【永久保存版】いまさら人に聞けない!?意外とややこしい基本の「オーガニック表示・食品表示制度」を徹底解説! 無農薬・低農薬・減農薬・特別栽培・有機栽培・有機無農薬・・この表示 OK?それともNG?
「オーガニックなら、知っています!」という人こそ再確認してほしい表示に込められた意味。
こんにちは!
フリーアナウンサー
日本オーガニック推進協議会認定講師 深井ゆきえです。
今回は、普段、私がオーガニックの講座で実際にお伝えしているなかで
意外と皆さん「知っているようで知らないな」と感じる、「表示」について取り上げます。
たかが表示。されど表示。
正しい表示と、その意味をきちんと知ることは、
日々のお買い物で本物を選ぶために欠かせないプロセスだと私は思っています。
「無農薬、低農薬、減農薬、特別栽培、有機栽培、有機無農薬、
この表示、OK?NG?」
と題し、わかりやすくクイズ形式で進めていきます。(かなり詳しい解説つき♡)
読み進める前に、ぜひご自身で、それぞれの表示が〇か×か、テストしてみてください。
では、早速いきますね!
「無農薬」という表示・・・OK?NG?
「無農薬野菜」「無農薬で育てました」「完全無農薬栽培」
などという表示、本当によく見かけますが、なんと、答えはNG!です。
「無農薬」という表示は、
農林水産省による平成15年「改正特別栽培農産物ガイドライン」で
禁止されているんです。(「無化学肥料」も同様です)
農林水産省によると、理由は大きく2つ。理由その1
「無農薬」という表示は、本来、生産者にとっては「農薬を使わない栽培方法で作られた農産物」を意味していました。
でも、実際にこの表示から消費者が受け取るイメージは、
「土壌に残留した農薬や、周辺から飛散した農薬も含めて
一切の残留農薬を含まない」という間違ったものになっていたため。
理由その2
また、平成14年に総務省が行ったアンケート(「食品表示に関するアンケート調査」)によると、「無農薬」という表示は、
栽培期間中だけでなく種や苗を植える2年以上前から
原則として化学的に合成された農薬や肥料、土地改良剤を使わずに栽培している
「有機(=オーガニック)」よりも、優れているという誤った認識をしている消費者が6割以上いることがわかったためです。
※参照:「栽培農産物に係る表示ガイドライン Q&A」
つまり、「無農薬」という表示は昔は、生産者が農薬を使わずに栽培したことをアピールするために
“自由に”使われていました。
ところが、第三者による認証や表示規制もある国際規格(コーデックス)に準拠した厳しい基準
「有機(オーガニック)野菜」よりも「無農薬野菜」のほうが優れていて、
一切の残留農薬を含まないという誤った認識が消費者の間で広がってしまったため、表示禁止になったという経緯があるのです。
FAMIC(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター)が平成27年に行った消費者向けのアンケート調査の結果を見ても、残念ながらこの傾向は根強く残っていました。
※参照:http://www.famic.go.jp/event/sakuseiiinnkai/kekka/food/270928/shiryo061.pdf
これでは、大変な労力をかけて第三者認証を取得している有機JAS農家が報われないですね・・・。
でも今から約15年も前から「表示禁止」なのに、どうしていまだにこんなにも「無農薬」という表示を見かけるのでしょうか。
それは、これはあくまでも「ガイドライン」、つまり自主的に守ってくださいね、という性格のものであり法的な拘束力がないためだと考えられます。
JAS法に基づく認定制度・有機JAS規格と違って
たとえ「無農薬」と表示したとしても表示違反により即罰則!罰金!という流れにはならないのですね。
では、「低農薬」「減農薬」という表示はOK?NG?
これらも、NGです。
前述した「無農薬」と同様、「低農薬」「減農薬」という表示も
農林水産省による平成15年「改正特別栽培農産物ガイドライン」で
禁止されています。(「低化学肥料」「減化学肥料」も禁止です)
理由は
「削減の比較基準、 割合及び対象(残留農薬なのか使用回数なのか) が不明確であり、
消費者にとってあいまいでわかりにくいため」
です。
では、実際に農薬や化学肥料を使わずに、
あるいは減らして栽培している場合、どのような表示がされているのでしょうか?
・農薬を使っていない場合、
「無農薬」という表示が禁止されている代わりに「農薬:栽培期間中不使用」という表示が認められています。
・農薬を減らして栽培している場合は
「農薬:栽培期間中○○地域比○割減」と減らした割合を表示することが必要です。
※表示例「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン(平成19年3月23日改正)」より抜粋
私は、この
「栽培期間中」というところがポイントだと思います。
残留農薬を減らすために栽培期間中だけでなく、種・苗を植える2年以上前から
農薬を使用していない有機JAS規格との違いが明確に表れているからです。
では、次です!
「特別栽培」という表示・・・OK?NG?
これは、OKです。
前述した表に答えがありますね。
ただし、勝手に表示してよいものではなく、都道府県や一部の認定機関の認証は必要です。
IN YOU読者の皆さんならご存知だと思いますが
「特別栽培農産物」とは、以下のようなものを指します。
特別栽培農産物とは:
「その農産物が生産された地域の慣行レベル
(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)
に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下
かつ 化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培された農産物」
つまり、
栽培期間中に農薬や化学肥料を全く使っていない農産物も、
慣行レベルの半分は使っている農産物も、どちらも同じ「特別栽培農産物」
という括りになっているのです。※参照「特別栽培農産物改正ガイドライン」
このため、必ず裏を見て
農薬や化学肥料がいったい何割削減されているのか必ずチェックしてから購入してくださいね!
消費者の立場からすると純粋に喜ぶことはできない「特別栽培」
そしてもう一つ。
この特別栽培農産物、慣行農法よりがんばっている生産者さんを応援したい気持ちはあるのですが、
純粋に消費者の立場に立つと、注意が必要だとも思っています。
なぜなら、慣行農業より使用頻度を減らしても“効果”がある、
ネオニコチノイド系などの農薬が使われていたとしても「特別栽培農産物」として販売できるため。
ネオニコ系は、水溶性のため農産物の表面だけでなく、中にまで浸透しているといわれています。
つまり、洗っても落ちない農薬です。
農薬の使用回数が半分だったとしても、どのような種類の農薬が使われているのか不安は残るところです。
では次の問題です!
「有機栽培」という表示・・・OK?NG?
これも、OKです。
ただし、必ず有機JASマークがついていなければなりません。
こちらの記事でも触れましたが「有機JAS」とは、農林水産省のJAS法、つまり国の法律で定められている、
食品における日本のオーガニックの決まりです。
有機JASマークは、
「原則として、化学的に合成された農薬や肥料を使わず自然界の力で生産された食品」に付けられています。(有機肥料を使っている農法、ではありません!!)
日本のオーガニック商品(食品)には必ず有機JASマークが貼られていて
マークのないものに「有機」「オーガニック」などと表示して販売することは、
法律で禁止されています。
個人:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
法人:1億円以下の罰金 プレスリリースが出されます
逆に言うと、有機JASマークがあればオーガニックだという保証がされているので、消費者にとってはわかりやすいですよね。
でもこの有機JASマーク、そう簡単に付けられるものではありません。
マークの下に書かれている「登録認定機関」つまり、生産者とは利害関係のない第三者機関の数々の厳しいチェックを受けなければ
有機JASマークを付けることはできないのです。
これがいわゆる「第三者認証」です。
たとえばどんなことがチェックされるかというと・・・
有機農産物の場合
★栽培期間中だけでなく種・苗を植える2年以上前から
原則として化学合成農薬、化学肥料不使用(残留農薬を減らすため)
★農地だけでなく、周辺からも禁止された農薬・化学肥料・土地改良剤が入ってはダメ
★種・苗の入手から栽培、収穫、包装、輸送すべての行程で
汚染がないか管理・記録されている
(例えば・・・ベニヤ合板の上での分別作業や新聞紙で包む、などもNGなんです!)
★遺伝子組み換えはNG
などです。
オーガニック認証を取得するために、いかに大変な労力を伴うかこれを見るだけで想像がつきますよね。
さあ、次はいよいよラスト問題です!
「有機無農薬」という表示・・・OK?NG?
ここまでの内容を理解していただけたら、わかりますよね。
答えは、もちろんNGです。
有機という表示は有機JASマークがあって初めてOK、
無農薬という表示はNGです。
そもそも、有機=無農薬ではありません。
有機=無農薬 ではない
有機JAS規格では農薬や肥料を使わないことが原則とされていますがやむを得ない場合だけ使ってもよいとされる農薬及び肥料が明確に定められています。
※参照:有機農産物の日本農林規格
このため、長年、農薬と肥料を一切使わず栽培してきた方のなかには、差別化を図るため、
あえて有機JAS認証は取らずに独自の「自然農法」をアピールされる農家さんもいらっしゃいます。
消費者としては、このような農家さんに出会えたら本当にラッキー。
実は、私自身もそのような農家さんから定期的に野菜を購入しています。
でもだからといって自然農法がベスト、とは言い切れない
有機JASでも農薬は使われているから農薬も肥料も使っていない自然農法がベスト、という理解をしている方が多いと思いますが、個人的にはこれ、少し短絡的だと思います。もちろん有機JAS規格以上の厳しい独自の基準で栽培されている素晴らしい農家さんがいらっしゃることは事実ですが、残念ながら「自然農法」には明確な規格や基準はありません。もちろん、第三者認証もありません。
つまり、ピンキリなのです。
実際に農家の方と直接話をして、これは素晴らしい!と確信しない限り、自然農法が有機JASより優れているとは限りません。どのような栽培方法をとっているのか、生産者さんと話をする際には、ぜひ前述した有機JAS規格のチェックポイントを参考にしてみてくださいね。
賢い消費者になろう!
その「表示」、知っている、わかっていると思っていても、改めて羅列してみると、意外と奥が深いと思いませんか?
正しい表示と意味をきちんと理解して、まっとうなものとそうでないものをしっかり見極め本物を手に取ることのできる賢い消費者になりましょう!
消費者が賢くなれば、きっとマーケットは社会は変わるはず、と私は信じています。
ぜひ、きょうからのお買い物にお役立てくださいね。
有機JAS付きの商品を探してみよう!
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