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日本で発見された、世界初のプラスチックを「食べる」微生物とは?|世界第2位のプラ廃棄大国のわたし達が今すぐ取るべき、5つの脱プラ・アクション

日本で発見された、
世界初のプラスチックを「食べる」微生物とは?
世界第2位のプラ廃棄大国のわたし達が今すぐ取るべき、
5つの脱プラ・アクション

ペットボトル、お惣菜のトレー、化粧品や乳液の容器。
プラスチックは私たちの身の回りにあふれています。

レジ袋を使わない、ペットボトルをリサイクルに出す
など環境に負荷をかけない行動、いわゆる「脱プラ」が浸透しつつありますが、
それでも何かものを買えば必ずと言って良いほどプラスチックがついてきます。

プラスチックごみを減らすこと」は世界共通の課題です。

日本は世界有数のプラスチック消費国ですが、
その処理方法は未だ模索中です。

そんな中、日本で「プラスチックを食べる微生物」が発見されました。

この記事では次世代のプラスチックのリサイクル法について解説します。

リサイクル法が必要とされている現状を知って
今すぐできることは何か1人1人が考えていきましょう。

日本のプラスチックごみの現状をご存知ですか?


日本のプラスチックごみ排出量は、年間約1000万トン前後と、近年、横ばいです。

そして日本のプラスチックごみのリサイクル率は86%と言われているものの、
実はその大半は“サーマルリサイクル”(ごみを燃やして熱として回収する方法)
が行われています。

参考:プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(一般社団法人 プラスチック循環利用協会)

一見するとリサイクル率は高いようですが、
サーマルリサイクルには有毒ガスの発生リスクや
燃焼後に残る灰の毒性の問題があります。

海外ではサーマルリサイクルが
リサイクルとして認められていないことからも明らかなように、
結局は燃やして処分する方法となんら変わりません。

サーマルリサイクルはプラスチックのリサイクル法として
最適な方法とは言い難いことが分かります。

日本のプラスチックごみ排出量は、世界第2位の多さ!


日本はアメリカに次いで世界で2番目に多く、
使い捨てプラスチックごみを排出している国です。

参考:Yahoo!ニュース

身の回りを見ても、ペットボトルや食品トレー、シャンプーやリンスの容器など
あらゆるものにプラスチックが使われていることが簡単にわかります。

2020年の7月からは小売店でレジ袋の有料化がスタートしましたが
実はレジ袋によるプラスチックごみは、
プラスチックごみ全体の1%にも及ばないことをご存知でしょうか。

参考:レジ袋有料化、なぜ急に? 海洋プラごみ対策後追い

環境保護の観点から、レジ袋をもらわないことはもちろん大切ですが、
日本のプラスチックごみを減らすためには
それだけではかなり不十分であることが分かります。

コロナ禍で増えたプラスチックごみ


そして昨年末以来の新型コロナ騒動も、
プラスチックごみを減らす動きにストップをかけています

「おうち時間」が増えれば
必然的に家で食事をとる回数が増えます。

スーパーのお惣菜にお世話になったり、デリバリーを利用したりしながら
3食をまかなった方も多いと思います。

そしてNHKの調査では2020年4~7月までの4ヶ月間で
家庭から出るプラスチックごみが前年に比べて急増していることが
明らかになりました。

参考:コロナでごみが増えました(NHK)

この全国主要都市を対象とした調査によれば、
前年度と比べて排出率が1番高かったのが大阪市での12.5%。
日本は年間1000万トンのプラスチックごみを排出しているので、
これがどれほどの増加かは想像できますよね。

「SDGs」にも取り上げられているプラスチックごみ問題


画像引用 wikipedia

プラスチックごみの影響は、日本国内で問題には留まりません。

プラスチックごみは最終的に海洋にながれついて海洋汚染の原因になります

不法投棄や不適切な処分方法によって海洋に流れ着くプラスチックごみは年々増えており、
2050年には海にいる魚よりもごみのほうが多くなると考えられています。

参考:海洋プラスチック問題について

話題のSDGsにも「海の豊かさを守ろう」という項目があり、
中でもマイクロプラスチックによる生態系への影響が問題視されています。

マイクロプラスチックとは5mm以下のプラスチックごみのこと。
このような微小なプラスチックごみは
処理して埋め立てられたゴミや、
放置されて太陽光で分解されたプラスチックから発生しています。

海洋に放出されたプラスチックごみは半永久的に残るため、
これは世界全体で解決が求められている問題です。

参考:マイクロプラスチック問題って? データで見るその現状と世界の動き

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日本で発見された、
世界初のプラスチックを「食べる」微生物とは?


サーマルリサイクルをリサイクルだと主張する日本で、
プラスチックごみは排出量が減る見込みはあるのでしょうか。

そんな中、サーマルリサイクルに代わるリサイクル方法として、
プラスチック(PET)を「食べる」微生物の発見が話題になりました。

この微生物は、2年前にはイギリスのBBCニュースでも取り上げられ、
プラスチックごみの問題が深刻化する中
世界レベルでごみ問題の解決への糸口になことが期待されています。

微生物発見の経緯

発見に当たった研究チームが行ったのは、ごみ集積場での
ペットボトルやポリエステル繊維に使われているPET(ポリエチレンテレフタラート)を
分解する微生物の探索です。

PETが多く含まれるごみや土壌、水の試料を各地から集め、
集めた試料の中にPETを分解する微生物がいないかを調べました。

その結果、2016年に大阪の堺市から持ち帰った試料の中から
PETを栄養にして生きる微生物の発見に成功したのです。


画像出典:朝日新聞DIGITAL

見つかった細菌は、堺市にちなんで“I.sakaiensis(イデオネラ サカイエンシス) ”
と名付けられ、PETを分解するメカニズムの解明がスタートしました。

I.sakaiensis を培養してPETを与えたところ、
PETを分解して無害な物質にすることができることが分かり、
世界で初めてPETを食べる微生物の発見となりました。

参考:プラスチックを「食べる」微生物に賭ける リサイクルの未来

微生物がプラスチックを食べる仕組み


I.sakaiensis は「PETヒドロラーゼ」と呼ばれる酵素を分泌して、
PETを分解しています。

そもそもPETはC(炭素)がいくつも重なった高分子の構造をとる
自然界には存在しない物質で、
高い強度を持つように人工的に合成されました。

私たちの身の回りにあるペットボトルを思い浮かべてみてほしいのですが、
やわらかくて簡単に形を変えるけれど
ぶつけてもたたいてもすぐに粉々にならないですよね。

このことからも想像出来る通り、PETは自然界では分解されにくく、
残ったPETが海洋汚染や土壌汚染を引き起こすとして
今まで処分法が問題になってきたのです。

この微生物が分泌する酵素「PETヒドラーゼ」はまず、
PETをいくつかの断片に切り分けます。
分解された断片は微生物の体の中で水や二酸化炭素に代謝され、
微生物の体の構成成分や生き延びるためのエネルギーとして利用されます。

人間がだ液や胃酸に含まれる酵素を使って食べ物を消化し、
生きていくためのエネルギーに変えるように
I.sakaiensis はPETを体の中で分解してエネルギーを作り出します。

肉眼では確認が出来ないレベルの話なので、にわかには信じがたいですが、
まさに生命の神秘を感じるような現象です。

参考:PETを分解する細菌の発見(ライフサイエンス 新着論文レビュー)
環境微生物学(国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学)

微生物は、プラスチックごみの処理に、
どのように活用されるのか?


ただし、I.sakaiensis の実用化にはもう少し時間がかかりそうです。

微生物レベルでPETを分解するメカニズムが分かりましたが、
大量のPETがある環境ではどうなのか、
PET以外のプラスチック製品を分解できるか
といった課題が残されているからです。

しかしI.sakaiensis が分泌つするプラスチック分解酵素は、
常温で中性のpH環境、つまり一般的な環境で働く酵素なので
他の酵素のように高温のエネルギーなどを必要としないぶん、
比較的早い実用化の実現が期待されています。

もしI.sakaiensis が実用化されれば、石油由来のPETを生物が分解して
その生物がさらに時間をかけて再び石油に戻る
というように循環型のリサイクルを可能にします。

このような循環型リサイクルはリサイクルの最終形であると考えられており、
次なる成果が期待されています。

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今すぐできる!
プラスチックごみを減らすための5つの行動


より効率的なプラスチックごみのリサイクル方法の確立に向けた
試行錯誤が進められているものの、それらの実用化はまだ遠いようです。

そこで改めて注目したいのは、
そもそものプラスチックごみ排出量を減らすことです。

ごみの排出量がこのまま増え続ければ、いくら画期的なリサイクル法ができても
いたちごっこに終わってしまいます。

できることから実践することが
プラスチック問題の解決には欠かせません。

その具体的な方法を幾つかご紹介しましょう。

①マイボトルを使う

日本では年間252億本ものペットボトルが販売されています。
国民1人当たりのペットボトル消費量は中国やアメリカを超えます。

参考:リサイクルの算出(PETボトルリサイクル推進協議会)

そしてリサイクルといっても大半が燃やすだけの
サーマルリサイクルという状態であることは先ほど述べました。

そこで、まずは飲料用のマイボトルを持ち歩き、
これ以上ペットボトルを使わないように意識しましょう。

1人が1日1本ペットボトルを買わないだけで
年間約400本分のプラスチックごみを減らすことができます。

お気に入りのマイボトルを見つかれば、
毎日持ち歩くのも楽しくなりますよ。

②ペットボトルを繰り返し使う

荷物を減らしたい時、夏場に飲み物持ち歩きたい時など、
ペットボトルの使い回しが便利なシーンも確かにあります。

1度使ったペットボトルを家庭で洗って再利用するときは、
衛生面に気を付けて洗いましょう。
直接口をつけて使うものなので、
消毒まできちんとできていないと菌が繁殖して危険です。

洗浄には「重曹」を使うのがおすすめ。
ご存じの方も多いと思いますが、
重曹には、匂いを吸着したり菌の繁殖を抑えたりする効果があるのです。

やり方は
①ぬるま湯をペットボトルに入れる
②重曹を小さじ1~2杯入れる
③そのまま1晩つけておく
④1晩たったらフタをしてシャカシャカふって洗う
という手順。

お茶やコーヒーが入っていたペットボトルの汚れも
きれいにおちるので、とても衛生的に再利用できます。

③ビニール袋の代わりに段ボールをフル活用する

段ボールはプラスチックに比べて
はるかにリサイクル効率がいい材料です。

日本では回収された段ボールのうち90%がリサイクルされ、
再度段ボールとして生まれ変わっています。

また段ボールはパルプとトウモロコシ由来の糊から作られ、
万が一放置されても最後には土に還る材料です。

参考:全国段ボール工業組合連合会

例えば車で買い物に行ったときに、
ビニール袋ではなく、段ボールにつめて持って帰ることができます。
スーパーでは段ボールが自由に使える店舗も多いですよね。

家のゴミ箱も段ボールで作っておけば
汚くなったらすぐに取り換えられて衛生的です。

アパレルブランドの段ボールや海外の段ボールがあるなら
そのまま収納に使ってもおしゃれに見えます。

段ボールは自分で好きな大きさや形に切って使えるので
DIYも同時に楽しめます。

④筆記用具にえんぴつを選ぶ

普段使っているシャープペンシルやマーカー、ボールペンにも
たくさんのプラスチックが使われています。

毎日多くの人が使う文房具から、
プラスチックを減らすのも効果的なやり方です。

シャープペンシルをえんぴつに置き換える、
マーカーを色えんぴつに置き換える。

絵を習っている人は知っているかもしれませんが、
色えんぴつには油性と水性があるので
同じ色えんぴつでも好みの書き心地のものが見つかると思います。

⑤固形せっけんを使う

ボディーソープ、洗顔、ハンドソープ・・・
同じせっけんでも用途が違うとそれぞれにプラスチック容器が必要です。

固形せっけんは液体タイプのせっけんのように
プラスチックの容器がいりません。

さらに固形せっけんは天然の油脂と強アルカリというシンプルな原材料からできており、
低刺激性なのも魅力的です。

最近では固形せっけんをあまり見ないかもしれませんが、
低刺激・長持ちするというメリットがあります。

全身に使えるタイプのせっけんで、
家のせっけんを1つにまとめてしまうのがおすすめです。

世界的に問題視されているプラスチックごみ問題
日本はとくにプラスチックごみの排出量が多く、
さらにごみの排出量はコロナによる「巣ごもり需要」で拍車がかかっています。

そうした場合に1人1人は何ができるのか
少しずつでも行動しておくことが未来のリサイクルの助けになります。

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