じわじわと老化や生活習慣病を早める「糖化」のメカニズム|いつまでも健康で若くいるために身につけたい食習慣を予防医学専門家が解説します。
勢いだけで駆け抜けた20代。
あれこれ気になりながらも、少し気をつければ何とかなった30代。
ところがアラフォーになった頃から、
外見だけでなく、身体の中からの衰え、老化が気になり始め、
アラフィフにもなるとその深刻さが増してきますよね。
IN YOU読者のあなたなら、
さまざまな情報を集め実践していることも多いでしょう。
でもそれが「なぜなのか」を知らなければ、
下手をすると片手落ちの健康法になってしまう可能性も!
そこで今回は、
食事によって老化を促進する「糖化」について、
詳しくご紹介したいと思います。
老化・生活習慣病の元凶「糖化」のメカニズムとは?
これまで一般的に、糖化とは、
「余分なブドウ糖がタンパク質とくっついて、
体温という熱によって焦げたような状態になること」
とされ、
その結果産生された物をAGEs(終末糖化産物)と呼ばれていました。
しかし実は、
このAGEsが作られる一連の反応は、
前期反応と後期反応の2つに分けられるのです。
(参考)からだサポート研究所
糖化の前期反応
食事などで摂られた炭水化物や果物から分解されたブドウ糖や果糖が、
酵素の力を借りることなくアマドリ化合物(糖化タンパク質)に変化します。
また脂質やアルコールの摂取によりアマドリ化合物の産生が増加します。
この時点で「えっ? 果糖も?」と思われたかも知れませんが、
果糖も過剰摂取は糖化の要因となりますし、
空腹時に果糖を大量に摂取すると、
その60%はブドウ糖に変換されてしまうので、
そこも知っておきたいポイントですね。
糖化の後期反応
前期反応で産生されたアマドリ化合物はその後、
酸化、脱水などの反応を経てAGEsへと変化するのです。
そうです。
糖化の中間物質アマドリ化合物は、
「酸化ストレス」がなければAGEsにはならないのです。
こうしたメカニズムを知ると、
抗糖化だけでなく、
抗酸化も同時に対策する必要性があることはお分かり頂けると思います。
糖化を引き起こすグルコース(血糖値)スパイク
糖化を予防するためには食物繊維の多い野菜から食べる!
もうほとんどの人が知っていることですが、
筆者はどれくらいの人がそれを実践しているのかについては疑問を持っています。
実際に講演などで登壇後、
懇親会があるとつい30分程前に糖化の話をしたばかりなのに、
炭水化物を最初に口にする人が少なくないのです。
「時間が無いから」を理由に、
朝はパンとコーヒーだけという人も結構いますよね。
高血糖状態の時、身体の中で起きていること
血糖値が上昇するということは、
血液中のブドウ糖が増えるということ。
ブドウ糖が脳に届けられると報酬系が刺激され、
ホッとしたり気持ちが落ち着いたりしますが、
ブドウ糖が過剰に血液中にあると、
血管の内壁を傷つけてその内皮細胞に入り込みます。
すると活性酸素が発生して血管を傷つけてしまうのです。
そして細胞中では糖化反応が起こり、
血管が糖化して固くもろくなっていきます。
こうしたリスクがあるので、
人の身体は血糖値を下げようと大量のインスリンを分泌します。
低血糖状態の時に身体の中で起きていること
急上昇した血糖値は、
大量に分泌されたインスリンによって急降下します。
しかし血液中のブドウ糖が少なすぎると、
今度は身体の機能が正常に働かなくなるために、
グルカゴンやノルアドレナリンなど、
血糖値を上げるホルモンが分泌されます。
この働きを指令するのは交感神経。
そしてノルアドレナリンなどは、
「やる気ホルモン」「攻撃ホルモン」という2つの別名を持つホルモンで、
イライラの原因にもなってしまいます。
糖質だけじゃない!老化を早めるAGEsまみれの日本の食品
体内に蓄積されるAGEsのうち、
体内で産生されるのは約30%程度だと言われています。
それよりも食事などで摂られるAGEsの方が多いのが現実です。
隠れた糖質そしてAGEs
パンやパンケーキなどは言うまでもなく糖質満載の上、
こんがり焼けた部分は糖化物質。
しかし食品に含まれる糖質や糖化物質はそれだけではありません。
市販のドレッシングには砂糖や果糖ブドウ糖液糖、
「簡単!便利!」を謳う加工調味料は、
砂糖よりも安価な果糖ブドウ糖液糖がたっぷりな上に添加物満載。
これでは体内で糖化だけでなく炎症が起こり、
活性酸素も大量発生してしまいますよね。
ここまではよく知られていることですが、
実は味噌や醤油も吟味して選ばないと、
添加物だけでなく、果糖ブドウ糖液糖で甘味が付けられていたり、
糖化物質であるカラメル色素で着色されている場合も少なくありません。
先日ふと気になって、
普段は見ない安売りの醤油の原材料を見てみると、
最初に記載されていたのが「アミノ酸液」「食塩」、
そして、
「脱脂加工大豆」「小麦」「ブドウ糖果糖液糖」
「アミノ酸」「カラメル色素」「甘味料」「保存量」
…これは発酵食品としての醤油とはほど遠いものですね。
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しかし良質な味噌や醤油もその茶褐色のもととなっているのも糖化物質。
これは発酵の段階で発生する自然なものなので、
過度に気にする必要はありません。
また明治大学農学部教授で食品化学を研究している早瀬文孝教授によると、
糖化反応は活性酸素を生成するだけでなく、
糖化反応生成物によって活性酸素を消去する一面もあると、
その二面性が明らかになってきたというのです。
(参考)メイラード反応による活性酸素の生成と消去
しかしやはりAGEsの摂取も、
オーガニックなものからのみにしておいた方がいいと筆者は考えます。
糖化による老化と生活習慣病を防ぐために
AGEsの蓄積は、
肌の茶ぐすみやシミ、タルミ、白髪など、
見た目の老化を促進するので、
女性にとっては非常に気になるところ。
しかしAGEsの過剰蓄積が怖いのは、
糖尿病、動脈硬化、心血管疾患、非アルコール性脂肪肝、
がん、不妊症からアルツハイマー病に至るまで、
生活習慣病の発症に強く関与しているというのが現時点の定説。
(参考)活習慣病の発症・進展におけるToxic AGEs (TAGE) の関与-新たな予防戦略-~食事性AGEsおよび糖毒性の真実~
可能な限りAGEsの蓄積は避けたいものです。
糖化を予防する食品5つ
インドの国立栄養研究所の報告による抗糖化食品を5つご紹介します。
ここでいう抗糖化作用は糖化反応の前期反応を阻止する食品です。
1:しょうが 抗糖化率 93%
2:シナモン 抗糖化率 88%
3:クミン 抗糖化率 86%
4:緑茶 抗糖化率 86%
5:黒胡椒 抗糖化率 50%
この5つの食品のうち、
しょうが、緑茶は日本人にも馴染み深いもの。
積極的に取り入れたいのですが、
緑茶については農薬が大量使用されているものも多いので、
そこはオーガニックにこだわって頂きたいと思います。
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体内に蓄積してしまったAGEsを排泄する食品
慶應義塾大學医学部の井上浩義教授によると、
アーモンドには食品中のAGEsの吸収を抑える効果や、
体内でAGEsの産生を抑える効果、
そして同氏の研究によると、
1日20gのアーモンドを6ヶ月間食べ続けたら、
体内のAGEsが20%も減少したという結果も出ています。
しかしこれもアーモンドであれば何でもいいかというと、
抗糖化を目的に、
酸化した油のついたアーモンドを食べていれば
酸化によるリスクが上昇するし、
防かび剤が使用されたアーモンドなどは論外です。
ただしアーモンドは湿度の高い時期、
非常にカビが生えやすいのでオーガニックのものを選び、
湿度管理をした上でよくよく噛んで食べることをオススメします。
唾液にはアーモンドに付着した
見えないカビの毒性を弱める働きがあることも分かっているからです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
血糖値の上昇を緩やかにするためには、
野菜などに多く含まれる不溶性食物繊維よりも、
海藻などに多く含まれる水溶性食物繊維の方が
より高い効果をえられるので、
今よりも海藻などを意識して摂って下さいね。
今回は「糖化と酸化は手を組んで老化を促進する。」を深掘りしてみました。
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