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あなたは電気・ガス・水道を使わずに生活できますか?オフグリッド生活だった18歳の私から今を生きる私たちへ~わたしと田舎とオフグリッド前編

あなたは電気・ガス・水道を使わずに生活できますか?オフグリッド生活だった18歳の私から今を生きる私たちへ~わたしと田舎とオフグリッド前編


スローライフ、田舎暮らし、自給自足。

東日本大震災以降、土に寄り添った生き方がクローズアップされました。

コロナ禍で主流となったテレワークが、その可能性をさらに底上げしています。

10代のほとんどを田舎暮らしに費やし、18才の時にオフグリッド生活も体験した私が、

“いまオフグリッド生活をするとしたら?”というテーマで、体験・失敗談もまじえながら、その魅力をあらゆる角度から掘り下げていきたいと思います。

2部作にわたる前編の今回は、実際に私が行ったオフグリッド生活について包みかくさずお伝えしていきます。

これを読めばあなたもオフグリッド生活に挑戦したくなる!?

わたしが電気・ガス・水道なしのオフグリッド生活を始めたわけ

電気に頼らずどこまで生活できるのか知りたい!18歳の私の決意



英ケンブリッジディクショナリーによると、

オフグリッドとは、電気・水道などの公共のサービスに頼らず、自分で電気を発電し、水を手に入れる生活方法

引用:Cambridge Dictionary

とされています。

また近年では、電気だけではなく、自給自足の生活スタイルなども含めて、広い意味で使われています。

私は、概要でも述べたとおり、18~19才の時に電気・水道・ガス(冬場のみ)を全く使わない生活を送りました。

残念ながら、お米を自給するところまでは及ばなかったのですが、約200平方mの畑でとれた野菜で、十分過ぎるほど1人分の食事は賄えていました。

なぜ、オフグリッド生活を始めたのか?

それは、人は電気に頼らずどこまでできるのかを知りたかったからです。

時代は少しもどり、あれは私が15才の時。

当時学校には行かず、萌叡生活塾というところで生活していた私は、知り合いに連れられて富山県の小さな山村で、自給自足の生活を送るI家を訪れます。(中学校に行かなかったわたしの過去の記事はこちら

そこで、私は雷に打たれたような衝撃を受けます。

なんと、I家は電気を全く使用せずに生活していたのです。

水は山から引いてきた清水を使い、お風呂は薪で沸かす昔ながらのやり方、調理は薪ストーブで行い、灯りは灯油ランプと電化製品いっさいなし。

とても潔く、ある意味とても人間らしい暮らし方を彼らはもう20年以上(当時)そこで行い、子育てをしてきたとのこと。



綿々と受け継がれる生きる力に心を打たれました。

そして、いつか私もそんな生活をしたいと思うようになりました。

折しも時は、東日本大震災が起きてから1年あまり経った頃。

原子力発電に関する問題が取り上げられ、隠蔽され、デモに向かう人々が後を絶たなかった中で、彼らの生き方そのものが私の目には署名・デモ活動を行うよりも力強く映りました。

反対活動を行うことに対して、批判的なのではなく、声をはって叫ぶよりも実際に電気を使わない・使用量を極力減らす生活が私なりの人々への問いかけであり、地球に対してできる最大のことだと気付いたからです。

その後、一度地元に戻るという経緯で、福井県に戻った私は、念願のオフグリッド生活を始めます。

電気・ガス・水道なし!私のオフグリッド白書2016年版



今でも思い出すのは、その時の天候です。

吹雪で氷点下の中引っ越しを行い、電気もなく暖を取るものもなかった古民家で、私のオフグリッド生活は幕を開けました。

さらに移住先の古民家は、前任者が大幅にリノベーションを施したため(改装途中)、オフグリッド生活を望む・望まないに関わらず、そもそも電気・水道は通っていませんでした。

そして何を隠そう、私にとってこのオフグリッド生活が実質初めての1人暮らしだったのです。

*写真向かって右側が著者です。手前の雪に埋もれている所がのちのち自家菜園となり、私の食卓を賑やかにしていきます。

私のオフグリッド生活:電気編

①電話



1人暮らし、気になるのはどうやって家族・周りの人と連絡を取るかです。

書簡だけという古典的なやり方もあったのですが、やはりたまには話もしたい、だけど電気は使いたくない。

考えた結果私は、ある方法にたどり着きます。

「黒電話」

現代ではその存在を知らない・使ったことがないという人が殆どだと思いますが、かつては一世を風靡したとても画期的な物でした。

そしてこの黒電話、なんと電気なしでも使えるのです。ご存知でしたか?(※)

電源が要らず、電話線の中に通っている電気だけで通話ができるため、災害時でも電話線さえ無事であれば使えます。

つ・ま・り、電気なし生活にピッタリ!

(事前に家の整理に訪れていた時に、黒電話を発掘しておきました。)

1人暮らしを始めた当初は、金銭的にもあまり余裕がなく、電話代を節約するために話したくなったら実家にワン切りをいれて掛け直してもらっていました。

この黒電話、非常に便利なのですが、留守番電話サービスがないのと発信者が分からないため、ドキドキするものがありますが、前もって時間などを示し合わせておけば、すれ違いになることもありません。

そもそも、いつでもどこにでも誰にでも連絡が取れる現代で、あえて自分の意志で本当に用事のある時しか電話を掛けないというのはとても大切なことなのかなと思います。

*実際は、初めての1人暮らし、移住してから3か月ほどはとても寂しくて、ほぼ毎日親元に電話を掛けていました。

応対してくれた母に感謝です。

②照明



さて、灯りはどうしていたのでしょう。

すでに写真で予測されていた方もいらっしゃるかも知れませんが、灯油ランプを使っていました。

灯油ランプはコストパフォーマンスが非常に高く、一度灯油を満タンにすると、約一週間ほど持ちます。

さらに持ち越し灯油も使用可能と環境面にも配慮。(※)

明るさは、芯の出し具合で調節します。慣れてくると、自分に丁度良い明るさを一発で出せるようになります。

また、すすも匂いも殆どないばかりか、炎なのでリラックス効果もあります。

私は、実際に天井から吊り下げるタイプのもの1つで家中の灯りをまかなっていました。

ここがポイントなのですが、そもそも1人暮らしなので、自分が今いてるスペース以外照明が点いている必要性はないのです。

台所で料理をし、その後食器を洗いに土間まで行くときにランプも一緒に移動。

その後ランプはそこに吊るしたまま、隣にある五右衛門風呂に入っていました。

夜中のお手洗いの強い味方は懐中電灯、当時アルバイトしていた某ホームセンターで、売れなくなった壁用LED懐中電灯を貰い受けたものを洗面所にも張り付けていたので、不便なことはありませんでした。

むしろ、夜中にトイレに起きて電気が明るすぎて目が覚めてしまう、そんなこともなくすぐに眠りに戻れるので快適でした。

夕方薄暗くなってきたらランプに灯りをともし、夜は遅くても9,10時には就寝する。必然的に朝早起きもできます。

そして、明るい朝は照明の必要がないと便利な事ばかりです。

本好きの私は、毎晩必ずと言っていいほど30分ランプの下で読書をしていましたが、視力は落ちることはなく、今でも両目1.5-2.0をキープしています。

③掃除・洗濯



掃除機はもちろんありませんでした。あったとしても使わなかったと思います、電気が通っていなかったので。

代わりに、箒とちりとり、バケツと雑巾で掃除していました。

2階建てで、5部屋(どれも8畳以上)ありましたが、1時間くらいあればピカピカになりました。

洗濯は、昔ながらの手で洗濯板を駆使して行っていました。

1人分の洗濯物はそれほど量もなく、毎日お風呂に入るときに体を洗うのと一緒に行ってたのでそれほど苦でもなかったのですが、大変だったのは脱水。

人生で後にも先にもあれほど握力を使ったことはありません。

特に冬場は深刻で、パジャマや大物は絞るのを諦め、一度玄関先に干し、水気を切ってから部屋の中に持ち込み、薪ストーブの熱で乾燥させていました(たまに干している最中に凍ったりしていたこともあります)。

運よく近くに住む兄弟が遊びに来てくれた時には片方の端を持ってもらい、ねじり脱水を行っていました。

④水洗トイレ問題



ここまで書いてきましたが、お手洗いはどうしていたのか疑問に思われた方もいらっしゃると思います。

私の家にあったお手洗いそれは、となりのトトロに出てくる昔なつかしのタイプでは実はなく、水洗でした。

水洗。

いったいどうしていたのでしょうか。

答えは簡単です。バケツに水を汲んでおいて、使用後一回一回その水を流していたのです。

種類にもよりますが、水洗トイレの多くはその名の通り、水で流れます。

案外気付かないことですが、実はものすごく簡単なことです。

災害時などでも水さえ手に入れば使うことができます。

余談ですが、私はこれを自動式水洗トイレと呼んでおりました。

⑤冷房



日本家屋というものは、もともと長い夏を過ごしやすくするように設計されています。

風通りがよく、蒸し暑さも感じにくく外は炎天下でも家の中に入るとひんやりします。

私の家は特に山間にあったので、北向きの寝室は、どんなに暑い日でも夜は綿毛布がないと肌寒いくらいでした。

という訳で冷房問題はあっという間に解決です。

私のオフグリッド生活:水道編



生きていくのに欠かせないものの1つである水。

幸いなことに家の中に土間があり、なんと井戸まである昔ながらの古民家だったので、水に困ることはありませんでした。

といっても蛇口をひねれば水が出てくるわけではなく、毎朝起きて一番に100リットルほど入る甕に水を手動で貯めて使っていました。

1人暮らしで使う水などたかだか知れているので、100リットルもあれば炊事・洗濯に使っても数日は事足ります。

(注:先に述べた手動式水洗トイレの水は、外を流れる自然の水を使っていました)

お風呂の水を変えるときだけ、何回も甕を満タンにして、バケツで運ばなければなりませんでしたが、それ以外は特に大変なことはありませんでした。

慣れてくると歯を磨きながら、朝のバイトに出かける前に片手で水を汲むことができるようになります。

そしてこの井戸、なんと冷蔵庫の代わりも果たします。

このアイディアに気づくまでは、基本的に作り置き・買い置きはせず、その都度食べきりにしていました。

(お肉などはたまにしか食べず、基本は畑であまるほど取れた野菜メインの菜食でした。)

ですので、物を腐らせたことは実は一度しかありません。

基本しっかり火を通して一気に冷ませば、物というのは腐りにくいのです。

さて、実際に井戸がどう冷蔵庫の代わりをしていたかというと、かごの中に傷みやすい食品を入れ、吊るしていました。

井戸の中は温度が一定でだいたい15度くらいです。

この時に大切になってくるのが、あくまでこの井戸冷蔵庫は、温度を一定に保つためであって、冷やすためにあるわけではないという事です。

ですので、買ってきたお豆腐を次の日までもたせることはできても、例えば作ったケーキを冷やし固めることはできません。

また、吊るしているのでうっかりしていると、中身がひっくり返ってとても悲惨なことになります。

一度、かごの中に入れていたお餅が井戸の中に落ち、梯子をつたい取りに降りたことがあります。

この経験から、何が落ちても大丈夫なように、密閉袋に入れるようになりました。

冬場はどこでも冷蔵庫なので、冷やすことは考えなくてもよくなります。

むしろ、氷点下になった時に、物が凍らないように用心が必要でした。

私のオフグリッド生活:ガス編



暖をとる必要のない夏は、プロパンガスを地元の農協で購入して使っていました。

家の中にボンベを置いていたので、法律的には少し怪しかったのですが。

冬場は、暖房もかねて、焚いていた薪ストーブで調理をしていたため、殆どと言っていいほどガスを使うことはありませんでした。

お風呂は、先にも述べたとおり、前任者が作っていってくれた昔ながらの五右衛門風呂。

窯が1つしかなかったので、洗い場もかねた井戸の隣のスペースに5歩ほど進み身体を洗い、また湯船に戻っていました。

五右衛門風呂の良いところは、遠赤外線効果でからだの芯まで温まり、冷めにくい事です。

その証拠に冬場にも一度も風邪は引きませんでした。

肝心な燃料の薪ですが、地元の森林組合で出た端材でまかなっていました。

バイトなどで夜遅くなるときは、あらかじめ出かける前に思いっきり沸かしておいて、帰って来た時に丁度良いようにしていたので、自動湯沸かし器必要なしです。



さて、裏話ですが、当時私はラジカセを1つ持っていて、たまにCDで音楽を聴いたりもしていましたし、NHKのラジオ世界の音を当てるというプログラムも聴いたりしていました。

その秘密は、電気ではなく電池。

オフグリッド生活では、いかに電気以外のものを使いこなしていくかが肝になってきます。

インターネットは、月一で街に出かけたときに図書館のコンピューターを利用していました。

また、本がとても充実している地域だったので、大抵の調べ物は図書館で事足りました。

さらに、田舎暮らし=車社会という事に疑問を覚えたのと、そもそも車の運転が苦手で出来るだけ避けたいという思いも相まって、車なしで生活していました。

代わりに、ホンダのスーパーカブで近辺を移動し、さらにご近所だと徒歩・自転車を使っていました。

雪が降る冬場は、1日に4本しかないバスに乗り、町に出かけるときは知り合いの車に便乗させて貰ったり、森林組合に行くときは、近所の人から軽トラを借りたりしていたので困ることはありませんでした。

電気・ガス・水道が当たり前に使えることを考え直して気づくこと



私たちが普段何気なく使っている電化製品。

そのほとんどを、ついこの間までは、全て手で行っていました。

昔の人に出来ていたなら、今を生きる私たちが出来ないという事はありません。

ただ、時間がかかる、手間が増えるというだけです。

何も今すぐに全ての電化製品を売り払い、オフグリッド生活に向かって欲しいと言っているわけではなく、毎日の生活の中で便利だからというだけで使用しているものがあったら、一度考えてみて欲しいのです。

壊れた掃除機買い替える前に、箒の導入を検討してみる。

ハンディフードプロセッサー、すり鉢とすりこ木でどこまでできるか挑戦してみる。

電動ケトルの代わりにやかん・お鍋を使ってみる等々。

便利というだけで、どれだけ生きる力・暮らしの知恵を手放してきたかに気づくはずです。

さて、次回はいよいよこのオフグリッド生活を踏まえたうえでの、アップデート版、オフグリッド生活2021についてお伝えしていきます。

また、自給自足生活で気になってくるお金の話、異なる農法についても詳しく解説していきますので、お楽しみに!

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