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噂や過大広告に騙されず、正しい食材選びをするための基礎知識その5醤油|一人暮らしのマクロビ料理

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さて。シリーズの第5回目ですが、今回は醤油についてご紹介します!

醤油2

 

醤油の選び方

私たちの食卓にいちばん身近な調味料である醤油には、血圧を下げたり、糖尿病やガンを予防する効果があることはご存知でしょうか?きちんとした製法でつくられた醤油には幾種類もの優良な微生物・麹菌がいて、生理活性物質という、私たちの生命活動に欠かせない物質を作ってくれているのです。生理活性物質は例えばビタミンやミネラル、アミノ酸、酵素などがそうなのですが、ビタミンやミネラルのように体内で合成できないものは、微生物が作り出す生理活性物質を摂取する必要があります(アオカビの作り出す抗生物質ペニシリンは、その代表的な例です)。生理活性物質の主な働きには、次のようなものがあります。

・各器官の機能を正常にコントロールする

・エネルギーを作り出す

・体の細胞を作る

・免疫力を支える

・抗酸化作用により、体の老化を防ぐ

・酵素やホルモンの働きを助ける

 

また醤油には、健康や病気、美容、老化、寿命などと深く関わっている“酸化”に対抗する抗酸化作用が、赤ワインやビタミンCなどをはるかに上回る、赤ワインの約10倍、ビタミンCの150倍あることも発見されています。

 

製造方法による違い

そんな醤油には、これまでご紹介した塩・酢などと同様に、その製法によって種類が分けられます。主な製法は、「本醸造方式」「混合醸造方式」「混合方式」の3種類です。大豆と小麦から麹をつくり、そこに塩を加えて諸味(もろみ)にして、さらに熟成させて生醤油にし、火を入れて醤油にしていく工程が、もっともポピュラーで伝統的な製法である「本醸造方式」です。本醸造方式では、大体半年~1年以上かけてじっくりと熟成させています。「混合醸造方式」では、本醸造方式でできた「諸味」にアミノ酸液等を加え、アミノ酸液の独特のうま味を生かして醸造するもの。「混合方式」は本醸造方式でできた「生醤油」に、アミノ酸液等を加え製造期間を短くしてつくるもの、という違いがあります。

 

アミノ酸液を入れるということは、添加物が含まれているの?

混合醸造方式と混合方式は、「アミノ酸液を使っているから、添加物が入っている醤油でしょ?!」と言われることもありますが、一方で、アミノ酸液を絶妙のバランスで配合した醤油が「ものすごく美味しい!」と絶賛される方もいます。アミノ酸液は一言でいうと、うま味成分が凝縮された液体のことです。後ほど詳しく説明しますが、うま味成分がどれだけ多く入っているかによって、醤油は「特選」や「特級」などのランク分けがされるので、製造期間も短縮でき高いランクで販売できるということで、商業目的でアミノ酸液をつかっている製造元も中にはありますので注意も必要です。

ただ、混合タイプの醤油は甘みがあるケースが多く、九州・四国・中国地域、北陸や東北などの地域ではアミノ酸液を使った醤油が一般的で、地元にスーパーに行くとこのタイプの醤油が主役になっています。九州の醤油は甘くて濃い!というのは、全国的にも有名ですよね。

九州醤油九州醤油ポテチ

 

JAS法の定義によれば、アミノ酸液の使用量は窒素換算で80%以下とされています。逆をいえば、アミノ酸液 80+本醸造醤油 20でも醤油と定義されるので、同じ混合タイプの醤油でも中身は全然違うんですよね。アミノ酸液がはいっている醤油=ダメな醤油とは一概には言えないのですが、一番大切にしたいのは、生産者がどのような考えで醤油造りをしているか?アミノ酸液を使うなら何故使っているのか?というところだと思います。では、どうやってそれを見極めていけば良いのでしょうか?

 

酵素添加による速醸法

アミノ酸液のほかに、仕込工程初期に酵素剤を添加することで醸造期間を約1か月ほどまでに短縮できる技術があります。この場合は醤油業中央公正取引協議会の業界基準により、製品表示に「天然」「生」等の用語を利用することができないので、注意して見ておくといいでしょう。冒頭でお話した生理活性物質をつくる微生物や麹菌などは製造1か月後から発生しはじめ、ゆっくりと活動をしていくので、速醸法でつくられた醤油から体に良い生理活性物質を得られることは少ないです。

ちなみに、速醸法であってもアミノ酸液を加えなければ「本醸造醤油」を名乗ることができるので、「本醸造醤油」であるからといってそれが必ずしも栄養分の多いお醤油というわけではないのです。

 

原料による違い

醤油は大豆から作られるのですが、成分表示を見ると「丸大豆」と「脱脂加工大豆」の2種類に分かれていることが分かります。脱脂加工大豆は大豆から油を取り除いたもので、丸大豆はそのままの大豆です。丸大豆という品種等があるわけではなく脱脂加工大豆と区別する意味で「丸のままの大豆」という意味です。「脱脂加工大豆は大豆の搾りかすだ!」という意見を時々耳にしますが、油は醤油づくりの最後の工程で分離させて捨ててしまうので、そこまで問題ではないように思います。また、日本国内の大豆の消費目的は、実はその過半数が大豆油の生成のために使われています。大豆油は近年工業用途としても使われ、大気汚染物質を減らした環境対応商品として使用量も拡大してきており、脱脂加工大豆はその残ったタンパク質を有効活用しているので、原料も安くエコだとも言えるかもしれませんよね。また、国内で流通している醤油の約80%は脱脂加工大豆を原料として作られているものです。 ただ原料から一貫してこだわりたいという生産者は、良質なものを直接見ることができる、顔の見える生産者から入手できるなどの理由から、丸大豆を選択する傾向があると思います。油成分についても最終工程で廃棄されることは確かですが、長い熟成過程でグリセリンとなって醤油の中に溶け込んでいき、まろやかな風味と深いコクを生み出します。まだ解明すらされていない様々な成分の多様性を含んでいるのも丸大豆の特徴ともいえます。要は優劣ではなくて目的の違いだと思います。安価に短時間にうま味成分の高いものをつくりたいなら脱脂加工大豆が向いていて、じっくりと時間をかけて多様な成分が溶け込んだ醤油をつくりたいなら丸大豆の方が向いています。

丸大豆

等級による醤油の分類

目的に応じて、丸大豆か脱脂加工大豆かどちらを選んでも問題というわけではないのですが、生理活性物質をどれだけ多く含んでいるかを知る方法もあります。 醤油は「醤油品質表示基準」によって特級・上級・標準などに区別されています。これらの等級は「うま味」の指標といわれている、窒素分」 の含量や色度(色の濃淡)などで決まります。窒素量が用いられている理由は、醤油のうまみ成分であるグルタミン酸などのアミノ酸類は必ず窒素分を含んでいるため、窒素量が多ければうま味のある醤油である!という関係性があるからです。特級より窒素分が10%以上多いしょうゆ(こいくちでは窒素分1.65%以上のもの)には「特選」という表示ができます。

 
等級 全窒素分(%) <うま味成分>
特級 超特選 特級の1.2倍以上
特選 特級の1.1倍以上
特級 1.50以上
上級 1.35以上
標準 1.20以上
 

「醤油は本醸造醤油に限る!」という言葉も耳にしますが、本醸造醤油と表示されていても先ほどお伝えしたように、速醸法で作られている可能性もあります。その場合は、この等級がおのずと低くなりますので、区別がしやすいですね。 ただ、等級を高めるためにアミノ酸液を加えるという方法も選べます。その場合は製法に、「混合醸造方式」「混合方式」と書かれています。これも先ほどのように「混合醸造方式」「混合方式」だからと言ってすべてが悪いわけではないのですが、速醸法で作られているものについては「天然」や「生」などの表示ができない規定になっているので、そこを注目してみてください!

 

まとめ

醤油は日本人に馴染みの深いものだからこそ、製法も原料もさまざまあり、その違いだけで優劣をつけることは難しいです。ただ、微生物たちがつくる生理活性物質やアミノ酸など体に良いものを効率よく多く摂りたい場合は、下記のような商品の選び方をすると良いかと思います!

 

等級の高いものを選ぶ


製法を見る



(製法が混合醸造方式・混合方式だった場合

天然・生などの用語が使用されているかを確認する

 

丸大豆・脱脂加工大豆は、上記を満たしていれば、味の好みで選んでいただいて大丈夫です! 醤油は他の調味料と比べると選びづらいものですが、噂にまどわされて「本醸造」や「丸大豆」ばかりを選んでいては、せっかく良い商品をつくっている製造元を苦しめてしまう可能性もあります。そうすると、私たちが味わえる醤油の種類も減ってしまう・・・。そうならないためにも、味の好みや料理との相性など目的に応じて、色々な種類の醤油から正しく品質の良い商品を選べるようになっていただきたいです!

 

次回は醤油の番外編、減塩醤油についてご紹介します。


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山口菜摘美
ベジ初心者。 お酒が好きで、好物はチーズと生ハム。お肉もジャンクフードも好きです。そして働くことも大好きなので、どちらかというと忙しい生活を送りがち…コンビニ弁当に走ってしまうこともしばしば。食べることの楽しさは様々あっても良いと思っています。もちろん体にいいものが望ましいのですが。 生活のすべてを変えることは難しい…でも、無理なく楽しく普通の人の生活にもベジを取り入れたい!という思いで参加させて頂いています。等身大の感性・言葉で、質のいい情報をお伝えしていけるよう精進中です!
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