下水道が整備されても私たちの生活排水は川や海を汚している?排水処理装置メーカー勤務の私が衝撃の事実をお伝えします!
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下水道が整備されても私たちの生活排水は川や海を汚している?排水処理装置メーカー勤務の私が衝撃の事実をお伝えします!
最近は「マイクロプラスチック」という単語が知られるようになり、海をはじめとした水質汚染についての関心が高まりつつあります。
水質汚染は、マイクロプラスチックのほかにも、船の座礁による油の流出、工場から出る排水などが原因として挙げられます。
これらの出来事はニュースで取り上げられるのでご存じの方も多いでしょう。
しかし、事故や工場排水は企業の責任であって、水質汚染については一般消費者の自分たちは関係ないと思っていませんか?
実際は、我々が日々の生活で使っている水が、水質汚染の原因のなんと約7割を占めているのです!
今回は、排水処理装置メーカーに勤める私が、ほとんど知られることのない生活排水の実態についてお伝えします。
そもそも生活排水ってどんな水?
生活排水とは、「生活」とあるように「日常生活から出る排水」のことです。
具体的には、
台所
お風呂
洗濯
トイレ
に使われる水のことを言います。お風呂
洗濯
トイレ
生活する上で必ず必要な水。生活排水って1日でどれくらい出るの?
日常生活で使う水なので、その量はたかが知れていると思っていませんか?
我々は、日々の生活で一人で1日当たり約250Lもの水を使っています。
250Lは、お風呂1回分程度の水量です。
まだ想像できる水の量なので、それほど大量ではないと思われるかもしれません。
しかし、例えば10万人の都市ならいかがでしょうか。
合計すると毎日3,000万Lの水が使われることになります。
日本全国で考えると莫大な量になることがわかりますね。
生活排水の問題点は何か?
では、生活排水は何がいけないのでしょうか。
それはズバリ排水に含まれる「汚れ」です。
もちろん、ヒ素や水銀といった有害物質も水質汚濁の原因となりますし、規制の対象になっています。
しかし、生活排水からそれらが出てくる可能性は低く、もっとも環境負荷が大きいのは、
リンや窒素、有機物などの汚れ成分です。
通常、これら汚れ成分は環境中に排出されると、そこに住む微生物によって分解されます。
この時活躍する微生物は「好気性微生物」といって、酸素を使って汚れを分解します。
このように、自然の力できれいになる力を「自浄作用」というのですが、この自浄能力のキャパシティーを超えると、好気性微生物が使う酸素が足りなくなってしまうのです。
酸欠状態になると、「嫌気性微生物」という、酸素を必要としない微生物が汚れを分解するようになります。
汚れを分解してくれるのならいいのでは?と思うかもしませんが、嫌気性微生物は分解と同時に嫌な臭いのガスや有害なガスを発生させるのです。
さらに、嫌気性微生物が分解しきれなかった汚れはヘドロとなり川や海に蓄積されてしまいます。
こうなると昆虫や魚など生き物が住めなくなり、生態系は崩れる一方です。
なぜ生活排水はそんなに汚れているの?
家庭から出る排水にはいろいろなものが含まれています。
・米のとぎ汁
・お味噌汁の残り
・調味料
・油
・洗剤
・シャンプーやコンディショナー
などなど、これらすべてが汚れとして排水されます。・お味噌汁の残り
・調味料
・油
・洗剤
・シャンプーやコンディショナー
生活排水はどうやって処理されてどこにいくの?
生活排水の処理方法は大きく分けて、「集合処理」と「個別処理」の二つがあります。
【集合処理とは?】
いろいろな場所から出る排水をまとめて処理する方法です。
公共下水道や農業集落排水施設、集合住宅や団地にあるコミュニティ・プラントが当てはまります。
【個別処理とは?】
建物と同じ敷地内にあり、建物ごとに排水処理を行う方法です。
個別処理には合併浄化槽と単独浄化槽があります。
排水の「集合処理」ってどんな処理方法?
集合処理は、下水処理場に見られるように、複数の場所から排水を集め、まとめて処理しています。これらの処理施設では
1)排水に含まれる大きなごみや砂を沈殿させる。
2)微生物の力を借りて汚れを分解する。
3)微生物を含む泥を沈殿させ、水と泥を分ける。
4)塩素を使って大腸菌類を殺菌した後、環境中に放流する。
2)微生物の力を借りて汚れを分解する。
3)微生物を含む泥を沈殿させ、水と泥を分ける。
4)塩素を使って大腸菌類を殺菌した後、環境中に放流する。
という流れをとっています。
下水処理でも完全には取り除けない排水の汚れ
2019年度末における全国の下水道普及率(下水道利用人口/総人口)は79.7%です。
特に人口100万人以上の大都市では、下水道普及率はほぼ100%で、ほとんどすべての排水が処理されていることになります。
しかし、下水処理場で処理されているからといって安心はできません。
標準的な処理方法では、窒素やりんなどの汚れ成分は約50%程度しか除去できないのです。
これでは日々大量に出る生活排水で環境負荷は増すばかりです。
そのため、より高性能な「高度処理」という方法が開発されました。
「高度処理」でも完全には排水の汚れを処理できていない驚きの現実
高度処理とは通常の処理に加えて、
1)細かい穴が開いている活性炭に汚れを吸着させて取り除く。
2)オゾン(強力な酸化力と殺菌力を持っている)を使って水中の汚れを分解、消毒する。
3)微生物が付着したチューブに何度も水を通して汚れを分解する。
2)オゾン(強力な酸化力と殺菌力を持っている)を使って水中の汚れを分解、消毒する。
3)微生物が付着したチューブに何度も水を通して汚れを分解する。
という工程が追加され、標準的な方法より水をきれいにできるようになりました。
しかし、高度処理を行っても、窒素やりんなどは80~90%までしか除去できません。
私たちが排出した汚れは、完全には取り除くことができないのです。
排水の高度処理の実施率はたったの56%。大都市だからといって安心できない!
完全には汚れを取り除けないものの、高度処理は標準的な方法よりも排水を綺麗にできることは事実です。それでは、高度処理は日本でどのくらい普及しているのでしょうか。
実は、2019年度末の段階で全国平均の実施率はたったの56%です。
人口が最も多い東京でも54%の実施率となっています。
残りの排水は、たった半分しかきれいになっていない状態で海や川に流されているのです。
参考:「良好な水環境創出のための高度処理実施率」国土交通省
なんと「未処理の排水」を放流している?!単独処理の落とし穴
前述の下水道を含む「集合処理」に対し、「単独処理」は戸建住宅などに設置させる設備です。規模は違いますが、集合処理と同じ流れで排水を処理しています。
単独処理には「合併浄化槽」と「単独浄化槽」の二つがありますが、これらはどう違うのでしょうか。
【合併浄化槽】
トイレから出る排水と、台所、お風呂、洗濯から出る排水を合わせて処理します。
【単独浄化槽】
トイレから出る排水のみ処理する浄化槽で、なんと台所、お風呂、洗濯から出る排水は未処理のまま環境中に放流されているのです。
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現在は新しく設置できない単独浄化槽
生活排水がそのまま海や川に流れているとは驚きですよね。この未処理の生活排水はかなり問題視されており、2013年に浄化槽法という法律が改定されました。
この法律改正により新しく単独浄化槽を設置することが禁止されています。
しかしながら、既存の単独浄化槽は合併浄化槽へ切り替える努力義務はありますが、単独浄化槽を使っているからといって罰則はありません。
現在「単独浄化槽」はどのくらいあるの?
単独浄化槽は、人口が5万人以下の市町村では特に多く使われています。少し古いデータですが、2008年度末の時点で約545万基の単独浄化槽が残っていました。
現在はもう少し少なくなっていると予想されますが、まだまだ完全になくなったわけではありません。
合併浄化槽へ切り替えるにはもちろん費用がかかりますが、多くの自治体が補助金を出しているので、自分が住んでいる地域の補助金制度を確かめてみましょう。
参考:「単独浄化槽から合併浄化槽へ」環境省
合併浄化槽と単独浄化槽、どうやって見分ける?
ここまでお読みになって「自分の家の浄化槽の種類を確認したい!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
その場合はどうすればいいのでしょうか。
そこで、合併浄化槽と単独浄化槽の特徴を紹介します。
【合併浄化槽】
マンホールが3枚
トイレ、台所、お風呂、洗濯の排水を合わせて処理する。
【単独浄化槽】
マンホールが2枚
トイレの排水のみ処理する。
ただし、マンホールの枚数はメーカーによっては異なる場合があります。
確信が持てない場合は、浄化槽の型式を確認して住建メーカー、浄化槽管理会社に確認してください。
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排水がどこへ行くのか考えよう!水質汚染を防ぐために私たちがするべきこと
下水道が普及して、衛生環境は飛躍的に向上しました。
しかし、汚いものを見なくて済むようになった分、どうやって処理されているのか、排水がどこに行くのか考える機会は減っているのではないでしょうか。
また、今まで気にしていなかっただけで、もしかしたら自分の家から生活排水を垂れ流しているかもしれません。
我々の家庭から出る汚染物質を少なくするため今日からできることを紹介します。
・揚げ物などで使った油はシンクに流さず新聞紙などに吸わせる
・野菜くずなどのゴミをシンクに流さない
・食器や調理器具の汚れがひどいときには拭き取ってから洗う
・米の研ぎ汁は植物の水やりに活用する(植物の栄養になります)
・生ゴミは堆肥化する
・洗剤は適量を使う(多く使ったからといって汚れがよく落ちるわけではありません。)
・洗濯は糸くずを取るフィルターを付ける
・洗濯は生分解性の高い石けんや無リン洗剤を使う。
・こまめに掃除を行う(頑固な汚れになる前に掃除すれば洗剤の使用量が減ります。)
・お風呂の残り湯を洗濯に使う(衛生上、すすぎは水道水で行いましょう。)
・野菜くずなどのゴミをシンクに流さない
・食器や調理器具の汚れがひどいときには拭き取ってから洗う
・米の研ぎ汁は植物の水やりに活用する(植物の栄養になります)
・生ゴミは堆肥化する
・洗剤は適量を使う(多く使ったからといって汚れがよく落ちるわけではありません。)
・洗濯は糸くずを取るフィルターを付ける
・洗濯は生分解性の高い石けんや無リン洗剤を使う。
・こまめに掃除を行う(頑固な汚れになる前に掃除すれば洗剤の使用量が減ります。)
・お風呂の残り湯を洗濯に使う(衛生上、すすぎは水道水で行いましょう。)
現在の排水処理の方法は完璧ではなく、私たちが出す生活排水は、日々海や川に負担をかけています。
しかし、一人ひとりの小さな心がけで環境への負担を軽減することは可能です。
ぜひ今日からできることを取り組んでください。
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参考:「生活排水対策について」東京都環境局
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