シンガポール在住者が教える!日本とシンガポールの食育・初期文化の違い。 保存料に人工甘味料、添加物まみれの食卓の日本は今後どうなる?
「食育」という言葉が広く知れ渡るようになってしばらく経ちますね。
子どもを持つ親であれば、多くの方が聞いたことのある言葉かもしれません。
今では、「食育インストラクター」や「食育アドバイザー」など、
食育に関する資格が、子どもを持つママを中心に流行っています。
それだけ、子どもの健康に関心がある方が増えているということですね。
しかし、日本の給食はまだまだ世界から遅れをとっています。
今回は、シンガポールと日本の学校給食の違いをレポートします。
世界中で拡がる糖尿病
糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、
血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。
インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。
血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、
将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、
より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。
また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などを起こすことがあります
(糖尿病の急性合併症)。
引用: 糖尿病ってなに?
日本でも増加が不安視される糖尿病。
重症になると、合併症を引き起こしてしまうとても怖い病気です。
糖尿病の若年化は、その分合併症を早く引き起こしてしまう可能性もあるのです。
小さい頃から食生活が乱れていることが、子どもの将来を暗くする可能性があるというのであれば、
あなたはどうしたいと思いますか?
シンガポールでの食育
シンガポールで目立つ糖尿病
共働きが当たり前のシンガポールでは3食外食というのも珍しくありません。
リーズナブルな値段で、食事が楽しめるホーカーズ(屋台)は、
庶民の味として親しまれ、朝から晩まで大賑わい。
シンガポールのホーカーには、ミシュラン星を獲得するほど美味しい屋台飯が味わえるんですよ。
しかし、世界的な気候変動による食料不足の昨今。
シンガポールのみならず、世界中のレストランやカフェ、屋台などで食事を提供する場所は、
原価を抑えるために、野菜が少なく栄養に偏りが目立ち、
それが仇となって、国民の健康を害しているという見方も強まりました。
シンガポール国民の健康被害で深刻と言われているのが、肥満や糖尿病の問題です。
現在、18歳から69歳のシンガポール人の、9人に1人が糖尿病を患っているというデータがあります。
これは人口の11.3%、国民の約40万人の人という計算。
これを受けて、シンガポールでは2017年、
国をあげて糖尿病を始めとした生活習慣病撲滅キャンペーンを実施しました。
運動の促進などはもちろん、国が一番に力を入れているのが、食生活の改善です。
参考:Diabetes Singapore
シンガポールでの学校給食
先述してきた通りシンガポールは共働き家庭の割合が多く、
1歳半からプレスクールに子どもを預けている家庭も少なくありません。
シンガポールには主に2種類の学校があり一つがローカルスクール、
もう一つがインターナショナルスクールになります。
ローカルスクールは地元の学校。シンガポールの大多数が通う学校です。
インターナショナルスクールは、外国人の子どもたちが多く通う学校で、
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアそして日本人学校など様々な学校があります。
筆者の2歳半の娘は、ローカルスクールに通っています。
ローカルスクールを選んだ理由の一つは、
シンガポールの食育への取り組みに感銘を受けたという点が挙げられます。
学校によって違いはありますが、大抵のローカルスクールは、
朝の7時から夜の7時まで子どもたちを預かってくれます。
The Healthy Meals in Pre-schools Programmeという、国の食育プログラムに参加している学校が多く、
学校で出される給食は、朝ごはん、昼ごはん、おやつと、全て学校で全て手作り。
もちろん添加物無添加です。
その他、糖尿病予防のため、白米ではなく玄米、全粒粉パスタ、全粒粉パンなどを使用。
脂質、糖質、塩分を減らすなど、教育現場でも、
糖尿病予防のための国政方針に基づいた食育が提供されています。
一日の大半を過ごしす学校だからこそ、健康的な食生活を提供する必要があると考えているのです。
一部ではありますが、The Health Meals in Pre-schools Programme
に参加している学校では、以下のような決まりがあります。
カルシウムを多く含む食材を提供している。
飲み物は水または牛乳。
(人工甘味料など使用した飲みのは提供しない。
ヘルシアー・チョイス・シンボル商品(政府の認めた健康に良い食品)のみ)ホームメードの甘い飲み物、液状デザートは100mlに対して6g以上の砂糖は使用してはいけない。
揚げ物やソーセージ、ハム、加工野菜や加工卵などの加工食品は提供してはいけない
マーガリンやショートニングなどトランス脂肪酸は使用してはいけない
玄米や全粒粉などを使用
引用:Healthy Meals in Pre-schools Programme Toolkit 2018.(翻訳: 筆者)
食の嗜好というのは未就学児に形成されると言われていて、
年齢を重ねるごとにその嗜好を変えることは困難なのです。
安全な食材で栄養バランスの整った食事は、健康維持はもちろんのこと、
子どもたちの頭の良さや体力にも影響を与えます。
教育現場にて、そういった指導をされていることはもちろん、保護者にも知らされます。
学校で、せっかく自然で健康的な食事をしているのであれば…
と自宅でも健康的な食生活を選ぶ保護者は多いのです。
変わりゆくシンガポールでの食育施策
2017年シンガポールのリー・シェンロン首相が国政方針演説にて、
糖尿病予防のために玄米や雑穀米を選ぶように呼びかけたのをきっかけに、
健康食品やオーガニック食品の売上が伸びたり、
低脂肪や無糖、食物繊維が多く含まれてい食品を選ぶ消費者が増ました。
より健康に意識を向ける国民が増えたということになります。
その他、政府からは消費者の砂摂取を抑制するために、
飲料メーカーに砂糖を減らすことの義務付けや、
公共機関や学校での砂糖飲料の販売の禁止などを行いました。
シンガポールの施策の最も特徴的なのは、
外食を減らすことを呼びかけているわけではなく、外食すること自体を健康的にするということです。
例えば、ホーカーでも白米だけでなく玄米を選ぶことができます。
また、国の呼びかけで一皿の値段は上がりましが、
野菜が多くとれるようにしたり、バランス良く食べれるホーカーが増えてきています。
ホーカー以外の外食産業でも、オーガニックカフェやレストラン、ベジタリアンやヴェーガンカフェが増え、
健康的な食事のチョイスが増えています。
参考: Health Hub
国全体で、国民の健康への呼びかけをしてくれ、
それを真摯に受け止め関心を持っている人が多いということが、こういったことに繋がっているのです。
日本でも広がる食育の輪。しかし本当の実態とは・・・?
日本での食育概念
食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。
引用: 食育の推進 – 農林水産省
日本では、2005年に国会にて食育基本法が成立。
日本の食育の取り組みは、健康促進という面はもちろん、
家族や友人と一緒に食を囲んだり料理をして社会性を身につけたり、
季節の食材や様々な地域の料理を美味しく食べるということなど、
食べることを通じて生きる力を身につけるということを目的にしていきます。
日本の食事情
保存料に人工甘味料…食品添加物まみれの食卓
食育基本法が成立したのには、子どもたちの健康被害が深刻化していることが一つの要因となっています。
共働き家族、核家族の増加に伴って、スーパーやコンビニには、出来合いの保存料や添加物の入ったお惣菜が、
たくさん並ぶようになりました。また、ササッと食べれて子どももパクパク食べてくれるからという理由で、
ファーストフードを選ぶ保護者も相変わらず多いのです。
その他、ファミレスのお子様プレートは、ハンバーグにエビフライ、オムレツにごはんといった、
子どもが大好きなタンパク質中心で、野菜はほとんどなく、
おまけに着色料のたっぷり入ったゼリーがデザートについてきます。
海外在住の筆者も日本に一時帰国する度に、日本のスーパーやコンビニには驚きます。
出来合いのお惣菜やお弁当などは、女性の社会進出が活発な日本にとって、
とても有り難いことであることは理解できます。
しかし、生活が幾分楽にはなりますが、
食生活の乱れが原因で肥満や痩身の子供が増えたというデータもあります。
参考: 学校における食育の推進・学校給食の充実 - 文部科学省
糖尿病に不妊症の可能性まで。深刻化する子どもの健康
世界では、肥満の子供が1.2億人。
過去40年間で、その数は10倍にも増えたとWHO(世界保健機構)が2017年に発表しました。
日本の肥満児は14%と低水準。
米国や中国に比べては低いものの、現在の大人が子どもだった頃に比べるとその数は増加傾向にあります。
日本の65歳以上の糖尿病人口は2017年には430万人で世界第6位。
今の子どもたちが大人になる頃には、更に多くの糖尿病を始めとした生活習慣病患者が増加していることが
容易に想像できます。
肥満だけではなく、日本では痩せ型の子どもが増えているという問題も。
日本では、「痩せている=美しい」という間違った概念を持っている人が多く、
低カロリーと書かれたダイエット食品を食べる思春期の子どもたちも多くいるのです。
そういったダイエット食品には、甘味料など食品添加物も多く含まれており、栄養の偏りだけでなく、
添加物の影響が子供の健康を害していると言えます。
更には、痩せると思って選んでいた人工甘味料入りの食品は、
逆に、肥満や糖尿病のリスクが高いということも明らかになってきました。
2018年3月にアメリカのジョージ・ワシントン大学が発表した研究によると、
人工甘味料と摂取した際に、「肥満ホルモン」と呼ばれるインスリンに作用することから、
肥満や糖尿病に繋がる恐れがあるという見方が強いようです。
インスリンは、すい臓から出る体内ホルモンの一つで、
血糖値を下げる働きをするほぼ唯一のホルモンです。
インスリンは、すい臓のランゲルハンス島という組織にあるβ細胞でつくられています。
食事によって血糖値が上がると、すい臓のβ細胞がこの動きをすばやくキャッチして、
すぐにインスリンを分泌します。血糖が全身の臓器にとどくと、
インスリンの働きによって臓器は血糖をとり込んでエネルギーとして利用したり蓄えたり、
さらにタンパク質の合成や細胞の増殖を促したりします。
こうして、食後に増加した血糖はインスリンによって速やかに処理され一定量に保たれます。
糖尿病は、すい臓から出るインスリンが減少するか、またはインスリンの働きが悪くなって、
血糖値を下げられなくなった状態(高血糖状態)が続く病気です。
引用:target=”_blank”>“ホルモン”としてのインスリンの働き
ダイエット食品の他にも、低カロリーや0カロリーの謳い文句の書いてある清涼飲料水や食べ物、
またのど飴やガムなどにも人工甘味料は含まれており注意が必要。
日本で、現在許可されている人工甘味料は、
サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテームの5種類です。
参考: 肥満の子、世界で1.2億人!? 日本は「やせ形」増加も – 日経電子版
参考: 世界糖尿病デー 糖尿病人口は4億人を突破 30年後には7億人に – 糖尿病ネットワーク
参考:Consuming low-calorie sweeteners may predispose overweight individuals to diabetes
人工甘味料だけではありません。
日本には、海外で使用が禁止されている添加物が、数多く許可されている添加物国家なのです。
その内の一つが、マーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸。
このトランス脂肪酸を、たくさん摂ることで糖尿病になる危険性があると研究されているのです。
2009年の日本人を対象にした研究でも、トランス脂肪酸の摂取量が高い人ほど、
腹囲が大きく、血中の中性脂肪、HbA1cが高い傾向があることがわかった。
危険因子は中高年になって表面化することが多いが、
欧米と比較して摂取量が低い年齢層の若い集団でも、トランス脂肪酸との関連がみられた。
引用: トランス脂肪酸はやっぱり「体に悪い」 体に良い脂肪酸をとろう
EU諸国やアメリカでは、トランス脂肪酸を含む油脂製品販売が禁止されています。
WHO(世界保健機構)は、2023年までに、
世界でトランス脂肪酸の使用を禁止することを予定していますが、
日本を含め低所得国や中所得国、
収入格差が目立つ国では規制していない国もまだ多く残っています。
日本では、フランスなどヨーロッパ諸国に比べてバターの値段が高いということもあり、
規制を導入することはまだ難しいのが現状なのです。
日本製の子ども用のおやつの多くにトランス脂肪酸が含まれています。
クッキーや菓子パン、ドーナッツなど洋菓子に多く含まれています。
子どものおやつを選ぶ際は、パッケージのラベルと見て、
「ショートニング」や「マーガリン」などの表示には気をつけましょう。
日本での学校給食は?
実際の現状はまだまだ、改善が必要な日本の食育ですが、
とりわけ「学校給食」などは世界からも高く評価されています。
学校には、専属の栄養士が栄養バランスを考えた手作りのメニューを調理。
専属の栄養士がバランスを考え、給食を提供するスタイルというのが主流でした。
しかし、ここ最近その動きにも不穏な影が。
伊勢原市は中学校での完全給食実施に向け、
委託業者が調理・配達する給食を学校で温め直す「再加熱式のデリバリー方式」を導入する。
引用: 「中学給食「再加熱式」で 伊勢原市、20年から試験実施」
神奈川県伊勢原市では、
本来の校内で調理する「自校方式」から、
「再加熱式のデリバリー方式」の給食を試験的に導入することが決定しました。
伊勢原市以外にも既に、このデリバリー方式の給食を取り入れている学校も多く存在します。
少し前のデータにはなりますが、2012年度の公立小中学校で、
給食の外部委託を取り入れている学校は、35.8%。
複数の学校の給食を、センターでまとめて調理する「共同調理場方式」の比率が増えてきている、
という調査結果もあります。
ここで問題となるのはデリバリー方式の給食には、
集団食中毒などの衛生管理の問題がつきものということです。
また、できたてのご飯は美味しくないと残す自動も増えることも懸念されます。
そのために使われるのが添加物です。
食中毒回避のための保存料、味覚をごまかすための添加物の使用は避けては通れません。
参考: 「文部科学省「学校給食実施状況等調査調査」
給食の外部委託、つまり給食の合理化の影には、
コストの削減や効率的な運営を求められていることがあります。
給食費の滞納問題も挙げられますし、職員の待遇(コスト削減)など一因となっているのです。
正しい知識を身につけて正しいものを選ぶ力を養う
シンガポール同様に、共働き家庭が増える日本でも、今後増えるであろう外食の機会、
そして、給食の合理化による更なる添加物の使用の問題。
無理にそれを避けることは容易なことではなりません。
それであれば、添加物がどう恐ろしいのかなど、正しい知識を身に着けることで外食をするにしても、
無添加やオーガニックなものを正しいものを選ぶ力を養うことができます。
You are what you eat(あたなはあなたの食べたものでできている)という言葉があります。
子どもは、自分で食べるものを選択するというよりも、周りの環境によって食べるものが異なってきます。
まずは、保護者の皆さんが正しい知識を身に着けましょう。
今回、海外で子育てをしている筆者が日本の子どもたちの食生活でとても気になるのは、
「人工甘味料」と「トランス脂肪酸」を多く含んでいるものを食べているということ。
少し値は張ってしまいますが、ヨーロッパ製のおやつには、人工甘味料やトランス脂肪酸はもちろん、
添加物一切不使用のオーガニックなものもたくさんあります。
また、学校給食の添加物問題も、手作り弁当に切り替えることができるならそうするなどなるべくそうする、
もし、難しい場合は、自宅ではオーガニックなものを中心に選ぶなど解決の緒を見つけましょう。
子どもが生涯健康的で幸せな生活を送れるように是非参考にして下さい。
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