更年期障害も糖化が原因か?|理学療法士が伝える更年期障害を引き起こす要因とその対策法。
ホットフラッシュやのぼせ、頭痛、倦怠感、不眠、イライラ・・・
精神的な問題も含めて多彩な症状を引き起こす、いわゆる更年期障害。
女性は50代を迎えるあたりから、これまでにはなかったような症状に悩ませられることがあります。
50代女性の実に7割以上が、更年期障害の症状を経験しており、
多くの女性を悩ませる婦人科系疾患の一つといえます。
しかし、日本の更年期障害に対する治療は世界から遅れをとっている状態であり、
実際に症状のある人の半数以上は特に何も対処せずに過ごしているといわれています。
更年期障害は、主に女性ホルモンの減少によって生じますが、
それは加齢に伴う生理的な変化であるため、ホルモンの減少そのものを食い止めることはできません。
ですが、自分に合った対策をとることで、症状を緩和させることはできます。
いつ終わるのかもわからない辛い症状に対し、
ただ時間の経過だけを待つのか、それともその病態を知った上で適切な対処をするのか。
どちらがその後の生活の質を上げるのか、答えは明白です。
少しでも症状を楽にするために、できることから始めてみましょう。
自分の更年期度をチェックしてみよう
「もしかして、更年期?」と一度でも思ったことがある方は、
以下のチェック項目で更年期度を確認してみましょう。
□汗をかきやすい
□顔がほてる
□疲れやすい
□息切れや動悸がする
□冷えやむくみがある
□肩こり、腰痛がひどい
□眠れない
□イライラする
□抑うつ傾向にある
これらの項目に当てはまる数が多いほど、あなたの更年期度は高くなります。
特に、40代半ば以降から現れ始めた症状が多い場合は、
更年期障害である可能性が高いため、
早い段階で何かしらの対処をする必要があります。
更年期障害はなぜ起こるのか
事の始まりは卵巣の老化
そもそも、「更年期」とは具体的に何歳ぐらいのことを指すのでしょうか。
一般的には、閉経前後の10年間を更年期といいますが、平均閉経年齢が50歳前後であるため、
だいたい45~55歳の間と考えて頂ければ良いでしょう。
この期間に生じる心身の症状を「更年期障害」と呼んでいるわけです。
では、更年期障害はなぜ起こるのでしょうか。
他の病気と同じように様々な要因があるのですが、主な原因は女性ホルモンの分泌量の低下です。
卵巣から分泌される女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類がありますが、
閉経期にさしかかると卵巣の機能が衰えることによってどちらも急激に低下し、
閉経後はほぼ分泌されなくなります。
すると、それを察知した脳は女性ホルモンををもっと出すように卵巣に指令を出します。
ところが、老化してしまった卵巣はいくら頑張っても女性ホルモンを分泌することはできません。
脳はこの状況を理解することができず混乱状態に陥り、結果として様々な自律神経症状が引き起こされるのです。
つまり、加齢による卵巣機能の低下が更年期障害を招く最初の要因になるということです。
糖質が老化を促進する
ただ、すべての女性が更年期障害になるわけではありません。
50代に入っても全くそのような症状を感じることなく過ごす人もたくさんいます。
しかし、このような人たちの身体においても、卵巣は老化し女性ホルモンの分泌量は低下しているのです。
ということは、更年期障害にはその他にも様々な要因が関与しており、
それらの条件が揃った場合に、目に見える症状として出現すると考える事ができるのです。
その要因の一つが、糖質です。
糖とたんぱく質が結合した最終糖化産物(AGE:Advanced Glycation Endproducts)が、
老化を促進させる原因物質であるということが、近年の研究によって明らかになってきました。
多少の糖質の摂取であればエネルギーに変換されますが、
過剰に摂取するとその余剰分がたんぱく質と結合して老化を早め、
様々な病気を引き起こしてしまうのです。
卵巣の老化が原因である更年期障害も例外ではありません。
糖質の過剰摂取は、女性ホルモンの急激な低下に加担することになり、
更年期症状を誘発する一つの材料になってしまうのです。
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鍵を握るエクオールとは
もう一つ、更年期障害に関わる重要な要因が、エクオールという物質の存在です。エクオールとは、エストロゲン受容体に結合することにより、
エストロゲンと類似した作用を示す成分です。
閉経後にエストロゲンが枯渇すると、エクオールが受容体に結合して、
エストロゲンの様な作用をすると考えられています。
つまり、更年期に入りエストロゲンの分泌が低下したとしても、
エクオールが微力ながらもその代役を担ってくれるということです。
ただし、すべての女性の身体にエクオールが存在するわけではありません。
エクオールを産生できる腸内細菌を持つのは、2人に1人といわれています。
実際に、更年期障害のある女性を対象に尿中のエクオールの量を検査したところ、
更年期障害の重い人はエクオールの量が少ないという結果になりました。
この実験から、体内にエクオールが存在するか否かということも、
更年期障害の出現に関与すると考えられています。
ちなみに、エクオールが作れる体質かどうかは、尿を調べる検査キットで簡単に知ることができます。
参考:更年期ラボ
更年期障害の対策法
このように、様々な因子が複雑に絡み合って起こる更年期障害。残念なことに、どう頑張っても加齢とともに卵巣は老化していきます。
しかし、その老化のスピードを抑えることはできます。
更年期障害の多くは、急激に女性ホルモンが低下することが一つの原因であるため、
その速度を遅らせることが予防や対策となるのです。
そのためにも、まずは食事や運動など、日々のライフスタイルを見直し、
身近にできることから始めていきましょう。
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食事改善で更年期障害を食い止める
先ほども述べたように、糖質を過剰に摂取すると臓器の老化が進み、更年期障害を招きます。
甘いお菓子やジュースはもちろん、ご飯やパン、麺類にも糖質はたっぷりと含まれています。
まずは間食を止め、食事の際も炭水化物を減らす努力をしてみましょう。
普段はご飯を茶碗一杯分食べているなら、まずは半分にしてみる。
慣れてきたら、三食のうち一食は炭水化物を抜いてみる。
というように、段階を踏んで実践していくと良いでしょう。
また、良質なたんぱく質や脂質はホルモンの材料となるので、積極的に摂るようにしてください。
発酵したオーガニックビーンズ、良質な卵、グラスフェッドギーなど、
オーガニックの食材を意識して食べると、満足感が得られるはずです。
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ツボ押しも、自律神経を整え、心身のバランスを調整する効果があります。
ここでは、特に女性ホルモンに関係の深いツボをご紹介します。
三陰交(さんいんこう)
女性ホルモンといえば、このツボです。場所は、内くるぶしの一番出っ張っている部分から、4横指分上。
更年期障害の幅広い症状に対して有効とされています。
足三里(あしさんり)
もう一つが、足三里というツボです。膝のお皿から4横指分下、かつ脛の骨から親指1本分外側の部分です。
どちらも、左右の親指を重ねて押圧します。
5秒間×10回を目安に行ってください。
一番はストレスを溜めこまないこと
更年期障害は、精神的なストレスや疲労など、心因的な要因も大きく関与します。
現代はストレス社会ともいわれ、ストレスを感じないことの方が難しいのかもしれません。
大切なのは、ストレスを受けないことではなく、
多少のストレスを感じたとしても自分なりの解消法で発散できることです。
心の中に溜ったものは、何かしらの行動で「吐き出す」必要があります。
・運動をして汗を流す
・誰かに話して聞いてもらう
・歌う
・感情をノートに書きだす
これらの行為はすべて「出す」ことにつながっています。
ストレスの解消法に正解はありません。
自分に合ったものが一番です。
ストレスを溜めこまないよう、日々の生活の中でこのような時間を意識的につくるようにしてみると良いでしょう。
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