12月施行予定の改正農薬取締法。安全性を高める目的で改正するってホント?実状を検証してみました。
昭和23年7月に施行された農薬取締法。
日本では、この農薬取締法という制度に基づいて登録された農薬のみが、使用を許可されています。
私が勤めていた以前の職場でも、日常的に登録済みの農薬が使われていましたが、他の同僚や先輩は、
農薬は適切な使い方をすれば、充分安全だと信じていました。
私が危険性を口にすると「遺伝子組み換えじゃないなんだから」と言われることもありました。
同僚たちは、私のようにアトピーなど特殊な体質の人にだけ、農薬の影響がでると考えていたようです。
でも、実際は3人に1人がガンである実状を鑑みれば、決して農薬による健康への影響は、他人事ではありません。
もう既に皆さん、ご存知かと思いますが、8月にはアメリカで、
発がん性物質グリホサポートを含む除草剤「ラウンドアップ」によりガンを発症したとの訴えが起こされ、勝訴しています。
このグリホサポートは、種子消毒などに使われるチラウムなどに含まれている、とても身近な物質です。
農薬取締法に登録された農薬は、250億~300億円近い研究費をかけて開発されています。
開発された農薬は、農薬取締法に基づいて登録されます。
12月に施行される改正農薬取締法。安全性を求める消費者の声は届いている?
これまでも何度か改正が行われている農薬取締法は、今年の12月にまた改正される予定です。
今回の改正では、以下の点が変わります。
これに加え、動植物や農家の健康に対する影響評価などが、盛り込まれた内容です。
今回の農薬取締法の改正では、以下が理由として挙げられています。
①農薬の安全性向上
②生産物のコスト引き下げ
③農産物の輸出促進
動植物や使用者の健康に配慮している反面、優先審査条項や再評価制度など、
事実上農薬の規制緩和に近い法改正が行われる農薬取締法。法改正後は、農薬の安全性が強化されることになるのでしょうか。
改正後、農薬の安全性は高まるの?
皆さんがきになるところとしては、改正して農薬の安全性が高まるかどうかということではないでしょうか?
今回の法改正に盛り込まれた農薬の再評価制度は、農薬取締法改正後の2021年から開始される予定です。
再評価制度では、日本で使用量が多いネオニコチノイド系農薬を優先的に再評価するとしています。
発達障害などの恐れが指摘されているネオニコチノイド系農薬に対し、優先的に再評価することは一見、安全性が高まるようにも思えます。
しかし、再評価を行う際に、発達障害や内分泌かく乱物質に関する検査については、試験を行うかどうか明確ではありません。
また規制対象農薬の特定する方法も分かりません。
参照:平成30年7月17日 川田隆平議員 改正農薬取締法の運用に関する質問主意書・答弁書
新な病害虫対策として審査を早める「優先審査」条項。
優先審査条項の対象となる農薬の安全基準は、12月の施行までに決められる予定になっています。
先月14日には、東京都内で農業資材審議会農薬分科会が開催され、優先審査条項の方針が示されました。
この席で、農水省農薬対策室は、農薬メーカーにからの「登録を早めて欲しい」という声に対応していく方針を示しています。
優先審査の対象となるには、農薬の必要性や安全性の根拠となる書類の提出が必要ですが、
安全基準も現場の声に応えたものになる可能性があります。
それにより、今後更に、健康に影響を及ぼす農薬の使用が拡大していく可能性があります。
ジェネリック農薬の登録手続きが簡素化されると、どうなる?
特許が切れた有効成分を元に製造するジェネリック農薬は、先発の農薬に比べ、15%程度安く購入できます。
現在ジェネリック農薬は、登録費用が高額な為、全体の5%程度しか普及していません。
このジェネリック農薬は、最近、登録費用が大幅に下げられている実状があります。
更に今回の法改正で、登録手続きが簡素化されれば、今後はさらにジェネリック農薬の使用が拡大する可能性があります。
またJA全農は、2016年12月にジェネリック農薬の農薬協議会を設立しています。
ジェネリック農薬は、グリホサポートを有効成分とする除草剤が含まれます。
参照:現代農業2018年6月号 特集「今さら聞けない農薬の話」
これらのことを鑑みれば、農薬取締法改正により今後更に農薬使用が拡大する可能性があります。
農薬使用の拡大により拮抗性を持つ害虫が増えていくことや、グリホサポートの使用によるガンの増加が予想されます。
一見、農薬による安全性を強化したのように思える法改正ですが、実際は農薬のコストダウンや使用拡大に繋がる内容なのです。
EUなどの農薬を厳しく規制する方針とは逆行する今回の法改正。
アレルギーやガンなど様々な病気が増加する日本で、農薬の使用拡大を図ることは、国の存亡にも大きく影響することになります。
これ以上農薬の使用を拡大しない為に、私たちができることはなんでしょうか。
パブコメに意見しよう!
現在、環境省では、農薬取締法に関して以下のパブリックコメントを募集しています。パブリックコメント締切 2018年10月24日
今回の法改正を前提としたパブコメではありませんが、農薬登録制度の保留基準値など農薬取締法に定められた項目に関するパブコメです。
法改正による農薬の使用拡大を防ぐ為に、是非意見しましょう。
無農薬の野菜を買う
私たちが無農薬の野菜を購入することは、農薬使用拡大への懸念を意思表示することでもあります。
農薬メーカーや国に対して、パブコメなどへ意見の投書だけでなく、普段の買物でも意思を示していきましょう。
例えば直売所で、農家さんに会ったら、それとなく、無農薬野菜を扱っているか尋ねることも、私たちのニーズを伝えることになります。
病害虫を農薬を使わず防ぐには
家庭菜園で、もう既に無農薬の野菜作りを楽しまれている方もいると思います。
今後も農薬に頼らずに野菜作りを行う為のコツをお伝えします。
ハーブで害虫防除
ハーブは、畑の畦間に混植することで、バーカープランツの役割を果たします。
以下が害虫防除に効果があるハーブです。
米ぬかで害虫防除
お米の精米後に出た米ぬかは、畑の通路に撒くことで、病害虫を防除することができます。米ぬかには、カビが発生し、害虫のスリップスを捕食する天敵を呼び寄せるなどの効果があります。
また米ぬかを撒くことで発生したカビは、灰色カビ病などを防ぐ効果もあります。
様々な菌を発生させる環境を作ることで、病原菌の繁殖を防ぐ米ぬかは、そのままで肥料にもなる万能資材です。
是非、活用してください。
● 無農薬の米ぬかを使ってみよう
農薬安全神話を崩すには
農家は勿論、消費者でも、有機無農薬や自然農の野菜を求める人達は、まだまだ少数派。
日本では、化学肥料や農薬を使った多農薬を避けて野菜を購入することが異端視されやすい実状があります。
また農薬の影響は、個人の特異体質によるもののように言われることもあるでしょう。
私も自分の体質が、農薬に対して花瓶であるかのように言われてきました。
そうした実状を変えていくことが、私たちや周りの健康を守ることに繋がります。
EUでは農薬の規制が進んでいることや、諸外国に比べて、日本は既に農薬使用の割合が高いという事実を、周りの方にも伝えていきましょう。
1人でも多くの人が、農薬による健康への影響に関心を持ち、
危機感を共有することで、より安全な農作物の割合を高くしていくことができるはずです。
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本来の野菜の美味しさが味わえる。固定種のみで作る、完全無農薬・無肥料・固定種のお野菜を、一人暮らし&ファミリーセットで販売今すぐここをクリック!この野菜を作っている生産者さんは、日本の国内農業や食の在り方について問題意識を持つようになったのがきっかけで、
現在は自然農法家として、八ヶ岳の豊かな自然に囲まれながら固定種に絞った野菜を生産しています。
*有機肥料は、現状では遺伝子組換え飼料や抗生物質・ホルモン剤漬けで育った家畜の糞尿や、
遺伝子組換え作物(油粕)、農薬を資材を原料としている場合が多いのです。
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・慣行農法や有機農法で使われている農薬
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肥料で野菜を大きくするのではなく、畑の自然や野菜自体の生命力を最大限に生かして栽培しています。
有機(オーガニック)野菜は有機農法で作られていますが、自然農法と有機農法の最も大きな違いは、有機肥料を使うかどうかです。
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