今世界が期待を寄せるオーガニック事情。日本の市場は今後どうなっていくのか?私たちにできること。
私は現在、スペイン・ビルバオで生活をしています。
今回は海外から見た日本、そして各国の実情も踏まえてリアルなオーガニック事情をお伝えしていきたいと思います。
スペインでオーガニック市場への期待が拡大
現在スペインでのオーガニック製品の消費は国内全体消費量の2%ほど、
また1年でオーガニック製品にかける金額は一人あたり20ユーロ(約2,410円)と他のヨーロッパ諸国と比べてもかなりすくない消費量となっています。
しかしオーガニック製品の生産国としてスペインは世界で第9位を誇り、
またヨーロッパで2番目にオーガニック証明された製品が多い国と言われています。
国内消費量は決して高くはありませんが、
オーガニック製品の重要な産出国としてヨーロッパでも重要な役割を果たしています。
EU全体を見ても、スペインのオーガニック市場への期待は大変高く、
2014年から2020年の間に100万ユーロ以上の補助金を支給することを欧州連合が発表しました。
消費が伸び悩むその理由・・・
それは価格。
各国が大きな期待を寄せるオーガニック市場ですが、
一方でその消費がなかなか伸びない理由には商品の値段があげられます。
他の商品に比べオーガニック商品の値段は高い傾向にあります。
スペイン国内で特にオーガニック商品への関心が強いと言われているのは若い世代の消費者です。
しかしその範囲は高い教育レベルを持ち、またオーガニック商品の高価な値段に対応出来る経済環境にある若者にとどまっているのが現状です。
スペインだけにはとどまらず世界各国で見られる現象だと思います。
日本でもオーガニック製品はブームのようなイメージがまだあるように感じます。
オーガニック製品の生産にはコストがかかります。
そのため他の商品よりも価格があがってしまうのは仕方がないのかもしれません。
しかし、オーガニック市場が持続可能な市場として成長するためには各国政府の援助とオーガニック製品の本当の価値を消費者に理解してもらうことが必要であることはIN YOUでもたびたびお伝えしてきました。
オーガニック製品は自分の健康のためだけではない
他の製品と比較すると価格は上がりすが、
多くの人がオーガニック製品を選ぶべき理由のひとつに健康への意識があげられます。
少々お金を払っても体に優しい製品を選びたい、
自然に近い美味しい野菜や果物を食べたい。
理由は様々だと思います。
オーガニック製品を選ぶ価値は自分の健康を守るだけではありません
。ネオ二コチノイドなど農薬の有害性は少しずつ日本でも認知されるようにはなってきました。
赤ちゃんや子供、妊婦には特に悪影響を及ぼすとし、警鐘を鳴らす団体もいます。
ネオニコチノイド系農薬、世界諸国が使用規制を進める中、日本は逆行!その実態とは?!
日本ではなぜ残留農薬規定が緩和され続けているのか?毒性の強いネオニコチノイドが私達に与える影響とは。
その農薬から及ぶ被害を一番受けているのは誰だか知っていますか?
例えば実際にコーヒーやタバコ、綿などの商品は農薬などの影響を消費者が直接受けることはあまりありません。
だからと言って安心して良いのでしょうか。
実はその悪影響をもっとも受けているのは生産者たちなのです。
タバコの主要生産国であるジンバブエでは国土の90%がタバコ畑です。
そして国民の10%を占める人々が農場で仕事をしています。
彼らが生活をしていくためにはタバコ畑で働き続けなければいけない現状があります。
そして有害な農薬の被害から、彼らは様々な遺伝的問題をかかえています。
受胎障害、皮膚病、また高いガン発生率などが報告されています。
世界の反対側にいる消費者のために
多くの生産者たちが高いリスクを伴いながら毎日働いているのです。
そんな彼らの現状を変えるにはどうしたら良いのでしょうか。
農場を有機栽培へ変換させてゆくために私たちが今出来ること。少しお金はかかってしまうかも知れないけれど
やっぱり日常で毎日オーガニックな製品を選択することではないでしょうか。
自分の健康を考えることはもちろん、生産者の健康をも考えられる消費者になることがグローバル市場を生きる私たちにとってとても大切なこと。
オーガニック製品がもたらすポジティブな影響とは
またオーガニック製品がもたらす影響は他にもあります。有機栽培が与える環境への影響です。
有機栽培では農地を定期的に休ませます。
その間その土地では栽培が出来ないため、もちろん生産量は他の栽培方法に比べると減ってしまいます。
しかし有機栽培で定期的に休息をとった土地の土はとても柔らかく栄養も豊富です。
有機栽培で作られた土地は生態系に与える影響も大きく異なります。
このようにオーガニック製品を選択することは、
他の国の人々の健康や環境を守ることに繋がるということを心に留めていくおくことが大切です。
日本でのオーガニック製品促進
他の国と比較するとまだオーガニック製品の市場は小規模と言える日本ですが、
徐々に健康意識の高い若い世代を中心に市場の拡大が期待されています。
2016年12月にイオン株式会社がフランスのMarne &Finance Europe社とともに麻布十番に
日本初の「Bio c’ Bon 麻布十番店」をオープンしました。
麻布十番に待望の日本最大級オーガニックスーパー「ビオセボン」がオープンしたので早速行ってきました。
日常的にオーガニック製品を取り入れることが出来るように、手が届きやすい価格での提供をしています。
イートインも実施しており、オーガニックの知識がまだない消費者も味を確かめ違い実感して購入することが出来ます。
コンビニエンスストアのナチュラルローソンでは有機JASマークのついた有機野菜の販売を開始し、
ナチュラルローソンを中心にオーガニック製品の販売に力を入れています。
コンビニで手軽にオーガニック製品を購入することが出来るので、さらに日常にオーガニック製品を取り入れやすくなると言えるでしょう。
化粧品市場でもオーガニックコスメを占める割合が増加して来ています。
以前は自然派志向の人や肌に優しい化粧品を求める敏感肌の人たちのみがオーガニック製品を利用しており、
オーガニックコスメはニッチェ市場となっていました。
しかしオーガニック製品に関する知識の増加に伴い、
オーガニック製品を選択する人が増えて来たのだといえるでしょう。
オリンピックによるさらなる影響は?
2020年に東京オリンピックとパラリンピックを控え、日本社会全体によるオーガニック製品の促進も図られています。
一般社団法人オーガニックヴィレッジジャパン(OVJ)は東京オリンピック、パラリンピック開催に向けて、
「オリンピック&パラリンピックのキャンプ候補地をオーガニックにしよう!」というプロジェクトに取り組んでいます。
内容としては、地元の有機野菜でキャンプ地に来る海外選手を迎えようというものです。
オーガニック先進国の選手を含め世界各国の選手を日本のオーガニック製品で迎えることが出来れば、
必然的に日本のオーガニック市場の拡大にも繋がるでしょう。
私たちにできること
私たちにできることはなんでしょうか?具体的な提案として以下の方法が有効であると思います。
・オーガニック生産者を応援するために、オーガニックを選択し続ける。
・情報共有を活発にするため、SNSやブログ、イベントなどでオーガニックをテーマにした発信を続ける。
・身近な人(家族や恋人や知人)にオーガニックの素晴らしさを伝える。
・身近な地元のスーパーのアンケートBOXに「オーガニックの商品を増やしてほしい」と投函したり直接電話して消費者から動き出す。
・消費者同士でのコミュニティを作り生産者も交えて、オーガニックを応援するための活動を発足する。
・政府や各組織に自分たちの署名や活動を地道に届ける。
とてもシンプルなことだと思われますか?
でも、これらを一人でも多くの人が明日からでも始めるだけで日本は大きく変わるはず。
これらの活動を始め、オーガニックをより身近なものにするためには
日本国内で、オーガニックに関する正確な知識を広めることが必要になってくると思います。
さらには、オーガニック市場の継続的な拡大には食育、ママさんたちの理解を深める、子供への教育も含め、教育面での活動がポイントになるでしょう。
そのためにもあなたの声で情報共有をSNSでするですとか、地道なことをはじめとして、
私たちの出来ることから取り組んでいただければ幸いです。
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