今年こそはツライ花粉症で苦しまないように…!薬剤師が教える東洋医学からみた食べ物などの予防対策方法と漢方の使い分け方。
こんにちは。薬剤師・薬膳師の山口りりこです。
大雪があったため花粉の飛散がおくれていたようですが、そろそろ花粉が・・・。
今年は大雪があったため花粉の飛散がおくれていたそうですが、1月23,24日の強い風により「飛散開始」が確認されました。
関東では昨年の1.5倍の飛散量予測だそうです。(日本気象協会)
ということは・・・ついに花粉症シーズンの到来!
東京でのスギ花粉のピークは3月上旬から中旬。
続いてヒノキ花粉・・と花粉症のある人にとってはつらい時期ですよね。
今回は花粉症などアレルギーの予防や体質改善についてお話したいと思います。
こんなに多い!鼻炎患者!
花粉症の正式名称は「季節性アレルギー性鼻炎」といいます。
10代のこどもでも3人に1人はアレルギー性鼻炎を患っていることがわかります。
自分の子どもの頃と比べても圧倒的に多いように思います。
アレルギー性鼻炎の3大症状は
鼻水・鼻づまり・くしゃみ
初期の風邪と見分けがつきにくいですが、透明な大量の鼻水と、発作的なくしゃみが特徴ですね。
また、それ以外の特徴的な症状は目・鼻のかゆみです。
顔がはれぼったいような感じもして不快な症状が続きます。
お化粧がのらないのも女性にとってはモチベーション低下の一つですよね。
ちょっと待って!点鼻薬依存になっていませんか?
「病院にいかなくても、点鼻薬でよくなるから大丈夫〜」という方も多いと思います。
しかし、その点鼻薬の効きが悪くなっていませんか?
ドラッグストアに売っている点鼻薬も乱用すると、鼻づまりを余計に悪化させてしまいます。
注意したい成分
「ナファゾリン」「テトラヒドロゾリン」「オキシメタゾリン」
これらは即効性があり、血管を収縮させることで鼻の通りをよくします。
しかし繰り返しつかうことにより、もとの状態よりも充血してしまい、余計に鼻づまりがひどくなることもあります。
長く続くような鼻炎には控えることをおすすめします。
数え切れないアレルギー疾患
鼻炎だけに限らず、アトピーや、食べ物からおこる食品アレルギー、ほこりやダニなどが原因となるハウスダストアレルギー・・
あげれば数え切れないほどあります。
アレルギーは免疫システムが働いておこります。
カラダの中にはいった花粉やハウスダストの異物を外に追い出そうとするシステムが過剰になった状態です。
免疫細胞の暴走とも言えます。
免疫細胞がアレルゲンを感知すると仲間の免疫細胞たちにも警告し、興奮しすぎた免疫細胞たちは敵ではないものまで攻撃してしまうのです。
その興奮状態がアレルギー症状です。
腸は第二の脳
免疫細胞の7割は腸にあり、免疫システムのほとんどを担っているのが腸です。
小腸・大腸にはそれぞれ役割があります。
小腸
長さが6mもあり、消化管の80%をしめています。主な役割は栄養の吸収をすることです。
小腸には多くの乳酸菌が住んでいて乳酸をつくりだします。
大腸
約1.5mほどあり、小腸で吸収されなかった食べ物の水分を体内に吸収して便をつくって排出します。便秘などで大腸内にカスが残った状態だと腐敗がすすみ、癌のもととなる物質などをつくりだします。
大腸に多くすんでいるのがビフィズス菌で乳酸と酢酸を作りだし、強い殺菌効果を与えてくれます。
どちらも善玉菌で、わたしたちのカラダにとっては必要な菌です。
この善玉菌たちが過ごしやすい環境にしてあげるのが大切ですね。
食物繊維の多い根菜類やきのこ、玄米などをとって腸内の免疫細胞の働きを正常にしましょう。
東洋医学で考えるアレルギーは?
アレルギー症状は、バリア機能である「衛気えき」が少ない状態にあることをいいます。この衛気は「肺」が管理していています。
東洋医学は
「カラダは一つの臓では働くのでなく、五臓のバランスで絶妙に働く」という身体全体をみる考え方をします。
そこで図をみてみましょう。
外側の→は親子の関係で親が子を助けます。
アレルギー担当の「肺」は「脾」を母にもち、肺の子は腎になるのです。
日本人はもともと胃が強い人種ではありません。
胃は脾の担当です。
つまり母である脾がよわいため、肺を養うことができないのです。
またもともと脾が弱くなくても、二次的に弱くなる場合が「ストレス」です
肝と脾の関係をみてください。
内側の星形をつくる矢印は抑制の関係をしています。
親子で助けるだけでなく、抑制にも働くことで、甘やかされた膨張状態を防ぐのです。
肝はストレスに敏感な臓です。ストレス過多だと抑制系のバランスがくずれ、脾に影響します。
結果、肺が弱ってしまいます。
つまり、どこかに負担がかかるとカラダのいたるところに影響がでてしまうのです。
逆に考えると、どこかの一つをよくすると自分で治す力が増すため、その他の症状も自然とよくなっていくのです。
漢方で考えるアレルギーの予防ポイント
アレルギーの予防のポイント
①肺を強化して免疫力を高めること
②脾を元気にたもつよう胃に負担をかけないこと
肺を強化するには
ほどよい発散と乾燥を防ぐことが大事
発散の素材は
生姜、シソ、ねぎ、胡椒などの薬味を少しいれることがおすすめ。
乾燥を防ぐ素材は
大根、山芋、ユリ根、豆乳などの白い食材がおすすめです。
脾をよくするには
消化吸収によい食事にすることが大事
米、芋、きのこなど甘みのある食材がおすすめです。
また寝不足は胃腸の働きを弱くするので、睡眠をしっかりとりましょう。
「辛い!」すでにある花粉症症状に。身近なところで手に入る、漢方薬と薬膳茶の紹介
もう花粉症症状がでてしまってどうしようもない!
という方のために、市販で手に入る漢方薬と簡単につくれる薬膳茶ご紹介します。透明な鼻水がとめどなくでてしまう
→冷えからきていると考えます。そのため身体を温めて水分バランスをよくする漢方を選びます。
小青竜湯しょうせいりゅうとう
酸味が特徴でこの酸っぱさが鼻水をとめる手助けをします。
〜おすすめ薬膳茶〜
はと麦茶+梅干し
ハトムギ茶はカラダの水分バランスを整え、梅の酸味で収斂させます。鼻づまり(+無色〜白っぽい少し粘り気のある鼻水)
葛根湯加川芎辛夷かっこんとうかせんきゅうしんい
葛根湯の発散系に血流をよくする川芎と鼻づまりに良い辛夷を合わせた処方です。冷えが根本にある人に向きます。
〜おすすめ薬膳茶〜
紅茶+生姜
鼻づまり(+どろっとした鼻水)
黄色や緑の鼻水は体内に熱がこもってしまっている状態と言えます。そのため、いらない熱をとり乾燥をとりのぞきます。
辛夷清肺湯しんいせいはいとう
〜おすすめ薬膳茶〜
緑茶+薄荷
(もし菊花があれば一緒にいれてください。より熱をとることができます。)今回は体質別、症状別でお伝えいたしました。
もちろん花粉症にならないことが大事ですが既になってしまってどうしようもない・・
という時に対処的な薬ではなく食事や薬膳、東洋医学の力を借りて少しでも辛い症状が根本的に改善することを願っています。
毎年つらい症状を抑えるだけでなく、
体質改善によって花粉症もおそれない身体を手に入れましょうね。
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