【海外発】よくある「オーガニックワイン」 Q&A |オーガニック大国・フランス在住のライターが教えます!
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
【海外発】よくある「オーガニックワイン」 Q&A
オーガニック大国・フランス在住のライターが答えます!
もう間も無く食欲の秋。少し先になりますが、11月にはフランス産ワインの新酒
「ボジョレー・ヌーヴォー」も解禁されますね。
そんなワインを楽しむなら、やはり選びたいのは
「オーガニックワイン」。
近年、日本でも人気が徐々に高まっている「オーガニックワイン」ですが、
そんなワイン生産の本場のひとつが、今私が暮らしているフランスです。
フランスは国民全体のオーガニックへの関心度がとても高いことでも知られ、
現地では、オーガニックワインのことを「ル・ヴァン・ビオロジック(Le vin biologique)」、
一般的にはさらに短く略して「ル・ヴァン・ビオ」と呼んで、
10年ほど前から家庭の食卓にもよく並ぶようになりました。
そこで今回は、フランス在住の私が、
「オーガニックワイン」についてのよくある疑問・質問にお答えしようと思います。
Q1.そもそも、
オーガニックワインと一般のワインの違いは?
画像引用:Pixabay.com
オーガニックワインでは原料のブドウ栽培で農薬の使用が制限されていますが、
それ以外で最も大きく違うのは、ワインを醸造する際に使用する添加物についてです。
もっと厳密にいえば、使用できる添加物の量に違いがあるということです。
例えば、あまり聞き覚えがない上に、どこかうさん臭いイメージがある「亜硫酸塩」という添加物は、
ぶどうがワインに変化する過程でカビなどを付着させない、また酸化を遅らせるなどといった
ワインの品質管理には必要不可欠なもの。
オーガニックワインと一般のワインでは、この「亜硫酸塩」の使用量に次のような違いがあります。
・一般のワイン:160mg / 1L(EU規定)
・オーガニックワイン:100mg / 1L
・ビオディナミックワイン:70mg / 1L
・ナチュラルワイン:30mg / 1L
※上記数字は、赤ワインの場合の数字です。
オーガニックワインであるということは、原料となるブドウの生産および、・オーガニックワイン:100mg / 1L
・ビオディナミックワイン:70mg / 1L
・ナチュラルワイン:30mg / 1L
※上記数字は、赤ワインの場合の数字です。
ワインの醸造工程が自然に近いワインであるということ。
添加物を加えるとことは、この原理に逆らうことになるため、規制が必要となるのです。
Q2.オーガニックワインにはどんな種類があるの?
一口にオーガニックワインといっても、下記の通り、3種類あります。①ル・ヴァン・ビオロジック (LE VIN BIOLOGIQUE)
最も一般的なオーガニックワインで、EUでは2012年より、この名称の使用が正式に認められました。以降、有機農法で採れたぶどうを使い、ワイン醸造の過程で規定の添加物を軽量にしたワインが
オーガニックワインとして商品化を認められるようになったのです。
②ル・ヴァン・ビオディナミック (LE VIN BIODYNAMIQUE)
ブドウの農薬使用ゼロは当然ですが、厳しい規定に則った有機農法、ブドウの苗と土壌の質、月の動きなどを徹底的に考慮して採れたブドウから造るワインです。
月の動きに注意を払う理由は、ぶどう酒を別の容器に移しかえる「澱(オリ)引き作業」の際、
ぶどう酒の香りを一層引き立てるに、満月時ではなく、三日月の時が理想的だと考えられているからです。
③ル・ヴァン・ナチュレル (LE VIN NATUREL)
オーガニック(有機であること)を徹底的に追及した、いわば、「究極のオーガニックワイン」です。しかし、EUや国が正式に認めた認証ラベルがないため、
ル・ヴァン・ナチュレルかどうかには慎重な確認が必要です。
Q3.オーガニックワインかどうかを
見分けるための目印はある?
以下に説明するマークはすべて、フランスで使われているオーガニックワインの認証ラベルで、
オーガニックワインかどうかを判断する基準になります。
認証ラベル①
画像引用:ウィキペディア
左はフランスの、右はEUにおける有機農法でできた農産物であること意味する認証ラベルです。
これは言い換えれば、原材料のぶどうが有機栽培のワインだというだけで、
ワインの醸造過程までがオーガニックであることを保証するものではありません。
フランスで購入可能なオーガニックワインのほとんどにはこの認証ラベルが付いています。
認証ラベル②
画像引用:ウィキペディア
このラベルは、上で紹介した「ル・ヴァン・ナチュレル」であることを示すものですが、
EUや国による認証ラベルではなく、フランスとベルギーの有機農家団体が結成した
私設組織による認証ラベルです。
同組織に加盟している有機農家は、ぶどうの栽培からワイン醸造に至るすべての過程
を記録することが義務づけられています。
収穫方法は手摘みである、ぶどうの発酵に使われる酵素は自家製である、
などの規定を守っているかも認定の基準となります。
公式サイト:https://www.natureetprogres.org/
認証ラベル③
画像引用:デメテール公式サイトより
デメテールは、元々ドイツで生まれたビオディナミック農法の私立認証機関で、
現在は、スイスに本拠地を置いています。
フランスでも有機農法を実践している農家にはよく知られている機関ですが、
この認証ラベルを取得するには、オーガニックに関する、機関独自の厳しい基準をクリアしなければならず、
取得はなかなか難しいとのこと。
もし運よく、この認証ラベルが付いたワインに遭遇できたら、それは奇跡。
ぜひお試しください。
因みに、フランスに住んでいる私もまだお目にかかったことはありません。
公式サイト:https://www.demeter.fr/
認証ラベル④
画像引用:Biodyvin公式サイトより
画像引用:http://www.biodyvin.com/
この認証ラベルは、S.I.V.C.B.D. (Le Syndicat International des Vignerons en Culture Bio-Dynamique)
という組織が発行しているものです。
1995年にフランスで設立された組合で、現在はフランスを中心に、
ドイツ、イタリア、ポルトガル、スイスなど150農家の参加者がいます。
上記のデメテールとは別のビオディナミックのオーガニック推進団体ですが、
認証の取得には、デメテール同様の厳しい基準をクリアしなければなりません。
公式サイト:http://www.biodyvin.com/
Q4.オーガニックワインはどこで手に入る?
画像引用:Pixabay.com
さて、日本の皆さんがフランスでオーガニックワインを買い求めたいという時は、
どうすればよいのでしょう?
最も手っ取り早いのは、上記の認証ラベルを確かめてワインを購入することですが、
理想的にはワイン専門店へ行くことをおすすめします。
そしてもしフランス語ができて時間もあるなら、製造元のドメーヌ(生産者)で直接、
そこのワインを試飲しながら購入するのが最も確実ですが、それができない場合、
ワイン専門店であれば、ほぼ確実にオーガニックワインが手に入ることでしょう。
一方、現地フランスではなく、日本でフランスのオーガニックワインを購入するには、
上記のような認証ラベルが最も頼りになりますし、
あまり多くはないと思いますが、本当の意味でワインに詳しい専門家による、
ワインショップに行くという方法もあります。
Q5.最も多くのオーガニックワインを生産している
フランス国内の産地はどこ?
画像引用:www.avise.org
以下がベスト3です。
1.OCCIRANIE(オキシタニー地方/ピレネー山脈から地中海岸沿い)
2.NOUVELLE-AQUITAINE (ヌーベル=アキテーヌ地方/ボルドーを含む大西洋岸沿い)
3.PROVENCE-ALPES-CôTE D’AZUR(プロヴァンス=アルプ=コートダジュール地方)
地図をご覧いただくとわかるように、2.NOUVELLE-AQUITAINE (ヌーベル=アキテーヌ地方/ボルドーを含む大西洋岸沿い)
3.PROVENCE-ALPES-CôTE D’AZUR(プロヴァンス=アルプ=コートダジュール地方)
オーガニックワインの生産が盛んな地域は南フランスに集中していることがわかります。
その理由のひとつは、ブルゴーニュ地方のような有名なぶどう産地の中でも
中北部地帯は南部に比べて湿度の高さから病害中のリスクが高まり、
耕作地の面積も限られているために、慣行農法からブドウの管理が難しい有機農法に
転換する勇気あるドメーヌ(生産者)が少ないからでしょう。
また。ボルドーワインを除けば、他の地方のワインは比較的安価なテーブルワインの生産地であり、
伝統的な農法に縛られない近年のオーガニックワインの人気に即応した新しい世代のワイン製造者が
多いからという理由も考えられます。
Q6.ヨーロッパでオーガニックワインを
最もよく飲んでいる国はどこ?
以下の国がベスト3です。1.ドイツ
2.フランス
3.イギリス
フランス人がオーガニックワインに魅かれるのは、年々の有機製造者の増加と共に、2.フランス
3.イギリス
入手しやすくなったという理由付けができるそうなのですが、
では、どうしてドイツとイギリスなのでしょうか?
ドイツもイギリスも環境保護意識が強い国民性が特徴です。
そして両国ともビール愛好国でワインを飲むのは特別な機会だけ。
「たまに飲むワインは体にも環境にも良いワインを」という気持ちが働くのかもしれません。
ちなみに、有機に限らず一般のワインの消費量別でみた場合、
トップは米国、続いてフランス、3位にイタリアの順となっています。
なお、赤ワインについては中国(香港を含む)が消費国のナンバーワンです。
(情報ソース:planetoscope.com)
また、EU国で最もオーガニックワインを生産している国は、
スペイン、イタリア、フランスの順となっています。
(情報ソース:Le Figaro.fr vin)
Q7.オーガニックワインが健康に良いのは本当?
世界保健機構(WHO)によれば、ワインに添加される亜硫酸塩は、摂り過ぎると身体に大きな悪影響を及ぼすということです。
一般のワインと比較してオーガニックワインの亜硫酸塩の量は33%減、
ヴィオディナミックワインでは、何と47%も下回っているのです。
オーガニックワインが健康に悪いわけがありません!
ただし、飲み過ぎにはくれぐれもご注意ください。
Q8.オーガニックワインは二日酔いにならないって本当?
これには根拠がなさそうでsす。ワインはアルコールですので、飲み過ぎれば、当然、二日酔いは回避できません。
でも、オーガニックワイン、とりわけビオディナミックワインやナチュレルワインなら、
酸化防止剤として使われる亜硫酸塩の使用量が通常の半分以下ですので、
頭痛や二日酔いになる可能性は少ない、と言えるかもしれませんよ。
Q9.伝統的ワインよりも美味しいって本当?
味は好みが大きく影響しますので、一概には言えません。オーガニックワインは大量生産でできるワインではなく、
小規模のワイン生産者が丁寧に時間をかけて造るワインです。
また、添加物も一般的なワインよりも軽量なので、ぶどう本来の自然の味、
優しい味を味わうことができます。
その証拠に、世界随一の最高級ワイン「ロマネ・コンティ(Romanée-Conti)」は
ヴィオディナミック製法のワインです。
Q10.一般のワインよりも値段が高いって本当?
フランスで売られている一般のワインの平均価格は6.90€ (¥870) 前後。オーガニックワインだと、平均価格8.70€€ (¥1,100) 前後です。
(情報ソース:France Info 2018/9/21 )※1 € = ¥126で換算
但し、需要が年々高まる中、
オーガニックワインの価格は数年前に比べるととても手頃になりました。
フランスでは以前までは、ワイン通しか関心がなかったオーガニックワインも、
今ではごく身近なワインとなりつつあります。
画像引用:Pixabay.com
これを機会に、オーガニックワインをぜひ試してみて!
ワイン大国・フランスでは、ぶどう栽培農地の9%がオーガニックとして認定され、この10年間でフランスのオーガニックワイン製造者は3倍に増加。
1万ヘクタール以上の農地がオーガニック認証を待っている状況です。
この背景は、人々の環境と健康への関心が高まり、その結果、オーガニックワインの購買数が年々増加、
それに応えようとする製造候補者も増加すということなのでしょう。
まさしく、需要と供給のバランスにかなった状況です。
身体への悪影響が少なく、環境にも優しいオーガニックワイン、
今後ますます皆様の食卓を飾る機会が増えることを期待します。
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