香水文化のイタリアで私が化学物質過敏症を発症しないわけ|「香害」発生の一因は他者との距離にあった!?
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香水文化のイタリアで
私が化学物質過敏症を発症しないわけ
「香害」発生の一因は他者との距離にあった!?
皆さま、こんにちは。
今、日本では、柔軟剤や洗剤などの人工的な強い香りによる
「香害」に苦しんでいる人が増えています。
香りに含まれる化学物質が、めまいや吐き気、思考力低下などを伴った
化学物質過敏症を引き起こすのです。
実は私自身も、重度ではないものの化学物質過敏症です。
以前、それまで暮らしていた日本から
夫の母国イタリアへ移住することになった時のこと。
息つく暇もない出発前のバタバタで心身ともに疲労困憊しつつも、
イタリアへと向かう飛行機に搭乗したことでほっとしていると、
ズキー!!と一撃を食らわしたのが食事の際に手渡されたお手拭きでした。
強烈なアルコール臭と香料によって、激しい頭痛に襲われたのです。
そして、私は香水文化の国「イタリア」に移住するのだと、
これから始まる生活についてまわるであろう煩わしさを、その時は覚悟しました。
ところが、イタリアでの生活を始めてすでに何年も経ちますが、
自分の化学物質過敏症の苦しむ機会は、意外なほど大きく減りました。
強烈な香りが原因となり、度重なる頭痛や動悸に悩まされていた
日本での生活とこちらでの暮らしにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、私の苦手な「ニオイ(化学的に合成された香料)」について、
日本とイタリアを比較し、実体験から得た気付きについてお伝えします。
そもそも、化学物質過敏症とは
IN YOU読者の皆さんは既にご存じの方が多いとは思いますが、化学物質過敏症の定義は以下の通りです。
「大量の化学物質に暴露されたあと、
あるいは長期慢性的に化学物質に暴露されたあと、
次の機会に通常ではなんら影響のないごく低濃度の同種
あるいは多種類の化学物質に暴露されたとき、
多臓器にわたって様々な不快な症状を呈する疾患」
微量の様々な物質にも反応を示すことから判断が難しく、
「心理的な問題」
「うつ病」
などと診断され、理解されないことに苦しむ人も少なくありません。
客観的な証明が難しい、化学物質過敏症
実は今回、私自身も化学物質過敏症を証明する難しさを改めて実感しました。この記事を書くにあたって香料に関する記事や文献を読んでいる最中も、
締め付けるような頭の痛みを感じていました。
この頭痛は、私に特有の化学物質過敏症特有の症状です。
実際にニオイを嗅いでいないにもかかわらず、
ニオイを想像し、思い出しただけで、こうした反応が起こる。
人間の体は不思議なものです。
その一方、このような精神的な反応が現れやすいことこそが、
心と体を切り離し、症状を独立したものとして考える現代西洋医学においては
「心理的な問題」と診断される原因なのかもしれません。
しかし、これは実際に化学物質により頭痛が起こるからこそ出てくる反応であり、
決して無から生み出されたものではありません。
無臭を好むはずが香害に悩まされた日本、
香水文化のはずが症状の出ないイタリア
アメリカ国立衛生研究所は、アメリカ国内の人口の5%が化学物質過敏症であると発表しています。
EU(欧州連合)では、イギリスやスペインが積極的にその治療に取り組んでいる一方、
化学物質過敏症の対応にとりわけ消極的なのがイタリア。
そのイタリアにも化学物質過敏症に苦しめられている人は大勢います。
それにもかかわらず、日本からやってきた私がニオイに悩まされる回数は明らかに減りました。
これは一体なぜなのでしょうか?
ニオイを避ける日々だった日本での暮らし
化学物質過敏症の症状が初めて出たのは、実家に帰省していた際に母が洗濯物を部屋干しした時。
洗濯物が発する柔軟剤の香りに頭痛が始まり、
まるで悪さをして頭の輪っかを締め付けられる孫悟空のようだと思ったことを覚えています。
しかし、この時はまだ化学物質過敏症という言葉を知りませんでした。
それから数年が経ち、アメリカでの生活を終えて帰国した友人から
化学物質過敏症に苦しんでいると打ち明けられ、私はその存在を初めて知りました。
私の症状は頭痛と動悸。
ニオイの元を離れて15分も経てば落ち着く程度の軽症です。
とはいえ、オフィスや電車、スーパーや薬局に漂う柔軟剤の香り、
隣家が干す洗濯もの柔軟剤の香りなどから、
日本ではかなりの頻度で症状が現れていました。
イタリアではニオイがしない!?
覚悟を決めて臨んだ香水文化のイタリアでの暮らしでしたが、化学物質過敏症の症状が出るのは稀になりました。
東京近郊でマンション住まいだった日本での暮らしとは住環境が大きく異なり、
現在は自然豊かな地域で、一軒家に住んでいるという違いはあると思います。
しかし、日本で香害による頭痛発生率の高かったスーパーや薬局、電車の中でも、
イタリアでは片手で数えるほどしか症状が出ていません。
これは、人の多い首都ローマでも同様です。
本当に意外だったのは、閉鎖された場所で人とすれ違っても、
香水や化粧品などのニオイがあまりしなかったこと。
ただし、これは私が遭遇した人の多くがたまたまそうであっただけであり、
他のイタリア在住の方から反論があるかもしれません...
しかし、スーパーや薬局で香害に悩まされることがないのは紛れもない事実です。
ニオイが垂れ流し状態の日本
イタリアでも、強い匂いのする柔軟剤や、香り付きのトイレットペーパーは売られています。
それなのに、ニオイに悩まされた日本との違いは何か。
思い当たるのは「香りのサンプル」。
日本では、洗剤売り場、シャンプー売り場など、
あちこちに「香りのサンプル」が設置され、
ニオイが垂れ流し状態であったことを思い出しました。
十数年日本に住み、働いていたイタリア人夫にそれを話すと、
「ニオイだけじゃなくて音もそうでしょ?
例えば電気屋さんも外に向けてガンガン音を出しているし。
イタリアだったら怒鳴られるね」
とのコメントをもらいました。
「そうだ!日本生活で頻繁に頭痛がしたのは、
日本人の香りに対する寛容さにあったのではないか!」と思わず膝を打ちました。
香害の症状が出るか否かは
パーソナルスペースの違いにあった!?
パーソナルスペースとは「心理的な縄張り空間。他人が侵入すると不快感が起こる距離」
を意味します。
日本と欧米のどちらのパーソナルスペースが広いかと問われたら、
キスやハグ、握手を習慣とする欧米よりも
お辞儀文化の日本の方が、広いような印象だと思います。
その認識に間違いはありません。
しかし、対象が「無関係な他者」となるとそれが逆転するのです。
日本人は物理的に他者と距離が近い=他者の香りの影響を受けやすい
例えば、通勤電車を考えてみましょう。日本では、朝夕の満員電車の激しい混雑ぶりは言うまでもなく、
隣の席の人が熟睡してもたれかかってくることも珍しくはありません。
仮に、イタリアの電車で同じことが起こったら...
日本人が感じるよりもイタリア人ははるかに強く不快に感じるでしょう。
家族や恋人など親しい人との距離感で言えば欧米の方がぐっと近い一方、
個人的に無関係な他者との距離感に関しては、
日本がアメリカの3分の1
という研究結果が発表されています。
アメリカ人が見知らぬ人が入ってほしくないと感じる3.5メートル以内に
日本人であれば自身を含めて無関係の3人の他者がいられることになります。
ニオイも伝わりやすいですね。
イタリア人のパーソナルスペースは、アメリカ人よりも狭いと言われていますが、
それでも見知らぬ人のニオイ、自分のものではないニオイに不寛容であると考えられます。
つまり、イタリアでは香水(香りを身につける)文化が確かに発達してはいるものの、
無関係である他者との距離を日本よりも広く取る習慣があるため、
家の外で他者が発する人工的な香りに煩わされることが少ないのではないでしょうか。
一方の日本では、
欧米に比べ手狭な住環境や集団を基盤とした社会で暮らすことにより、
人と人との距離の近さに慣れており、(化学的なものに限らず)他者のにおいにも慣れている。
誰かの発するニオイに対して寛容さが身に着き、
何種類もの香りのサンプルが置かれていても不自然さをさほど抱かなくなるのでしょう。
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今もなお社会に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルスの対策で、諸外国では「ソーシャルディスタンス(距離を取る)」が鍵になった一方、
日本では「密を避ける」という表現が用いられました。
これは、そもそも密な状況が起こりやすいことが前提です。
その日本でも、コロナという地球規模での一大事に、
見知らぬ人が近くにいることに不快感を覚える、という人が
増えたのではないかと想像します。
決して望ましいきっかけではありませんが、
否応なしに始まった新しい価値観での生活は、
他者との物理的距離を考える大きな要因となったことでしょう。
日本を離れて思うことは、
見知らぬ人同士が寄り集まる社会的な「密」が常在する環境は
ニオイで体調を崩すことがある私のような人でなくても
決してヘルシーとはいえないということ。
感染症のリスクはもちろんのこと、精神的な緊張感が解けることなく、
また残念なことではありますが、(犯罪遭遇などの)安全面でも不安が残ります。
もし、日本でも身体的な間合いは保ちつつも、
他者への気遣いといった心理的な距離を寄せ気味にすることが出来れば
香害に苦しむ人にも、そうでないひとにも、より心地よい空間となるはず。
実現できるかどうかの可能性は、日本人が今後どのような選択をするかにかかっています。
引用・参照:
http://medical.radionikkei.jp/yakugaku/date/20070719/
https://www.jst.go.jp/ristex/funding/files/kikaku_h22_1.pdf
https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2017/04/24/how-close-is-too-close-depends-on-where-you-live/
https://www.quotidianosanita.it/lettere-al-direttore/articolo.php?articolo_id=62041
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