本当に安全?今流行りの『水耕栽培』の実態。その安全性と最新の水耕栽培を検証してみます。
いま私たちが住む日本という国で、
どのくらいの面積で田畑があるかご存知ですか?
日本の面積は、3779万haで、その内農地面積は447.1万ha、
さらに畑はというと、203.9万haで、わずか5.4%になります。
また、農林水産省の統計調査では、年々農地の減少が確実にみられます。
参考:耕地及び作付面積統計(農林水産省統計部)
そしてそのわずかな農地で、私たちの毎日の食卓に上る野菜は作られるのです。
現在の日本の農業は、農業の従事者自身の高齢化や、後継者のなり手が少ない
ことなどによって農業人口も年々減少しているのが実情です。
そんな中、いま注目されているのが『水耕栽培』なのです。
では、水耕栽培とはどういうものなのでしょうか?
水耕栽培の方法
水耕栽培とは、言葉の通りに土を使わない栽培方法のことを言います。
近頃はスーパーマーケットやデパ地下の野菜売り場にも並んでいますので、見た方もい多いと思います。
まず水耕栽培の野菜は、畑ではなく工場の中で、液体肥料を水に混ぜて与え、太陽の光ではなくLEDライトの光によって生育します。
メリットとしては
・外気に触れることなく育てることによって害虫が寄り付かないので、農薬をほとんど使わない。
・土耕栽培より生育速度が速い。
・天候に左右されないので、常時一定の収穫量がある。
・肥料の調整が楽なので、品質が一定する。
・土を使わないので家庭でも気軽に楽しめる。
などがあります。
私は以前工場に努めていたことがありますが、まさに製品を作る過程そのものだと、ある種感動さえ覚えました。
一定品質で出荷量も決まった分だけその日のうちに出荷する。
マニュアルの上の作業により、誰でも一定のコツだけ覚えればできます。
そしてその製品に個性があってはいけません。
100個あったら100個が同じでなければ良い品質とは言えないのです。
まさに野菜の工場とはよく言ったものです。
水耕栽培野菜の利点はもう一つ、与える肥料や栽培方法により、栄養分を強化し、それによって好まれる味の野菜が作れるということなのです。
高鉄分、低カリウム「ホウレンソウ」…若松工場で栽培技術確立
鉄分を75%増加させた低カリウムのホウレンソウの栽培技術を確立させた。(中略)貧血に悩む人から鉄分を多く含むホウレンソウを望む声が寄せられていた。そこで、水耕栽培で使う液体肥料の栄養成分比率や与える期間を工夫。さらにICT(情報通信技術)を活用して栽培環境を最適化し、独自の栽培技術を確立させた。
参考:福島民友ニュース
トヨタ方式でベビーリーフ栽培 豊田鉄工が農業参入
トヨタ自動車系の車部品メーカー、豊田鉄工が今年度、農業事業に参入する。トヨタ生産方式を採り入れた無駄のない野菜工場で、サラダ用のベビーリーフを栽培。愛知県内の百貨店やレストランに出荷する。
参考;朝日デジタル
などの記事でも分かるように、今、新たな農業として水耕栽培が注目されているのです。
化学肥料と有機肥料
水耕栽培には、一般的に液体肥料を使います。
その方が品質が安定し、管理しやすいからです。
養液栽培はこれまで化学肥料しか利用できないことで知られていました。
しかし2006年1月に『野菜茶業研究所』が化学肥料を使わず有機肥料だけを用いた養液栽培技術を開発したことを発表し、その後も有機肥料による水耕栽培の研究は進んでいます。
コンフォート、脱脂粉乳で有機水耕栽培 高品質の野菜を生産
食品鮮度保持材メーカーのコンフォート(函館市)は、脱脂粉乳を活用して野菜を水槽で育てる有機水耕栽培の新技術を開発した。脱脂粉乳を微生物で分解させて窒素分を生成し、多くのミネラルを含む草木灰も添加することで、土壌栽培に近い状態で高品質の野菜を生産できる
参考;日経新聞
今までの中で水耕栽培のメリットを見ると、夢のような野菜という気になってきますね。
確かに泥にまみれて土作りを一からやる必要もなく、痛い腰に鞭打って思い土の中で農作業することもありませんよね。
しかし、ここで以前にも書きました
『危険な硝酸態窒素でメタボ化する現代野菜の深刻な実態。 慣行野菜だけでなく、有機野菜にも”メタボ化野菜”が多い訳を知っていますか?』
という記事にもありますように、野菜の種の種類が気になってきます。
現在栽培されている野菜のほとんどがF1種ですので、水耕栽培で使われる種子もF1種がほとんどだと言っても過言ではありません。
F1種の水耕栽培は危険性があるのか?
F1種の種には耐肥性があります。
水耕栽培は水に肥料を溶かして使用しますので、より一層肥料の効きがよく、早く育つのです。
工場の場合は化学的に肥料も管理できていると思われますし、今回調べた中でも肥料の工夫により硝酸態窒素の含有量をかなり低くしている工場もありました。
では何が不安か?
実は家庭菜園の水耕栽培での、液体肥料のやりすぎによる硝酸態窒素の増加が懸念されます。
硝酸態窒素は体の中で有害な成分に変換され、がんの原因になるともいわれています。
家庭で水耕栽培をされる方は、くれぐれも肥料のやりすぎにご注意ください。
現在の家庭水耕栽培の最前線
現在の水耕栽培セットが、すごいことになっているのをご存知ですか?
参考;http://ascii.jp/elem/000/001/488/1488864/
実はこれは、スマホで水耕栽培を楽しめるインテリアなのです。
複数のセンサーが、日々の野菜栽培の状況を検出。専用のアプリで確認できる。また野菜ごとの育成機能により、エアーポンプ、LED 照明、ファンの強弱の調整を可能としている。
という機械で、2017年6月1日から4日に限定販売した商品です。
また、ベランダやバルコニーで楽しめる水耕栽培セットも数多く出ています。
生育が悪いからと言って肥料を与えすぎたりせずに、決められた用法を守って育てられれば、農薬も使わない身元のしっかりした野菜が手に入ることは、悪いことではないと思えます。
色々と調べながら、私個人としましては家庭水耕栽培も趣味と実益を兼ねた、一つの在り方だろうと思えました。
ただ、以前の記事でも書かせていただきましたが
『食べるということは命をいただくこと』
なのです。
工場内で同じ品質で同じ速度で生育し、
まったく同じ顔をした野菜と、大地の恵みと太陽の光をたくさん浴びた野菜では、その生命力には必ず違いが生まれると思います。
野菜の自給率の低さや、農家の従事者不足などを考えると、こういった方向に向かうことは避けられないかもしれません。
しかしその裏側で、しっかりと土と向き合って野菜を作り続けている人たちがいることも、私たちは知らなければなりません。
そしてそういう方たちの作る命のエネルギーのあふれる野菜を、一人でも多くの人に知ってもらいたいといつも思っています。
IN YOUMarketで種からオーガニックの水で栽培できる
安心安全「キッチン菜園」を始めてみましょう。
IN YOUMarketが厳選しておすすめしているのが
お水さえあればできる、オーガニックスプラウト栽培キット。
こちらは、種から安心なオーガニック認証なのでどなたでも安全に召し上がっていただけますよ。
オーガニックの2色のレンズ豆とひよこ豆のスプラウトの栽培キット。
欧米では、栽培に使用される種も有機認証の対象となっていますが、
日本ではまだ不明確な定義となっていて、
オーガニックの種は手に入りにくい状況です。
こちらの栽培用種子は、ヨーロッパの有機認証を受けた、安心安全な種。
農薬や化学肥料を使わずに栽培され、採取され、
遺伝子組み換えや化学種子消毒がされていない、人と環境に優しい種です。
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