プラスチックゴミ問題で世界から取り残される日本|海外のプラスチック対策・包装事情から学ぶ、日本人が改めるべき姿勢とは
普段私たちが何気なく使っているレジ袋。
2019年5月31日付の環境省による発表では、
日本政府は「プラスチック資源循環戦略」と「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を策定、
この2つを柱に資源の循環とプラスチックゴミの大幅な削減に向けてようやく本格的に動き出しました。
この中で、世間で大きく取り上げられているのがワンウェイプラスチックの使用削減ではないでしょうか。
これによりスーパーなどのレジ袋の有料化が義務化されることになりました。
実はこの動き、世界的にはすでに前から始まっていて、
日本は出遅れた感があるのです。
では世界ではどういった取り組みがなされているのでしょうか?
世界での取り組みを参考に、日本でも今後を見据え、
社会全体で行動と意識の改革が必要なようです。
世界中で、もはや大量消費・大量生産の時代ではなく
可能な限り無駄を省き、リサイクルして循環していく世の中になりつつあります。
海外に学ぶエコな資源のリデュースとリサイクル、
それを実現させてどんな未来を作っていくべきなのでしょうか。
詳しくお伝えしていきます!
プラスチックを利用したサービスを、
市民はどうみている?過剰?それとも必要?
2018年8月に環境省から出された「プラスチックを取り巻く国内外の状況」では、
プラスチックを利用したサービスを消費者がどのように感じているのか、
意識調査を行っており、結果を記しています。(※1)
その中で
”小売店のレジで、店員がレジ袋を、商品購入者に必要かどうか確認せずに入れる。”
”小売店のレジで、店員が箸・フォーク・スプーンを、商品購入者に必要かどうか確認 せずに入れる。”
”小売店等で販売されている弁当容器の中で、おかずをさらにプラスチック製やアルミ製のカップに入れる。”
この3つは6割以上の人が「過剰である」と回答しています。
また、
”通販等で購入した際に、商品よりもかなり大きな箱、包装で配送される。”
は7割以上の人が「過剰である」という回答でした。
しかし、
”小売店で量り売りしているものの脇に無料のプラスチック袋が置いてある。”
は3割未満、
”カフェ、ファーストフード店等で、店員が商品購入者に必要かどうか確認せずにストローをつける。”や、
”カフェ、ファーストフード店等で飲料を購入した際、カップにフタをつける。”
は3〜4割にとどまり、
日本ではまだまだプラスチック原料で作られた包装に関して
本当に必要かどうか、過剰ではないかと疑問視する意識が低いように思われます。
日本は世界の中でも衛生面の水準が高い国ですね。
しかし、その衛生水準の高さを維持するために、雑菌の繁殖を防ぐための個包装など、
時として過剰とも思える包装がされている商品も多々あります。
では、海外ではどうでしょう?
海外の包装事情を見てみましょう。
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実は日本は遅れている!海外の包装事情とは
海外のマルシェやスーパーで量り売りされている果物や野菜を見たことがあるという人は多いでしょう。
そう、海外では衛生面で問題がなければ過剰に包装しない、という流れになっています。
その包装は、本当に必要なのでしょうか?
自分で袋やバッグを持参することで代わりになる、減らせるということは、
その包装は無駄であるということです。
そういう視点を持つことが大切ですね。
日本よりかなり厳しい?世界でのプラスチックゴミ削減に対する取り組みは?
プラスチックゴミ削減への取り組みが進むEU
ヨーロッパでは「欧州連合(EU)プラスチック戦略」というものがあり、プラスチック製品のリサイクルに関してEU全体で推し進めようという試みがあります。
2030年までに具体的な目標を決めて各国が取り組んでいくため、
EU諸国では独自の取り組みを始める国も続々と出ています。
フランス
フランスは、リデュースに関して言えばプラスチックゴミの削減に向けて
世界の中でも進んだ取り組みをしています。
レジ袋は使用や販売はおろか製造も禁止、使い捨ての食品容器の販売禁止、
使い捨てのカトラリーの販売も禁止しています。
コップやグラスなどは2020年から、ストローやナイフやフォークなどのカトラリーは
2021年から禁止となる見通しです。
この取り組みは世界初と言われており、
世界の中ではフランスが一歩リードしていますね。
ドイツ
ドイツでは、2003年からペットボトルなどの使い捨て容器をリターナブル容器にして
容器の回収率を上げるための「デポジッド制度(預かり金)」制度を設けています。
デポジット制度とは、最初に容器の預かり金込みの値段を支払い、
後で回収してもらう時に預かり金が帰ってくる、という制度です。
発泡ワインなど一部の飲料を除いてリターナブル容器がかなり普及しており、
スーパーなどに自動回収機が設置されていて生活にきちんと根付いているようです。
ちなみにこのデポジット制度は、
デンマークやスイス、ノルウェー、オランダ、アメリカの一部地域など
世界で導入している国は多いです。
日本ではビール瓶、一升瓶、牛乳瓶でデポジット制度が導入され
リターナブル瓶はRのマークがついており、
ビール瓶なら回収を行っている酒屋さんであれば1本5円で引き取ってもらえます。
しかし、この制度自体あまり知られていない事と、
プラスチック容器のリターナブル化ではないため、
プラスチックゴミの削減における海外の対応に比べると出遅れている印象です。
イギリス
イギリスでも、ペットボトルなどのワンウェイ容器をリターナブル容器にしてデポジット制度を導入し、
再利用することでプラスチックゴミの削減をはかる方針です。
またイギリスはすでにレジ袋の有料化で、レジ袋の使用率を低下させた実績があるようです。
他にもプラスチックストローの販売を禁止する政府の方針を発表しており、
このためマクドナルドでは紙ストローへの全面切り替え行い、2019年中に完了するようです。
ちなみにこの紙ストローは賛否両論あるようですが、
いち早く企業もこうした取り組みを行うことで社会全体の環境に対する配慮が伺えますね。
デンマーク
デンマークでもレジ袋を禁止する方針を発表しましたが、これは日本のような「有料化」ではなく「禁止」のようです。
プラスチック製のレジ袋だけでなく、全ての素材の買い物袋の無料配布が禁止となり、
買い物では袋を必ず持参する、という意識で社会全体で取り組んでいくようです。
プラごみの削減は、アジアの中ですら日本は遅れている?
台湾
台湾では日本より早くレジ袋の有料化を実現しており、その範囲も拡大しています。
コンビニエンスストアやスーパーでは既に有料化されています。
筆者が台湾に旅行に行った2017年の時点で、
お店で商品を買って入れてもらう袋は紙袋が多いなという印象でした。
ビニールの袋に入れてもらったのは持ち帰り用のタピオカミルクティーくらいで、
それも袋に水滴がついてぬれる可能性があったからではないかと推測します。
お土産物屋さんで小物を買い、小分けにする袋をもらう時もほぼ紙袋でした。
現在ではさらに進んでいるようです。
韓国
韓国でもレジ袋有料化は進んでおり、既に大型スーパーなどでは無料のレジ袋配布は禁止、さらに販売も禁止されるようになりました。
今までは規制の緩かった一部商店などでも有料化の波はきており、
日本より少し進んでいる印象ですね。
意外なところにも使われていた!プラスチック原料はこんなところにも
レジ袋やペットボトルなど、見たらすぐにプラスチック原料から作られている製品の他に、
私たちの身近には意外なところにもプラスチック原料があふれています。
そのくらい、プラスチックは私たちの生活に欠かせないものとなっています。
意外なところでは、
・紙コップや牛乳紙パックの内側のコーティング
・生理用品や紙オムツ、生理用品(高吸収ポリマー)
こういった商品にも、プラスチック原料は使用されています。
プラスチックカップでなければ、紙コップを使えば良いというのは安易な考えです。
使い捨てにするのではなく、マイカップを使うなど
再利用できるものを使用するように意識を変えていかなければいけませんね。
オムツに関しては、赤ちゃん用のオムツは紙オムツではなく
なるべく布オムツを使うママも増えており、
かぶれや身体への影響も考え徐々に広まっています。
布ナプキンも同様ですね。
そういったできるとことから取り組むというのは、非常に大切なことです。
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ですが、我が国が直面している介護の現場の問題として、
介護用の紙オムツを布オムツに変えるのはかなりの介護負担の増加を招くと予想されます。
全てを布に、ということは難しいでしょうから、
オムツを必要としない老後を迎えるために必要なことは何か、しっかり考えていきたいところです。
プラスチックゴミの削減を進めるため、私たちがやるべきことは?
日本での取り組みは、まずはレジ袋などの有料化ですが、
海外の流れを見ると次に来るのは製造、販売、使用の禁止ということは当たり前に予測がつきます。
現段階決定しているレジ袋などの有料化は、
プラスチックゴミの削減をしていかなければいけないという意識づけには有効だと思われます。
ですが、実際にプラスチックゴミは大幅に減少することはすでに世界では決まったことです。
それを実現させるためには、
少々ハードルが高いなと思われることにも積極的に取り組む必要があります。
プラスチックゴミが大幅に削減され、
貴重な資源を有効利用し
無駄をなくし循環できる世の中へ。
世界も、日本もそのように変化していくのであれば、
私たち1人1人ができることを積み重ねていくべきでしょう。
ワンウェイの袋や容器をやめリターナブルなマイバッグ、マイボトルなどはすでに世界の常識になりつつあります。
これは企業側の努力も必要ですが、
私たち消費者の意識も変えていかなければなりません。
有料化になるからという理由だけではなく、
環境に与える影響を考えた上で普段の生活で不要な袋やストローなどは「要りません」とサラッと断り、
資源と環境を大切にしていく考えを広めていきたいですね。
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(参考)
※1:プラスチックを取り巻く国内外の状況(環境省)
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