漢方理論を知って冷え性を撃退!漢方薬剤師が教えるタイプ別漢方薬と家庭でも簡単にできる冷え性改善法
漢方理論を知って冷え性を撃退!漢方薬剤師が教えるタイプ別漢方薬と家庭でも簡単にできる冷え性改善法
いよいよ本格的な冬を迎えましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
寒い時期は体調を崩しやすく、病院や薬局の一番忙しい時期でもあります。
この時期で特にお悩みが多くなるのは、なんと言っても「冷え性」です。
今回は、最近特に増えてきた冷え性の原因や漢方を使った改善策、そして長年漢方薬剤師として漢方の世界に関わってきた私の経験から、ご家庭で簡単にできる冷え性対策についてお伝えします。
冷え性ってどういう状態?原因は?おさらいしておきましょう
冷え性とは、身体全体では冷たさを感じないのに、手、足、腰など特定の場所だけに冷えを感じる症状のことをいいます。
多くは女性や高齢者の方に多く見られますが、現代では男性や子供にも冷えの症状が見られることも多くなってきました。
とあるアンケート結果によると、冷えで悩んでいる男性は回答者の約26.5%であり、「4人に1人」が冷えに悩んでいることがわかったといいます。(※)
しかも、この「4人に1人」というのは実態を表しているわけではないようで、男性は自分が冷え性だとは感じていないことも多く、「隠れ冷え性」が実は意外と多いのではないかとも言われています。
このように、男性を含めて冷え性の人が増加している原因として、現代人特有のストレスの増加や不規則な生活などがあげられます。
特に、自律神経が乱れると、頭痛や目まい、腹痛、下痢、鼻水など様々な症状を伴うことも少なくありません。
主な冷え性の原因は、生理や更年期障害などによるホルモンバランスの影響や、ストレスによる自律神経の乱れによって、血液の循環が悪くなり、末梢血管の血流量が低下するためだと考えられています。
西洋医学では、冷え症を病気と捉えないため有効な治療法はなく、冷え性に効く薬もありません。
一方で東洋医学では「寒熱」(漢方で病態を把握する方法の1つ。体温に関わらず、全身や特定の部分が寒いと感じる場合を「寒」といって温めると楽になる。逆に、熱っぽいと感じる場合を「熱」といって冷やすと楽になることが多い)という考え方がありますので、冷え性は得意分野です。
そのため、有効な漢方処方や治療方法が数多くあります。
経験則から「冷え性は万病の元」と言われるように、様々な病気(特に慢性病)の原因になりますし、実際に私の臨床経験では、長引く病気や難病の多くは大抵身体の冷えが関係しているというイメージがあり、たかが冷えとはいえ、決してバカにはできません。
さて、ここからはそんな漢方の素晴らしい先人の知恵を紹介したいと思います。
漢方理論をマスターして冷え性を撃退しよう!
まず東洋医学では、冷えると「気」の流れが滞る【気滞】ということが起こると考えます。
「気」というのは、実際には見えませんが、実は血液をぐるぐる循環させるエネルギーのようなものです。
つまり、気が滞ると血の流れも滞り、血流の悪い部分に痛みを感じたり、塊や腫瘍ができやすくなったりします。
このような症状の方を陽虚(体を温める陽気が不足)といい、基礎体温または基礎代謝の低下した状態をいいます。
陽虚にも大きく2タイプあり、一つは「老化現象に伴う冷え以外に夜間尿や足腰の弱りなどの不定愁訴がある状態」で、もう一つは「若い女性によく見られる老化現象を伴わない冷え性」のパターンです。
1、老化現象に伴う冷え性に用いられる漢方薬
老化現象を伴うようなタイプは「腎陽虚」といって、身体を温める桂皮や附子という生薬の配合された「八味地黄丸(はちみじおうがん)」という処方がよく用いられます。
これは高齢で体力が低下して大きな疲労感・倦怠感があり、下半身や手足が冷えて寒く感じ、夜トイレに行く回数の多い人によく用いられるものです。
「腎」の働きが低下しているので、腎を元気にすることで冷え性の改善をはかります。
この処方はドラッグストアや通販でも販売されていますので、簡単に入手できますよ。
またここで紹介する漢方処方のほとんどは保険適応もしていますので、お近くの漢方外来のある病院で相談されてもよいかと思います。
ただ附子(トリカブトの根を加工して無毒化したもの)という身体を非常によく温めてくれる生薬が配合されているため、可能ならば漢方の専門家に身体に合っているかを確認して服用されることをおすすめします。
(附子配合の処方は漢方処方の中で唯一劇薬扱いになり、第⒉類医薬品となります)
2、若い女性によくみられる冷え性に用いられる漢方薬
若い女性によく見られる冷えのパターンの方は、消化機能が弱い方によく見られ、食物から充分にエネルギーが得られない場合に起こります。
この状態を、中医学的には「脾気虚」ともいいます。簡単にいえば胃腸虚弱のことです。
消化機能が低下した方は、若い女性だけでなく現代人に多くみられ、例を挙げますと、食が細い、食べ過ぎるとすぐお腹を下すといったパターンです。
このような方は共通して、エネルギーが不足がちで朝が弱い、声が小さい、食後眠くなるなどの様々な症状を伴います。
これが有経の女性の場合、胃腸が十分に働かないため血の生成も追いつかず、冷え性に加えて貧血や低血圧、ひどい場合は無月経や不妊症のような重篤な慢性症状を引き起こす場合もあります。
このような場合は、薬用人参(野菜といて使われる人参ではなく、薬用の人参になります。野菜の人参と漢方で使用される人参は全然違う種類になるので気を付けてください)や桂皮(シナモンとして食用でも使われてます)の配合された人参湯(お腹に効くという意味で理中湯ともいいます)や人参養栄湯という漢方処方をよく使用します。
人参養栄湯は、体内を絶えず流れる根本エネルギーである「気」と血液とその働きを示す「血(けつ)」がどちらも不足した「気血両虚」の人によく用いられます。
実際にこれらの処方を使いますと、多くの方は身体が温まってきて面白いように元気を取り戻していきます。
ほとんどの方は即効性があるようで、漢方の効果の速さに驚かれますよ!
3、その他のタイプの冷え性に用いられる漢方薬
先にお伝えした2つのタイプの他にも、以下のような漢方薬を使うことがあります。貧血気味で冷えを感じるタイプ
血が増えるように、胃腸機能を改善する人参や黄耆という生薬の入った人参湯や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)といった処方を使ったり、造血作用のある当帰や地黄といった生薬の配合された当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)といった漢方処方を使います。血行が手足などの末端の冷えがひどいタイプ
身体を温める働きのある生姜や、呉茱萸(ごしゅゆ)の入った当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)という処方がよく用いられます。この処方はあまり身体を乾燥させ過ぎないよう工夫されている処方なので、貧血(血虚)気味の方の手足の冷えが強い方にお勧めですが、苦みが強いので少し飲みにくいかもしれません。
必要に応じてオブラートやゼリーなどと一緒に服用するのも良いと思います。
誰でも簡単!もう一つの冷え性改善法
東洋医学では、漢方薬を服用したり薬膳料理などで生薬を摂取する方法を「内治法」、薬物の貼付や按摩、鍼灸(鍼・灸参照)などの体の外側からの刺激によって、治癒を図る治療行為を「外治法」といいます。このように、東洋医学では身体の中と外の両方から治療を行うとより効果的に症状を改善できます。
それでは今回皆さんに家庭で簡単にできる冷え性改善の方法をご紹介したいと思います。
温湿布を皮膚に貼り付ける方法
実は、湿布にも温める種類のものがあるのをご存じですか?
これは温湿布といって、ドラッグストアや病院で手に入れることができます。
成分には唐辛子の成分が使われており、皮膚の刺激作用により温感効果が得られます。
お風呂に入ると痛みが和らぐ方や冬の寒い日に古傷が疼く方などにお勧めです。
ただし唐辛子の成分なので、皮膚の弱い方は普通の湿布よりもかぶれやすいので注意が必要です。
お灸を用いて刺激を与える
お灸(きゅう、やいと)とは、艾(もぐさ=ヨモギの葉の産毛を陰干し・精製取得したもの)を皮膚上で部位を選択して燃焼させることによって、病態に治療的介入をおこなう伝統的な代替医療、民間療法です。
ヨモギも身体を温める作用があり、それに火の力が加わり経穴(つぼ)と呼ばれる特定の部位に対し温熱刺激を与えることで症状を改善してくれます。
セルフケアとして自己施灸も可能で、成形された各種の灸製品(例えば「せんねん灸」や棒灸など)を用いて手軽に治療を行うことができます。
ただし日本では医師以外の者が灸を商売として行う場合は、灸師免許が必要ですので注意してください。
このように簡単に手に入るもので、ご家庭でも冷え性対策ができますので、ぜひ一度お試し頂ければと思います。
それでは、これからの寒い季節、皆さん健康でお過ごしください。
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