オーガニック生活を送っていると発生しがちな害虫、どうしてる?コバエ、アブラムシetc ダブル対策テクで虫さんを寄せ付けない害虫対策方法
オーガニックの菜園を家庭でやっていると、
せっかく収穫できたきゅうりに正体不明の虫が掘った穴が貫通している、
イチゴが虫の住処になっているということが起きます。
「そんなにうちの野菜は美味しいかい?」
そう虫に聞いてみたくなるぐらいに、わらわらと畑から出てきます。
家庭菜園をやりたい人は、
きちんと害虫対策をしないと、虫が苦手な家族と大喧嘩になりますよ。
菜園をやっていなくとも、ガーデニングを楽しんだり、
化学物質を使わない生活をしていると、虫に困ることがあるでしょう。
虫をどう防ぐか、虫が付いた野菜はどうやって食べればいいか等、
オーガニック生活の悩み事をご一緒に考えていきましょう。
現実に家庭菜園で遭遇するオーガニックの天敵たち
害虫は人に危害を加えるものと、作物に危害を加えるものがいる
まず把握しておきたいことは、
害虫には人間に危害を加えるものと、作物に危害を加えるものがいるということです。
人間に危害を加えるもの
スズメバチ アシナガバチ アリ類 ムカデ セアカゴケグモ チャドクガ等
作物に危害を加えるもの
蝶やガの幼虫、アブラムシ、ヨトウムシ、ハモグリバエ、ダンゴムシ等
両方に危害を加えるものもいます。
駆除の考え方として、人に危害が加わりそうなものは、
無理せず行政や専門家に依頼し、毒がないものは自分で駆除していくという基本があります。
害虫ごとに駆除の方法が異なるので、ピンポイントで対処していきましょう。
オーガニックの自家菜園で発生しやすい害虫の種類
コガネムシ
(幼虫)根をかじる害虫の代表例です。
腐葉土など軟らかい土が大好きで、大量に発生します。
カブトムシの幼虫とコガネムシの幼虫を間違える人は多いです。
「カブトムシだ」と喜んで育てたお子さんががっかりしないように違いを覚えておきましょう。
カブトムシの幼虫の頭の色は、
焦げ茶色で、コガネムシの幼虫の頭は茶色っぽいオレンジです。
ヨトウムシ
蛾の仲間の幼虫で、葉っぱをぼろぼろにします。
大阪市が平成13年にマニュアルを作ったぐらい、被害が大きな害虫です。
野菜の他に、大事に育てているバラなどを枯らされて悩む人も多いですよ。
ウリキンウワバ
キュウリや白菜を枯らすほどの食害を起こす虫です。幼虫は大きくなると、鳥に見つからないように傘のようなものを作る習性があります。
12時間明,12時間暗の光周期,恒温条件下で,
ウリキンウワバの諸行動にみられる日周期性の有無位相と強度を調べた。
その結果,孵化と幼虫の摂食行動には周期性が認められず,
4令から最終令への脱皮には弱い,
蛹化と羽化には比較的強い日周期性が観察された。
蛹化と羽化の位相は逆の関係にあり,
蛹化が暗期の終り付近に,羽化は明期の終りにそのピークを示した。
成虫は顕著な3山型の夜間活動性を示した。
雌雄共通の飛翔ピークが1日に2回,消灯後と点灯時にみられた。
残るピークは消灯約7時間後に始まり,
雌では3時聞にわたって継続的に性フェロモンを放出,
雄ではこれに同調して,
しかし雌の性フェロモンの存在とは無関係に,
1~1.5時間の激しい飛翔ピークを示した。
これらのリズムの生成は遺伝的に組み込まれたものである可能性が強い。
引用「ウリキンウワバの各発育ステージにおける諸行動の日周期性 – J-Stage」
ウリキンウワバのように成虫が夜行性の場合、
ライトを当てると集まってくることがあります。
それを狙って捕獲する方法もありますよ。
ダンゴムシ
おなじみダンゴムシ、マルムシと呼ばれますが、正式名称はオカダンゴムシ。
見ての通り、昆虫ではなく、実はカニやエビに近い生き物です。
自然界では落ち葉やごみなどを分解する分解者として大活躍しますが、
ついでに植物の芽を食べてしまう困りものです。
アブラムシ
またの名はアリマキ。
植物の茎から養分を吸い取って、病気をばらまくガーデナーの天敵です。
天敵はナナホシテントウなど肉食性のテントウムシです。
ニジュウヤホシテントウ
「テントウムシはアブラムシを食べてくれる」と思い込んでいるガーデナーをぬか喜びさせる害虫です。
オオニジュウヤホシテントウと並んで、作物を食害します。
やたらと星が多いのが特徴ですが、小さいのでわからないことが多いですね。
ナメクジ・カタツムリ
植物の芽を食べてしまう厄介者です。
一見かわいく見えるカタツムリも、実は寄生虫の媒介者です。
間違って、もしくは悪ふざけで、
もしくは健康法としてナメクジやカタツムリを食べた人が死ぬ事例は多いです。
そういう意味では非常に怖い害虫ですね。
ハダニ
非常に小さいのに、植物を枯らしてしまう害虫です。
名前が示すとおり、葉の裏側にとりついてエキスを吸い、弱らせてしまいます。
小さいのでアブラムシと同様駆除が厄介な害虫です。
ハモグリバエ
幼虫が葉の中にもぐって白い線をつくるので、エカキムシと呼ぶこともあります。
成虫はしっかりハエの姿をしています。
よく農家で見かけるコバエの中には、このハモグリバエの仲間の成虫が混じっています。
アオバハゴロモ
ハト虫と呼ぶ人が多いのですが、これが正式名称です。
薄い青の綺麗な柔らかい体をした虫です。
ミカンや茶、桑の害虫とみなす人がいます。
狭い我が家の庭でも、これだけの種類がいます。
他にゴキブリやカ、アリなどが害虫として挙げられます。
農薬で逆に害虫だらけになる?
日本の有機農法の作付け面積は約23,000haと農林水産省は発表しています。
・遺伝子操作をしない
・合成の肥料や農薬を使用しない
・環境への影響を最低限度に抑える
これが有機農法です。
日本の有機農作生産量はまだ少ないです。
畑になじみがない人は有機野菜は虫がいるといって嫌がったり、
虫を見たら悲鳴をあげたりしますが、生産者も虫には困っています。
ハダニ類は薬剤抵抗性の発達しやすい害虫として知られており、
その理由として以下の4つが挙げられている(真梶、1996)。
①薬剤散布面積に比べ、ハダニ類の行動範囲は狭い。
このため、隔離された集団で薬剤の淘汰を受けることになり、均質な集団になりやすい。
②ハダニ類は発育日数が短く、発生回数が多い。
このため、薬剤の淘汰を受ける機会が多くなる。
③ハダニ類の性決定は単数倍数性なので、
抵抗性遺伝子を持つ雄との交雑で抵抗性が発達しやすい。
④ハダニ類の行動習性として近親交配が行われやすい。
引用「奈良県病害虫防除所」
実は農薬に慣れてしまった害虫が非常に厄介なのです。
ダンゴムシやアブラムシ、ダニなどは繁殖力が高いので、
農薬への抵抗性を獲得したら、その要素を持つ子孫が増えていきます。
でも、体が複雑な仕組みの益鳥たちや、
爬虫類などの農家を助けてくれる生き物は、農薬にやられて死んでしまいます。
そこまでいかなくとも、体に肥料や農薬の成分が溜まっていきますね。
最近はジビエブームで、鴨、イノシシ、鹿、山鳩など食べる人も増えています。
肉が好きで、自然のものを食べるから農薬は関係ないと思わないでください。
彼らは、農家の庭先の野菜やそこについた虫が大好きです。
消費者が全く虫のいない作物を欲しがるということは、
農薬で汚染された生き物だらけの世界を作ることと同義です。
スマートフォンの中の菜園ゲームなら虫を気にせずに済みますが、
リアルの農業は虫と隣り合わせです。
もし、オーガニックの野菜に虫が潜んでいたら
「農家の人は頑張って対策したけれど、混ざったのだな」
と思って、そっと除去してください。
オーガニックな生活をしてみたい人に注意してほしいこと
虫が食っている野菜や果物は安全という神話
確かにオーガニックな農法には害虫がつきものです。
しかし、植物は棘や香りなど自分である程度ガードする能力を持っています。
新鮮なきゅうりはサボテン並みにトゲトゲなのが良い例です。
害虫に完全にやられてしまう理由は次のようなものです。
・生育に必要な栄養が十分に取れていない
・枝を十分に梳き、摘果するなど基本の作業をしていない
・土地一杯にぎゅうぎゅうに植えている、連作している
・土の消毒が十分にされていない
・何らかの形で、益虫、益鳥がやってこない
・害虫が好む有機物を放置している
先に述べたように薬剤耐性のある昆虫も増えています。
虫が野菜の深部にいるときに、農薬を散布しても死なないことがあるので、
虫食い野菜は必ずしも農薬が少ないとは言えません。
よそからの農薬の流入に注意して
オーガニックと名前がついていても、実は農薬に汚染された作物は多いです。
・有機肥料のもとが農薬に汚染されている
・鶏糞などは飼料に農薬が含まれることがある
・周囲に農薬を散布する場所がある
もし、有機農法を自分でしたい場合は
放射能値、重金属含有値を計ったうえで、
元はどんな場所だったのかということを調べましょう。
当家の場合は前の方もハーブを農薬無しで育てていて、
その前もなだらかな丘陵だったので、数十センチ掘り起こして使用しています。
3年は農薬を使っていない土地なら安全ですよ。
ただ、虫だらけ、草ぼうぼうのことも多いので、開墾は大変ですが。
自然を使って害虫を減らすという考え方
掘っても掘ってもコガネムシの幼虫がゴロゴロ出てくるのが、
腐葉土を使ったときの問題です。
でも、ある程度の自然環境が周囲にあれば、増えすぎた虫は淘汰されていきます。
当家の側には川があるので、鳥が集まります。
水浴びをするためです。
自然と庭にも小鳥がやってきて、
人間が掘り出したコガネムシを嬉しそうに持っていきます。
有機農法には向く環境です。
皆様の家庭にもいる頼りになる助っ人をご紹介しましょう。
アダソンハエトリ
ピョンピョングモと呼ぶ人が多いですね。黒い体に白い線が入ったごく小さなクモでよく見るとなかなか愛嬌があります。
ハエやゴキブリの幼体をとる名ハンターです。
ハエトリグモの仲間は虫をとらえる能力が非常に高く、
稲作の助っ人として期待されています。
小ぶりの動くクモは人間が手では取れないウンカやダニも捕まえますよ。
このように、益鳥や益虫に駆除を手伝ってもらうという考え方もあります。
他にヘンルーダ(コモンルー)ローズマリー、セージ、ニンニクなどの
匂いが強い植物を野菜の側に植えて虫を防ぐことも出来ます。
かなり大きくなりますが、
ポリジというハーブは棘があるので、野菜を囲むと虫が付きにくくなります。
益虫を守ってあげるということも考える
農薬は、害虫を殺しますが、益虫にも害を及ぼします。
特に、ミツバチは、イチゴなどの受粉に一役買います。
でも、非常に農薬に弱いです。
虫が介入して受粉してくれないと、おかしな形のイチゴになって食べられません。
ハウス内に助っ人として蜂を放す農家さんもいます。
ミツバチはスズメバチに襲われやすいので、
スズメバチの巣は適宜除去します。
ただし、芋虫の類をスズメバチは駆除してくれますので、
駆除はほどほどにしましょう。
お近くにある程度綺麗な河川がある方は、
ビオトープを畑の一角に設置しましょう。
植物と一緒に水場を用意し、生態系を再現します。
運が良ければ、スズメバチの天敵、オニヤンマが来てくれます。
生態系バランスの維持が害虫被害を一定の閾値に収めるコツです。
害虫の対策を現実にしてみる
おすすめの駆除法は手で取ること
様々な駆除法がありますが、抵抗がない方は、
プラスチックグローブをはめた手で虫に侵された枝や葉をとる、
虫自体をつまんでつぶして捨てるという方法があります。
どうしても、葉の中に入った虫には木酢液やトウガラシ液が届かないので、
この方法が有効なのです。
チャドクガ等の毒虫もいますので、しっかり手袋をはめて行ってください。
また、樹木にとりつくタイプの場合は、木をゆすって成虫を落として始末します。
コガネムシには有効ですよ。
土は熱湯を使って害虫の卵を殺しておく
土を再生するときは熱湯消毒をしっかりします。
これだけで害虫の卵を減らすことが出来ます。
防虫ネットは必須
有機農法をしない方もお部屋の蚊帳に応用できます。
耐水性のあるネットで覆うだけで虫は来なくなります。
特に発芽したてはナメクジなどにやられやすいので、注意してください。
簡単!ナメクジ退治法
お酒を飲まない方が、ビールを頂いてしまったときに試していただきたい方法です。
ナメクジが出そうな場所(地面が銀色の糸で光る)に
ビールを入れた容器を埋めておきます。
朝になったらナメクジが大量におぼれていますので始末しましょう。
ナメクジや、カタツムリには
広東住血線虫という危険な寄生虫がいますのでしっかり駆除しましょう。
2〜35日(平均16日)の潜伏期の後発症し、
患者は微熱から中等度の発熱、激しい頭痛、 Brudzinski徴候、項部硬直、
悪心、嘔吐、Kernig徴候、脳神経麻痺などを示し、さらに筋力の著しい低下、
知覚異常、四肢の疼痛などを示すこ ともある。
その他、複視、運動失調などを示す 場合があり、
感染虫体数が多い重篤例では昏睡に陥ったり、死亡する場合もある。
本症の典 型例では症状が2〜4週間続くが、自然に緩解・治癒し、通常予後はよい。
まれに失明、知能遅延、てんかんなどの後遺症を遺すことがある。
また、極めてまれ ではあるが、ヒトの肺動脈から 虫体が検出されることもある。
眼型の広東住血線虫症では虫体が前眼房や網膜などに発見され、
髄膜炎症状を示さず、髄液の好酸球増多を認めない場合もある4)。
「国立感染症研究所」
東南アジアなどで発症例が多い感染症ですが、わが国でも起きます。
寄生虫がいるから、オーガニックは怖いという人もいますが、
80度以上で加熱すれば死滅しますので、心配は要りません。
今あげたナメクジ対策に合わせて防虫ネットをしっかり使えば済む話ですからね。
トウガラシ液で撃退
木酢液でも大丈夫です。
トウガラシをアルコールにつけて、300倍に薄めてスプレーとして使います。
含まれるカプサイシンが害虫駆除には効果的なのです。
当家では鷹の爪系の唐辛子を栽培しています。
ハラペーニョやハバネロといったより辛いものを使うこともありますが。
肌に付着すると、火傷に近い痛みが生じるので、
ゴーグルと手袋を装着して散布しましょう。
トウガラシをピーマンやしし唐等を同じ土に植えると、
辛くないはずの種ももれなく辛くなるので要注意です。
有機物は虫を引き寄せやすい
ガーデニングをしていて、
虫にお困りの方はまず肥料をやりすぎていないかチェックしましょう。
米ぬか野菜くずなどを使った場合は、匂いにつられて虫がやってきます。
有機肥料は少し深く埋めてやらないと、
湧いた虫を狙いに来たスズメやヒヨドリに全部植物の根っこを掘り出されてしまうという悲劇が起こります。
ヒヨドリもスズメも、虫駆除のプロなのですが、たまに困らされることがあります。
オーガニックの作物を食べるときにはどうしたらいいか
野菜に虫がいたとき、農村暮らしの人はどうするかご存知ですか?
包丁で虫食いの部分を落として、まともな部分は食べる、それだけです。
犬がいる場合は犬が食べても大丈夫な野菜は、
穴が開いた部分の虫を取ってあげます。
栗などの実物は、一晩水につけておけば、
虫が大半食べてしまったものは浮いてきます。
虫自体もおぼれます。
加熱するものならば、寄生虫の心配もありません。
もう少し万全を期すのならば、
50度ぐらいのお湯で30分つけておけば虫は死にますよ。
自然と共生するって楽しい!オーガニックで夏を楽しもう
有機農法の庭があると、害虫だけではなく、
それを狙ってくる鳥や爬虫類等多くの生き物が集まります。
野生のウグイスがやってきたり、
レストラン代わりにうちの庭で虫を食べるヒワの仲間がいたり、非常に賑やかです。
毎年咲き誇る花やおすそ分けする野菜を通じて、
近所の方との会話も弾みます。
ご自宅に庭がなくて自分では菜園が出来ないという方は、
貸農園や農業体験、もしくは郊外の森や林に出かけてはいかがでしょうか。
ただ、健康のためにオーガニック商品を選んでいるというのも良いことです。
でも、オーガニックで生態系も守れるのだということを知識ではなく、
その目と耳と肌で感じてほしいのです。
ただ、熱中症と虫刺されにだけは注意してくださいね。
☆動画コンテンツIN YOU Tube『オーガニック素材で作る!最強の手作り虫除けスプレーと虫刺され薬の作り方』
オーガニック食品やコスメをお得に買えるオーガニックストアIN YOU Market
IN YOU Market虫除けスプレーもオーガニックをしっかり選んでいますか?
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参考文献
「農作物を病害虫から守るために 農林水産省」
「奈良県病害虫防除所」
「野生鳥獣食肉の安全性確保に関する 報告書 – 厚生労働省」
「スズメバチ対策. 湘南家畜保健衛生所. 池田 知美. 宮下 泰人. 原田 俊彦. 草川 恭次」
「農薬による蜜蜂への影響について 農林水産省」
「農薬を少なくして米を作る場合の害虫駆除や除草方法はどんなものがありますか。 農林水産省」
「事 例 農林水産省」
「ヨトウムシ類の見分け方と防除」
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