抗酸化作用が強いことで知られています。

腎が弱る原因の一つに、活性酸素が考えられます。

そのため活性酸素を無害化する抗酸化作用のあるアントシアニンは効果的なのです。

黒い食材は海外でも注目されており、ブラックシードや黒キヌアなど以外にも、

• 黒豆
• 黒米
• 黒ゴマ
• 黒酢

などに注目が集まっており、欧米のスーパーマーケットでは、
ブラックフードコーナーが設置されているほどです。

活血

• タケノコ
• 蓮根
• ゴボウ
• タマネギ
• ニンニク
• アーモンド

といった食材には、食物繊維が豊富に含まれるので、血糖値上昇を抑制します。

活血とは、血の巡りを良くする効果のある食材ですが、現代風に言えば血中濃度をコントロールする食材とも言えます。

血液検査で重視される

• 高血糖
• 高脂血症
• 高コレステロール症
• 高血圧

などの改善に効果のある食材とも言えます。

玉ねぎやニンニクの香り成分には、
血液をサラサラにするフィトケミカルである、イソチオシアネートが含まれます。

高血圧や高脂血症の改善に効果的なので、
玉ねぎやニンニクを使ったスープは、身体のデトックススープとしても注目されています。

 

腎虚と瘀血を改善しよう〜身体〜

腎虚の改善には、足腰を鍛えるのがポイントです。

基本的にはウォーキングがおすすめですが、倦怠感が強いときには歩きすぎも注意が必要です。

目安としては一日当たり１５分くらいのウォーキングで十分です。

そして、週末などの時間があるときは30分くらいのウォーキングを心がけましょう。

少し息が弾むけども、会話はできるくらいのスピードがベスト、と言われます。

早く健康になりたくても、歩き過ぎは逆効果になることもあるので、ほどほどが一番です。

東洋医学が目指すのは、極端な生活ではなく、何事もほどほどにする中庸（ちゅうよう）と呼ばれる状態です。

瘀血の改善には頭寒足熱が基本です。

血液の状態が悪い人は、頭に熱が昇りやすく、冷えのぼせしやすいのが特徴です。

現代人は、空調のせいでこの症状が特に悪化しています。

なので、瘀血の人は、足元を冷やさないように気をつけるのがポイントです。

そして、夏が過ぎたら寝るときにはクーラーをなるべく使わないで、
氷枕や冷えピタなどで、頭だけ冷やすのがポイントです。

普段から冷え性の人は意識して足元を温めて頭を冷やすようにしましょう。

また、瘀血の人は身体が水分不足になっていることが多いので、

• 利尿作用の強いカフェインは避ける
• 水をこまめに飲む

なども大切です。

まとめ

ブルヴォディニアは、相談しづらい疾患の上に、
婦人科でも原因をはっきりと見つけられない事が多いのが特徴です。

様々な薬を試しても効果がなければ、精神的な問題とされ心療内科を紹介されるのが現状です。
ですが、身体に問題がなく症状は現れないと東洋医学では考えます。

心身一如（しんしんいちじょ）の言葉が表すように心の健康は身体の状態が反映されると考えています。

そのため、仮にストレスが原因であったとしても、
ストレスに身体が負けるのは普段の過ごし方に問題があると考えます。

自分の症状が腎虚または瘀血に該当すると感じるなら食事と生活習慣を改めることから始めましょう。

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