今からでも治せる!「味覚の発達は3歳までに決まる」の嘘。問題視される子どもの味覚障害。今すぐできる!味覚を育てる「昆布トレーニング」で正常な味覚を取り戻そう。
こんにちは。日本糀協会 えいらくさゆりです。
私は日本の伝統調味料「糀」を広める活動をしているため、
「食育」や「子どもの味覚の発達」についてきかれることがしばしばあります。
3歳までにこどもにちゃんとした食事を与えていないと、味覚は発達しないんですよね?
離乳食から糀を使うといいんですか?
世の中のお母さんたちは、お子さんの成長全てに“心配”をもっているのがよく分かります。
仕事が好きで、どうやって家事を手抜きしようかいつも考えている私のようなずぼらな母親でも、
「ちょっとでも、子どもにいいものを」
その思いが心にあることは間違いがありません。
しかし、世間にはいろんな情報があふれていて、
「自分の子どもに何をしてあげたら良いのか迷っているだけで、何もしてあげられていない」そう思っている方も多いと感じています。
そんなお父さんお母さんのために、今回は
世間で問題と言われている「子どもの味覚障害」と「食育」について書きたいと思います。
味、ちゃんとわかってる?
近年とり取り沙汰される子どもの「味覚障害」
うま味を唯一感じることができると言われる日本人。
しかし30%の子どもが味覚を正確に認識できないことが判明?
東京医科歯科大学が、2012年に埼玉県内の小学1年生から中学2年生までの計349人を対象として「酸味」「塩み」など基本となる4つの味覚を認識できるかどうかの調査をしたところ、
「酸味」「塩み」「甘み」「苦み」の基本4種類の味覚について、いずれかを認識できない子どもが30%にのぼったという結果がでました。
また、先日私がお邪魔した、食育に力を入れていらっしゃる神戸の老舗昆布やさんのお話では、
「幼稚園児と母親に、天然昆布と養殖昆布の出汁を味見してもらったら、10人中4人が養殖昆布の方が美味しいと言う。美味しいと選ぶ、というよりは、よく分からず迷ってこちらという感じです。これにはびっくりした。それで、そのあと鰹出汁も入れて飲んでもらったら、全員が天然昆布の方を選ぶ。」
本来繊細な味の識別ができると言われている日本人ですが、
このようなことが起こっている原因はいったいなんでしょうか。
毎日の濃い味付けが味覚を鈍感にする
味を感知しているのは「舌」ですが、認識しているのは「脳」です。
濃い味に脳が慣れてしまっていれば、薄い味は認識されにくくなります。
また、昆布の旨味成分である「グルタミン酸」は、旨味の基盤となる味であって、
単体で濃い味と感じるものではありません。
そして一定量以上摂取すると、味の飽和をおこし、それ以上味として認識されにくいという特徴があります。
そこにカツオだしを入れると「イノシン酸」という旨味成分が加わり、「グルタミン酸」単体のときよりもうま味の相乗効果をもたらします。
そこではじめて「味を認識する」となるのはもう、グルタミン酸の刺激に慣れすぎてしまっていることが原因の一つと考えられます。
調味料・スナック菓子・加工食品など、多くのものに添加されている「グルタミン酸」。気にしないで食べていると、とり過ぎになってしまっているかもしれません。
また、人が美味しいと判断する一つに「慣れている美味しさ」というのがあります。
食べ慣れたものを好むようになる、安心できる美味しさです。
濃い味付けに慣れており、天然の旨味成分主体の薄味をたべたことがないと、たとえ味を感知できても「美味しいかどうか」の判断ができないことになってしまいます。
日本小児歯科学会は、
豊かな味覚を形成するのには経験が必要ですから、子どもの味覚の発達には、育成するという態度が必要です。そこで大切なことは、母乳は決して濃い味ではないということです。低年齢時期から濃い味を覚えてしまうと奥深い味覚の発達を阻害しますので、子どもの食事にしても間食にしても薄味からスタートして色々な食材を使ってみましょう。
引用元:日本小児歯科学会
と呼びかけています。
本当に「味」を感知できなくなる亜鉛不足
「味」は舌にある味蕾という器官で感じ取ります。味蕾の細胞は約4週間のサイクルで生まれ変わっていますが、亜鉛が不足するとこのサイクルが遅れ、味を感知する機能が低下します。亜鉛は、日常食べる食材では、牛肉や青魚(カタクチイワシ・サバ等)、チーズ、かぼちゃ等に多く含まれていますが、日本人の摂取量は必要量を満たしていないことが多く、特に、ヴィーガン食においては不足しがちです。
深刻に「味が分からない」と思った場合は、亜鉛不足の可能性もあります。
味覚を正常に保つことと「食育」の必要性
「食育」とは
近年すっかり定着した「食育」という言葉。
あちこちで「食育セミナー」が開催され、参加したことのあるお母さんたちも多いのではないでしょうか。
しかし、「食育」って何?ときかれると、答えられない人も多いのでは?
食育の定義
食育とは、国民一人一人が、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、
健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関する様々な知識
と食を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習等の取組みです。農林水産省HP より
「食育」という言葉が一般的に知られるようになったわけ
「食育」という言葉を作った人は、明治時代に生きた、石塚左玄という人です。
著書「化学的食養長寿論」(明治29年)、「通俗食物養生法」(明治31年)の中で「体育智育才育は即ち食育なり」と書いておられます。
この「食物養生法」を啓蒙する団体として「食養会」というものが結成され、その関係者が「食育」を唱えてはいましたが
一般にはほとんど知られていなかったようです。この「食養会」には、戦後、マクロビオティックの創始者として知られる桜沢如一も会長に就任したことがあります。
近年になってこの「食育」に注目が集まったのは、
産地偽装などの「食の安全を揺るがす事件」が多発し、平成14年に自民党の政務調査会に「食育調査会」が設置されたことから。
「食育」を提唱することで消費者の不安や不信感を取り除くことが目的でした。
一般に知られていない「食育」という言葉がスローガンに掲げられたため、
その語源について関心が高まり、長く一般に知られることのなかった「石塚左玄」の名前も知られるようになります。
平成15年に小泉純一郎総理大臣が演説の中に「食育」を取り上げ、この言葉は一般化。
平成17年には「食育基本法」が成立しました。
この法律の目的は
食育によって国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むこと
このように、食育の定義や法律の目的をかきましたが、その中身は抽象的で漠然としています。
周囲の大人が「健全で、豊かな人間とはどのような人のことか」という価値観によって、行われる食育は変ってくるのです。
実際、ファストフード店が食育教室を行ったり、、化学調味料を使った食育セミナーが開催されていることもあり、
そのような「食育」に疑問を呈する人たちもいます。
「食育」に大切なことは何か
「食育」という言葉だけに振り回されず、その内容についてしっかり考えることのできる大人がいること。
これが、子どもにとって大切なことです。
味覚障害が子どもに与える影響
本当に必要な食育とはなんなのでしょうか。
まず、子どもの味覚障害がもたらすデメリットについてみて行きましょう。
・味がしっかり感じられないために濃い味を好むようになり、
食事のバランスが偏りがちになる可能性がある。
・濃い味に慣れると刺激の強い化学調味料の入った加工食品を好む可能性がある。
化学調味料はナトリウムと結びついたかたちで入れられるため、
加工食品の味になれてしまうとナトリウム(塩)の過剰摂取となる可能性がある。
・酸味や苦みを美味しいと感じられないと、
生まれながらに美味しいと思う味「甘み」「塩味」「うま味」のみに偏った好みが形成されやすく、
栄養バランスにも偏りがでる可能性がある。
これらをみていると、味覚障害は生活習慣病に結びつく危険性が高まることが分かります。
それでは、子どもに正常な味覚をとりもどさせるために、私たち周囲の大人はどうするべきでしょうか。
味覚障害は治せる。「味覚の発達は3歳まで」のウソ
適切な発達の時期を過ぎてしまうと、もう手に入れることができないと言われる能力については色々な情報が流れています。
実際、一部の能力については、時期を過ぎたら難しいものもあると思いますが、
味覚もそうなのでしょうか?
「3歳までに」「ピークは12歳」
インターネットで検索してみると、味覚についてもやはり年齢に関係する言葉がでてきました。
しかし、味覚について実験した
「子ども期の食事がその後の味覚感受性や性格特性に及ぼす影響」
岡本洋子,田口田鶴子日本 家政学会誌Vol.48 No. 7 621 ~ 631 (1997)(鈴峯女子短期大学, 倉敷市立短期大学)という研究では、
「幼児期の食環境のちがいが味覚の発達に必ずしも影響を及ぼすとは限らない。」
と結論づけています。
食環境があまりよくないとおもわれる子どもでも、きちんと味覚は発達している可能性が高いのです。
「味覚障害」と「食育」の関係
食環境があまり良くないと思われる子どもでも、味覚は発達している可能性が高いということは、
味覚障害の症状はトレーニングしだいで正常な感覚に戻る可能性が高いということです。
大人になってからでも、食べたことのないものを食べてみたり、薄味や出汁のうま味を訓練することで繊細な味を感じることができるようになるはず。
いま、30%の子どもが味覚を正確に認識できないとしても、これからの経験でその味覚を正常に戻して行くことは可能です。
しかし、なるべくはやく正常に戻しておかなければ、大人になってからの食生活に影響が出る可能性があります。
また、前出の研究ではこうも結論づけています。
「幼児期の食環境の違いは、情緒の安定性,活動性,主導性等の性格形成になんらかの影響を与えている」
食事は、だれと、どこで、どんな風に食べたか。どんな香りがして、どんな気持ちだったか。
そう言うことと深く結びついています。
味覚トレーニングで味覚の発達をうながし、食を楽しむ時間をもつことは、
子どもの心身の健康的な発達を促すことにつながります。
そう、大切なのは、今すぐ始めること。
でも、ついつい外食しがち。
時間がなくてレトルトを使っちゃう。
そんなときはぜひ、簡単にできる「昆布味覚トレーニング」をとり入れてみてください。
本来の味覚を取り戻すための「食育」の時間をつくろう!おうちで簡単昆布トレーニング
うま味成分の王様グルタミン酸。このうま味成分をたくさん含んでいる日本の天然だしの素はなんといっても昆布です!
この昆布のうま味成分をつかって、味覚トレーニングをしてみましょう!
昆布さえあれば簡単にできるので、忙しくてもすぐに取り入れられます。
昆布水でうま味を知る
写真出典 https://macrobiotic-daisuki.jp/konbudasi-tsukurikata-arenji-houhou-25408.html
①1リットルの水に10センチ角の昆布(できれば真昆布あ9を小さくカットして漬け、冷蔵庫で一晩寝かす。
(昆布は天然か、養殖でも2年ものの方が、うま味がたくさんでます。)
②水のかわりにのんでみる。
もし、最初は物足りなく感じても、お水と飲み比べることで、
だんだんほんのり「うま味」が感じられるようになります。
他の味が邪魔しないように、飲んでみる時間をこんな風に決めてみてください。
・朝一番に飲んでみる。
・寝る前に、飲んでみる。
・休日のお出かけの時、水分補給のために飲んでみる。
飲み比べのお水に「こうじ水」をとり入れてもらうのもオススメです。
(こうじ水についてはまた今度書きたいと思います)
残った昆布水に、鰹や煮干しを足したり、塩糀で和えた野菜と一緒に汁ものに使えば、
単体でとった出汁よりぐっと美味しくなることもわかります。
昆布から溶け出した水溶性食物繊維は腸内細菌も元気にしてくれるので一石二鳥!
化学調味料や塩分を含んでいない「食べる昆布」でうま味の変化を知る、
昆布かみかみトレーニング
①週に1回か2回、1日2g程度の「食べる昆布」をゆっくりかんで味わってみる。
※固くて慣れないときは、昆布水に使ったあとの昆布を噛んでみてもOK!
私はこれを子どもと一緒にやってみると、子どもの方から、
「最初は何も味がしなかったけど、だんだん味がして来たよ」
「ちょっと苦かったのが噛んでいるうちに、美味しく感じるようになって来た」
「ちょっとだけ酸っぱいね?」(実は梅酢が入っているものでした)などという、舌の上で起こっている味の変化を自分なりの言葉で説明してくれるようになりました。
柔らかい食べ物に慣れてしまっている現代の子どもには、
あごを鍛えたり、唾液の分泌を促すのにも優れている「昆布かみかみトレーニング」は添加物いっぱいのガムやタブレットを食べるより断然オススメ!
こうやって、家族で味覚トレーニングをしてみると、
「食」の話題でコミュニケーションがとれ、慌ただしくなりがちな食事の時間でなくても、いつでも昆布を取り出してカミカミできるので、ママもゆっくり食や味について話すことができます。
「食育」で本当に大切なこと
「食育」の内容はもちろん大切ですが、それと同時に基本となる大切なことがあります。
それは、「食育」の時間を通して、子どもたちが大人から
「あなたたちのことを大切に思っているよ」
「あなたは大切にされるべき存在だよ」
そう言ったメッセージを受け取ること。
いくら「食育」を頑張っても、ママやパパが笑っていなくては大切なことは伝わらない。
食育で子どもの自己肯定感を育む大切さも、わすれないでください。
※昆布にはたくさんのミネラルやその他の栄養素が含まれますが、とりわけ「ヨウ素」がたくさんふくまれています。
ヨウ素は大切な栄養素の一つですが、とり過ぎは甲状腺の働きに異常をきたすため、子どもなら一日平均1g。
大人なら1.5g程度にして、週に2、3回程度にしておきましょう。また天然で汚染の少ない昆布を選ぶことを徹底してください。
忙しいお母さんでもすぐできる。
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