【対談:庄野真代×松浦愛】「オーガニック」を選択肢にすることで、より楽しく美味しく幸せに。
名曲「飛んでイスタンブール」をはじめ、数々のヒット曲を生み出している、歌手の庄野真代さん。
2006年には音楽を通したボランティア団体、NPO「国境なき楽団」を設立され、その事業の一環として、「Com.Cafe(コムカフェ)音倉」を、下北沢にて運営されています。
音倉の素敵な空間で、IN YOU編集長の松浦と、「オーガニック」について語り合って頂きました。
「Com.Cafe音倉」について
音楽と食でオーガニックを伝える、誰もがほっとする場所
松浦愛(以下、松浦):音倉さんは、以前からあったのですか?庄野真代(以下、庄野):今年で8年目です。オープン当初から、「心に優しい音楽と身体に優しい食事を楽しめる場所」として、安全な食を心がけていました。
ただやはり、「オーガニック」を発信したく、この5月にリニューアルオープンしました。
松浦:食材のシフトが大変でありませんでしたか?
庄野:はい、今もまだ試行錯誤中です。でも、オープン当初に契約農家さんから野菜を仕入れていたところ季節によって食材が偏ることが壁となり、だんだんと緩くなってしまった経緯があります。
今回のリニューアルで、農家さんの心がこもった食材を仕入れるよう仕切り直しているので、何とか頑張っていきたいです。
難しい部分はありながらも、オーガニック食材の幅の広がりを感じています。
広がっているのでしょうか?
松浦:はい。この1、2年で急速に需要が増えているかと思います。
オーガニックにシフトするカフェも増えているので、カフェがオーガニックライフのきっかけとなる人もいます。
庄野:オーガニックを受け止める人が増えているのは、嬉しいことですね。
オーガニックと、音楽と心の関係性
松浦:音倉さんでは、どのように音楽と食をコラボレーションしているのですか?庄野:平日の昼はランチ、夜はライブハウス、という形で営業しています。
一般的にライブハウスの食べ物というと、簡単なおつまみ程度ですが、オーガニックな食を提供する場所にしています。
松浦:ライブハウスというとジャンクフードも多くあるので、音楽もオーガニックフードも楽しめるだなんて、最高ですね!
庄野:音楽と食は、「心を満たす」ということで、役割が似ていると思います。
音楽には、プラス思考になれる・疲れが取れる・悩み解消など、人の心と体に良い作用があり、食も同じだと考えています。
音楽と食が重なると素晴らしい組み合わせなので、両方を提供していきたいです。
心の豊かさが体を健康にし、オーガニックライフに通じる
松浦:「心を豊かにすることで体も健康になれる」ということが、最近広まってきています。音倉さんは、食べ物だけでなく心を豊かにすることで、オーガニックに通じるという考え方に、ぴったり当てはまるカフェだとすごく感じました。
庄野:作り手の想いをお客様に伝えられるように、自家栽培も始めました。実際に、提供する料理に使用しています。
眺めるだけで心が癒されるし、成長を見たら豊かな気持ちになれますよね。
生命の連鎖を感じて頂けたら、と思います。
オーガニックに目覚めたきっかけ
松浦:元々オーガニックがお好きだったのですか?庄野:昔はオーガニックの言葉はなく、幼少の頃に身体が弱かった為、体に良いものを食べるように、というくらいでした。
出産後、食べ物の重要性を感じました。
庄野:食べたものでぐんぐんと大きくなっていく子供の姿を見て、安全なものを食べないと健康な体になれないのではないかと感じました。ひとつひとつの食材に悩みながら、無添加無農薬を心がけ、おやつも手作りしていた時期もあります。
松浦:お子様が、きっかけだったのですね?
1980年から2年間かけて世界中をバックパック旅行した時に、オーガニックへの意識が更に深まりました。
庄野:世界のあちこちで、「地球環境が危ないから、水を綺麗にしないといけない、農業を有機に見直さなくてはいけない」というオーガニック運動を目の当たりにしました。
オーガニックの見方が、自分や子供の体を考えて選択するということと、そもそも違いました。
ひとりひとりが食生活を見直さないと、地球がどんどん汚れていってしまうんだ、と感じました。
オーガニックライフを、楽しみながら長続きさせるには
オーガニックライフが、長続きする人としない人
松浦:最近とてもオーガニックが流行っていて、そのきっかけは人それぞれあると思います。でも、トレンドとして始めた人は、辛くなってやめてしまっています。庄野:何が辛いのでしょうか?
松浦:材料をひとつひとつ確認することなどが、辛いようです。
本質を理解していないような、軽い気持ちや理由だと長続きしていないように感じます。本質を理解した上での軸や深い理由があると、長続きします。
庄野:長続きするための提案をしていけたら、良いですよね。
松浦:はい。
オーガニックを始めようとしている人には、マイナスな思考から始めるのではなく、プラスのイメージを持って始めて頂きたいです。楽しい、面白い、美味しい、心が満たされる、のような。
IN YOUでも、そのような切り口で伝わるように、心がけています。
そういう点で、音倉さんもぴったりと当てはまりますよね。
「オーガニック」を1つの選択肢とすることで、より豊かで幸せに
庄野:オーがニックって、地球上に生きるすべての人が知っておかなくてはならない、生きる上での基本的なことだと思います。子供のうちから習得しておくべきことだと、思います。
でも、徹底しすぎてルールで縛ってしまうと辛いので、ある程度緩くても良いかな、と思っています。
「今日は疲れているから、オーガニックの生命力溢れるものを食べよう!」と、中華やイタリアンと同様の料理ジャンルのようになって、気軽に選択できるようになったら良いです。
アメリカではもう当たり前のようです。日本はまだまだ、ですよね。
松浦:個々の選択に偏見を持たないので、外国人は、オーガニックのみならずベジタリアンも多いですよね。
庄野:ベジタリアンじゃなくても、日によってベジタリアンにする日があっても良いですよね。
オーガニックが、誰もが自由にチョイスできるような選択肢になると、良いと思っています。
選択肢豊富な、音倉のメニュー
庄野:音倉では、カフェっぽい洋食メニューだけでなく、ほっとする日本のお惣菜のようなものも多いです。アレルギーやベジタリアンに完全対応できるメニューもあれば、肉料理も用意しています。
「野菜が主役、でもお肉もある」という感じです。
小さな子供にも、安心して食べさせたいものばかりです。
なかなかオーガニックを始めらず、悩んでいる人へ
松浦:育児中の人は特に、どうオーガニックを取り入れるか、化学物質を避けるかなど悩んでいらっしゃいます。庄野さんご自身は、いかがでしたか?庄野:食器のひとつにしても、悩みましたよ。
行き着いて心がけたのは、「自分が料理して楽しいもの、自分が美味しく感じるもの、自分の体にとって良いものを食べよう!」というところです。
自己中心です(笑) でも、そういうものだと家族など他の人に食べさせる時、ヒヤヒヤしません。「絶対美味しいから食べてごらん!」と自信を持って言えて、相手も暗示にかかるのか、「本当だおいしい!!」となります。
松浦:自分が心地良いように、というのは賛同です。
相手を伺ってばかりいると、辛くなってしまいますよね。自分が心地良ければ相手も心地良く感じる、と私も思います。
オーガニック仲間を増やして、私たち自身と地球を、より良くしていこう!
想いが強くても、なかなか上手く伝わらない、オーガニック業界の問題
松浦:音倉さんがある下北沢は、オーガニックスポット多いですか?庄野:インターネットで検索してもあまり出てこないのですが、実際に見て回っていると、実はこだわっているお店が多いです。
オーガニックを意識しているお店の方々を繋げて、ネットワークができたら良いと思っています。
松浦:あまり良く知らないエリアはインターネットの情報に頼りがちになってしまうので、そのようなネットワークが働いて、多くの人に広まったら良いですね!
庄野:でも音倉はオーガニックカフェとしては新しいので、古くからやられているお店にどう声をかけていったら良いか、悩んでいます。
松浦:古いお店も、繋がりを求めていると思いますよ。
月一で開催しているイベントにも、オーガニック関連の事業をされている方が多く来ます。例えばネットショップも、1人で立ち上げても見にくる人がいなくて続けられなくなってしまうそうです。
発信側の想いは強いけけれど、うまく伝わらないのが、業界の問題かと思います。
1人では伝えにくいから、仲間と協力し合って、業界全体で盛り上げていけるようになると良いです。
より多くの人に、オーガニックの考え方が広まるには
庄野:オーガニックを広めて、人々の生活に浸透させていくには、どうしたら良いのでしょうか?
松浦:オーガニックに精通した、庄野さんのような著名人やメディア、コミュニティが伝えるところの役割が大きいと思います。
また同時に、1人では出来ないけれど、オーガニック関連の事業をしている人やオーガニックに興味を持っている人を繋げたり、全国的にネットワークを繋げたりする役割が重要になってくるかと思います・
庄野:音倉がオーガニックカフェになってから、世界が広がっていくことが感じているので、どんどん仲間と繋がりながら、オーガニックの考え方を広めていきたいです。
読者の皆さまにも、健康で健やかに、夢を持てる毎日を過ごせるよう、IN YOUからどんどん知識を習得して、実践していってほしいです。
◆ 庄野真代(しょうのまよ)プロフィール ◆
大阪出身。1976年フォーク音楽祭をきっかけに、日本コロムビアからデビュー。1978年「飛んでイスタンブール」「モンテカルロで乾杯」などが大ヒット。
今も褪せぬ軽やかな歌声と音楽性が大人が楽しめる音楽として、各地で好評を集めている。
2016年にはデビュー40周年をむかえ、ますます盛んに演奏活動やアルバムリリースを行っている。
NPO法人『国境なき楽団』代表として音楽を通じたボランティア活動を国内外で行う。
法政大学人間環境学部講師。
◆ Com.Cafe音倉 ◆
今年でオープン8年目の、NPO法人国境なき楽団のコミュニティカフェ。「体にやさしい食・心にやさしい音楽・じわっと笑顔がうまれる空間」
オーガニック素材を使った料理を味わいながら、本格的な音楽ライブ(枠により一般参加も可)、アートギャラリー、各種イベントを楽しめる。
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