ガンや生活習慣病予防にも効果的と言われる『オートファジー』とは?身体が持つ最強のリサイクル機能の全て。
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東京農業大学の大隈教授が発表しノーベル医学賞を受賞した
オートファジー(AutoPhagy)。
世界的な大発見として話題となりました。
オートファジーとは何か?
『Auto』は自ら 『 Phagy』は食べるという意味を持ち別名 『自食作用』とも呼ばれます。
自分を食べる作用…!?
簡単に言うと古くなった細胞を食べて代謝し新しい細胞を作り上げること。
細胞内の大掃除・細胞のリサイクルを行う働きです。
このような働きが 私たちの身体には本来備わっているという画期的な研究結果が報告されたことにより
今後の医療に飛躍的な効果が期待できるとして今注目を集めています。
このオートファジーの機能を高めるためには
ファスティングによる「食べないこと」が実に効果的であることもわかっています。
食べたものが身体になるということを
インユー読者さんなら強く意識しして食事にも気を使っていることと思いますが
私たちは日々入れることばかりに目が行きがちですが長い飢餓状態の中を生き延びてきた人間は空腹状態を生き延びるために設計されており
現在の飽食の時代には不釣り合いの身体なのです。
それを考えたら豊かな現代社会で病気や不調に悩む人々が急増するのも納得ができます。
飢餓状態を生きてきた私たちの身体は栄養を蓄積することに関しては得意なので
入れれればどんどん溜まっていってしまいます。
入れるものにフォーカスするのでなくあるものにフォーカスしてみませんか?
入れるばかりではなくあるものを再利用するということに今日は一緒に目を向けてみませんか?
身体がもつリサイクルの力を知れば今までと少し視点が変わるはずです
『オートファジーとは何か?』
『オートファジーとは細胞の大掃除とリサイクル』
私たちの身体は60兆個という細胞が集まり人間という形が作り出されています。
私たちの身体を構成する臓器や器官は全てが
細胞の集まりによって形つくられています。
たとえば
皮膚(上皮細胞)
骨(骨細胞)
筋肉(筋細胞)
内臓(腸上皮細胞)
脳(神経細胞)
すべて細胞ですね。
オートファジーというのは
この身体を作り上げている細胞ひとつひとつを大掃除しリサイクルすることで常に新しい細胞に置き換えられ
臓器の働きや機能を高めてくれる、結果として健康が保たれ病気も治る
という人間に備わった高度なシステムなのです。
『細胞を構成するたんぱく質は常に入れ替わっている』
細胞というのはたんぱく質で構成されています。
人間が生きていく上でもっとも大切な働きはこの細胞を構成するたんぱく質をつくること。
たんぱく質こそが人間を構成する材料なのです。
たんぱく質は日々作り出され古くなったたんぱく質は新しいものへと入れ替わっています。
たとえば…
肌のターンオーバ。
日々少しずつ新しい上皮組織が作り出され古くなったたんぱく質は押し出され
角質として剥がれ落ちていきますね。
一般に肌は28日という周期ですべての細胞が入れ替わるとされています。
このようなターンオーバー(新陳代謝)は肌だけでなく
身体のいたるところで行われています。
私たちは日々細胞を構成する
たんぱく質を作り出さなければいけません。
また細胞代謝に必要な酵素もたんぱく質でできています。
今私たちが
心臓が動いているのも…
呼吸しているのも…
手が動くのも…
すべて身体が正常に機能するように
日々新しい細胞が作り出されているおかげなのです。
ですから日々の食事でのたんぱく質摂取は身体を作る上で非常に大切です。
しかし
食事からの摂取だけでは足りないのです…。
ここで私たちの身体に隠された驚きのシステムが活躍するのです。
『食事だけでは必要なたんぱく質量は摂取できない』
私たちが食事から摂取したたんぱく質は
体内でアミノ酸に分解され身体に吸収されやすい状態になり一旦貯蔵されます。
そこから再度たんぱく質に再合成され使われます。
成人が1日に必要なたんぱく質量は約60~70gほど
体重1kgあたり1gの量が必要だとされています。
これに対し身体が日々の新陳代謝として必要なたんぱく質量は約200g。
おかしいですね。
200gという必要量に対し摂取量が60gでは全然足りていません!!
食事量だけでは必要なたんぱく質量を補うことはできないのです・・。
では身体はどこからたんぱく質を補っているのかというと…
先ほど紹介した『オートファジー』なのですね!
足りないたんぱく質を自らの古いたんぱく質を分解し
リサイクルすることで補っているのです。
必要な200g中の60gは食事から摂取し
残りの140gはこのオートファジーによってつくりだしています。
自らを食べ、新しく作り変える。
このリサイクルこそがオートファジー。
私たちの身体はなんと画期的なんでしょうか?
『ガンも予防するとも言われるオートファジーの魅力』
『オートファジーにより細胞が大掃除される』
オートファジーの魅力はこれだけではありません。
細胞のリサイクルとしてオートファジーが行われる過程で
細胞の中が綺麗に掃除されるのです。
食べ物から摂取したたんぱく質(アミノ酸)から
たんぱく質を再合成するとき
たまに不良なたんぱく質が生成されてしまうときがあります。
この不良たんぱく質はほっとくと身体の中で様々な悪さを引き起こします。
(悪性がんなど様々な病気に発展する危険性も…)
オートファジーによってこの不良たんぱく質も分解し
新しいたんぱく質として再合成されることから
がんなどの原因となる体内の不良たんぱく質を掃除してくれる作用を持っているのです。
『ミトコンドリアも新しくなる!』
また細胞内にはミトコンドリアと呼ばれる
エネルギーを作り出す工場があるのですが
そのミトコンドリアもオートファジーにより新しくなると言われています。
ミトコンドリアも古くなるとエネルギー源であるカロリーを燃やせず
生成効率が悪くなり代謝が落ちてしまいます。
そうなると工場内でエネルギーの不良消化を引き起こし
活性酸素と呼ばれる排気ガスを細胞内にばらまくのです。
この活性酸素は細胞の老化や様々な不調の原因になります。
ミトコンドリアの老朽化でエネルギーの生成効率が悪くなり
身体が疲れやすくなったり太りやすくなったりしてしまうわけです。
その古くなったミトコンドリアもオートファジーにより一緒に分解され
新しいミトコンドリアへと改装してくれるのです。
なんと画期的なのでしょう!
『ファスティングがオートファジーの働きを高める』
このオートファジーは
ファスティング(断食)によってその効果が何倍にも高まると言われています。
ファスティングをしていなくても私たちの身体の中で起こってはいるのですが
食事を摂取することによってその活動が弱まってしまうのです。
ファスティンングにより身体が空腹状態になるとこのオートファジーがどんどん進み
体内の細胞が綺麗にリセットされ新しく生まれ変わります。
ひとつひとつの細胞が綺麗になれば
身体の機能は正常に健康のサイクルもよどみなく回り続けます。
運動しているアスリートであればこのオートファジーの働きを使い
劇的な疲労回復やスタミナアップなど
パフォーマンスの向上にも役立てることができるのではないでしょうか。
トレーナーとしてアスリートのサポートもしている私ですが
今後スポーツ科学の面でもこのオートファジーは注目を集め
アスリートのコンディショニング管理としてファスティンングが実践される日が来るのではないかと注目しています。
我々の身体は飢餓状態を生き抜くために設計されている。
人間は何万年も食べ物が十分に手に入らず飢餓状態の中を生き延び
発展してきました。
そんな過酷な状況を生き延びるためのシステムが備わっている私たちの身体は
飽食の時代で食べ物にあふれた現代社会には合っていないのかもしれませんね。
だからこれだけ病気にあふれ
豊かになればなるほど増えていく健康被害に私たちは悩まされているのではないでしょうか。
飢餓状態といのが私たちにとって自然な状態なのであれば
身体の機能を取り戻すためには空腹状態を作り出すことが必要であることが理解できると思います。
日々栄養満点の食事をとることが健康的とは言えないかもしれませんね。
ちょっと足りない身体が欲する状態を作ってあげることが
私たちの身体を強くすることになるのではないでしょうか。
私たちの身体に備わったオートファジー
細胞のリサイクル機能。
生きるために備わった自らの力を信じましょう。
そしてそれを身体が忘れないように栄養満点の食事で甘やかしすぎず、時には厳しさを身体に味わさせることが身体にとっての優しさになるかもしれません。
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