東京で本当においしいベジタリアン料理が食べられるレストラン。
数々のベジタリアン料理やマクロビオティック料理を常日頃リサーチし、新しいお店には真っ先に足を運ぶ程、食べ歩きが好きな私のお勧めレストランをご紹介したいと思います。
さて、その前に日本のベジタリアン料理市場について少しだけお話しておきます。
この手の話では再三繰り広げられてきた議論ですが、海外では、一定数ベジタリアンという食生活が既に確立されており、セレブがダイエットのために実践していたり、普段は肉食の方であっても「ベジタリアン・ウィーク」というものを自ら設けてその一週間は動物性のものを口にせずヘルシーに過ごしたりしていることも、非常によく見られる光景です。
このように欧米においてはベジタリアンの存在自体が特に珍しいものではなく、多くの人がベジタリアンの友人を少なくとも数人は持っているため、大きな偏見はないように見受けられます。
しかし、日本においてはレアな存在であり、ベジタリアンをはじめとし、マクロビオティックなどの食生活を実践していると言うと、一般の方からは不思議そうな目で見られてしまいます。
玄米と味噌汁が主食のマクロビアンたちは本当にストイックなのか。
玄米と味噌汁、そして野菜の煮つけを主食にするマクロビアンや毎日ストイックに山盛りの野菜を食べるヴィーガンの人々。彼らは本当にストイックなのでしょうか?
彼らは少なくとも食においては非常にストイックであることには違いありません。
しかし自分自身でストイックだと認識していないケースが大多数だというのが私の見解です。
むしろ、彼らなりに独自の世界観を持ち、そのようなライフスタイルを心から楽しんでいるように見えます。
現に私が出会った動物性のものを極力食べないライフスタイルを送る人々は、ベジタリアン料理を誇りに思っており、それが地味であるなどいう、外部から見た時のようなイメージとはかけ離れた認識を持っていました。
一方で本当においしいベジタリアン料理を知らない、と主張する人もいます。
どうしてもベジタリアン料理に対して魅力を感じられないというのです。
もともとはヴィーガンではなかった人が物足りないと感じるケースが多い傾向にあります。
美味しいベジタリアン料理も市場には存在すると思うのですが、ミシュランに名を連ねるようなお店の数々と比べたらどうか、と問われれば、比べる程の市場規模ではないということは言うまでもありません。
この実情は現場を見れば一目瞭然です。
一般的なフレンチに使われる食材・調理技法とベジタリアン料理に使われる食材・調理技法は根本的に異なっているため、ベジタリアン料理を作る工程ではフレンチではタブーとされているようなことも平気でするでしょうし、互いに歩み寄りにくい大きな壁があるように感じます。
何年もその道一筋だったフレンチシェフがベジタリアン料理の技法を自ら学んであみ出そう、と思うのには大きな転機がない限り必要に迫られることはないでしょう。
ですからよくあるパターンとして生クリームや肉類を使った料理を作らせれば天下一品な高級フレンチで、ヴィーガン対応でコースをオーダーしたら、蒸した野菜や何の工夫もないスープ、切っただけのフルーツがコース料理として出てきて、これに高いお金を払ったのか・・という悲しい思いをしたことのあるベジタリアンの方も多いわけです。
ミシュラン一つ星に導いた鬼才シェフがつくるベジタリアン料理。
今回ご紹介するCantonese 燕 KEN TAKASEというお店は、味気ない内容ではなくしっかりとシェフ自身が試行を重ねて作られたものなのだということが分かる内容に仕上がっています。東京ステーションホテル内にあるこちらのレストランはかつてレストランをミシュラン一つ星に導いたオーナーシェフが自らプロデュースするお店。
「医食同源」の思想を元に、旬の食材に本場香港にて学び吟味した副材料を掛け合わせる確かな理論と技法から導かれる
逸品は小手先の創作料理ではない「真の進化」を目指すニューカントニーズ。
伝統的な広東料理を次のステージへと昇華させるべく孤高のオーナーシェフが
アジアの食文化の中心地東京から世界へ発信するコンセプト。
広東料理にほれこんだという高瀬シェフはヘルシーで栄養価の高いものを食べることで健康的な心身を保つという地元の人々が当たり前のようにやってきたことを体系化するだけでなくセンスあふれるオリジナルメニューを開発し続けています。
エントランス。
店内はラグジュアリーな空間。
ちょっと特別な日のディナーにもお勧め。
今回はベジタリアンコースランチをいただいてみました。
動物性のものはつかわれていません。
料理も一つ一つが本当に丁寧につくられています。
野菜のおいしさを最大限に引き出すとともに、ミシュランを勝ち取った腕を感じる創意工夫のある料理はベジタリアンではない人でも十分に楽しめる内容でしょう。
品数もちょうどよく、食後もすっきりとした気分。
それでいて満足感も得られます。
このお店がそうであるように、モノづくり精神が根付いた日本であればレベルの高いベジタリアン料理も決して幻想ではないのではないかと感じるのです。
日本においては精進料理という特殊なジャンルを除いてベジタリアン料理領域のジャンルが確立されておらず、この領域の中でミシュランに名を連ねるようなハイレベルな戦いを繰り広げるグルメ市場というもの自体がそもそもほぼ存在していません。
しかし、ごく僅かながらも、そうしたベジタリアン向けのメニュー展開に挑戦する腕の良い一流のシェフ達が一部存在していることも事実です。
個人的には野菜料理を究め、健康についても知見のあるシェフを心から応援したいですし、今回紹介したようなベジタリアンコースを大々的に看板メニューとして勝負するハイエンドなレストランが、もう少し出てきてもいいのかなぁと思うのです。
カントニーズ 燕 ケン タカセ
東京都千代田区丸の内1-9-1 東京ステーションホテル B1F
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