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本当の硝酸態窒素の危険性と問題点とは?【意外と知られていない窒素⑤】「農学博士」スエタローが教えるオーガニック農業講義vol.7〜

wstezyk huntsman 4199513  340

まえおき


今まで、堅い計算問題が続きましたので、一息入れる意味で別内容を報告します。
今回のテーマは、以前、説明しました『硝酸態窒素の危険性』です。

「え!。だって、アンモニア態窒素が植物には危険であって、
硝酸態窒素は無毒じゃないの? 
だから、硝酸態窒素を好んで吸収して、植物体内のさまざまな酵素によって、
必要に応じてアンモニア態窒素に変えて、
やがてタンパク質を合成していくんじゃなかったの?」

と思われることでしょう。もちろん、これは事実です。

しかし、いくら、植物体には無毒だからといって、土壌に過剰に集積していたり、
植物体が過剰に吸収していることは危険なのです。

もう一つが、窒素のコントロールが低農薬または減農薬につながっていくということでもありまして、
このことも『安全な食品』ということと大きく関係してきます。

以下、続けますね。
なお、窒素に関するお話は、本号でとりあえず終了します。

1.土壌断面調査による無機態窒素の動態

1).露地と施設での比較



 以前、リン酸(Vol1)のところで取り上げた京都のコンサル先の、
圃場のデーターを幾つか紹介しましょう。

ここでは、露地と施設における違いを説明します。
私たち消費者が求めている野菜類、
代表格はトマトやミニトマト、いちご、メロン等の果菜類、
ほうれん草、コマツナ等の葉菜類でしょうか? 

今、ここに挙げた野菜類は主に施設(温室)で栽培されるものですね。
他方、キャベツ、ナス、レタス(高原野菜)、タマネギ、根菜類としてのニンジン、
大根、レンコン、サトウダイコン等は露地で栽培される野菜ですね。

 野菜類も本当に品目が多く、私たちの食生活 にとって、
ミネラルや ビタミン群の摂取においても必要不可欠なものです。

ここで取り上げたい事項は、施設の中と露地では、
土の条件 (土壌の化学性)が大いに異なっているということです。

どのように異なってくるのか?
露地は年間 を通じて、四季に覆われ、雨の影響も大きく、
基本的には施用した 肥料 養分が溶脱 しやすい環境 であるということです。
ですから、土壌は酸性状態であるのが一般的 です。

※別途、基礎 土壌学を設けて、土壌の特性の解説を行います。
しばらくお待ちくださいませ。


それに 対して、施設の中の土は どうなっているのでしょうか? 
ご想像できますか? 
基本的には一年中高温です。へたすれば40°C近くにもなります。

そして、一定の灌水以外、雨にさらされることがありません。
ですから、灌水した水分が蒸発しやすいことの他、
地中の塩類( 肥料として与えた カルシウム、マグネシウムやカリウム)が、
水分とともに『毛管現象』で地表にあがってきます。
そして、地表に『塩類集積』を引き起こしてしまうのです。

実は、これが石灰資材等の過剰施肥の他、施設の中で生じている過剰塩類集積であり、
Vol1でも示しましたように、野菜類の品質(鉄分や亜鉛等のミネラル低栄養価)を
損ねている要因であると考えることもできます。

以前にも記しましたように、全部の栄養素を取り上げることは困難 ですので、
今回のテーマである窒素に焦点を絞って、
以下、いくつかの事例を紹介していきます。

2).アンモニア態窒素



今回の京都市西 京区におけるコンサル先の野菜栽培メーカーにおきましては、
施設も露地も土壌のアンモニア態窒素の含有量はゼロでした。
有機JAS認定の鶏糞堆肥、米ぬか・液肥を十分量施肥しています。

その証拠に、Vol1で示したように、
施設土壌においてリン酸の土壌表層における過剰集積が認められたわけですから。

覚えておられますか?後程、本号でもう一度、図2として示します。
それでは、アンモニア態窒素はどこへ行ったの?

2)-1.アンモニア態窒素のガス化現象


実は考えられる要因が2つあります。
 一つは、土壌中の微生 物の 作用 によって、施用された有機物が分解(無機化)して、
有機物内にあった有機態窒素が、アンモニア態窒素に変化して土壌中に出てきました。

ここまでは理解できるかと思います。
窒素はもともとガスですから、
このアンモニア態窒素は、過剰なカルシウムやマグネシウムの存在によって、
ガス化してしまうことが考えられます。

実際問題、乾燥地に分布する高pH(7以上で8や9もある)塩類アルカリ性土壌では、
このようにアンモニアを施肥しても、ガス化して損失することが知られております。

ここの土壌はpHが6.9-7.5ですけど、やはりpHは高い値です。
このような現象が考えられるかもしれません。
この根拠として、「以前よりも窒素の効きが悪い感じがしたので、倍施肥した」ということでした。
アルカリ条件下では、アンモニアはガス化して、空気中に逃げてしまいます。

それゆえ、窒素を施肥してもガス化してしまい、植物には吸収されていなかったという考えです。
しかし、これだけでは、説明しきれない部分がありまして、以下、続けます。

2)-2.速やかに硝酸態窒素へ変換


もう一つ、有力な考え方は、窒素の動態のところでも話をしましたように、
『硝酸化成作用』によるアンモニア態窒素が、亜硝酸態窒素を経て、硝酸態窒素へ変化したことです。
実は、土壌中における細菌(バクテリア)は大きく二つに分かれることを説明しないといけません。
それは、無機化に関 与する微生物は、有機物(有機炭素)を餌としているということです。

餌を食べて、アンモニア態窒素を放出してくれるということで、
このような微生物(細菌やカビ等の糸状菌等)を『従属栄養微生物』と称します。

もう一つが、日光が十分に当たった畑地土壌が対象になるのですが、
光エネルギーを得て活動している細菌もいるのです。
これを『独立栄養細菌』と称します。

つまり有機物を餌としておらず、
硝酸化成作用に関与する微生物は、この独立栄養細菌に属しているのです。

太陽 エネルギーを得て悪と戦う『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』のようなものですね。
ですから、無機化によって生成されたアンモニア態窒素は、光が十分あるところであれば、
速やかに硝酸態窒素に変わってしまうということなのです。それゆえ、時間が経過すれば、
土壌中にアンモニア態窒素が存在しなくなるということも考えられるのです。

それでは、実際の土壌の硝酸態窒素のデーターを眺めてみましょう。

3).硝酸態窒素



図1にコンサル先の施設土壌と露地土壌における硝酸態窒素の動態の比較結果を示します。
施設土壌と露地土壌では、表層における硝酸態窒素の集積の違いが大きいことが分かりますよね。

3)-1.施設土壌

施設では、日射量の強さも 含めて、
アンモニア態窒素が速やかに硝酸化成作用を受けて、硝酸態窒素に変化したといえます。
下層30cm以下では微量 であることも興味深いです。

これは、施設では雨がないため、下層に溶脱されにくく(灌水 のみに依存 )、
土壌表層に集積していくということでしょう。

まして、前にも書きましたように、
「窒素の効きが悪いから、今まで以上に施用した」と!
この場合、後程取り上げますが、
カルシウムやマグネシウムも過剰集積している土壌であるため、
アンモニア態窒素のガス化もあるかもしれませんが、
それよりも、速やかに硝酸化成作用 によって、
必要以上の硝酸態窒素が形成され集積していったことが有力かもしれません。

もう一つ重要なことを書きます。
「土壌中に多く存在する塩(えん)は何ですか?」『しお』ではありませんよ。
中学校の理科第1分野または高校理科、化学で習ったと思いますが、
酸性溶液 とアルカリ性溶液を反応させたら中性溶液 になりますね。
そのときに生成される沈殿物、つまり『えん』のことですよ。

塩化ナトリウムも塩(えん)ですよ。
塩酸と 水酸化ナトリウムを反応させたら、生成されますから。
小学校の理科でやりましたよね。
肝心な答えですが、日本の土壌の場合、『硝酸 カルシウム』なんです。

ですから、カルシウムやマグネシウムが多く集積している土壌であれば、
硝酸を捕まえて保持していることも考えられますよね。

3)-2.露地土壌



他方、露地はどうですか?
施設土壌に比べたら その違いが明白ですよね。
また、下層はゼロですね。

実際のところ、施設も露地も、
同じ量の有機JAS認定の窒素肥料(種に鶏糞堆肥や米ぬか等)を施用しているとのことでした。
それでも、施設と露地では大きな違いが認められていますね。

露地の場合は、降水量にさらされ、窒素が溶脱 されたことが大きいかもしれません。
なぜならば、下層において、若干ながらも硝酸態窒素が検出されたからです。
この他、この圃場もカルシウムやマグネシウムが集積している土壌ですので、
アンモニア態窒素のガス化若干ながら、それもありでしょう。

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2.土壌断面調査による有効態リン酸の動態

1).施設土壌



 先ほど、「鶏糞堆肥等、施設も、
露地も同量の有機JAS認定 の有機窒素肥料を施用した」と書きました。
その証拠を 次の図2で示しましょう。

Vol1で紹介したリン酸の動態図です。
施設はVol1の図1で紹介したものと同じで、
本号の図1はこの施設土壌の硝酸態窒素ということです。



さて、図2の右側の露地は、同じく本号図1で示した露地土壌のリン酸の動態結果です。
如何でしょうか? 

リン酸に関しては、窒素と異なって、両土壌とも表層に集積しており、
下層は表層と比較して極小であることが分かりますね。
表層においては、露地よりも施設の土壌での集積が高いことも分かります。
この違いを少し説明しておきます。

2).露地土壌

2)-1.有機酸



「露地では雨にさらされる」と書きました。
「だから、リン酸が溶脱 する」という単純 なものではないのです。
鶏糞堆肥は窒素が多く、C/N比も低いため、分解されやすいですよね。
鶏糞堆肥が分解されるときに、その途中 にいろんなタイプの『有機酸』が 生成されます。
典型的な例が『お酢』です。

正式には『酢酸』と称しますが、有機物でありながら、
塩酸や 硫酸のような酸であり、イオン化するということです。

もちろん、硫酸や 塩酸に比べたら、弱い酸性ですけどね。

2)-2.キレート化合物



このような有機酸は、無機のリン酸、カルシウムもマ グネシウムもですが、
合体して『キレート化合物』を作ります。
難しい言葉ですが、高校化学で『錯イオン』を習っていれば、分かるかと思います。

例えば、私たちにとって、必要なカルシウムも単独 のカルシウムイオンよりも、
乳酸や酢酸のような有機酸とキレート化合物を形成しているほうが、
吸収されやすいということと類似しています。

ここでは、詳細 に記しま せんが、有機酸とリン酸が合体したキレート化合物が、
イオンの状態ですから、雨によって地中に流されるということが考えられます。

そのこともあって、下層30cm付近でも11mg/100g検出されたのでしょう。

3).どうして、施設土壌の下層でもリン酸が多いの?施設では?

これは、施設建設前のときの過剰な有機窒素やリン酸の施肥の影響 でしょうね。

コンサル先も、「必要以上に施肥していない・・・ ????」と申していたことから、
その借地前の他の生産 者によるものでしょう。
(私も可能 な限り、近隣の生産者に 対する聞き取り調査をしました。)

※キレート化合物については別途、
基礎土壌学の中の有機物(腐植)のところで取り上げたいと思います。


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3.硝酸態窒素の過剰集積がどうして爆弾なの?


1).植物の窒素生理

1)-1.硝酸態窒素からグルタミン酸へ 

「硝酸態窒素の過剰集積がどうして爆弾なの?」ということについて、
その疑問を解き明かしていきましょう。
その前に、植物の窒素栄養について確認しておきます。

土壌 中で硝酸態窒素を吸収します。

植物体内の硝酸還元→酵素の作用亜硝酸態窒素

亜硝酸還元酵素の作用→アンモニア態窒素

初期アミノ酸としてグルタミン酸が生成


そこから、「いろんなタイプのアミノ酸に変化していく」と書きました。

1)-2.アミドの一種であるグルタミン


図3に途中の化学反応式を示します。
グルタミン酸はアミノ酸の一種ですが、ここに過剰のアンモニア(NH3)が吸収された場合、
このグルタミン酸(左)と反応します。
そして、水(H2O)が抜ける形となって(脱水反応)、
グルタミン酸の上部が赤で記したNH2に置き換わります。
この化合物のことを『グルタミン』(図3の右)と称します。
実は、このグルタミン酸がアミノ酸の一種であることに対して、
グルタミンは『アミド』と称し、その一つです。

これは、仮に過剰にアンモニア態窒素が吸収されてしまった場合、
初期生成アミノ酸であるグルタミン酸は、余分なアンモニアを受け止める力があると考えてください。
急激にアンモニアが代謝されたり、セルロースを破壊することのないよう、受け皿を持っているということですね。

つまり、グルタミン酸は、アンモニア態窒素に対して、
ちょっと待て!」。
お前の出番はもう少し後、ここで控えていろ!
ということです。
このように、植物も動物も微生物も、自分の体をコントロールする力を持っているわけですね。



2).過剰に集積した硝酸態窒素は大問題

2)-1.植物にも限界があります

それでは、「グルタミン酸という縁の下の力持ちがいるんだったら、
アンモニア態窒素を過剰に吸収しても大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、
これはとんでもないことですよ。
硝酸態窒素が過剰に植物に吸収されても、毒性はそうないでしょう。

しかし、物事には程度問題がありまして、グルタミン酸に代謝され、
仮にグルタミンとして余剰のアンモニア態窒素を受け皿として留めていても、
その受け皿を上回ったらどうなりますか?

限界がありますよね。
吸収された硝酸態窒素は、植物体内の硝酸化成作用ではないですが、
どんどん変化していって、過剰なアンモニア態窒素へと変化していきます。

2)-2.過剰な硝酸態窒素は爆弾です


硝酸態窒素というのは、植物にとってみれば必要な栄養素ですが、
その許容量を超えてしまえば、速やかに代謝されますから、
爆弾を抱えているといって過言ではないのです。

ですから、「無毒だから問題ではない」ではないんですね。
それに、植物には無毒でも、私たち人間や動物には毒ですからね。覚えていますか?
露地の場合ですが、溶脱によって河川や地下水に流されて、
これの濃度が10ppmを超えたら、飲料用は不可ですよ。
窒素のコントロールが如何に重要であり、農産物のみならず、
私たちの環境や健康に与える影響も大きいということですね。

3).アブラムシの発生が一つの指示薬

3)-1.アブラムシの発生が窒素過剰吸収の一つの指示薬

 土壌の分析結果だけでは、ピンと来ないかもしれません。
それでは、実際、このような硝酸態窒素の過剰集積土壌での野菜類はどうであったのか?
私は国内、中国におけるコンサル経験において、アブラムシの発生が顕著であったことです。

炭水化物のこと学習しましたね。
過剰吸収硝酸態窒素は、時間とともに過剰なアンモニア態窒素生成へと動きます。
そうなると、セルロースが破壊されて、オリゴ糖になっていきますね。
植物体自体に甘味が出ますね。アブラムシが寄り付きます。

さらに、アブラムシから甘い汁を求めて、アリも寄り付きますね。
このように、アブラムシが顕著になっていきますね。
その後、アブラムシの糞(黒くて葉にべちゃべちゃ斑点のように残ります)も顕著化してきます。
その光景を見ると、一つのショックを感じます。「ここもやられたかーーー!!!!」。
この後が大変なんですよ。

3)-2.アブラムシはウイルスを媒介する

アブラムシの怖いところは、アブラムシそのものの害よりも、
ウイルスを媒介する』ことですよね。
これが、施設野菜類に対して、さまざまなウイルス病を引き起こすことですよね。
ちなみに、ウイルスに対して、農薬の効果はないと思ってください。

ウイルスに汚染され、その被害が大きければ、他の野菜類に伝染しないよう、
廃棄処分にしないといけない羽目になります(燃やす等)。そのことを肝に銘じておいてください。

そこに安易かつ不適切な農薬を散布してしまうと、
これは安全性を欠いてしまいますよね。

ですから、薬剤散布の前に、土壌の肥培管理が重要ということになるのです。
もう一つは、その土壌条件に適する作物を選ぶ→適地適作の概念ですね。
基礎土壌学に入る前に、私のエクアドルにおける事例を緊急報告いたします(Vol9かな?)。

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4.私たち消費者にできること
→私がいつでもできる限りお手伝いします。


 窒素については、分割して多くのことを記してきましたが、
「前号も含めて、時間のある中で結構ですので、
消費者団体やグループ等通じて、勉強してください。」
ということです。

窒素のコントロールこそ、オーガニックの源でもあり、
「土の健康→高付加値農産物の生産と、
その持続性→私たちの健康および環境保全」につながっていくということです。

 そのことを生産者とも協力しながら、または交流を深めながら、
ポット試験という小さな形であれ、少しづつ実践し、一歩一歩前進するしかないでしょう。
私は、何処に居ようと、いつでもそのお手伝いやアドバイスをする所存でおります。

5.必殺手段:
施設土壌における過剰集積硝酸態窒素除去法


1).土壌の還元消毒実施直前および直後の土壌に注目
(田んぼの土壌の利点は別機会で!)


 図4にコンサル先において、
土壌還元消毒を実施する直前と直後の土壌における硝酸態窒素の動態比較を示します。
なお、図1および図2で示した施設土壌とは別の施設での結果です。

 ここでは、土壌還元消毒のことは記しませんが、
実は還元消毒(ふすま等の微生物の餌を加えてむしろで覆い、
発酵熱を発生させ、各種病原菌を死滅させること)のため、
大量の水を加えた圃場は、まだ間もなかったため、田んぼ(水田)に近い状態でした。

実は、田んぼの土壌というのは、畑よりも比較的利点が多いのです。
ですから、弥生時代から、日本の立地環境下では、水資源に恵まれていることも含めて、
2000年以上も連作が可能であり、一つの『稲作文化』として築いてきたことは事実ですね。
このことについては、別途基礎土壌学の中で設けます。
『有機米生産』にとっても、水田土壌の改良に関する重要な事項も記述させていただきます。

2).硝酸態窒素に注目

2)-1.土壌還元消毒は一時的な殺菌効果と考えた方がいい


 こちらの施設も同じミニトマト栽培施設の土壌ですが、
過剰な有機窒素肥料の施肥の影響も含めて、
アブラムシ等、各種病害虫の被害が顕著
であり、
その対策に苦しんでいました。そこで、土壌の還元消毒を実施することになったのですが、
あくまでも、一時的なものであることを理解しておいてください。
 なぜならば、過剰に蓄積したリン酸、カルシウム、マグネシウムやカリウムの問題は解決していないからです。
この話は別機会にし、ここでは硝酸態窒素に注目しましょう。

2)-2.硝酸態窒素の変化→田んぼの状態でどうなった?


 この図4からもお分かりですね。施設南側は実施直前は土壌は畑の状態。
つまり、酸素が十分に存在する『酸化状態』です。
それに対して、施設北側は圃場を水で満水にし、空気を追い出し、
田んぼに近い状態にしています。これを『還元状態』と称します。
ですから、土壌の「還元消毒」という言葉を使っているんです。



この還元状態にするとどうなるのか?

 実は酸化状態ですと、好気性微生物が働く環境であったのですが、
還元状態になりますと、嫌気性微生物が働く世界に変わります。

もう一つ、酸素があった方がいいのですが、
なくても活動できる微生物(主に細菌)もおります。
これを『通性嫌気性微生物または細菌』と称します。

 実は、ここで私が注目したのが、以前、窒素の循環で説明した『脱窒菌』です。
脱窒菌は、通性嫌気性細菌の一種でもありまして、酸素がある条件では好気性細菌として働きます。
しかし、酸素がなくなると、まずは硝酸態窒素に目を向けて、そこから酸素を奪おうとします。
化学式でも説明しましたね。2NO3→N2+3O2でしたね。

 硝酸態窒素は、脱窒菌による脱窒作用を受けて、窒素がガス化して空気中に逃げるのです。
還元消毒を実施する場合、しばらく、発酵熱を伴うふすま等(微生物の餌)を与えず、
また、むしろも覆わず、この状態を約2週間か3週間位続けて、
過剰な硝酸態窒素を除くことも一戦略です
(必殺手段に近いです)。

これは、私自身、脱窒菌が発酵熱に対して、耐性があるのか分からないためで、
安全のため、還元消毒を実施するのであれば、期間を通常よりも延長したほうがいいという考えです。

3)-3.過剰集積したリン酸やカルシウム等に関する戦略はいよいよ別号で!


 このようにして、過剰な硝酸態窒素を取り除くことが、第一段階かもしれません。
とりあえず、本号でもって、窒素に関する報告は終わりにします。
長々とすみませんでしたね。また、ここまで拝読してくださいまして、読者の方々には感謝申し上げます。
 いよいよ、リン酸やカルシウム等はどうするのか? 別号で続けていきます。頑張りましょう。

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