ベジタリアンでもヴィーガンでもない!海外で流行りつつあるパレオダイエットって一体何?日本人に合うの?
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
情報化社会により、食生活が多様化する現代。
少し前は聞いたこともなかった食材が毎日の定番になっていることもあるのでは?
昨今、私たちのライフスタイルはものすごいスピードで変化しています。食生活もそのひとつ。
インターネットによる情報の増加や通信販売の普及により、以前は名前も聞いたことがなかったような食材が簡単に手に入るようになりました。
10年前はチアシードやキヌアなんて知らなかったですよね。
たぶん何も知らずに手渡されたら食べ物だと思わず植木鉢にまいてしまうと思います(笑)。
同様に、グルテンフリーやヴィーガンといった食べるものを限定する食事法もここ数年で徐々に広まり、日本でも一部のカフェなどではそういった食事法への対応がされるようになりました。
それでもまだ日本では「パレオダイエット」というのは聞いたことがない方も多いのではないでしょうか?
実は私もニュージーランドに来て初めて知り、気になったので調べてみました。
パレオダイエットの存在を知ったきっかけは、カフェの看板に書いてあった「Paleo friendly(パレオ対応)」の文字。
聞いたこともない言葉が気になって調べてみると・・・
ニュージーランドの街中を歩いている時、とあるカフェの立て看板に「Paleo friendly(パレオ対応)」と書いてあるのが目に留まりました。雰囲気的にグルテンフリーのような特別な食事法のことなんだろうなとは思いましたが、Paleoなんて何のことか想像もつきませんでした。
パレオって水着に付いてるスカートみたいなあれ?と思い調べたら、それは「Pareo」という別の単語で、「Paleo」は「原始人食」という意味であることが判明(笑)。
パレオダイエットとは何?
流行り始めた理由は?
パレオダイエットとは、
原始人の食生活を参考にした食事法
のことです。「Paleolithic」とは英語で「旧石器時代の」、「diet」は減量ではなく「食事」という意味。
それを略して「Paleo diet」と呼ばれています。
日本語では「原始人食」と訳されます。
旧石器時代は人類の生きた最古の時代とされています。
前期・中期・後期と分かれているのですが、約260万年前〜1万年前と長期間に渡ります。
人類の誕生は約260万年前。
農耕や牧畜が始まったのはわずか14000年ほど前。
人類の歴史を1年にたとえると、農耕や牧畜により自分たちで食糧生産をするようになってからわずか1.8日しか経っていないのです。
それ以前は狩猟・採集により自然界から食べる物を得ていました。
パレオダイエットは1975年に消化器科医のWalter Voegtlinにより提唱されました。
その後2002年に栄養学と運動生理学の専門家であるLoren Cordainの著書「The Paleo Diet」により世にその名が知れ渡りました。
現代人の消化器官をはじめとする体のつくりは農耕や牧畜が始まった頃からあまり進化していないため、それ以前の狩猟・採集による食生活が人間の体には適しているという考えが基になっています。
パレオダイエットで食べて良いもの、食べてはいけないもの。
「肉か野菜か」という問題ではないのでベジタリアンやヴィーガンとは根本的に違う。
原始人の食生活というとどんなものだと思いますか?
いわゆるマンガ肉のようなお肉にかぶりつくイメージではないでしょうか。
パレオダイエットでは農耕・牧畜により生産される食物を食べないので、厳密にはお肉でも人の手で育てられたお肉はNG、野生動物のお肉はOKといったように細かくルールが決まっています。
また、パレオダイエットで認められている食物であれば食べる量の制限はありません。
パレオダイエットで食べても良いもの
・肉・魚、シーフード
・卵
・野菜
・果物
・ナッツ、種
・ハーブ、スパイス
・健康的な油脂(ココナッツオイル、エキストラバージンオリーブオイルなど)
・健康的な甘味料(はちみつ、メープルシロップ、ココナッツシュガーなど)
食べてはいけないもの
・穀物・豆類
・乳製品
・加工食品
・精製されたもの
・砂糖
・トランス脂肪酸
穀物や豆類NGの時点で穀物を推奨するマクロビオティックとは真逆の食生活、ということになります。
これはパレオダイエットの栄養ピラミッドですが、
「動物性のものは放し飼いのもの、グラスフェッドのもの、野生のものが望ましい」
「植物性のものは近くで採れた旬のものが望ましい」
と書いてあります。
上でも述べたように厳密には肉は野生動物のものでないとNGなのですが、それだとなかなか手に入らないのでルールをゆるめて実践する方法もあります。現実的な範囲で原始人食に近い食生活をするためには、あまりこだわりすぎないことも大事ですね。
ちなみにパレオダイエットには様々なパターンがあり、このピラミッドでは植物性のものを動物性のものよりも多く摂ることとされていますが、動物性のものを一番多く摂るとする考え方もあります。
パレオダイエットにより期待される健康効果は?
パレオダイエットを実践することにより、以下のような健康効果が期待できるとされています。ただ、まだまだ実践者は少なく実際どれだけ信頼性があるのかもわかりませんし、現代の食生活とかなりかけ離れており現実的ではないのでご参考までに。
・消化、吸収の促進
・血糖値の安定
・脂肪燃焼
・筋肉増強
・運動機能の向上
・抗炎症作用
・美肌効果
・細胞、内臓、脳の健康維持
・歯の健康維持
・睡眠の質の向上
・インスリン抵抗性(インスリン感受性)の向上
・生活習慣病の予防
・血糖値の安定
・脂肪燃焼
・筋肉増強
・運動機能の向上
・抗炎症作用
・美肌効果
・細胞、内臓、脳の健康維持
・歯の健康維持
・睡眠の質の向上
・インスリン抵抗性(インスリン感受性)の向上
・生活習慣病の予防
また、パレオダイエットではアレルギーの原因物質となるものが少ないこと、カロリーが低めなこともメリットとされています。
パレオダイエットは世の中でどのくらい認知されているの?日本と海外のパレオダイエットに関する現状。
グルテンフリーやヴィーガンですら認知度の高くない日本では、パレオダイエットや原始人食という名前すら聞いたことのない方が大半かと思います。海外でも日本よりはパレオ実践者の数は多いと思われますがそれでもまだまだ少数派で、グルテンフリーやベジタリアン、ヴィーガン実践者の数とは雲泥の差です。
対応製品の数も少なく、飲食店でパレオ対応しているところもほとんどありません。
以前、私の勤めている飲食店でパーティーの予約があり、「一部の料理はパレオ対応で」と要望をいただいたことがありました。
が、私以外のスタッフはほとんどパレオダイエットの存在すら知らずてんやわんや。
パーティーのために必死で調べ、「このメニューはこの食材を抜けばパレオ対応可能」など、何度も確認して当日に臨みました。
パレオ対応商品はどこで買えるの?
残念ながら日本の通販サイトではパレオ対応商品というと一部のココナッツオイルやココナッツフラワーしか見つかりませんでした。個人輸入サイトのiHerbではいくつか取扱があるようです。
「パレオ対応商品」として販売しているものはほとんどありませんが、パレオダイエットで望ましいとされる野生動物の肉(ジビエ)や天然の魚、オーガニックのココナッツオイルなどを探して買ってみるのも良いですね。
海外ではオーガニックショップでパレオ対応の商品を扱っていることもあります。
パレオ対応の食パン。
パンと言えば小麦粉や米粉などのイメージがあるので、穀物不使用のパンというのは新しいですね!
パレオ対応のエネルギーバー。
原始人がこれを食べている姿は想像できませんね(笑)。
パレオダイエットでは加工食品はNGとされているのにこういったパレオ対応の加工食品が存在することは矛盾しているし、その原材料である野菜や果物も人の手で作られたものなので、厳密にはパレオ対応の加工食品は原始人食とは言いがたいものです。
ただ、今の世の中で天然の野菜や果物を手に入れることは現実的に難しいので、先に述べたようにルールをゆるめ、無理のない範囲で原始人食に近付けるだけでも良いと思います。
一つの食事法としてとても興味深いパレオダイエット。
ベジタリアンでもヴィーガンでもグルテンフリーでもない、新たな食の切り口として今後の発展が楽しみ。
パレオダイエットは動物性食品を食べない、小麦を食べないといったシンプルなルールではないので、なかなか覚えるのが大変そうですね。
人類の歴史を考えると、一番長く続けられてきた食生活を参考にするパレオダイエットは理にかなっているのかもしれません。
新しい食の可能性としても興味深いものではあります。
とはいえ、今の日本人の体質は根本的に原始人時代とは違う可能性が。
やはり、昔ながらの「和食」のほうがよいのでは・・
でも、人類は年々進化し、体のつくりも体質も変わってきています。
パレオダイエットの提唱者によれば人類の消化器官は1万年ほど前から変わっていないとのことですが、戦後のたった数十年で日本人の身長や顔立ちが急激に変わったことを考えると、原始人と現代人ではまったく違う可能性もありますよね。
そう考えたら、現代に近い江戸〜昭和あたりの時代の伝統的な日本の食生活が私たちには合っているのではないか、と考えることもできます。
また、原始人がどんな生活をしてどんな健康状態だったのか、残念ながら私たちは知り得ません。
一方、近代に関しては人々がどんなものを食べどれだけ体が丈夫だったのかある程度知ることができます。
その点でも、マクロビオティックにおいても、発酵食品や野菜、穀物などを食べる和食を推奨していますが、伝統的な日本食を基本とした食生活が一番安心でしょう。
個人的には、納豆ごはんと豆腐のみそ汁がアイデンティティの日本人にとって、穀物と豆を食べてはいけないパレオダイエットはかなり酷だと思います(笑)。
今75歳以上のおじいちゃん、おばあちゃんは歳を取っても元気な方が多いですよね。
彼らはまだ日本が自然とオーガニックやヴィーガンのような食生活をし、洋食も普段はあまり食べなかった時代に育ちました。
きっとそんな食生活が、彼らの丈夫な体を作ったのでしょう。
私の親戚は80歳を過ぎてから足に人工関節を入れる手術をし、リハビリのために足踏みをする運動を指導されました。
それを担当の20〜30代の看護師さんも一緒にやってみたら、若い看護師さんはすぐ疲れてしまってできなかったそうです(笑)。
一方で本人は歳も取っており手術をした身なのに軽々こなしていました。
最近の若い人は体力がないわね、と(笑)。
どの食事法においても長所・短所があります
マクロビオティック、ローフード、ヴィーガン、そして今回紹介したパレオ。いろいろな健康法がありますが、単体でパーフェクトな食事法なんて存在しません。
取り入れる人の年齢や体質に合う・合わないもあります。
ですから、何か新しい健康法を取り入れる際はそれだけを妄信して続けるのではなく、気軽にまずは「お試し期間」として一定期間試してみるのもいいかもしれません。
知識を得ながら、自分にぴったりの健康法を組み合わせながら実践するのが現実的でしょう。
今度みなさんのおじいちゃん、おばあちゃんに会ったときは、是非昔の食生活について聞いてみてください。
大正・昭和を生きた日本人がパレオダイエットについてどう思うのかも気になるところです。
この記事を読んだ人におすすめの他の記事
小麦の害って実際どうなの?グルテンフリーその前に。品種改良をしない本物の小麦「古代小麦」を選ぶメリット。
現代女性にとって最も身近ながん「乳がん」と食べ物の関係性。他人事でない、乳がんの実態と対策。
未発酵の大豆製品は体に毒?!貴重なタンパク源「大豆」を摂る時に気を付けたいこと。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう